旅費精算とは?勘定科目や精算方法・書き方や効率化する方法を解説!
旅費精算とは、出張等で立て替えた費用を精算することです。従業員の負担が大きく、早く処理する必要がありますが、勘定項目や仕訳が難しくミスが起こりやすい業務でもあります。この記事では、旅費精算の勘定科目や処理方法、さらには注意点と効率化の方法を紹介します。
目次
旅費精算とは?
旅費精算とは経費精算のひとつで、従業員が立て替えた旅費を精算することです。企業ごとに「旅費」「出張費」など名称が異なることがありますが、基本的には同じ経費を指します。
(1)出張時にかかった旅費を精算すること
旅費精算の必要があるのは、主に遠方へ出張した場合です。出張には交通費や宿泊費など、さまざまな費用が発生します。通常の交通費と異なり、出張中に利用した費用はすべて旅費として申請します。
旅費も他の経費と同じように、従業員が費用を立て替え、後日精算することがあります。ただし、出張の期間や場所により高額になる場合は、事前に規定の金額を従業員に渡す形式でも問題ありません。
ここからは、旅費にどのような費用が含まれているか解説していきます。
#1: 宿泊費
出張先のホテルや旅館など、宿泊施設の利用時に発生する費用が該当します。
#2: 出張日当
出張日当は利用した実費とは関係なく、一日あたりに決まった金額が支払われます。金額は企業ごとに定められており、出張日数に応じて支給されるケースが一般的です。
出張日当は、出張中の従業員の支出負担をサポートする目的があります。加えて、出張中に突然の出費が発生したときに補填する目的も含んでいます。
#3: 交通費
出張中の移動に発生した費用が交通費です。現地に行くまでの新幹線代や飛行機代、タクシー代などが該当します。現地でレンタカーを借りた場合は、レンタル費やガソリン代、駐車場代なども含まれます。
▷交通費の経費精算ガイド!基本の流れから注意点や効率化する方法まで解説
▷交通費の経費精算で領収書が必要・不要なケースとは?紛失した時の対処法も
(2)旅費交通費とは
旅費交通費とは、出張の際に発生する「旅費」と「交通費」をまとめて表したものです。旅費交通費に該当する主な費用は、次のとおりです。
- 出張交通費(航空賃、タクシー代、バス代)
- 食費
- 出張手当
- 宿泊費
ただし、どこまでを旅費交通費として計上するかは会社によって異なるため、注意が必要です。
▷経費精算とは?前提の基本知識からやり方・最新の効率化方法まで解説
▼ビズクロ編集部おすすめの経費精算ツール「ジンジャー経費」▼
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経費精算の中で発生する計算作業を全て自動でおこなってくれるので、ミスなくスムーズに業務効率をアップできます。
旅費精算書の書き方
旅費精算をミスなくスムーズにおこなう上で重要なのは、旅費精算書の書き方を統一するという点です。
書き方が統一されていれば、記入する従業員としても楽であり、確認する経理担当者も効率的に進められます。
しかし、書き方の形式が定まっているわけではないので、会社ごとにオリジナルのフォーマットを用意しておくと処理をスピーディーに進められます。
【旅費精算い必要な項目】
- 氏名
- 出張先
- 目的
- 出張期間
- 申請日
- 宿泊料金
- 手当
- 交通費(交通手段)
旅費精算の基本的な方法・流れ
ここからは旅費精算の方法を手順に沿って解説します。
- 事前に出張申請する
- 出張時に費用を立て替えする
- 旅費精算書の作成
- 上長へ提出し、承認してもらう
- 経理のチェック・精算
(1)事前に出張申請する
旅費精算では、出張に行く前に出張申請をする必要があります。出張計画書と出張申請書を上長へ提出し、許可を取る流れが一般的です。
(2)出張時に費用を立て替えする
従業員が出張中の費用を立て替えた場合は、領収書を入手するよう徹底します。領収書は会社名でもらうことを覚えておきましょう。
(3)旅費精算書の作成
出張から戻ったら、旅費精算書を作成します。発生した費用の目的や用件、項目、金額を記載していきます。交通費は出発地点と到着地点を明記し、どの移動手段を利用したのか忘れず記入しましょう。
会社によって必要な記入項目が異なるため、自社の規定に従って必要な情報を記載します。
(4)上長へ提出し、承認してもらう
旅費精算書は経理部に提出する前に、直属の上長に提出し、承認を得るのが一般的な流れです。上長は事前の出張申請と照合し、予定外の支出が発生していないかチェックします。
(5)経理のチェック・精算
上長の承認印をもらったら経理部へ提出します。申請に不備がなければ、精算に進みます。
以上が旅費精算の一般的な流れです。
旅費交通費の仕訳の注意点|勘定科目の選び方
業務で遠方へ出向いたり、宿泊が生じたりしても、目的によっては旅費交通費にならない場合があります。ここからは、特に注意すべき3つのケースを確認していきましょう。
(1)研修旅行の場合は研修費
社員研修で遠方へ行く場合、交通費や宿泊費は「研修費」として扱われます。宿泊費が発生すると旅費として捉えがちですが、間違わないよう注意しましょう。
(2)取引先のために遠方へ行く場合は交際費
取引先との親睦会のために遠方へ行く場合は、交通費ではなく「交際費」として処理するのが一般的です。また、取引相手を送迎する目的でタクシーを利用した場合も、交際費に該当します。
経費精算する際は、取引先相手に対して使ったタクシー代と、通常業務で使用したタクシー代を区別するよう心がけてください。
