サボタージュマニュアルとは?全文の内容と組織崩壊を防ぐために必要なこと

2023/08/08 2023/08/09

組織・マネジメント

サボタージュマニュアル

組織の活動を妨害する諜報員向けのマニュアルとして、サボタージュマニュアルが存在します。サボタージュマニュアルとはどのような内容の文書なのでしょうか。本記事ではサボタージュマニュアル全文の内容について、組織崩壊を防ぐために必要なポイントとあわせて解説します。

サボタージュマニュアルの全文とは?

サボタージュマニュアルとは、CIAの前身組織OSS(戦略諜報局)が第二次世界大戦中に作成したとされる、組織を内部崩壊させるためのスパイ用マニュアルです。

80年近く前に作成され、長きにわたって非公開とされてきました。2012年頃にCIAにより一般公開され、2015年の書籍化によって大勢の目に触れることとなったのです。サボタージュマニュアルの内容は「まるで日本企業のようだ」と注目されています。

サボタージュマニュアルの全文は、以下11項目に要約されます。

  1. 何事にも早急な決断を避け、慎重に行動すべきと提言せよ。
  2. 何かを決定するときは会議を開き、なるべく5人以上集めよ。
  3. 何事も指揮命令系統を厳守し、意思決定を早める「抜け道」を決して許すな。
  4. あらゆる決定の妥当性を問え。その決定が本当に自分たちの権限内なのか、上層部の判断を仰がなくてよいのかなどを常に指摘せよ。
  5. 前回の会議で決まったことを蒸し返し、再検討せよ。
  6. 議事録や連絡などの文書は、細かな言い回しに執着し作成せよ。
  7. 重要でないことにも完璧な仕上がりを要求し、些細な間違いも見つけて修正させよ。
  8. 重要な業務があっても会議を優先的に実施せよ。
  9. もっともらしくペーパーワークを増やせ。
  10. 業務の承認手続きを多重化せよ。1人で承認できる事項でも3人の承認を必須とせよ。
  11. 全ての規則を隅々まで厳格に適用せよ。

内部崩壊しかけている組織の特徴

サボタージュマニュアルを読み解くと、組織における内部崩壊の兆候がわかります。内部崩壊しかけている企業に共通する特徴を3つ解説しましょう。

社員の責任感が低い

内部崩壊しかけている企業は、一般社員や管理職を問わず責任感が低いのが特徴です。

組織全体の責任感が欠けていると、業務の範囲や責任の所在が曖昧になり、問題が起きたときに責任のなすり合いが発生しやすくなります。有事の際に管理職が責任を果たさない、責任逃れをするようでは部下やメンバーからの信頼も得られません。

トラブルに弱く互いに信頼できない状態では、十分なパフォーマンスが発揮できないでしょう。内部崩壊に向かう可能性も高いと考えられます。

部下をマネジメントする秘訣!必要なスキルや方法・注意点

社員同士の関係が悪い

社員同士の関係や職場の雰囲気が悪いのも、内部崩壊しかけている企業の特徴です。サボタージュマニュアルに該当する企業は、社内の不和がみられる傾向にあります。

社内関係が悪い組織は従業員の意欲も低く、個々が淡々と作業をこなすだけの状況になっていると考えられるでしょう。チームとしての連携が取れておらず、非効率かつ生産性が大きく低下している可能性があるのです。

信頼関係や協力体制が欠如しているため、ミスや問題の発見が遅れ、解決されないまま放置されるケースも珍しくありません。

人間関係が悪化した組織は非常に脆く、業績を維持・向上するのは難しいといえます。

退職する社員が増える

内部崩壊しかけている企業では、退職する社員が増加する傾向があります。なかでも、優秀な人材や若手人材が次々と退職していく場合は要注意です。

有能な人材ほど組織の問題点に気づきやすく、改善の兆しがなければ組織や自分の将来性に見切りをつけて退職に至ります。組織の問題点とは、サボタージュマニュアルに書かれている要素そのものでしょう。

