組織マネジメントとは?事例や必要な能力・参考にすべきフレームワークを紹介

最終更新日時:2023/07/14

組織・マネジメント

組織マネジメントとは

組織を効率的に動かすために必要な「組織マネジメント」。人や業務に対するマネジメントはイメージしやすいですが、組織に対するマネジメントとはどのようなものでしょうか。本記事では、組織マネジメントとはなにか、必要な能力や参考にすべきフレームワークなどを詳しく紹介します。

組織マネジメントとは?

組織マネジメントとは、「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つの経営資源を最大限に活用し、組織を効率的かつ円滑に運営するためのマネジメント手法です。

組織マネジメントを実施するうえで求められる内容は役職により異なりますが、管理職以上の役職の人間が携わるのが一般的です。それぞれが管掌部門の経営資源を適切に管理・分配し、組織全体の目標を達成することを目的としています。

なかでも「ヒト」のマネジメントは難解でありながら特に重要な要素と考えられていて、重点的に管理すべき経営資源といえるでしょう。

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組織マネジメントが必要な理由

組織マネジメントが必要とされる理由は、不確実な経営環境と企業間競争の激化に対応する必要があるからです。

ITやAIなどの急速な発展にともない、さまざまな分野で変化のスピードが上がり、ビジネスサイクルが短期化しています。それと同時に、以前と比べて事業の将来の予測が困難になっているという背景もあるでしょう。

このような環境下で、変化に対して柔軟に対応し続けるためにも、組織マネジメントの必要性が年々高まっています。

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組織マネジメントの種類

組織マネジメントの代表的な3つの種類を解説します。

トップダウンマネジメント

トップダウンマネジメントとは、経営者(経営陣)の意思決定に従業員が従うオーソドックスな組織マネジメントを指します。

この方法は経営判断が早い点がメリットです。その反面、従業員の声がトップに届きにくく、現場やビジネス環境の変化をキャッチアップしづらいというデメリットがあります。また、決裁権がないミドル層やロワー層のモチベーションコントロールも難しくなるでしょう。

ボトムアップマネジメント

ボトムアップマネジメントとは、ミドル層やロワー層の提案を取り入れながらトップ層が経営判断を行う組織マネジメントです。

従業員の声を参考に判断を行うため、現場やビジネス環境の変化に対応しやすく、従業員のモチベーション向上にもつながります。

ただし、情報収集してからの判断となるため、トップダウンに比べるとどうしても経営判断に時間を要してしまうのがデメリットです。

ミドルアップダウンマネジメント

ミドルアップダウンマネジメントとは、トップダウンとボトムアップをミックスした組織マネジメントです。

従業員の意見を取りまとめてトップ層に伝達し、トップ層の意見や提案も従業員にわかりやすく伝えます。この双方向コミュニケーションの橋渡しを、ミドル層や中間管理職が担うのが一般的です。

ビジネスを取り巻く環境の変化が早く、素早い意思決定が求められる現代において、時代にマッチした有効な組織マネジメントといえるでしょう。

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組織マネジメントを実施するメリット

ここでは、組織マネジメントの実施で得られる、3つのメリットを解説します。

従業員にあわせたマネジメントができる

組織マネジメントを導入すると、それぞれの従業員にあわせたマネジメントができるようになる点がメリットです。

経営資源の1つである「ヒト」は個性や状況がそれぞれ異なるため、取り扱いが難しい反面、最も重要な経営資源でもあります。

昨今、日本では正社員・契約社員・パートなど、働き方の多様化も進んでいます。また、グローバル化にともない働く人の国籍も多様化しているのが現状です。

組織マネジメントを実施することで、働き方や価値観の多様性に対応しやすくなります。その結果、それぞれに適した役割を配分できるようになり、スムーズな経営が可能になるでしょう。

管理職の業務負担を軽減できる

組織マネジメントが適切に運用されると、管理職の業務負担を軽減できる可能性があります。

これは、組織マネジメントにより従業員のモチベーションが高まり、自発性が生まれることで仕事のパフォーマンス向上が期待できるためです。

従業員一人ひとりが自発的に業務を遂行することで管理職に余裕が生まれ、管理職が本来取り組むべきミッションに集中できるようになるでしょう。

組織の業務効率・生産性向上が期待できる

組織マネジメントが適切に運用されると、組織全体の業務効率・生産性向上が期待できます。一人ひとりの価値観や多様性を考慮して、適材適所を実現できれば、組織全体の生産性が向上するのは想像に難くないでしょう。

