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トップマネジメントとは?ISOでの定義や役割・必要なスキルを紹介

2023/11/29 2023/11/29

組織・マネジメント

トップマネジメントとは

組織の維持や成長には、経営者の判断が大きく影響を与えるため、正確で具体的なトップマネジメントが重要です。当記事では、トップマネジメントとは何か、ISOでの定義から役割や必要スキルまで紹介します。正しい判断を下すために理解を深めておきましょう。

この記事の要約

・トップマネジメントとは、企業の上層部に位置する人が経営の方針や計画などを管理すること
・ISOによってトップマネジメントは独自に定義されている
・トップマネジメントによって企業の成長・発展に大きく影響する

トップマネジメントとは?ISOにおける定義

トップマネジメントとは、企業・組織のトップや上層部に位置する人が、経営・管理をすることです。企業の上層部そのものを指す言葉でもあります。

ISO(国際標準化機構)では、トップマネジメントを「意思決定権限があり、最高位で組織の指揮・管理をする個人やグループ」と定義しています。ISOの定義に当てはまる個人・グループならばすべてトップマネジメントといえますが、企業によってどの範囲の役職を示すのかは差があるでしょう。

たとえば、社長と取締役までをトップマネジメントと考える場合もあれば、監査役などを含む重役までを範囲とすることもあります。中小企業では、代表取締役のみを示す場合も考えられます。

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マネジメントの基本構造

トップマネジメントは、企業・組織のトップや上層部に位置する人が経営・管理をすることですが、実際のマネジメントは以下3つの構造に分かれて行われます。

  • トップマネジメント層
  • ミドルマネジメント層
  • ロワーマネジメント層

各層で役割分担を行い、マネジメントを遂行するのが一般的です。ここからは、各層の具体的な役割や役職について紹介します。

トップマネジメント層

トップマネジメント層とは、企業の経営層を指します。経営層の代表例は社長で、具体的な範囲は各企業によって異なりますが、株式会社であれば取締役までを経営層と考えるのが一般的です。

トップマネジメント層には、経営戦略や企業の方向性を決定する役割があります。企業の長期的な成功と持続的な成長・発展に必要なものは何か、何をすべきかといった重要な意思決定を行います。

ミドルマネジメント層

ミドルマネジメント層とは、トップマネジメント層の下位に位置する中間管理職のことです。具体的には、部長や課長などの役職がミドルマネジメント層に該当します。

ミドルマネジメント層は、トップマネジメントの決定事項を所属の部下に伝えたり、経営計画を具体的な業務に反映させて各部署に割り振ったりする重要な役割を担います。チームの運営管理や部下への指導・育成も業務の一つです。

また、経営者視点と現場視点の両方を持ちながら適切な指示を出し、経営層と現場をつなぐパイプ役でもあります。

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ロワーマネジメント層

ロワーマネジメント層とは、ミドルマネジメント層の下位に位置する層で、現場の管理監督者にあたります。具体的な役職は、係長や現場監督、主任、チーフなどです。

ミドルマネジメント層からの指示を現場の従業員に割り振り、部下の監督や業務のスケジューリング、進行管理を行います。上層部からの指示を具体的な活動に落とし込むのが主な役割で、基本的に経営方針や経営計画の決定などには関わりません。

トップマネジメントのタイプごとの特徴

トップマネジメントには、複数のマネジメントタイプがあります。ここからは、よく使われている4つのタイプを紹介します。

オーナースタイル

オーナースタイルとは、トップダウン方式の経営スタイルのことで、経営者や経営陣といった経営のトップが企業の方針を決定し、経営の全般を仕切ります。そのため、トップの判断が直接的に経営に反映されるのが特徴です。

経営者や経営陣がビジネス全体を一貫して見据え、ビジョン実現に向けた戦略策定や意思決定を行うため、組織全体の方向性を示しやすい傾向があります。一方で、独裁的な経営になるリスクもある点に注意が必要です。社員の意見や動向を無視して離職率が上昇したり、新たなアイデアが生まれにくくなったりする側面もあります。

協議・合議スタイル

協議・合議スタイルとは、経営上の重要な決定をする際に、全員または多数の意見や視点を参考にする方法を指します。さまざまな視点からの意見を取り入れられるため、偏りの少ない優れた決定をしやすいのが特徴です。

一方で、決定までに時間がかかる欠点もあります。特に、緊急性を要する問題や確定的な解決策が求められる場合などには、一人のリーダーが素早く的確な決断を下すほうが効率的なこともあるでしょう。

民主スタイル

民主スタイルとは、トップマネジメントがすべての方針を一方的に決めるのではなく、従業員やチームメンバーの意見やアイデアを取り入れながら重要事項を決定していく方法です。主に、事業規模の小さい企業で採用されています。

従業員のモチベーションが上がったり、多角的な視点からの議論ができたりするため、質の高い意思決定が期待できるでしょう。ただし、すべての意見を取り入れようとすると決定までに時間を要したり、一貫した方向性を欠く可能性もあるため、適切なバランスが求められます。