優秀な社員は組織の推進力となりイノベーションを起こし、成果で周囲を牽引する存在です。貴重な人材を失うこととなれば、生産性も低下していくでしょう。

組織崩壊はなぜ起きる?崩壊の前兆や立て直すための方法を解説

サボタージュマニュアルによる組織崩壊を防ぐために必要なこと

組織崩壊を防ぐために、具体的に取り組むべきことを3つ紹介します。サボタージュマニュアルを反面教師とし、改善策を見いだしましょう。

社員が働きやすい環境を整える

組織崩壊を防ぐには、社員の満足度が向上するような働きやすい環境を整える工夫が必要です。働きやすい職場は社員が定着しやすく、業務に対するモチベーションの維持につながります。

スムーズに業務を遂行できる設備を整えるほか、業績を考慮した評価制度の構築なども有効でしょう。サボタージュマニュアルにみられる無駄な会議をなくすことも、働きやすい環境整備の一環といえます。

労働環境が整うと離職率の低下が見込め、人材の育成もしやすくなるでしょう。一部の社員に負担が偏ることも防止できるため、生産性が高く健全な状態を維持できます。

組織マネジメントとは?事例や必要な能力・参考にすべきフレームワークを紹介

社内のコミュニケーションを活発にする

社員同士のコミュニケーションが活発になる施策を行うことも、組織崩壊を防ぐうえでは欠かせません。活発なコミュニケーションは、社員同士の信頼関係や組織のパフォーマンス向上に直接的に影響するためです。

コミュニケーションスペースを設置したり、パワーランチのような社員同士の交流イベントを企画したりする方法が挙げられます。

サボタージュマニュアルが当たり前の企業は風通しが悪く、コミュニケーションが希薄になりがちです。悪しき慣例があれば改め、社員同士の関係構築のきっかけを作っていきましょう。

組織のマネジメントや管理方法を見直す

組織のマネジメントや管理方法を見直すことも非常に効果的です。経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」の活用方法を見直し、最適化を図るだけでも組織の生産性向上が見込めます。

指揮系統の明確化や人材の適材適所、組織図を作成して公開するなどが具体的な方法です。ツールを導入して管理を効率化するのも得策でしょう。

複雑な指揮系統や管理方法は、サボタージュマニュアルに当てはまる組織形態です。不適切なマネジメントを行えば、崩壊を招く体制の常態化につながってしまいます。マネジメントや管理方法を改善し、業務の効率化や生産性を向上させましょう。社員のモチベーションアップのほか、社内の活性化にも貢献します。

チェンジマネジメントとは?手法や事例・フレームワークを紹介!

組織構築とは?成功させるポイントや注意点・手法を解説

組織のマネジメントに役立つツール

サボタージュマニュアルのような組織崩壊を防ぐために、マネジメント向けのツールを使うのがおすすめです。組織のマネジメントに役立つ3つのツールを紹介します。

Asana

Asanaは、世界190カ国で100万以上のチームが使用しているプロジェクト管理ツールです。

Web上のプラットフォームで各種申請やタスク管理、プロジェクトの進捗管理ができます。社員同士のコミュニケーションツールとしても重宝するでしょう。同社によると、導入による効果は以下の通りです。

  • 3年間のROIは437%
  • 仕事の実行率42%向上
  • タスクにかかる時間34%削減
  • プロジェクトの期限内完遂度38%上昇

煩雑な作業を削減しつつチームワークを生み出せるため、組織の立て直しや最適化にも大いに役立つツールでしょう。

提供元Asana, Inc.
初期費用無料
料金プラン
  • Basic:0円
  • Premium:1,475円/月、1ユーザーあたり
  • Business:3,300円/月、1ユーザーあたり

※いずれも年間払い

導入実績世界190ヶ国100万以上のチーム(※2023年07月時点)
機能・特徴申請フォーム、ガントチャート、かんばんボード、メッセージ、承認申請、カレンダー、タイムライン、ワークフロービルダーなど
URL公式サイト

backlog

backlogは、国内大手企業も積極的に利用しているプロジェクト・タスク管理ツールです。さまざまな賞を受賞しているほか、サービス継続率は99.5%(2022年12月末時点)を誇っています。

シンプルな見た目と操作性で、管理ツールに不慣れな人でも馴染みやすく使いやすいのが特徴です。

プロジェクトやタスクの担当者・期限・進捗が明確に見える化できます。業務の遅れやスケジュール遅延が解消され、作業効率・生産性の向上が実現できるでしょう。

提供元株式会社ヌーラボ
初期費用無料
料金プラン
  • スターター:2,970円/月(税込)
  • スタンダード:17,600円/月(税込)
  • プレミアム:29,700円/月(税込)
  • プラチナ:82,500円/月(税込)

