経理で役立つExcelマクロの活用方法|勉強方法やRPAとの違い
Excel処理を自動化する、Excelマクロ。Excelマクロを活用することで、ルーティンワークが多い経理業務の効率化・業務改善が期待できます。本記事では、経理で役立つExcelマクロの活用方法を、ExcelマクロとRPAの違いや勉強方法とあわせて紹介します。
目次
経理で役立つExcelマクロとは?
Excelマクロとは、Excelの処理を自動化するプログラムです。プログラムにはVBA(Visual Basic for Applications)というプログラミング言語が使用されていることから「VBA」とも呼ばれています。
Excelマクロが可能にするのは、繰り返し作業の自動化、日々の取引データの集計や請求書の作成、グラフや表の作成などです。自動記録機能により、特定の日時に実施すべきデータ集計にも対応できます。
このように、Excelを使用することの多い経理業務においてExcelマクロは、業務効率化を実現するものといえるでしょう。作業が自動化されるため、人為的なミスが起きにくくなり、業務品質の向上も期待できます。
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ExcelマクロとRPAの違いとは?
RPAとは、単純作業や定型業務を自動化するソフトウェアロボットのことです。情報の入力作業やデータの集計・分析、レポートの作成など、手順が決まっている作業を自動化できます。Excelマクロよりもデータ処理が速く、プログラミングの知識がなくても活用できるツールもあります。
ExcelマクロとRPAの主な違いについては下記の通りです。
Excelマクロ | RPA | |
自動化できる対象 | Microsoft Officeアプリケーション内でおこなえる作業 | パソコン上で作業可能なほぼすべての操作に対応 |
大量のデータ処理スピード | 遅い パソコンのスペックに影響される | 速い |
プログラミングスキルの必要性 | 必要 | 不要 |
専用ツールの利用 | なし | あり |
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経理で役立つExcelマクロの活用方法
ExcelやOfficeソフトを使うことの多い経理業務では、さまざまにExcelマクロが活用できます。どのようなことができるのか、具体的に見ていきましょう。
請求書の作成・管理
Excelマクロを活用すると、請求書の作成や管理を自動化が可能です。
顧客リストや商品・単価リストなどをExcelで作成しておけば、その内容を自動的に反映した請求書を自動で作成することができます。
また、請求書番号や顧客名でのデータ検索、支払期限が超過した顧客へのお知らせなども、設定すれば自動対応が可能です。
データの差し込み(Wordと連携)
ExcelのデータをWordに一つひとつ差し込むと時間と労力がかかるものの、Excelマクロを活用すればWordへのデータ差し込みを自動化することが可能です。
Excelでまとめた売上データをもとに顧客名や住所を自動でWordファイルに差し込み印刷すれば、取引先への手紙をまとめて作成できます。また、マクロの設定によっては現在取引がある顧客データのみを抽出して差し込みをおこなうことも可能です。
データの差し込みにExcelマクロを活用すれば、業務効率化につながるでしょう。
入力データの確認・修正・集計
お金に関する大量のデータを取り扱う経理業務では、数値の入力や集計に正確性が求められるため、作業後の確認は必須です。ただ、人による確認では、見落としや集計の誤りが起きるかもしれません。
Excelマクロを活用すれば、入力データの内容確認や修正、集計をまとめておこなうことが可能です。
「データの空欄はないか」「全角と半角の入力ミスはないか」などを一目で確認できて必要に応じて修正ができます。また、販売数や売上高、利益率などのデータを集計した一覧表の作成も可能です。
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グラフ・表の作成
経理業務では、グラフや表の作成をする場面が頻繁にあります。グラフを作る場合は、対象データの範囲を選択してグラフの種類を選び、体裁を整える必要があるため、手間や時間がかかるでしょう。しかし、Excelマクロならグラフや表の作成を自動化できます。
たとえば、売上データを日別、月別、年別に自動的に集計し、各データをグラフ化したり、複数の項目から特定の条件に合うデータを抽出し、表形式で出力したりすることが可能です。作業の効率化につながります。
グラフ・表の挿入(PowerPointと連携)
Excelマクロを活用すれば、Excelで作成したグラフや表を自動でPowerPointに貼り付けることもできます。
経理資料を作成する際、グラフの作成からPowerPointへの挿入まで、一連の作業を自動化できれば、大幅な業務改善が図れるでしょう。
ファイルの集約・分割
複数のデータが分散したExcelファイルを一つにまとめる作業もExcelマクロで簡単におこなえます。また、ファイルの分割作業もExcelマクロでおこなうことが可能です。