(3)慰安旅行の場合は福利厚生費
慰安旅行の場合は、次のような条件を満たすと「福利厚生費」に該当します。
- 旅行期間が4泊5日以内(海外の場合は、現地滞在日数)
- 全従業員の半分以上が参加している
- 社会通念上、妥当と認められる旅費の範囲内であること
[参考:村上公認会計士・税理士事務所「慰安旅行は全額経費として認められる?」]
旅費精算でよく発生する課題や問題点
旅費精算は、他の経費精算よりも煩雑になる場合が多く、さまざまな課題があります。ここでは、旅費精算における主な課題について確認していきましょう。
(1)勘定科目が多く経理チェックが遅滞しやすい
旅費精算は勘定科目が多いため、経理のチェックが遅滞しやすい傾向にあります。宿泊費や交通費など、金額の間違いがないか細かく確認する必要があるため、どうしても時間がかかってしまうのです。
旅費は高額なため、手続きの遅れによって払い戻しに日数を要すると、従業員の大きな負担になります。場合によっては、会社への不満に繋がるケースもあるため、ご注意ください。
(2)海外出張時は為替レートの計算が必要になる
海外出張の場合は、滞在中の為替レートを照合し、日本円で精算できるよう計算しておきます。なお、為替レートにはTTS(外貨の買値)・TTM(仲値)・TTB(外貨の売値)の3種類が存在し、それぞれレートが異なります。
実務上、日本円で外貨を両替したときはTTS(外貨の買値)を参考にし、現地での支払いにクレジットカードを利用した場合は、利用明細に記載されているレートを用いるのが一般的です。
(3)経費の計上・請求漏れが起きる
旅費精算は、計上漏れや請求漏れが起きやすい側面があります。確認の必要な項目が多く、さらに高額になる傾向があるため、ミスが発生しやすいのです。
(4)領収書の保管が負担になる
出張中に発生した領収書をすべて保管しておくことは、従業員にとって負担となります。特に長期に渡る出張の場合は、領収書の量が多く管理が大変です。
領収書を紛失してしまった場合でも、クレジットカードの利用明細やレシート、または出金伝票で代用できるケースもあります。ただし、領収書がないと経費の計上漏れが発生しやすいため、領収書管理の徹底を従業員に指示するのが賢明です。
(5)旅費の妥当性を判断するための規定が必要
旅費の妥当性の判断が難しいことも、旅費精算の課題のひとつです。たとえば、出張先で1泊数万円以上する高級ホテルを利用した場合、出張を名目に贅沢をした可能性が疑われます。
このようなケースを防ぐには、宿泊費の上限を設けるなどの規定を定めておくことが重要です。企業によっては出張旅費規程を明確に設定し、出張時の交通手段をあらかじめ決めているケースも見受けられます。
(6)旅費として申請できない費用もあるので注意
申請した科目の中には旅費として申請できない費用もあるのであらかじめ理解しておく必要があります。
- 研修費
- 交際費
- 福利厚生費
上記のような費用が旅費として申請できない可能性のある経費です。
申請する側の従業員としては、経費精算できる経費と思い込んでいるケースもあるので、社内での認識を一致させておきましょう。
▼ビズクロ編集部おすすめの経費精算ツール「ジンジャー経費」▼
旅費精算を効率化してスムーズに精算する方法
旅費精算を効率化できれば、申請者や経理部の負担が減り、ミスも少なくなるでしょう。ここでは、旅費精算を効率化する方法を5つ紹介します。
(1)経費精算システムを導入する
経費精算システムの導入は、旅費精算の大幅な効率化に繋がります。経費精算システムを導入する主なメリットは、以下のとおりです。
- 申請はシステムに入力するため、申請書に転記する手間が省ける
- 交通系ICカードと連携することで、正確なルートや交通料金がわかる
- 申請から承認までスムーズに進められるため、時間のロスが少ない
- 勘定科目の自動仕訳が可能
経費精算システムは、サービス提供会社によって搭載されている機能やプランがさまざまです。自社に必要な機能があるかどうかを確認したうえで、使い勝手の優れたサービスを選んでみるとよいでしょう。
▷中小企業におすすめの経費精算システム14選!選び方や導入の重要性も解説
▷【2022年】おすすめ経費精算アプリ13選比較!【iPhone・Android対応】
(2)法人カードで精算してもらう
法人用のクレジットカードの導入も、旅費精算を効率化する方法のひとつです。法人カードは会社名義で複数枚発行できるため、従業員それぞれに貸与できます。出張中など経費を多く使う場面で法人カードを活用すれば、従業員の負担を軽減できるでしょう。
カードごとに明細を発行できるので、領収書がない場合でも精算手続きを進められます。さらに、経費精算システムと法人カードを連携すれば、計上漏れや請求漏れを予防可能です。
▷経費精算でクレジットカード明細は利用可能?領収書の要否や注意点を解説
(3)領収書保管を電子化する
出張中に必要な経費が多いことから、1回の出張で多くの領収書が発生します。大量の領収書を自分で管理するのは、従業員にとって負担になり、紛失リスクも高まることでしょう。
領収書をスキャナや写真で撮影し、電子化できれば領収書の保管が不要になります。経費精算システムのなかには、領収書やレシートをスマホで撮影するだけで、金額や項目を自動入力できる機能を搭載したサービスもあります。保管の手間を減らす意味でも、領収書の電子化を検討してみるとよいでしょう。
▷経費精算はレシートでも問題ない?領収書との違いや法的見解を簡単に解説
▷スマホで経費精算が便利!無料のおすすめシステム18選と選び方を比較!
