経理に求められるパソコンスキル|スキルアップのコツやおすすめの資格
ビジネスに欠かせないパソコンスキル。専門知識や正確な数値管理が必要な経理業務において、パソコンスキルはどの位あればよいのでしょうか。本記事では経理に求められるパソコンスキルとは?パソコン以外のスキルやスキルアップのコツ・おすすめの資格について解説します。
目次
経理に求められるパソコンスキルとは?
経理業務は経理精算や確定申告など、お金の計算や調整・報告といった業務がメインです。近年の経理業務は電子化が進んでおり、パソコンでの作業も増えています。
経理に求められるパソコンスキルには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、経理業務に欠かせないパソコンスキルについて解説します。
Excelスキル
Excelは、表計算や図表の作成・文書の作成といった作業ができるITツールで多くの企業で活用されています。Excelを用いた経理業務では、帳簿付けや給与計算・勤怠管理・請求書作成などを行います。そのため、経理の仕事に就く方にはExcelのスキルが必要不可欠です。
Excelで特に使用する機能は、関数です。関数とは計算する際に使用される数式で、SUMやIF・AVERAGEなどさまざまな関数があります。これらを使用すると、合計値の計算はもちろん、消費税の計算や平均値の割り出し、源泉徴収税額の計算などが簡単に行えます。
お金の計算を担う経理業務でExcelは欠かせないツールです。そのため、経理の仕事に就く際や就職を目指す場合は、まずExcelの知識とスキルを高めることをおすすめします。
▷経理業務はエクセルで効率化!覚えておくべき関数やスキルを紹介!
Wordスキル
Wordは、Excelと同じくMicrosoft社が提供しているITツールです。Wordでは文書の作成や図表の作成・画像を使用した文書の作成などができます。
Wordもほとんどの企業で使用されているツールで、経理業務に就く際はWordを使用できることが前提とされるケースも少なくありません。経理業務においては、請求書や書類・データの添え状の作成・キャッシュフロー表の作成といったシーンで活用できます。
Wordを使用する際は、コピーやペーストなどショートカットキーの使用で作業効率が向上します。Wordを使いこなせるスキルがあれば、経理業務で重宝されるでしょう。
タッチタイピングスキル
タッチタイピングとは、文書や数字を打ち込む際にキーボードを見ず入力するスキルです。タッチタイピングができると手元を見る時間が軽減されるため、作業効率がアップします。経理業務においては、データ入力や書類の作成といった事務作業も多いため、タッチタイピングのスキルが必要とされます。
またタッチタイピングができるようになると、目を手元と画面に向けて上下に動かす必要がなくなるため、作業にかかる身体的な負担を軽減できる点も嬉しいポイントです。将来的に長く経理の仕事に就きたいと考えている方は、タッチタイピングスキルの習得をおすすめします。
ショートカットスキル
ショートカットとは、あらかじめ設定されているキーを使用して入力作業を省略させる機能です。代表的な例としては、コピー&ペーストが挙げられます。Windowsでよく使用されるショートカット機能は以下の通りです。
- Ctrl+C:コピー(複製)
- Ctrl+V:ペースト(貼り付け)
- Ctrl+X:カット(複製して切り取り)
- Ctrl+A:オール(全選択) など
このような機能を使用することで、WordやExcelを効率的に操作できるようになります。業務効率をアップさせたいときには、ショートカット機能の使用がおすすめです。
経理ソフトの操作スキル
経理担当者には、業務の際に使用するソフトを操作するスキルも求められます。経理業務で使用されるソフトには、以下のようなものがあります。
- 会計ソフト
- 販売管理ソフト
- 在庫管理ソフト
- 勤怠管理ソフト など
特に、経理業務には会計ソフトが欠かせません。会計ソフトでは、日々の支出入を入力したり、帳簿管理・決算書の作成・確定申告をしたりと一連の作業が行える仕組みになっています。
操作性の高いデザインになっているものが多いですが、中には会計や簿記の知識がないと操作が難しいものもあるため注意が必要です。どのようなソフトでも基本的な操作はできるように、普段からITツールに触れるなどして慣れておくことをおすすめします。
▷経理事務とはどのような仕事?仕事内容や必要なスキル・他の事務との違いを解説
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経理に求められるパソコン以外のスキル
経理業務の際に求められるパソコン以外のスキルには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、あると役立つスキルを6つ紹介します。
情報を適切に収集するスキル
