マネジメント力とは?必要なスキルや身につける方法・高い人の特徴
管理職やマネージャーの役割を担う際に、必要不可欠となるマネジメント力。そのマネジメント力を磨くには、具体的にどのようなスキルが求められるのでしょうか?本記事では、マネジメント力とはどのような能力なのか、身につける方法や能力が高い人の特徴などと併せて解説します。
目次
マネジメント力とはどのような能力?
ビジネスにおけるマネジメント力とは、ヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源を適切に管理し、働きがいの創出や組織利益の最大化につなげることができる能力を意味します。また、主にチームのトップに立つ人物に求められる力であり、“マネジメントの父”とも呼ばれる、アメリカの経営学者ピーター・F・ドラッカーが提唱したことでも知られています。
マネジメントには、トップマネジメント(最高経営者層)、ミドルマネジメント(管理職層)、ローワーマネジメント(監督者層)の3種類があります。
トップマネジメントであれば会社全体、ローワーマネジメントであれば現場のチームなど、それぞれの管理範囲に応じたマネジメント力が必要とされていますが、近年は雇用体系や勤務体系が多様化したことで管理が複雑化し、多くの組織においてマネジメント力の向上が求められています。
リーダーシップとの違いは管理対象
マネジメントと混同されやすい言葉として「リーダーシップ」が挙げられます。しかしマネジメントとリーダーシップは同義ではありません。その違いは管理対象にあります。
リーダーシップとはメンバーを取りまとめる能力であり、管理対象は「ヒト」のみです。組織が目指すビジョンに向かい、チームの先頭に立ってメンバーをけん引することが役割といえます。
一方マネジメントは、ヒト・モノ・カネなど経営資源すべてが管理対象に含まれます。スケジュール管理や人員配置、環境整備など、目標達成のためにすべき具体的な方法の案出および管理が役割です。組織の先頭に立つマネジメント層は、リーダーシップとマネジメント力の両方を身に付ける必要があるでしょう。
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マネジメントに必要なスキル
マネジメントに必要なスキルには以下の4つがあります。
- ヒューマンスキル
- 目標設定スキル
- 業務遂行スキル
- 管理スキル
それぞれ詳しく解説します。
ヒューマンスキル
マネジメントを行うにあたって特に重要なのは、ヒューマンスキルです。ヒューマンスキルのなかには、コミュニケーションスキルやコーチングスキルなどが含まれます。
マネジメント層は部下や上層部、外部など、さまざまな立場の人物とうまくコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めなければなりません。またスケジュール管理だけでなく、メンバーそれぞれに対するモチベーション管理も必要です。「どうしたら部下が力を発揮できるか」を考え、サポートするスキルが求められます。
目標設定スキル
マネジメント層は、チームや部下の目標を的確に設定するスキルも必要です。目標はメンバーが業務を遂行するうえでの道標となるので、現状を十分把握したうえで、メンバーが現在目指すべき目標を考えましょう。
目標を設定する際は、「業績を上げる」というような漠然とした目標設定ではなく、「今月は〇件契約する」など、可能な限り定量化することがポイントです。また、メンバーそれぞれの能力やエンゲージメントの見極めも肝心でしょう。
目標は、高すぎても、低すぎてもモチベーションが下がってしまうものです。「どのような力を発揮できそうか」「どのような目標ならやる気が出そうか」などを考えながら、目標を設定するスキルが求められます。
業務遂行スキル
業務遂行スキルとは、マーケティングスキル、商品知識、PCスキルなど、業務を行うにあたって必要な専門スキルであり、業務をやり遂げる実行力なども含まれます。
マネジメント層になると現場の職務に携わる機会が減る場合もありますが、業務遂行スキルがなければ部下に手本を示すことができず、問題が発生した際も、部下に十分なサポートを提供できないでしょう。役職に関係なく、業務遂行スキルは磨き続けることが大切です。
求められる業務遂行スキルは業種や部署によって異なりますが、特にDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進む現代において、基本的なITスキルはどの現場においても不可欠となるでしょう。
管理スキル
円滑に業務を進めるためには、タスク状況の把握やスケジュール管理、人員配置、勤怠管理、勤務環境など、さまざまな面での管理が必要です。
ここで注意したいことは、「管理」とは部下を監視したり、マネジメント層の意向を強要したりすることではないということです。特に近年は、個人の主体性を尊重する「エンパワメント」が注目されています。部下にとって力を発揮しやすい環境を整備するのがマネジメント層に求められる力といえるでしょう。
