オンボーディングとは?意味や具体的な事例・メリット、プロセスを簡単に解説

最終更新日時:2023/12/13

組織・マネジメント

オンボーディングとは

新入社員など新しく組織に加わった社員を育成する取り組みを指す「オンボーディング」。大手企業を中心に実施されており、多くの企業が高い効果を得ています。本記事では、オンボーディングの意味とは何か、具体的な事例を実施のメリットやプロセスとあわせて簡単に解説します。

この記事の要約

・オンボーディングとは、新入社員に対して組織文化や価値観、業務内容などを共有して理解してもらうための取り組み
・OJTは実際の業務を通じた研修であるため、オンボーディングとはアプローチ方法が異なる
・オンボーディングの主な目的しては、早期離職の防止や業務に対してスムーズに取り掛かれるようにするなどがある

オンボーディングの意味とは?

オンボーディングは、入社したばかりのメンバーを迅速かつ効果的に企業へ組み込むプロセスを指します。新メンバーが組織の文化や価値観、業務内容を理解し、早期に役割や責任を果たせるよう支援する取り組みです。

オンボーディングの目的は、新メンバーの成功を確実なものとすると同時に、組織全体の生産性向上や効果的な業務遂行をサポートすることにあります。

オンボーディングとOJTの違いとは?

オンボーディングとOJT(On-the-Job Training)は、両者ともに新たなメンバーの教育や研修手法として用いられるものの、その目的やアプローチに違いがあります。

OJTは「実際の業務を通じての研修」を指し、具体的なタスクや業務スキルの習得を目的としています。対照的に、オンボーディングは新メンバーが組織全体の文化や価値観、ビジョンを把握し、組織に溶け込むことが主な目的です。

OJTは実践的なスキル習得に重点を置く一方、オンボーディングは組織への適応と統合に焦点を当てています。

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オンボーディングが必要とされる背景

オンボーディングが必要とされる要因に、近年みられるビジネス環境の急激な変化があるでしょう。少子高齢化に伴う労働人口の減少は顕著であるほか、働き方の多様化による定着率の低下も重要課題です。採用には創意工夫やコストが要求されるものの、高い傾向にある新入社員の離職率を下げなければ、満足な効果は期待できません。

新入社員が離職する原因には、イメージとのギャップや上司との関係悪化、業務過多といった深刻な問題があります。「理想と違った」という乖離を防ぐ対策のほか、コミュニケーションや業務量の見直しも必要です。

オンボーディングを行えば、新入社員にありがちな離職原因の多くにアプローチできます。さまざまな背景から人材流出の阻止は急務といえ、オンボーディングによって新規メンバーの定着を促す必要があるでしょう。

オンボーディングの目的

オンボーディングの実施には、多岐にわたる目的があります。主要な目的を詳細に解説します。

離職を防止するため

オンボーディングは新メンバーの組織への適応を促進し、初期段階での不安や疑問を解消します。新入社員の組織への所属感やコミットメントを高めることで、早期離職のリスクを大きく軽減できるのです。

離職原因の多くに、人間関係のトラブルや仕事内容への不満が挙げられます。オンボーディングは面談などでコミュニケーションを促すほか、業務内容の正確な理解にも役立つ取り組みです。離職原因に対する効果的なアプローチとなるため、離職予防効果の高い施策だといえるでしょう。

新入社員を即戦力化するため

新入社員の即戦力化においても、オンボーディングが有効です。オンボーディングを通じて、新メンバーは企業の基本規則や業務内容を効率的に習得できます。特に、初期段階での正確な情報伝達やトレーニングは、新入社員の成果を早期に上げる助けとなるのです。

組織への順応と業務への理解が早まると、スムーズに実務へ移行できます。育成プロセスの短縮にもつながるなど、オンボーディングは新入社員の即戦力化に大きく寄与するでしょう。

人材育成方法を均一化するため

オンボーディングを用いることで、人材育成の均一化が行えます。部署やチームに任せる教育方法と違い、オンボーディングは人事部によって体系的に組まれることが一般的です。均一化されたプログラムにより、新メンバー全員が同じ質の研修を受けることが保証され、知識やスキルのギャップが最小限に抑えられます。

従業員間における育成内容の差は業務品質にも影響するほか、属人化の引き金になる恐れもあるでしょう。育成方法を均一化することで、社員スキルの統一や作業クオリティの適正化が可能です。

