LPOとは?SEO・EFOとの違いや対策のポイント、事例を詳しく解説

コンバージョン獲得に必要なマーケティング手法である「LPO」。作成したランディングページ(LP)に成果が出ない場合には、LPOにより訪問者の離脱防止やアクションを促すことができます。本記事では、LPOの概要をはじめ、施策の具体的なステップを詳しく解説します。
目次
LPOとは?
LPOは「Landing Page Optimization」の略であり、日本語では「ランディングページ最適化」と呼ばれており、LPをユーザーのニーズに合わせて最適化し、成果につながる行動(コンバージョン)を増やすためのマーケティング手法です。LPOを効果的に行えば、LPからの商品購入や資料請求といった行動をユーザーから引き出し、ビジネスの成長に直結する成果を得られるでしょう。
LP(ランディングページ)とは?
LPとは、Webマーケティングにおいて重要な役割を果たすページです。LPには広義と狭義の2つの意味があります。以下に、それぞれの意味合いを説明します。
広義のLP
広義のLPは、ユーザーがWebサイトに訪れた際に最初に目にするページ全般を指します。
例えば、検索エンジンから直接アクセスした際のトップページや、SNSの投稿からアクセスした記事のページなども広義ではLPに含まれます。サイト全体の導線設計において重要な役割を果たすものと捉えられるでしょう。
狭義のLP
狭義のLPは、特定の商品やサービスを販売するために、ユーザーへのPRを目的に作られたページを指します。商品やサービスの販促、資料請求の受付、会員登録の促進など、明確な目標達成のために設計されています。
このようなLPには、ユーザーの行動を促すための工夫が凝縮されており、通常のWebページとは異なる構成や、表現が用いられることが一般的です。そしてLPのクオリティは、Webマーケティングの成功に直結しています。
LPOとSEO・EFOの違いとは?
Webマーケティングの世界ではLPO、SEO、EFOという3つの用語をよく耳にしますが、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの違いについて、以下に解説します。
SEOとは?
SEOは「Search Engine Optimization」の略語であり、日本語では「検索エンジン最適化」と呼ばれています。
Googleなどの検索エンジンにおいて、自社のWebサイトが上位に表示されるための施策です。例えば、ユーザーの検索意図に沿ったキーワードの使用や、サイトの読み込み速度の改善、読みやすいコンテンツの洗練などが、SEOの具体的な施策として挙げられます。質の高いSEOは、Webサイトの認知度向上や集客に大きく貢献します。
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EFOとは?
EFOは「Entry Form Optimization」の略語であり、日本語では「エントリーフォーム最適化」と呼ばれています。
Webサイト上の入力フォームを改善して、ユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョン率を向上させるための施策です。EFOの目的はLPOとよく似ていますが、入力フォームの改善のみに焦点を当てていることが大きな違いです。
EFOという概念が生まれた背景は「LPOにおける最大のボトルネックは入力フォームである」と認識されるようになったことが挙げられます。例えば、フォームの入力項目を減らしたり、エラーメッセージをわかりやすくしたりすることで、ユーザーの離脱率を大幅に減らせることが明らかになっています。ユーザーが面倒に感じる作業の負担を軽減するEFOは、LPOを成功させるためにも必要不可欠な考え方です。
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LPOを実施するタイミング
LPOの実施する時期は、以下のようなタイミングが適切です。
- サイトの立ち上げ時や大幅リニューアル後
- 新商品やサービスのプロモーション開始時
- コンバージョン率が低迷している時
- 競合他社との差別化が必要な時
- 季節やトレンドの変化に合わせたい時
これらのタイミングが適切な理由は、新規ユーザーを獲得して競合と差をつけるのに有利な状況であるためです。もちろん、どのタイミングでLPOを行っても成果は出ますが、競合と差別化を図るために絶好のタイミングがあることを理解しておきましょう。
LPO対策のステップ
LPO対策を効果的に進めるには、一定のステップを踏むことが大切です。各段階で何をすべきか、どのような点に注意すべきか、順を追って見ていきましょう。
LPの現状・課題を把握する
LPO対策の第一歩は、対象ページの現状把握です。どのようなユーザーが訪れ、どのような行動を取っているのかを詳しく分析しましょう。
具体的には、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを駆使して、ユーザーの訪問数、クリック率、広告別の直帰率、離脱率などの指標を把握してください。これらのデータを丁寧に見ていくことで、LPの強みや弱点が見えてくるはずです。
例えば「訪問者は多いのに、商品説明まで読み進めるユーザーが少ない」といった課題が浮かび上がるかもしれません。そこから改善すべき点を導き出せるでしょう。