たとえば、ワークシート内のデータを顧客別や商品別で分割したり、月次でまとめられた売上データを日次データに分割したりできます。データ量が増えてきたExcelファイルを分割で軽くするのにも役立ちます。一つひとつのファイルを開いてコピー&ペーストするよりも、簡単かつ手早く完了するでしょう。
フォルダ・フォルダ一覧の作成
Excelのマクロを活用し、フォルダやフォルダ一覧を自動で作成することも可能です。
たとえば、定期的に作成、分析する経理レポートがある場合、それぞれのレポートに対応するフォルダをExcelマクロで自動作成し、さらに階層化することもできます。フォルダ情報の一覧作成もできるので、データ検索や管理が楽になるでしょう。
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メールの一括送信(Outlookと連携)
請求書、残高確認通知などの定形メールを送る際に、宛名や必要事項を1通1通手入力していては、膨大な時間がかかります。
しかし、Excelマクロを活用すれば、Excelの顧客リストから必要な情報を抜き出してOutlookと連携してメールを作成し、一括で送信することができます。Excelマクロは、メール業務にも使えるプログラムなのです。
データベースの開発(Accessと連携)
Accessと連携し、Excel上でAccessのデータベースを閲覧したり、書き換えたりすることも、Excelマクロでできます。これにより、Excelマクロで作成した会計データをAccessに保存して一元管理したり、Access内のデータを取り出して経理レポートを作成したりと、経理のさまざまな業務に役立てられるでしょう。
そのほか、Accessの入力データをもとに、Excelマクロで自動計算、消込処理などもおこなえます。
Webデータの収集
経理業務に必要なWebデータの収集にExcelマクロを活用することで、正確かつスピーディーにデータを収集できます。収集した情報を一覧表にまとめたり、グラフ化したりすることも可能なので、生産性の向上が見込めるでしょう。
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経理で役立つExcelマクロの勉強方法
経理で役立つExcelマクロには、次のような勉強方法があります。自身に合った方法で習得を目指しましょう。
無料のExcelマクロサイトを活用して勉強する
方法のひとつは、無料で閲覧できるExcelマクロの勉強サイトを活用して、基礎的な知識を身につけることです。たとえば「Excelマクロ 入門 学習サイト」などのキーワードで検索すると、基礎からレクチャーしてくれるWebサイトがヒットします。はじめてExcelマクロを学ぶのであれば、無料サイトからスタートするのがよいでしょう。
学習のポイントは、サイトを見るだけではなく、実際にExcelを開き、コードを打ち込み動かしてみることです。実際に動かすことで、実践的に理解しやすくなるでしょう。
ただ、確実に身につくまでは時間も必要です。練習を繰り返して、知識を自分のものにしていきましょう。
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Excelマクロ専門書を活用して勉強する
Excelマクロの専門書を使って勉強するという方法もあります。できればWebサイトで勉強してからのほうが、スムーズに進められるでしょう。
まずは、初心者向けの書籍で理解を深めてから、応用編、目的に応じた実践編へとステップアップすることをおすすめします。
専門書で勉強を進める際には、無料サイトでの学習と同様、実際にExcelを操作することが大切です。「読んだら試す」を繰り返すことで、マクロの扱いに慣れることができます。
スクール・オンライン講座を活用して勉強する
無料サイトの活用や専門書での勉強で、Excelマクロの使い方は十分に覚えられます。しかし、独学で進めると、スキルが身につくまでに時間がかかるため、「早くスキルを身につけたい」「自分で勉強を進めるのが苦手」と感じている方にはスクールやオンライン講座がおすすめです。
さまざまな講座があるため、料金や受講スケジュール、学べる内容などを確認してから学び先を決めましょう。口コミやレビューを参考にするのも一つの手です。
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Excelマクロを活用して経理業務を効率化しよう
Excelマクロとは、Excelで繰り返しおこなう作業を自動化できるプログラムのことです。請求書をはじめとした書類の作成や、大量のデータの集計・分析をおこなう経理業務の効率化に適しています。Excelマクロを活用すると人の手での作業が減少するため、ミスを軽減できるでしょう。
なお、Excelマクロを活用するには、一定の知識が必要です。本記事ではExcelマクロの勉強方法もご紹介したので、ぜひ参考にしてください。Excelマクロを経理業務に活用して、業務の効率化を図りましょう。
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