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オンボーディングを実施するメリット

オンボーディングの取り組みは、組織にとって多くのメリットをもたらします。以下に、主要なメリットを具体的に解説します。

採用にかかる費用を削減できる

効果的なオンボーディングは、採用コストの削減に寄与します。採用には基本的な経費や在籍費、教育研修費などが必要です。社員1名が3ヶ月で離職した場合の予想損失額は、180万円を超えます。オンボーディングで早期離職を回避することは、採用コストの無駄をなくす最良の手段といえるでしょう。

離職が減少することで、頻繁な再採用や研修の繰り返しにかかる費用も大幅に削減できます。採用活動のコスト効率が向上し、組織の資源をより良く使うことも可能となるのです。

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組織の生産性向上が期待できる

生産性の向上が期待できるのも、オンボーディングの利点です。新入社員が必要な知識やスキルを速やかに習得することで、効率的に実務へ取り組むことができます。現場の稼働力が上がり、生産性にもプラスの効果を与えるでしょう。

オンボーディングは社員の定着率上昇に寄与しますが、社員が働きたいと思える企業ほど従業員満足度も高くなります。従業員満足度が上がればモチベーションアップにつながり、生産性の強化においても重要な意味を持つのです。

人材育成の方法の幅を広げられる

オンボーディングプログラムの導入は、従来の研修や教育手法を再評価・拡充する契機となります。新しい教育手法や技術を取り入れることで、研修の内容や方法を多様化し、より効果的な人材育成を実現できるのです。

オンボーディングは単なる新人教育ではありません。メンター制度や交流会、オンライン施策といった多彩な取り組み方があります。従業員一人ひとりのニーズや背景に合わせた柔軟な教育プログラムが提供でき、幅広い視野での人材育成が可能となるでしょう。

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社員のエンゲージメント向上が期待できる

オンボーディングで新入社員へのアプローチを行うと、組織への所属感といったエンゲージメントの向上に役立ちます。会社に対する信頼・愛着などを示すもので、定着率アップや離職防止に欠かせない要素です。

オンボーディングによって組織の文化や価値を深く理解し、自らの役割や業績に対する意識が高まります。高いエンゲージメントは、日々の業務への熱意やモチベーションを増強させる要因となり、業務の効率や質も高められるでしょう。さらに、組織へのコミットメントが強まり、離職率の低下やチームワークの強化も期待できます。

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オンボーディングを実施するプロセス

オンボーディングを行うと、企業にとって多くの恩恵を享受可能です。効果的なオンボーディングを実施するための基本プロセスについて、詳細に解説します。

オンボーディングの事前準備をする

オンボーディングの成功は、その前段階の事前準備にかかっています。総合的なプランの設計、プランを遂行するために必要な資料・マニュアルなどの整備が準備の例です。トレーナーの育成や確保のほか、オフライン・オンラインといった実施形態によっても準備物が異なります。

必要な教材やツールの提供、既存メンバーへの情報共有も欠かせません。事前準備を徹底することで、新メンバーに対するオンボーディングの効果を最大限に高められるでしょう。

目標を設定する

オンボーディングの際、明確な目標設定は成功の鍵となります。「3ヶ月後に〇〇のスキルを習得」など、新規メンバーが獲得すべきスキルや知識から立案すると良いでしょう。何を習得すべきかの方向性が示されるだけでなく、メンバー自身も達成感を得やすくなります。

目標は具体的かつ達成可能な内容で設定し、定期的に測定できるものが理想です。目標を細かく設定し、小さなものからクリアしていく「スモールステップ法」の活用もおすすめします

具体的な計画を立てる

目標を設定した後は、それを達成するための具体的な計画を策定します。計画は入社状況に応じて立て、それぞれで適した施策を行いましょう。状況別の具体的な計画は、以下のとおりです。

  • 入社前のオンボーディング:内定から入社までに行う。入社前研修、インターン、資料・通信教材の提供、交流会など。
  • 入社直後のオンボーディング:入社直後に行う。会社の規則や技術を学ぶ研修会、各部署や施設の見学会、個別支援など。
  • 入社後の継続的なオンボーディング:入社から一定期間ごとに行う。1on1面談、スキルアップ講習、グループ交流など。

