マネジメントに役立つおすすめの資格8選|求められるスキルも紹介!
企業で経営や人事、プロジェクトなど組織を管理する立場にある人は、マネジメントに関する能力が求められます。マネジメントする立場に就き、必要な能力を把握して高めたいと考えている方も多いのではないでしょうか。今回は、マネジメントに役立つおすすめの国家資格4つと民間資格4つを厳選して紹介。マネジメントに求められるスキルや資格取得のメリット・デメリットを解説します。
目次
マネジメントに役立つおすすめの国家資格4選
企業で組織を管理する立場・役職の人にとって、マネジメント業務に役立つおすすめの国家資格は、以下のとおりです。
- 社会保険労務士
- 中小企業診断士
- 公認会計士
- 情報処理技術者〈プロジェクトマネージャー試験(PM)〉
それぞれ詳しく解説します。
1.社会保険労務士
社会保険労務士は、社会保険労務士法に基づいた、人事・労務管理を専門とする唯一の国家資格です。
取得により、人事に関する相談や指導といったコンサルティング業務をおこなえるため、特に企業の経営陣に近い部署や、人事に関する部署に所属する方におすすめです。労務関連の手続きは複雑で難解ですが、資格によりその知識を保有していることを証明できるため、社内から頼れる存在として一目置かれるでしょう。
また、部下をマネジメントする役職に就いた方にも、社会保険労務士資格の勉強をすることは人事・労務関連の知識を得る機会として有用です。
資格取得には雇用契約や労働環境、社会保険などに直結する法律を幅広く身につける必要があります。令和4年に実施された試験では、合格率が5.3%と非常に高い難易度の資格です。
資格ではなく知識のみを必要としている場合には、受験用のテキストに目を通したり、オンライン講座を利用したりして学習を進めるとよいでしょう。
[出典:厚生労働省「第54回社会保険労務士試験の合格者発表」]
2.中小企業診断士
中小企業における経営課題などの解決に向けた診断・アドバイスをおこなう専門家・コンサルタントの知識を証明するのが、中小企業診断士という資格です。
取得すると経営全体を幅広く診断し、解決策を立案できる能力が身につくため、経営者を支えるマネジメントスキルを身に付けたい方におすすめです。
中小企業診断士には、中小企業支援法に基づいてアドバイスを提供するスペシャリストとして、財務、会計、運営、法務、人事など多岐にわたる専門知識が求められます。
合格率については、令和4年度の第2次試験の試験合格率が18.7%となっており、高難易度。資格取得には予備校などを利用する方がほとんどです。
[出典:中小企業診断協会「中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移」]
3.公認会計士
企業の「監査」「会計」を専門分野とする国家資格「公認会計士」は、企業の経営成績や財政状態を表す「財務諸表」の監査を主業務としています。資格取得に取り組む際に、財務諸表を事細かにチェックするための知見を深められるので、経営データの動きや将来予測に関する能力が高まります。
こうした能力は、営業力や経営管理スキル、そしてマネジメントスキルの向上に役立つのみならず、将来的なキャリアアップや独立開業も視野に入れられるでしょう。
令和3年度の合格率は7.7%となっており、試験科目数は計5科目(短答式試験は4科目、論文式試験は4科目中から1科目選択)もあります。かなり幅広い範囲の学習が求められるため、計画的に学習を進めることが大切です。
[出典:金融庁「令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について」]
4.情報処理技術者〈プロジェクトマネージャー試験(PM)〉
情報処理技術者は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する、ITに関する13種類の国家資格の一群です。試験難易度がレベル1から4まであり、プロジェクトマネージャー試験(PM)はそのうち、マネジメントに関する高度な知識を得られる、レベル4の資格を指します。
プロジェクトマネージャー試験の取得を通じて、予算・品質・スケジュール・人員等の管理に関する知識を学べます。学習分野はプロジェクトマネジメント分野の他、テクノロジー、システム戦略や経営戦略とかなり幅広く、合格率15%と難易度も高い資格ですが、体系的にITに関連するプロジェクトマネジメントを身につけるのに適した試験です。
プロジェクトマネージャー試験に合格すると、中小企業診断士試験や弁理士試験などほかの国家試験取得の際に一部試験免除が適用されます。多くの資格取得を検討している管理者の方は、早めにチャレンジしておくと、より効率的に資格取得が進むでしょう。
▷マネジメントに向いている人とは?スキルがある人の特徴やスキルを身につけるコツ
