ファイルサーバーのセキュリティ対策|リスクや対策方法

最終更新日時:2024/03/31

オンラインストレージ

ファイルサーバーのセキュリティ

データの管理や共有などで利便性が高いファイルサーバー。しかし、ファイルサーバーにも様々なリスクが存在するため、万全のセキュリティ対策が不可欠です。そこで本記事では、ファイルサーバーに必要なセキュリティ対策について、リスクや方法などを解説します。

ファイルサーバーにセキュリティ対策が必要な理由

情報処理推進機構(IPA)が発表した「情報セキュリティ10大脅威 2023」によると、組織における最大の脅威は「ランサムウェアによる被害」という結果になりました。

ランサムウェアとは、第三者がコンピュータやファイルを利用できない状態にし、もとに戻すことと引き換えに被害者へ金銭(=身代金)を要求するマルウェアのことです。

また、2位は「サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃」3位は「標的型攻撃による機密情報の窃取」といった具合に、情報セキュリティには様々な脅威・リスクが潜んでいます。攻撃の対象となれば、データの流出・破壊・改ざんなどの被害を受けかねません。

このような被害を避けるためには、セキュリティ対策の見直しや対策を行っていくことが必要です。

出典:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「情報セキュリティ10大脅威 2023 | 情報セキュリティ

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ファイルサーバーでセキュリティ対策をしない場合のリスク

ファイルサーバーでセキュリティ対策をしない場合のリスクには、以下の3つが挙げられます。

  • ウイルス感染によるデータ流出
  • サイバー攻撃によるデータ破壊
  • 不正アクセスによるデータ改ざん

ウイルス感染によるデータ流出

ファイルサーバーまたはファイルサーバーに接続している端末がウイルスに感染すると、データが流出するリスクがあります。個人情報・顧客情報・事業戦略などのデータが流出すると、会社の信用を失うだけでなく、顧客や取引先にまで迷惑がかかります。

流出したデータは悪用される可能性もあるため、直接的な被害や二次被害も踏まえてファイルサーバーや利用端末のウイルス対策を行うことが大切です。

サイバー攻撃によるデータ破壊

ファイルサーバーでは、サイバー攻撃によるデータの破壊が起こるリスクがあります。データが破壊されると、データを確認したり変更したりすることができません。

また、データを暗号化したりロックをかけたりしたうえで、もとに戻すことと引き換えに金銭を要求するランサムウェア感染のリスクも考えられます。金銭を支払った場合でも、すべてのデータがもとに戻る保証はありません。

さらに、ファイルサーバーだけでなく、ファイルサーバーに接続している端末にもサイバー攻撃を仕掛けられる可能性があります。そのため、ファイルサーバー以外の場所に保管しているデータや情報が破壊されることも考えられるでしょう。

不正アクセスによるデータ改ざん

第三者や社内からの不正アクセスによって、ファイルサーバー内のデータが改ざんされるリスクもあります。改ざんに気づかないままデータを使用してしまうと、会社の信用を損失するような問題が起こりかねません。

また、ファイルサーバーだけでなく会社で運用しているWebサイトやSNSも、データ改ざん・アカウントの乗っ取りといった被害を受ける可能性があります。ログインしている端末やユーザーの管理、変更記録の確認などの対策を行うことが大切です。

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ファイルサーバーの情報漏えいが引き起こす企業へのリスク

ファイルサーバーの情報漏えいが引き起こす企業へのリスクには、以下の3つが考えられます。

  • 企業の社会的信用の失墜
  • 多額の損害賠償の請求
  • 行政からの指導や罰則

企業の社会的信用の失墜

ファイルサーバーには社内の個人情報に加え、顧客や取引先のデータも含まれます。ファイルサーバーの情報が流出すると、データが悪用される可能性もあります。その結果、「信用していたから情報を提供したのに」と、社会的信用を失いかねません。

また、情報漏えいが起こることで「セキュリティ対策を十分に行っていない会社」というレッテルも貼られてしまうでしょう。

一度失った社会的信用を取り戻すのは、困難で時間もかかります。ただし、情報漏えいは事前の対策によってある程度回避・防止できるリスクです。そのため、あらゆるリスクを想定したセキュリティ対策が求められます。

多額の損害賠償の請求

情報漏えいが起こると、流出したデータに関わる顧客などから損害賠償を求められることがあります。そもそも損害賠償金は、情報漏えいが起こらなければ支払う必要のないコストです。情報漏えいが起これば業績への影響は避けられません。そのような状況で損害賠償の請求までされてしまえば、会社の状況はますます苦しくなるでしょう。

情報漏えいは会社の存続にも影響するため、コストをかけてでも万全なセキュリティ対策を行うことが大切です。

行政からの指導や罰則

情報漏えいが起こると、行政から指導が入ったり罰則が科せられたりする可能性があります。具体的な措置としては、「業務停止」「免許はく奪」「刑事責任」「損害賠償責任」などが挙げられます。

また、行政からの指導や罰則を受けると、顧客や取引先だけでなく、世間からも「行政指導を受けた会社」という目で見られてしまうこともあるでしょう。一度そういうことが起こると、イメージを回復するには長い時間がかかります。