LPO対策の目標を決める
現状把握が済んだ後は、具体的な目標を定めましょう。
最終的な売上目標やコンバージョン率の増加はもちろん、そこに至るまでの中間目標の設定も重要です。例えば「商品説明への遷移率を20%上げる」、「資料請求フォームの完了率を15%改善する」といった具体的な数値目標を、KPI(重要業績評価指標)として立ててください。
目標達成までの道筋を段階的に設定することは、進捗管理を容易にするだけでなく、チーム全体の方向性を定める効果があります。
ターゲットとなるペルソナを決める
LPの目標が定まったら、次はターゲットとなるペルソナ(想定する顧客像)を設定します。
ペルソナ設定のポイントは、想像ではなく実際のデータから逆算することです。例えば、アクセス解析ツールから得られた年齢層や性別、興味関心などの情報を活用し、「30代後半の子育て中の女性で、家事の時短に関心がある人」といった具体的なイメージを作り上げていきましょう。
ペルソナ設定を適切に行うことができれば、より訴求力の高いLPを作成でき、コンバージョン率の向上に大きく寄与します。
LPの課題に対しての仮説を立てる
LPの現状分析とペルソナ設定が済んだら、次は課題を解決するための仮説を立てます。
例えば「ページの読み込みが遅いためにユーザーが離脱している」、「商品のメリットが伝わりにくくせいで購入に至らない」といった具体的な仮説を立てましょう。これらの仮説は、アクセス解析によるデータや競合分析、ユーザーの声などを基に立ててください。
その後、仮説をリストなどにまとめることで、相互に関連する要素や、対策における優先度なども整理できるはずです。
具体的な施策を考え実行する
一通り仮説を立てたら、具体的な改善策を考えて実行に移します。
例えば「ページの読み込み速度を改善するため、画像サイズを最適化する」、「商品のメリットをよりわかりやすく伝えるため、ビフォーアフター画像を追加する」といった具体的な施策を検討しましょう。
ここで重要なのは、設定したペルソナを常に意識することです。ペルソナに響くデザインや文言は何かをよく考えましょう。
また、一度に多くの対策を実施するのではなく、優先順位をつけて段階的にテストすることをおすすめします。そうすることで、どの施策が効果的だったかを明確にチェックできるためです。
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実施した施策の効果検証をする
施策を実行したら、その効果を定量的に検証します。
よく用いられる効果検証方法の一つが「A/Bテスト」です。この手法は、オリジナルのページ(A)と変更を加えたページ(B)を同じ条件で試し、どちらがより良い成果を出すかを比較する方法です。例えば「CTAボタンの色を変えたバージョンと、現行バージョンのクリック率を比較する」というように活用できます。
効果検証では、コンバージョン率だけでなく、滞在時間やページ遷移なども併せてチェックしてください。数字として現れたデータから、ユーザーのニーズを注意深く考えることが大切です。検証結果を基に、次のステップではさらなる改善を行います。
PDCAサイクルを回し改善を繰り返す
LPO対策は一度実行して終わりではありません。PDCAサイクル(計画、実行、評価、改善)を繰り返し、改善を重ねていくことが重要です。目標とするコンバージョン率に達するまで、このサイクルを回し続けます。
例えば「ボタンの色を変更した結果、クリック率が10%上がった」という成果が得られたならば、次は「ページの構成を変更してさらなる改善を目指す」と、さらなる改善を図りましょう。
市場のトレンドやユーザーのニーズは常に変化するため、LPもブラッシュアップを続けていく必要があります。
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LPO対策のポイント・施策の具体例
LPO対策のポイントとして、以下に具体例を紹介します。
ファーストビューを改善しユーザーの興味を惹きつける
ファーストビューとは、ユーザーWebサイト訪問時に最初に目にする部分です。後のコンテンツがどれだけ魅力的でも、ファーストビューでユーザーに離脱されては意味がありません。ユーザーの興味を惹きつけられるよう、ファーストビューは優先して改良しましょう。
ファーストビューの構築ポイントは、ユーザーに「このページには自分が求めるものがある」と予感させることです。商品やサービスのイメージが伝わりやすい画像や、ユーザーにメリットが伝わるキャッチコピーを設置しましょう。
▷ランディングページ(LP)のファーストビュー作成ポイント|適正サイズや成果につなげるコツ
CTAの設置場所やデザインを改善する
CTA(Call To Action)とは、「資料を請求する」「商品を購入する」といった、ユーザーに行動を促すボタンや文言のことです。CTAの効果的な配置やデザインは、コンバージョン率を大きく向上させることができます。
例えば「今すぐ申し込む」というボタンの色を目立つ色にしたり、サイズを大きくしたりすることで、クリック率を改善できる可能性があります。CTAの文言も重要です。「まずは無料で始める」、「30日間お試し」など、ユーザーが行動したいと思えるような言葉を選びましょう。
また、ユーザーがCTAボタンを押す機会を逃さないよう、CTAはページ内の複数箇所に配置することもポイントです。