説得スタイル

説得スタイルとは、管理職の判断や決定事項について根拠を述べ、理解を促しながらマネジメントをする方法です。どのような理由や考えで意思決定が行われているかを説明し、部下を納得させながら進めます。内容を包み隠さず共有することで、信頼性を高められるでしょう。

説得スタイルはコミュニケーションをとりながら進める方法のため、オーナースタイルよりも受け入れられやすい傾向があります。しかし、管理職の判断や意思決定が最適だと伝えることは、部下の決定や判断を受け入れないとも言い換えられます。

そのため、管理職と部下の方向性が違ったり、信頼関係が築かれていなかったりすると反発され、マネジメントがうまく進まない場合もあるでしょう。

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トップマネジメントの役割

現代経営学やマネジメントの発明者として有名なピーター・ドラッガーは、トップマネジメントにはさまざまな役割があると述べています。ここからは、トップマネジメントの主な役割を7つ紹介します。

方針や目標を設定する

トップマネジメントには、企業の長期的成功に向けて方針や目標を設定し、組織全体の方向性を示す役割があります。

大半の企業には、自社と似た事業を営んでいる競合他社が存在するでしょう。トップマネジメントは市場の動向や競合他社の戦略を分析し、差別化ポイントやポジショニングなどを明らかにしたうえで、方針や目標を設定します。

方針や目標が決まることで、組織の各部門や社員はベクトルを合わせて業務に取り組めるでしょう。

将来像を考え戦略を練る

将来像を考えて戦略を練るのも、トップマネジメントの役割です。企業が長期にわたり競争力を維持し続けるには、現状や将来的な変化を予測しながら適切な戦略を策定することが不可欠です。

トップマネジメントは、市場の動向や競合他社の状況を見ながら参入すべき市場と廃止すべき事業を検討したり、資金配分や人員配置を見直したりします。必要に応じて目標の見直しを行い、戦略を練り直すこともあります。

組織の状況を共有する

トップマネジメントの役割の一つに、組織の状況を共有することがあげられます。たとえば、財務データや市場動向などをもとに業績を客観的に評価し、経営報告書を通じて株主をはじめとしたステークホルダーに状況を報告します。ステークホルダーと信頼を築くためにも、透明性を持って財務状況や将来の展望といった組織の状況を共有することは重要です。

トップマネジメントが情報共有を定期的に行うことで、ステークホルダーは現状を理解し、企業を支持しやすくなります。

組織の環境を開発・維持する

組織環境の開発・維持とは、主に企業文化の確立と浸透を指します。企業文化は、社員の行動や意思決定の基盤となるものです。チームワークの強化や生産向上のためにも、企業文化の浸透は重要と考えられます。

トップマネジメントは、組織目標や経営理念を周知したり、ビジョンに基づいた行動指針を示したりすることで、企業文化を確立することが重要です。従業員一人ひとりが企業文化を理解し、組織目標に向かって行動できるように導く責任があります。

また、確立のみならず、状態を維持することもトップマネジメントの役割の一つといえます。

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リスクを把握し対応する

トップマネジメントには、企業を取り巻くリスクを正確に捉え、適切な対策を講じる重要な役割があります。法改正や技術革新といった外的変更に加え、組織の人材流動や事業体制の変更、情報セキュリティといった内部リスクを把握し、常に意識する必要があります。このようなリスクについて事前に対処したり、現実化したときに迅速に対応できるプランを策定することが重要です。

また、企業が重大な危機に直面した際に先頭に立ち、対応するのもトップマネジメントの役割です。たとえば、情報漏えいなどの大きな問題が発生した際には、相手方への謝罪や対応の検討、メディアへの報告、原因の特定や再発防止対策の検討などを迅速に行います。

新たな人材を育成する

組織の持続的な成長と企業の存続には、次世代を担う人材の育成が不可欠です。そのため、トップマネジメントは組織の将来を見据え、社員の能力開発や人材育成を行う重要な役割があります。

たとえば、教育プログラムの提供や社内研修の導入、メンターシップ制度の促進などで社員の個人的・職業的成長を支援します。同時に、次世代のリーダー候補を選出するのも、トップマネジメントの役割です。リーダーとなる人材を確保し、今後も事業を継続できるように育てていくことは、トップマネジメントの重要な責務といえます。

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恒例行事や儀式へ参加する

トップマネジメントの役割は、日々の運営や戦略立案に限られるわけではありません。トップマネジメントは組織の「顔」としての役割もあるため、外部との良好な関係を構築するうえで、恒例行事や儀式へ参加する必要があります。

代表的な例は、公式な食事会です。このような場面で取引先との信頼関係を築いたり、新たな人脈を開拓したりします。トップマネジメントが公の場に顔を出すことは、人脈を広げることにつながるため、組織全体のためにも積極的に行うべき重要業務といえるでしょう。