※利用人数による変動なし

導入実績13,000件以上(※2022年12月末時点)
機能・特徴ガントチャート、カンバンボード、バーンダウンチャート、課題のテンプレート、属性のカスタマイズ、ファイル添付機能、メール・チャットサポートなど
URL公式サイト

HiManager

多彩な機能を搭載したオールインワンプラットフォームに、HiManagerがあります。パフォーマンス・マネジメントに必要な性能を持つツールです。

一人ひとりにリアルタイムでフィードバックを行えるのが大きな特徴で、社員のパフォーマンス向上やモチベーションアップに役立ちます。

目標や社員のエンゲージメントも見える化・分析できるため、社員の状況を観察しながら最適なマネジメントを実現できるでしょう。

提供元ハイマネージャー株式会社
初期費用無料
料金プラン
  • スイートプラン:1,500円/月
  • コンサルティングプラン:2,000円/月
  • プレミアムプラン:3,000円/月

※利用人数によるボリュームディスカウントあり

機能・特徴目標設定、1on1、フィードバック、称賛、アップデート、評価・360度評価、エンゲージメントサーベイ、エンゲージメント・サーベイ分析など
URL公式サイト

サボタージュマニュアルとは何かを理解し組織崩壊を予防しよう

サボタージュマニュアルとは、組織を崩壊させるための行動指針を示したスパイ用のマニュアルです。日本企業の習慣が数多く含まれていることから注目を集め、反面教師として改善に活かされています。

崩壊予兆からサボタージュマニュアルに当てはまる要素がないか見直すほか、ツールなどを活用して社内改革に努めましょう。組織が崩壊するメカニズムや対策を正しく理解し、事業活性化や業績向上を目指してください。

組織・マネジメントの記事をもっと読む

組織・マネジメントの記事一覧

ビズクロ編集部
「ビズクロ」は、経営改善を実現する総合支援メディアです。ユーザーの皆さまにとって有意義なビジネスの情報やコンテンツの発信を継続的におこなっていきます。

おすすめ関連記事

EDI2024年問題とは?企業に与える影響や再構築のポイントを解説

最終更新日時:2024/05/14

EDIツール

最終更新日時:2024/05/14

EDIツール

Web-EDIとは?EDIとの違いや特徴、メリット・デメリットを解説

最終更新日時:2024/05/14

EDIツール

最終更新日時:2024/05/14

EDIツール

【クラウド型】EDIシステムを比較!特徴や選び方・導入メリットについて解説

最終更新日時:2024/05/14

EDIツール

最終更新日時:2024/05/14

EDIツール

法人がファクタリングを利用するメリット・デメリット|審査項目や選び方

最終更新日時:2024/05/14

ファクタリング・資金調達

最終更新日時:2024/05/14

ファクタリング・資金調達

人事評価の助成金について|申請方法や受給条件・活用するメリットについて

最終更新日時:2024/05/14

人事評価システム

最終更新日時:2024/05/14

人事評価システム

稟議書とは?書き方や必要な項目・目的別のテンプレート・例文を紹介

最終更新日時:2024/05/13

ワークフローシステム

最終更新日時:2024/05/13

ワークフローシステム

EDIと電子契約の違い・共通点とは?特徴やメリット・使い分けのポイントについて

最終更新日時:2024/05/13

EDIツール

最終更新日時:2024/05/13

EDIツール

無料で使えるおすすめのCMS10選を比較|無料製品の選び方やメリット・デメリット

最終更新日時:2024/05/13

CMS

最終更新日時:2024/05/13

CMS

銀行系ファクタリングとは?特徴やメリット・デメリット、おすすめの金融機関を紹介

最終更新日時:2024/05/13

ファクタリング・資金調達

最終更新日時:2024/05/13

ファクタリング・資金調達

3社間ファクタリングとは?メリット・デメリットや手数料、流れについて

最終更新日時:2024/05/10

ファクタリング・資金調達

最終更新日時:2024/05/10

ファクタリング・資金調達