▷ランディングページ(LP)のボタンデザインについて|デザインや色・改善のポイント
コンテンツの配置換え・追加をする
コンテンツの配置換え・追加など、LPの構成を見直すことで、コンバージョン率が改善するケースがあります。
LPは基本的に、ファーストビュー、ボディ、クロージングの3つの要素で構成されます。それぞれの箇所にどのようなコンテンツを配置すればよいかを見直し、必要に応じて新しいコンテンツで内容を補強するとよいでしょう。例えば、専門家の推薦文や顧客の声を追加すると、商品やサービスの信頼性が高まります。
▷ランディングページ(LP)のワイヤーフレームの作り方|作成手順やテンプレート
ページの表示速度を改善する
ページの表示速度は、ユーザー体験に大きな影響を与えます。
表示の遅いページはユーザーにとってストレスとなり離脱につながるため、速度の改善は重要なLPO対策の一つです。具体的な策としては、画像のサイズ最適化、不要なスクリプトの削除、キャッシュの活用などが効果的でしょう。
また、外部リンクを減らすことも重要です。外部サイトへのリンクが多いと、ページの読み込みが遅くなるだけでなく、途中でユーザーが離脱するきっかけにもなりかねません。必要最小限のリンク数に抑えることは、ページ速度の向上とユーザーの滞在時間増加を同時に実現できます。
モバイルフレンドリーに対応させる
モバイルフレンドリー化とは、小さなスマホ画面でも見やすく、操作しやすいデザインにページを整えることです。近年はスマホからのWebサイト閲覧が一般化しているため、LPのモバイルフレンドリー化は必須事項と言えます。
例えば、テキストのサイズを適切に設定する、ボタンを指で押しやすい大きさに整える、横スクロールが必要ないレイアウトにする、などが有効です。また、モバイル機器専用のコンテンツを別途用意することでも、ユーザーの利便性は大きく向上します。
LPOによる改善事例
LPOを通じて大きな成果を上げた企業事例を、以下に紹介します。各企業の具体的なアプローチと改善結果を通じて、LPOの効能をより深く理解しましょう。
株式会社オーネット
日本国内で結婚相談サービスを提供する株式会社オーネットは、LPOを通じて広告効果の顕著な向上を実現しました。
従来は何となく行っていたLP設計を専門家の力で改修したところ、各要素の効果を定量的に把握できるように。仮説検証とデータ分析を繰り返すプロセスを通じて、「顧客目線のコンテンツを作る」という認識が醸成され、LP以外にも広告全般の精度が向上しました。
[出典:株式会社Kaizen Platform「広告効果の改善だけでなく、再現性のある知見を得られたことが大きな資産となったLPOプロジェクトの裏側」]
エイベックス通信放送株式会社
デジタルエンターテインメントの提供を行うエイベックス通信放送株式会社は、LPOへ取り組み、コンバージョン率124%増という成果を挙げました。
同社は、動画配信サービス『dTV』の新規会員獲得のため、約5ヶ月間にわたるLPOを行い、「デザインの勝ち抜き戦方式」で最適なLPデザインを創出しました。結果として、LPのコンバージョンは124.4%まで向上し、新規会員獲得に大きな成果をもたらしました。この事例では、ファーストビューやセカンドビューの配置変更が効果を上げた要因となっています。
[出典:株式会社Kaizen Platform「4回の検証実施で効果の高いデザインを創出。最終的にCVR124%増を実現したLP改善の裏側」]
株式会社レアジョブ
オンラインの英会話サービスを提供する株式会社レアジョブは、LPOとしてABテストとペルソナ分析を活用し、会員獲得率の向上に成功しました。
この成果には、トップページのデザイン変更が大きく寄与しており、とりわけ料金表示をトップページに載せる施策が大きな効果につながりました。最近はセグメント分析とペルソナ設計に力を入れており、より細かい差異を抽出するためのABテストに注力しながら、ユーザー属性に合ったアプローチを続けています。
[出典:DLPO株式会社「ABテストとペルソナ分析で会員獲得率を改善!〜レアジョブのABテスト事例〜」]
auフィナンシャルサービス株式会社
金融サービスを提供するauフィナンシャルサービス株式会社は、LPOを通じてクレジットカードのLPにおけるコンバージョン率を119%改善しました。
この事例では、コンバージョンボタンの色や形、テキスト、メインビジュアルなどのABテストと多変量テストを実施しつつ、利用店舗のロゴを入れることでコンバージョン率向上を実現しました。また、LPOの詳細なレポートと効果的なテスト計画を通じて、社内での費用対効果の判断がよりスピーディになったと報告されています。
[出典:DLPO株式会社「ボタン、メインビジュアル、利用イメージの多変量解析でCVR119%改善!〜auフィナンシャルサービスのABテスト事例〜」]
LPOを実施し多くのコンバージョンを獲得しよう
LPOは、Webサイトへの訪問者を顧客に転換するための効果的な手段です。LPの効果を高めるためには、適切なタイミングでの施策実施、目的に合わせたページ設計、そしてデータに基づいた継続的な改善などが必要となるでしょう。各ステップを丁寧に実行し、ユーザー体験を向上させることでLPの成果を最大限に引き出してください。
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