また、これまで見えなかった組織の課題や無駄な部分も浮き彫りになります。異なる部署で一部業務が重複している、部署間の連携がうまくいっていないなど、分析・改善を実施することで業務の効率化も実現可能です。

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組織マネジメントに必要な能力

組織マネジメントに携わる管理職に必要とされる能力は、以下の4つが考えられます。

  • コミュニケーション能力
  • 人材をマネジメントする能力
  • 計画・実行する能力
  • リスクを予測・回避する能力

それぞれについて、詳しくみていきましょう。

コミュニケーション能力

組織マネジメントに携わる管理職には、各層と円滑にやり取りできる幅広いコミュニケーション能力が求められます。なぜなら、管理職はトップ層とミドル・ロワー層の連結役としての役割を担うからです。

管理職は、トップ層が掲げる目標や決定事項をメンバーにわかりやすく説明し、メンバーからの理解を得る必要があります。一方で、現場のメンバーが気軽に相談できる関係づくりや、合理性を優先するトップ層に現場の状況・意見を伝える必要もあるでしょう。

このように、管理職はただの伝達役にとどまらない、高度なコミュニケーション能力が求められます。

人材をマネジメントする能力

組織マネジメントでは、それぞれのメンバーを適切にマネジメントする能力も求められます。

これは、特性や個性が異なるメンバーをまとめ上げて、チームのパフォーマンスを最大化する必要があるからです。たとえば、特性や個性に合わせた適材適所への配置、動機づけ、指導などが該当します。

環境の変化が激しい昨今、トップ層や管理職の指示に頼り切るのは限界があるため、一人ひとりを活かし柔軟に行動できるチームづくりが重要です。

計画・実行する能力

組織マネジメントに携わる管理職には、計画力と実行力も欠かせません。ここでいう実行力とは、チームに与えられた目標や業務を完遂させる能力を指します。

目標達成のためには、それに向けた方法・分担・スケジュール感などの計画を行うことが重要です。さらに、その計画に沿って組織のメンバーに動いてもらう必要があります。

これらを実現するためには、メンバーからの信頼の獲得と、よいパフォーマンスで動いてもらえる適切なマネジメント能力も求められます。

リスクを予測・回避する能力

組織マネジメントでは、発生しうるリスクの予測とそれらを回避する能力も重要です。

ビジネスではさまざまな変化やイレギュラーが起きるものですが、最終的には計画どおり遅延なく目標を達成していく必要があります。

業務フローの見直し、人員不足への対処、トラブル時のマニュアル整備など、優先順位の高いものから問題が大きくならないよう対策しておくと良いでしょう。

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組織マネジメントの基礎フレームワーク

組織マネジメントの代表的な基礎フレームワークを2つ紹介します。

マッキンゼーの7S

マッキンゼーの7Sとは、世界的コンサルティング会社、マッキンゼーアンドカンパニー社が提唱したフレームワークです。日本でも幅広く活用されています。

企業には7つの経営資源があり、組織の構造に関するハードの資源3つと、人に関するソフトの資源4つで構成されます。組織マネジメントではこの「ハード」と「ソフト」の両面からアプローチする必要があるという考え方です。

ハードの3S

ハードの3Sとは、以下の3つの要素から構成されています。

  • 戦略(Strategy):目標達成のために立てられた一定期間の計画・行動方針
  • 機構(Structure):組織の仕組みの特徴
  • システム(System):人事評価や報酬、報告パターンや会議形式などの仕組み

これら3つの要素は組織の構造に関するもので、目に見えやすく分析・対処が行いやすいため、比較的管理がしやすいのが特徴です。

ソフトの4S

ソフトの4Sとは、以下の4つの要素から構成されています。

  • スタッフ(Staff):組織に属している人材、その配置や育成の取り組みなど
  • 経営スタイル(Style):企業文化・風土・マインドなど
  • 経営スキル(Skills):社内で蓄積されている技術力・営業力・競争優位性など
  • 価値観(Shared Value):社内で共通認識になっている会社の理念・ビジョンなど

ハードの3Sに比べ、ソフトの4Sは目に見えづらく、現状把握や実態調査に多くの時間や労力を要します。一方で、組織マネジメントの本質は「ヒト」にあるため、長期視点でじっくり取り組むことが重要です。