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ファイルサーバーで行うべき7つのセキュリティ対策

ファイルサーバーで行うべきセキュリティ対策を7つ紹介します。

1.ユーザーIDとパスワードの付与

初歩的なセキュリティ対策のひとつとして、ファイルサーバーにアクセスする際のユーザーIDとパスワードの付与があります。ユーザーIDとパスワードを付与することで、ファイルサーバーにアクセスできるユーザーの制限が可能です。

ただし、会社でひとつのID・パスワードを設定しただけでは、十分ではありません。利用者ごとのユーザーIDとパスワードを設定することが大切です。それにより、ユーザー単位で閲覧・編集権限を制限できます。

しかし、ユーザーIDやパスワードが第三者に知られることによるデータの流出・破壊・改ざんなどのリスクは残るため、ユーザーIDとパスワードの設定内容や管理環境に注意が必要です。

2.ファイルへのアクセス権限の設定

ファイルサーバーでは、ユーザーごとに与える権限を変更できます。たとえば、全ユーザーが閲覧できるデータでも、編集できるのは一部のユーザーのみといった権限設定が可能です。閲覧自体を一部のユーザーに制限することもできます。

アクセス権限の設定は、機密性の高い情報に効果的なセキュリティ対策といえるでしょう

ただし、様々な権限を持ったユーザーのID・パスワードや、利用端末が第三者に渡ってしまった際は、不正アクセスなどのリスクがあるので注意が必要です。

3.アクセスログを使った行動の監視

ファイルサーバーの利用状況を記録するアクセスログを監視することで、セキュリティ強化が期待できます。アクセスログでは、ユーザーIDを活用して「いつ」「どこで」「誰が」「どのような行動をとったのか」などを詳細に記録できます。

たとえば、ファイルが編集された際にアクセスログを確認し、誰がどのような編集を行ったのか把握することが可能です。編集が不正に行われたものであれば、編集前のバージョンを復元することもできます。

ログイン通知を受け取れるように設定しておけば、ユーザーがファイルサーバーにログインしたことをリアルタイムで把握できるため、不正アクセスにも迅速な対応ができるでしょう。

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4.データ持ち出しの制御

自宅などで個人のパソコンを利用して仕事をするケースもあるかもしれません。しかし、個人のパソコンはセキュリティ対策が万全とは言い切れないため、会社のデータを持ち出すことは危険です。また、カフェなどの無料Wi-Fiを経由したファイルサーバーへのアクセスは、セキュリティリスクを伴います。

個人のパソコンがウイルス感染していたり、不特定多数の人が接続できるWi-Fiを経由して、不正アクセスされるという問題が起こりかねません。また、パソコンの盗難や紛失などのリスクも考えられます。

そのため、データ持ち出しを制御するなど、運用ルールを設けることが大切です。テレワークなど、社外で業務を行うケースもあるため、自社に最適な運用ルールを検討しましょう。

5.セキュリティ対策ソフトの導入

セキュリティ対策に特化したソフトの導入もセキュリティを強化する上で効果的です。セキュリティ対策ソフトの具体的な機能としては、以下が挙げられます。

  • 不正アクセスの防止・ブロック
  • 迷惑メールの除去
  • ウイルスの感染防止・駆除
  • アクセス権限の制限
  • ファイルの暗号化

たとえば、パソコンと外部とのネットワークを制御し、日常的に使用していないところからの接続などを検知・遮断することで、不正アクセスを防ぐといった機能があります。

ただし、ソフトの種類によって搭載されている機能や利用料金は異なるため、自社に必要な機能や割けるコストなどを見極め、最適なソフトを選定・導入することが大切です。

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6.ウィルス対策ソフトの導入

ウイルス対策に特化したソフトも提供されていて、ウイルスの感染防止・検知・駆除などを自動的に行ってくれます。ソフトの種類によっては端末での操作を監視し、危険なWebサイトを検知・警告するといった機能も搭載されています。

ウイルス感染は、「データを誤送信した」などの業務上のミスによるものではありません。専門的な知識を持たないまま感染に注意し続けるのは限度があるので、ウイルス対策ソフトの導入を検討しましょう。

7.従業員のセキュリティ意識の強化

従業員がセキュリティの必要性を意識することも、セキュリティ強化につながります。データの誤送信や端末の紛失など、ファイルサーバーの利用に潜むセキュリティリスクは外部からの被害ばかりではありません。そのため、従業員の意識を変えることが、セキュリティ対策として効果的です。

具体的には、ファイルサーバーの運用ルールを全社的に共有したり、セキュリティ意識に関する研修やセミナーを開催するなどが挙げられます。

オンラインストレージの危険性・安全性とは?セキュリティリスクを解説

ファイルサーバーを運用する際はセキュリティ対策は不可欠

ファイルサーバーの利用には、様々な脅威やリスクが潜んでいます。被害を受けると、データの流出・破壊・改ざんなどが起こりかねません。

ファイルサーバーで起こりうるリスクを事前に回避するには、セキュリティ対策を行うことが必須です。今回紹介した方法などを参考にして、万全なセキュリティ対策を行いましょう。

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