入社前・入社直後・入社から一定期間後の3つを軸に、各タイミングにて実施すべきオンボーディングを計画します。

入社前に行うオンボーディングは、ギャップの拡大や採用のミスマッチを防ぐために欠かせません。内定者の疑問を解消したり、不安を排除したりする施策が求められます。

新入社員の離職率を低下させるには、入社直後のオンボーディングが重要です。質の高い研修・講習のほか、個別にサポートを行うなどの手厚い対策が必須でしょう。

入社から数ヶ月したら、早期離職リスクを下げるための支援策が求められます。目標の期間に達している場合は結果の測定も行うほか、進捗に応じてさらなるステップやフィードバックを提供しましょう。半年後、1年後など期間を定めて継続的に行うことも重要です。

新入社員の採用状況に合わせた計画の策定は、オンボーディングの持つメリットの最大化に不可欠となります。

計画を実行する

策定したオンボーディングの計画を実行に移します。計画をスムーズに実行するには、サポートや教育体制の整備のほか、既存社員への意識づけが必要です。

教育を補助するツールの導入、研修内容のブラッシュアップなどが有効でしょう。新入社員に近い階級の社員がメンターとしてサポートすると、人間関係などの繊細な悩みも打ち明けやすくなります。

オンボーディングは人事部門だけでなく、既存社員が総出で行うのが効果的です。個々人の意識を高めれば、自ずと新入社員へのフォローが手厚くなります。

計画どおりに進行することはもちろん、サポートや社員のバックアップが正しく機能することで、オンボーディング本来の働きが期待できるでしょう。

オンボーディングを振り返る

オンボーディングの完了後、成果を評価するための振り返りが不可欠です。新メンバーの業務適応度や習得スキル、研修の有効性などを客観的に分析します。フィードバックの収集は特に重要で、新規メンバーからの意見や感想を積極的に取り入れることで、次回のオンボーディングの質をさらに高める手助けとなります。

また、振り返りの際は既存のメンバーや関わった部署との連携も欠かせません。共有された意見や提案をもとに、オンボーディングにおける課題を洗い出し、継続的な改善を図りましょう。

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オンボーディングの具体的な事例

ここからはオンボーディングの具体的な事例について紹介していきます。自社で行うべきオンボーディングの検討・選定の参考にしてください。

GMOペパボ株式会社

GMOペパボでは、中途入社のエンジニアを対象とした「ペパボカクテル」というオンボーディングが行われています。中途入社した人のやる気を引き出し、成長支援につなげることが主な目的です。

気軽に相談できるチャンネルへの参加や、1on1面談などの取り組みを実施しています。オンボーディングによって社内に教える・助けるの文化が根付き、エンジニアが抱えがちな孤独の解消にもつながっているのです。

LINE株式会社

チャットアプリでおなじみのLINE株式会社は、新入社員のオンボーディングにシステムを活用しています。入社後10日目までシステムからメール送信を行うほか、LINEで気軽に相談できる社内サービスも運用中です。

機械の不調から業務への要望まで、さまざまな疑問・相談を投げかけられる駆け込み寺として機能しています。導入後は多くの利用件数があり、新入社員の手助けになっていることが伺えるでしょう。

キユーピー株式会社

3年間にわたってオンボーディングを実施するのが、キユーピー株式会社です。工場勤務の職員にもスキルアップの機会を平等に設けたいとの意図から採用されています。

同社のオンボーディングは外部機関によるeラーニング学習であり、業務と平行して学ぶことが可能です。既存の教育では不十分だった基礎の習得を強化でき、社員それぞれが自身のペースで身につけられています。

株式会社メルカリ

株式会社メルカリのオンボーディングは、あらゆる情報をオープンにする社風を活かした施策が魅力です。新入社員のToDoが明記されたポータルの提供、情報を集約した社内wikiなど、知りたい・調べたいことを教えてくれる環境が整備されています。

社内での関係構築はメンターがバックアップしてくれ、リモート業務中でもメンバー同士の連携を促進可能です。馴染めない・業務がわからないといった、早期離職の原因を払拭するオンボーディングだといえるでしょう。

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オンボーディングの必要性を理解し組織に取り入れよう

オンボーディングは、新規メンバーが組織の文化、価値観、業務内容を効果的に理解・習得するプロセスをサポートするものです。適切なオンボーディングが行われると、新メンバーの業務適応速度が上昇し、定着率や生産性の向上が期待されます。

オンボーディングを効果的に行うには、目的やメリットを理解して計画を立てる必要があるでしょう。事例を参考にすれば、自社に当てはめて検討が可能です。オンボーディングの重要性を理解して実行することで、新入社員の早期離職を予防でき、採用コストの削減など多くの恩恵を得られます。

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