また、管理スキルがマネジメント層に欠かせないスキルである一方、組織が大きくなる過程においては、物理的に状況把握が困難になってしまう場合もあります。そのため、必要に応じてツールを導入するなど、テクノロジーを活用して業務を改善・効率化するスキルも求められると言えるでしょう。
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高いマネジメント力を身につける方法
マネジメント力の必要性は理解していても、うまく実践できないという方は多いのではないでしょうか。ここでは、高いマネジメント力を身に付ける方法として有効な手段を3つご紹介します。
いずれの方法も、多面的な視点で物事を考える点が特徴です。それぞれ説明していきます。
ディズニーストラテジーを活用する
ディズニ―ストラテジーとは、ディズニーの創設者であるウォルト・ディズニーの成功法則を基にした思考法です。ディズニーストラテジーでは、以下の3つの視点から目標および計画を考えます。
- ドリーマー(夢想家)
- リアリスト(現実主義者)
- クリティック(批判家)
まずはドリーマーとして、自分が夢見る大きな目標を立てます。その後リアリストの立場になり、目標を達成するための現実的な行動を考案します。同時にクリティックとして目標に対する課題と解決策も考えるといったように、ディズニーストラテジーでは、3者の視点からアイディアを深めていく点が特徴です。
ディズニーストラテジーは着実に目標を達成する方法として有効であり、問題解決能力を高める効果が期待できます。
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ポジションチェンジの思考を持つ
ポジションチェンジは「視点を変えて考える」という思考法であり、もともとはNLP(Neuro Linguistic Programing=神経言語プログラミング)と呼ばれる、実践的な心理学をベースに開発された手法です。たとえば、「部下の立場になって考えてみる」「取引先の立場になって考えてみる」など、自分以外の立場になったつもりで物事を考えます。
多くの人物に関わるマネジメント層だからこそ、多面的な視野は不可欠です。ポジションチェンジを行うことで、自分の視点だけでは気づけなかった視点を得られたり、相手の考えを理解できたりする効果があります。そのため、マネジメント力としてはもちろんですが、良好な人間関係やコミュニケーションを保つためのスキルとしても役立つ思考法と言えるでしょう。
ペーシングやアクノレッジメントを取り入れる
メンバーと円滑なコミュニケーションをとるためには、心理的安全性を確保したうえで相手を理解することが大切です。そのために有効な方法として、「ペーシング」や「アクノレッジメント」という手法があります。
ペーシングとは「相手の話すトーンや速度にペースを合わせること」、アクノレッジメントは「相手を承認すること」を指します。初めから相手の考えを否定したり、自分の意見ばかりを発信したりしていては信頼関係を築くことはできません。相手を受け入れることで互いに安心感が芽生え、円滑なマネジメントにもつなげられるでしょう。
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マネジメント力が高い人の特徴
マネジメント力の高い人には以下のような特徴があります。
- 洞察力や判断力が優れている
- 計画的に物事を進められる
- 人当たりが良く人望がある
それぞれの特徴を説明しますので、ぜひマネジメント力向上の参考にしてください。
洞察力や判断力が優れている
マネジメント力の高い人の特徴として、洞察力や判断力が優れている点が挙げられるでしょう。マネジメント力の高い人は、常にタスク状況やメンバーの様子に注意を払いながら、いざというときは迅速に決断を下すことができます。
もし洞察力が欠けていた場合、見当違いの目標を設定してしまったり、問題の発見が遅れてしまう可能性があります。またマネジメント層が優柔不断であれば、プロジェクトの進行が遅れるだけでなく、部下を不安にさせてしまうことにもなりかねません。マネジメント層は普段から周囲の状況をよく観察することが求められるのです。
計画性と柔軟性を持って物事を進められる
プロジェクトの進行には、必ず締め切りや目標などを定めた計画があり、当然ながら計画通りに物事を進めなければなりません。
しかしながら、ときには不測の事態により計画を逸脱した場合など、スケジュールや人員の組み直しが必要となることもあります。常に先を見据えた計画性と、万が一のイレギュラーな事態にもクイックに対応できる柔軟性を併せ持つことでプロジェクトを達成できるマネジメントが実現するのです。
人当たりが良く人望がある
マネジメントスキルが高い人は、人当たりが良く人望があるという特徴もあります。マネジメント層が威圧的で話しにくい場合、何か困ったことがあっても一人で悩みを抱え込んでしまいます。業務上の問題が悪化するだけでなく、最悪の場合、離職につながる恐れもあるでしょう。
マネジメント層が話しかけやすい雰囲気であれば、何かあったときもメンバーは相談しやすく、問題の早期発見にもつながります。日頃からメンバーと積極的にコミュニケーションを取って信頼関係を築くことが大切です。