(4)エクセルのテンプレートを用意しておく
なるべく費用をかけたくない場合は、社内ルールに従ったエクセルのテンプレートを作成しておきましょう。
テンプレートがあればそのフォーマットに従って、記入するだけでミスなくスムーズな申請ができます。また、不正につながるリスクも少ないのも大きなポイントとしてあげられます。
▷経費精算書の無料エクセルテンプレート4選!書き方や作成のポイント
(5)社内でのルール周知を確実に行う
旅費精算に関してのルールは管理者側だけが知っていたり、限られた人のみが知っていても意味がありません。認識が一致していないことによって、面倒な手間が生じる可能性があるので十分に注意しておきましょう。
従業員・経理担当者それぞれにストレスがたまらないよう、旅費精算の手順や対象経費を定めて社内に周知しておくのが賢明です。
▷経費精算ルールは必須!マニュアルの作成手順や注意すべきポイントを解説
旅費精算に対応した経費精算システム3選
ここからは、旅費精算に活用できる経費精算システムを3つ紹介します。
(1)ジンジャー経費
ジンジャー経費は、会社ごとのルールに基づいた仕訳の自動化や、データ出力が可能な経費精算システムです。スマホアプリにも対応しており、外出先からも手軽に申請が行えます。経費精算のほか、勤怠管理や人事管理、給与計算などのサービスもあり、必要に応じて複数のサービスを組み合わせることも可能です。データを一元管理できるため、効率的な情報管理が期待できるでしょう。
提供元 | jinjer株式会社 |
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初期費用 | 330,000円(税込) ※初回契約時のみ |
料金プラン | 550円(税込)/月/ユーザー 【有料オプション】
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導入企業数 | シリーズ累計:約15,000社 |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
(2)マネーフォワード クラウド経費
マネーフォワード クラウド経費は、大企業から中小企業まで幅広い層が利用している経費精算システムです。スマートフォンやパソコンから申請や承認ができるため、スピーディーな経費精算が期待できます。
提供元 | 株式会社マネーフォワード |
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初期費用 | 無料 |
料金プラン | ・スモールビジネス基本料金 年額プラン:3,278円(税込)/月~ 月額プラン:4,378円(税込)/月~ ※登録可能ユーザー数:最大3名・ビジネス基本料金 年額プラン:5,478円(税込)/月~ 月額プラン:6,578円(税込)/月~ ※6名以上から1名につき550円(税込)/月 |
導入企業数 | 要問い合わせ |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
(3)楽楽精算
楽楽精算は、経費に関連する業務を一元管理できる経費精算システムです。専任のスタッフがサポートについてくれるため、システムの使い方や設定方法がわからない場合でも、安心して利用できます。
交通系ICカードと連携すれば、交通費精算に必要なデータを自動でシステムに取り込むことが可能です。乗り換え案内ソフトも搭載されているため、システム内で経路や運賃を確認し、情報を交通費申請に反映できます。
提供元 | 株式会社ラクス |
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初期費用 | 110,000円(税込) |
料金プラン | 33,000円(税込)/月~ ※利用人数によって変動するため、要問い合わせ |
導入企業数 | 約1万社(2022年8月時点) |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
旅費精算を効率化してミスを減らしましょう
出張時に発生する旅費は高額になることが多く、立て替えをする従業員に大きな負担となります。そのため、できるだけ早く精算する必要がありますが、確認すべき点も多く、ミスが発生しがちです。
旅費精算の手間を減らし、業務の効率化を図るには、経費精算システムの導入がおすすめです。サービス提供会社によって機能やプランが異なるため、導入の際は使い心地や料金プランを確認したうえで、自社に適したサービスを導入していきましょう。
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