マネジメントに役立つおすすめの民間資格4選
マネジメントに役立つおすすめの民間資格は、以下のとおりです。
- ケアストレスカウンセラー
- 財務報告実務検定
- マーケティング・ビジネス実務検定
- プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(PJM-A)
それぞれ詳しく解説します。
1.ケアストレスカウンセラー
ケアストレスカウンセラーは、一般財団法人 職業技能振興会が運営する資格です。
取得をとおしてメンタルヘルスや精神疾患に関する基礎知識、自身と身近な人へのストレスマネジメントの知識が得られます。職場の同僚や家族など身近な人へのケア能力があげられるので、職場のメンタルヘルスの管理や、ストレスによるパフォーマンス低下の予防などに役立つ資格です。
難易度もそれほど高くないため、マネジメントにおいてメンタルヘルスの管理に力を入れたい方におすすめです。
2.財務報告実務検定
財務報告実務検定は、上場企業のディスクロージャー(情報開示)に関する実務能力を評価する民間資格です。試験内容は連結実務演習と開示様式理解の二部構成で、連結業務、開示業務、XBRL業務などの専門知識が問われます。
財務報告に必要な簿記の知識を体系的・網羅的に習得でき、その実務能力の客観的な証明にもなります。マネジメントの学習において、経営に関する知識をつける資格の一つとして候補にあげられる資格です。
3.マーケティング・ビジネス実務検定
マーケティング・ビジネス実務検定は、マーケティングの基礎知識からプロモーション戦略、マーケティング関連法規など幅広い知識が身につく民間資格です。A級、B級、C級の3種類があります。
C級は、マーケティング入門者レベルといわれており、定型業務に取り組める知識を証明できます。B級は実際の業務運営に携われる応用レベル、A級が戦略立案や判断ができる管理者レベルの内容です。
受験資格もなく、合格率は非公開ですがC級およびB級はそう難しくないといわれています。段階的に取得することで最終的にマネジメントまでの体系的な知識が得られる仕組みとなっており、人材育成に活用できる資格といえるでしょう。
4.プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(PJM-A)
一般社団法人 日本PMO協会が資格認定をしており、オンラインで資格取得できるのが、プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(PJM-A)です。
プロジェクトマネジメントの全体像の把握と基礎技術の習得と、ビジネスに必要な想像力・計画力・実行力といった基礎力を形成することを目標としています。
e-ラーニングコンテンツの提供から試験までを一貫して日本PMO協会で取り扱っており、指定教材での学習を終了すると受験資格が得られます。資格取得を目的としない場合は、e-ラーニングのみの利用も可能です。
マネジメントに携わる業務に初めてついた方におすすめできる資格です。
▷マネジメントとは?意味や目的・必要なスキルを簡単に解説
マネジメントに関する資格を取得するメリット
マネジメントの資格を取得する2つのメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
マネジメントに必要な実践的なスキル・知識が身に付く
マネジメントに必要なスキルや知識は、直接的に用いるものの他、メンタルヘルスや労務などの付随的な内容まで多岐にわたります。なかには自身にとって実務経験のない分野についても、広く把握する必要があるのです。
資格の取得はその分野について体系的に勉強するのに適しています。実務経験のない分野の知識を補ったり、経験があってもその分野の知識を高められたりする点において資格取得はメリットがあるでしょう。
ビジネスパーソンとしてのスキル・能力の向上
マネジメントにまつわる知識やスキルには、ポータブルスキルとなるものが多くあります。ポータブルスキルとは、どんな分野の仕事においても役に立つ汎用的なスキルを指す言葉です。ポータブルスキルは大きく「仕事のし方」「人との関わり方」に分けられ、9要素に細分化されています。
仕事のし方 | 現状の把握 |
課題の設定 | |
計画の立案 | |
課題の遂行 | |
状況への対応 | |
人との関わり方 | 社内対応 |
社外対応 | |
上司対応 | |
部下マネジメント |
マネジメントの資格を取得することにより、業務上関われる物事が広がり、これらポータブルスキルを身につけるきっかけができるので、ビジネスパーソンとしてのスキルや能力を高められるでしょう。
それにより、どんな場面でも対応できるという仕事への自信に結びつき、その後のキャリア形成にも有利に働くことが見込めます。
▷マネジメントの種類一覧|必要なスキルや役割・ポイントを解説!