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マネジメントの効率を高める人気ツール5選
ここまで、組織におけるマネジメントの必要性を解説してきました。しかし組織が大きくなるにつれてマネジメントは複雑になり、管理も難しくなっていきます。
そこで、ここからはマネジメントの効率アップに有効な人気ツールを5つご紹介します。ぜひ参考にしてください。
1.Confluence
Confluenceは、世界中の企業で利用されている情報共有ツールです。マーケティングやセールス、開発などさまざまな業務テンプレートが用意されており、幅広く対応可能です。複数ツールを連携しながら社内の情報を一元化できるため、状況把握や戦略構築の効率化に役立つでしょう。
提供元 | Atlassian Pty Ltd |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
|
導入実績 | 75,000社以上(※2023年07月現在) |
機能・特徴 | プロジェクトから社内ポリシーまですべての情報を一元化、全員が最新情報の把握することが可能、リアルタイム編集やコメント機能でチームの進捗を管理など |
URL | 公式サイト |
2.Qast
Qastは、社内ナレッジの蓄積をサポートするナレッジ経営クラウドです。誰でも投稿可能なQ&Aやwiki機能にナレッジを蓄積することで、疑問が発生した際にも自己解決ができるようになります。Qastを活用することで、人事異動や新入社員が入社するたびに何度も同じ説明をしていた手間を省くことができるでしょう。教育時間の削減や、部署間における情報格差の是正が期待できます。
提供元 | any株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 4,000社以上(※2023年07月現在) |
機能・特徴 | 直感的に操作できるシンプルなUI、画像や動画ファイルのプレビュー表示が可能、コンサルタントによるサポートなど |
URL | 公式サイト |
3.sai*reco
sai*recは組織の人事の情報を管理・蓄積するクラウド型人事管理システムです。従業員情報や面談・研修履歴の管理、組織図の作成、人事異動シミュレーション、給与明細、ワークフローなど、人事管理に必要な機能を網羅している点が特徴です。ルーチンワークを自動化することで、管理工数の削減が期待できます。
提供元 | 株式会社アクティブ アンド カンパニー |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 220円~/月 ※1名あたりの金額目安 ※従業員規模100名程度~ |
機能・特徴 | あらゆる人事情報のやりとりを自動化、過去データを基にした人事シミュレーションが可能、過去・未来の情報を含め無制限に情報管理が可能など |
URL | 公式サイト |
4.スキルナビ
スキルナビはタレント管理に特化したマネジメントツールです。スキル管理、目標管理、統計データ、人材情報などを可視化することで、人事戦略の立案に役立てることができます。スキルナビの特徴は、生産性の向上だけでなく、社員のモチベーション向上も期待できる点にあります。スキルに関連付けた育成計画や評価体制を構築できるため、メンバーの働きがい創出にもつながるでしょう。
提供元 | 株式会社ワン・オー・ワン |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 40,000円~/月 |
機能・特徴 | 標準機能が豊富でノンカスタマイズで利用可能、柔軟性の高い分析が可能、定期的なバージョンアップにより常に最新版が利用可能など |
URL | 公式サイト |
5.Trello
Trelloは、個人のタスク管理からプロジェクト管理まで幅広く対応しているプロジェクト管理ツールです。タイムライン、カレンダー、テーブルビューなどを切り替え、さまざまな視点で業務の遂行状況を確認できます。Trello は使い勝手の良さとデザイン性の高さから、高いユーザー満足度を誇っている管理ツールです。
提供元 | Atlassian Pty Ltd |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
|
導入実績 | 200万社以上(※2023年07月現在) |
機能・特徴 | タスクの遂行状況が一目で分かる、幅広いワークフローに対応、外部ツールとの連携が可能など |
URL | 公式サイト |
マネジメント力とは組織の成果を最大化させるための能力
当記事では、マネジメント層に求められるスキルや思考法、ツールなどをご紹介しました。組織の利益を最大化し、成長させるためには、高いマネジメントスキルが必要です。当記事を参考にマネジメントスキルを高め、組織の目標達成を目指しましょう。
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