トップマネジメントに求められる3つのスキル

トップマネジメントに求められるスキルの中でも、代表的なものを3つ紹介します。

1.コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルとは、抽象的な概念を理解し、本質を見極める能力です。自身が持つ知識を組み合わせて戦略を考えたり、将来の影響を予測したりできます。たとえば、異なる部門や業界の動きを見ながら自社のポジションを特定や長期的なビジョンを立案などに役立つでしょう。

トップマネジメントでは、広い視野を持って組織全体を導く必要があります。経営戦略の策定や意思決定の質を高めるためにも、コンセプチュアルスキルは不可欠だといえるでしょう。

2.ヒューマンスキル

ヒューマンスキルとは、良好な人間関係を構築する能力です。コミュニケーション能力やリーダーシップ、業務管理スキルなど、業務を円滑に進めるうえで必要なスキル全般を指します。

周囲の人間を巻き込む力や高い人間力といったヒューマンスキルは、トップマネジメントにおいて重要なスキルだといえます。

3.テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、業務遂行のために必要な専門知識や能力です。たとえば、マネジメント分野における知識や、自社事業の業界知識、業務に関する専門知識や技術などがテクニカルスキルにあたります。

特に、自社事業や業務に関する知識・技術を持つことは重要です。経営の知識が豊富にあっても業務や技術について無知であれば、現場の感覚と乖離した企業目標を策定する恐れがあるでしょう。トップマネジメントがテクニカルスキルを持つことは、現場の考えや感覚との乖離を防ぐだけではなく、部下やステークホルダーとのコミュニケーションが円滑になる効果も期待できます。

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トップマネジメントが陥りやすい問題や課題

トップマネジメントには、陥りやすい問題や課題があります。実際にトップマネジメントを実践する前に問題や課題を理解し、対策を打つことが重要です。

ここからは、トップマネジメントが陥りやすい問題や課題の代表例を4つ紹介します。

会議が形式化してしまう

トップマネジメントの課題として、会議が形式的になりがちな点があげられます。

本来、会議は意思決定の場であり、問題解決やチームの意思疎通、アイデア出しを行い、組織をより良くしていくのが望ましいと考えられます。しかし、トップマネジメントの場合、会議をすること自体が目的になりがちです。CEOなど上の立場にいる者の意見が強く、社員が個々で意見をする機会も少ないため、参加者は会議の意義を感じにくくなるのです。

そのため、活発な議論ができる仕組みを作ったり、目的を明確化したりすることが求められます。

意思決定を非公式な場所で行う

非公式な場での意思決定がたびたび行われるのも、トップマネジメントの問題の一つです。具体的には社内ゴルフコンペや懇親会、喫煙室などでのコミュニケーションで意思決定が行われます。

しかし、公式な場ではない意思決定が論理的なものとは言えず、視点が偏っている可能性もあります。

したがって、非公式なコミュニケーションの場で意思決定を行うのは控えるべきです。公平な意見交換ができる公式な場にて、意思決定をすることが重要です。

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組織の環境整備が上手くいかない

トップマネジメントを円滑に進めるには、組織の環境整備が不可欠です。環境整備が整わないと、適切なリソース配分ができなかったり、コミュニケーションが不足したりします。

リソース配分が適切でないとプロジェクトがうまく進まず、失敗する可能性があるでしょう。また、コミュニケーション不足は目標が不明確になり、モチベーションの低下も招きます。結果として生産性にも悪影響を及ぼし、事業そのものがうまくいかなくなる可能性もあるでしょう。

したがって、組織環境を整備することは重要な課題です。経営資源の確保や評価システムの構築、関係各所との情報共有体制を整えるなど、環境整備に力を入れましょう。

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ノウハウやアドバイザーが不足する

トップマネジメントが直面する課題の一つに、ノウハウやアドバイザーの不足があげられます。

リーダーは組織の統率や方向性の決定、ビジョンの具現化といった責任があります。しかし、具体的な組織内のノウハウやアドバイザーが不足しており、組織運営が円滑にいかないことは企業は少なくありません。自身でトップマネジメントの環境構築に関する理解を深めたとしても、単独では盲点に気付かず意思決定を誤るリスクがあります。

したがって、トップマネジメント研修に参加したり、外部のコンサルタントや業界の専門家にアドバイスを依頼したりして、運営に必要な知識と支援を確保しましょう。

トップマネジメントとは何かを理解して役割を果たそう

トップマネジメントとは、企業・組織のトップや経営層が経営を管理すること、もしくは企業の上層部そのものを指す言葉です。ISOでは「意思決定権限があり、最高位で組織を指揮・管理する個人やグループ」と定義しています。

組織を統率して方向性を示すトップマネジメントは、企業の存続や将来的な成長に大きな影響を与える存在であり、円滑な組織運営のためには、役割を全うすること・必要な知識を身に付けることが不可欠といえるでしょう。

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