バーナードの組織の3要素

バーナードの組織の3要素とは、アメリカの経営学者チェスター・バーナードが提唱したフレームワークです。

組織は「コミュニケーション」「共通の目的」「協働意欲」の3つで成立していて、どれか1つでも欠けると組織不全に陥るとされています。

コミュニケーション

バーナードの組織の3要素では、コミュニケーションが不足している組織は衰退すると考えられています。

コミュニケーションが取れていない組織は統制も取れません。メンバーがバラバラに動いている状態でできることには限界があり、生産性や業績の低下を招くでしょう。

組織が正常に機能し、シナジー効果によって大きな力を発揮するためには、メンバー同士のコミュニケーションが不可欠です。

共通の目的

バーナードの組織の3要素では、トップ層・ミドル層・ロワー層で共通の目的を持つことで、組織全体の協調性が生まれると考えられています。

具体的には、経営理念や情報の共有、家族や社会のためといった共通目的を持つことです。これにより、そこで働く人たちの足並みが揃い、協働しやすい環境が作られます。

共通目的を持つということは、組織が最大限のパフォーマンスを発揮するための必須条件といえるでしょう。

協働意欲

バーナードの組織の3要素では、組織のメンバーがお互いに「この人たちと一緒に働きたい」「役に立ちたい」という協働意欲をもつことが必要だと考えられています。広義では組織に貢献したいというモチベーションも含まれます。

協働意欲や貢献へのモチベーションがないと、一人ひとりが自分の損得のために動くようになってしまい、十分なパフォーマンスを発揮するのは難しいでしょう。

組織の目標・目的を達成するためには、メンバー同士の助け合いの精神や協働意欲は欠かせない要素のひとつといえます。

組織マネジメントの成功事例

ここでは、組織マネジメントを導入した成功事例を3つ紹介します。

株式会社星野リゾート

星野リゾートでは、静岡県にある老舗旅館「旧いずみ荘」(現 界伊東)の立て直しのエピソードで組織マネジメントの有効性が語られています。

2005年に40億円の負債を抱えていた旧いずみ荘では、従業員たちに危機感はあったものの、具体的になにをすればよいかわからない状況にあったそうです。そこで代表の星野佳路氏は、現場スタッフに入念なヒアリングを行い、「50代以上の女性客の支持・リピートが多い」という事実に行き着きました。

この結果をもとに、同旅館は「50代以上の女性をターゲットにした温泉宿」というコンセプトを打ち出しました。それにより目的が明確になり、従業員のモチベーションが高まったことで、業績の回復に至ったそうです。

花王株式会社

花王では、先見性のある業務改革と、それにともなう配置転換による成功事例が代表的です。

1980年、当時の社長であった丸田芳郎氏は、コンピューター黎明期の時代にその有用性に気づき、生産管理にパソコンを導入しています。その結果、劇的な業務効率化を実現しました。しかし、それにともなって生産管理部門の大部分が不要となり、所属していた2,500人もの従業員が職を失う事態になってしまったそうです。

そこで丸田氏は、新たに印刷会社やコンピューター会社を設立し、あぶれてしまった2,500人を配置しました。先進的で前例のない事業だったため、従業員一人ひとりが能動的に業務に取り組み、クリエイティブを発揮したとされています。

パナソニック株式会社

パナソニックは、時代にあわせたダイナミックな組織改革で幾度も窮地を乗り越えてきた歴史があります。

1933年、創業者の松下幸之助氏は「自主責任経営」と「経営者の育成」を目的として、初めて事業部制組織を導入し、大きな成功を収めました。

しかし、1990年代後半にはデジタル化・ネットワーク化が進み、国内家電業界は大きく落ち込むこととなります。この出来事をきっかけに、事業部間で重複する業務の無駄を省くため、2001年に事業部制を廃止し、機能別組織に移管して業績回復を実現しました。

その後、新興国の低価格商品の流通や、主力だったプラズマディスプレイの需要低下にともない、再び厳しい状況に追い込まれます。この事態を受けて多様化する市場のニーズや現場の意見を取り入れるため、2010年に再び事業部制を採用し、采配が功を奏して見事に危機を脱して世界的な発展を実現しました。

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組織目標達成には組織の効率化・個々の能力最大化が必要

さまざまな技術の発展にともない、年々社会や市場の変化がめまぐるしくなっています。そのため、組織目標の達成を目指すには、従来のやり方が通用しなくなるシーンが散見されるようになりました。

現代では、トップ層による素早い経営判断と、市場の変化にいち早く対応する現場の意見の双方が必要と考えられています。なかでも「ヒト」を取り巻く組織の効率化や、個々の能力の最大化が大きな課題といえます。

組織マネジメントの概要や効果を正しく理解し、時代や自社の特徴にあわせた手法を取り入れ、組織目標の継続的な達成を実現していきましょう。

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