マネジメントに求められるスキル
マネジメントをおこなううえで求められる、主な5つのスキルについて解説します。
コミュニケーション能力
あらゆるマネジメント職にとって、コミュニケーション能力は必要なスキルです。ここでのコミュニケーション能力は、単に身近な人や部下との交流を図ることではありません。部下や同僚、取引先など関係者の意見や現状を踏まえたうえで、適切な会話や接し方ができること指します。
チームで円滑に業務やプロジェクトを進めていくには、社内外のさまざまな相手と適切なコミュニケーションを取ることが必要不可欠です。
マネジメントの担当者がコミュニケーション能力を高めるには、相手の特徴、たとえば仕事の取り組み方やスキル、性格や価値観について理解しておくと良いでしょう。
課題解決力
マネジメント職は、プロジェクトや経営・人事などの担当業務の目標を設定し、期限までに目標を達成できるよう業務を運営・管理していくことが仕事です。
目標の達成のために、現状の状況から課題をあぶりだして解決に導く課題解決力を身に付ける必要があります。この力には、課題を発見する力・論理的に分析して課題の本質をつかむ力も含まれます。
課題解決力を高めるには、日常業務から常に課題のあぶり出しやその解決策を講じる訓練をおこなう方法や、研修や講座の利用が有効です。
チームをまとめあげるリーダーシップ
リーダーシップとは指導力・統率力とも訳される、チームを導く力のことです。目標達成に向けてチームを管理・統率する役割のあるマネジメント職には、チームメンバーを指導し、まとめあげるリーダーシップも求められます。
プロジェクトや業務において予期せぬ問題が発生した際に、マネジメント職が適切な判断を下せなければ、チーム全体が機能しません。このような状況下に陥るとメンバーに不安や不信を与えてしまい、モチベーションの低下をもたらすでしょう。
マネジメント職の高いリーダーシップはメンバーの意識を前向きに統率します。
経営に必要な知識
経営に関する知識は、先人の経験が蓄積されたものです。経営にまつわる業務をマネジメントするときにのみ必要なわけではありません。
日々のプロジェクトや業務で意思決定をする場面は多くありますが、経営に関する知識を学ぶことは、管理を行い、判断を下す際の指標やヒントとなるのです。
幅広い知識を学ぶほど判断する選択の幅も広がるため、経営に関する知識も絶えず身につけることが大切です。
スケジュールを管理する能力
マネジメントには、目標と現状を照らし合わせ、目標に到達するために予定や工数を調整するスケジュール管理能力が求められます。
たとえば、チームでプロジェクトを進める場合は、予算が限られていたり、納期がある場合が多くあります。成果物完成までにどのくらいの時間や工数を必要とするか考慮したうえでスケジュール管理をおこなわなければなりません。
スケジュール管理能力を高めるには、タスクの優先順位を判断しておく、タスクにはバッファーを持たせるなどコツを身につけるとよいでしょう。
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マネジメントの資格を取得する際の注意点
マネジメントの資格を取得する際には、意識するべき注意点があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
取得する資格が業務に活かせるか
ひとくちに「マネジメントの資格」といっても、マネジメントする業務の分野はさまざまです。紹介した資格の中にも分野によっては必要のないものも含まれています。
マネジメントの資格を取得するまえに、その資格が現在および将来の業務にどの程度活かせるかを考えることが重要です。業務と直接関連しない資格を取得した場合、時間と費用が無駄になる可能性があります。
まず、現在の職務内容やキャリアプランに照らし合わせて、取得しようとしている資格が必要か、あるいは有益であるかを確認しましょう。
具体的な目標を設定し、達成に役立つ資格試験を受験することが大切です。
資格の取得にかかる期間や難易度を理解しておく
マネジメント資格の取得に向けては、必要な期間や難易度を理解することが重要です。また、前提条件となる知識や経験も資格により異なります。そのため、自身のスキルセットと目指す資格がマッチしていることを確認しましょう。
どのくらいの期間勉強する必要があるのか、ハードルは高いのか、経験や受験資格を満たしているのか、これらの状況を総合的に考慮して資格を取得するべきか否か判断する必要があるでしょう。
資格取得に取り組む際には、かかる時間や難易度を考慮したうえで、受験スケジュールを踏まえた学習計画を作成することが、効率的な資格取得につながります。
資格取得を通してマネジメント能力を高めよう
本記事では、マネジメントに役立つ国家資格と民間資格、合わせて8種類と、マネジメントに必要なスキルを紹介しました。これらの資格取得に取り組むことで、個々のスキルとマネジメント能力を高める一助となるでしょう。
また、マネジメントの資格取得はビジネスパーソンとしてのポータブルスキルの向上にもつながり、自身の将来の可能性を広げる力となります。
それぞれの資格をよく調べて必要性や自分に適切かを見極め、今の自分の段階に合った資格取得に取り組むことがスキルアップへの近道です。
ぜひ業務の円滑な遂行や、自分の成長のためにも資格取得に取り組んではいかがでしょうか。
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