経理業務において、情報を収集し分析する力が必要です。たとえば、確定申告に際して各省庁のホームページから税制改正の最新情報を収集することがあります。その際、「どこにどの情報があるか」「いつどの情報を確認すればよいか」といったことを先読みして必要な時期に必要な情報を入手する能力が求められます。
常にアンテナを巡らせ、新しい情報をチェックするよう心がけましょう。情報収集能力が身についていると、早い段階でミスを発見できるようになったり、新しい書類を前もって準備しておけるようになったりと業務に活かせます。
危機管理に関するスキル
経理業務では、会社の財政状況や従業員の給与などの個人情報から企業の機密情報までさまざまなデータを管理するため、危機管理の能力も必要不可欠です。経理業務で起こりやすいミスには、次のようなものがあります。
- 書類を紛失してしまった
- 別の取引先にデータを送ってしまった
- 顧客情報を誤って削除してしまった など
特に大きな問題となるのが、情報漏洩です。公開してはいけない情報が外部に流出することで、企業としての信用を失う恐れがあります。「ITツールにはウイルス対策を施す」「メールでデータを送信する際は鍵をかけてパスワードを付ける」など、危機管理を徹底しましょう。
要件定義スキル
要件定義スキルとは、システムの進め方を決める作業(能力)のことです。通常は、エンジニアがシステム開発の際に活用するスキルとして使われます。
経理業務の多くはルーティンワークとなっており、AIやロボットを使用したITツールでの自動化が進んでいるのが現状です。業務内容を自動化させるにあたり、「どのようなことをしてほしいか」をエンジニアへ明確に伝える必要があります。その際に必要となるのが要件定義スキルです。
要件定義スキルを磨くためにも、普段から「どのような業務があるか」「どの順番で行っているか」「最終的にどうなってほしいか」といったことを明確にして、まとめる癖を付けましょう。
財務状況を分析するスキル
財務状況を分析するスキルも、経理業務の担当者に求められる能力のひとつです。特に経理部署で上の役職に就く際には、利益や損失の金額・キャッシュフローなど、会社全体の財務状況を把握しながら経営戦略を立てなければなりません。
長く経理の仕事を続けていくためにも、経済感覚を身に付けましょう。世界経済の動向を確認する・株価の分析をする・社会情勢に関する知識を深めることで、経済感覚が少しずつ磨かれていきます。
業務自動化に関するITスキル
経理業務を滞りなく遂行するためには、ITツールに関するスキルを身に付けることも大切です。近年は業務の自動化が進んでおり、RPAやOCRといった技術とAIを融合させたITツールが開発・提供されています。これらのITツールはデータ入力や文書のスキャニングを自動化するもので、活用すれば経理業務の効率化を実現できます。
ただし、ITツールを操作するのが苦手な方やパソコンをあまり利用しない方がいると、ツールの使い方や基本的なルールの教育に時間がかかってしまいます。結果として、その分の業務時間や人件費が余計にかかる可能性があるでしょう。どのようなITツールが導入されても、マニュアルを見れば操作できる程度のスキルは身に付けておくことをおすすめします。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、特に管理職やリーダーを務める方に必要とされるスキルです。経理業務はチームで進めることが多いため、協調性やチームワークが求められます。コミュニケーションが上手くできていない場合、「連絡不足により、業務が滞ってしまう」「業務量の多いメンバーをサポートできていない」といったトラブルが発生する恐れがあります。
上の役職の方は、できるだけコミュニケーションを取るようにしてチームのバランスを整えましょう。また、従業員同士のコミュニケーションを活性化させるのもひとつの方法です。「コミュニケーションが取りやすくなるITツールを導入する」「社内イベントを行う」などしながら、チームワークを高める必要があります。
▷経理業務が属人化しやすい原因とは?解消する方法やおすすめのソフト
経理のスキルアップのコツ
経理に必要なスキルを向上させるためには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、具体的なスキルアップのコツ・方法について解説します。
経理の実務経験を積む
経理業務は会社のお金を扱うため、責任が大きく小さなミスの発生もできるだけ避けるべきです。そのため、経理業務の担当者には豊富な経験や実績のある方が重宝されます。特に転職の際は、「実務経験が3年以上」「未経験者不可」といった条件が求められていることも多く、即戦力が求められます。
経理業務をこなした経験が少ない場合は就職が不利になる可能性もあるため、できるだけ実務経験を積むようにしましょう。なお、未経験者で経理を目指す場合は、「派遣社員として経験を積む」「条件の緩い求人に応募する」といった方法も有効です。経理のスキルをアップさせるためには、コツコツと業務をこなし経験値を高める必要があります。
パソコン・タイピング学習講座を受講する
パソコンの操作やタイピングのスキルを高めるのもひとつの方法であり、WordやExcel・会計ソフトなどを使用する際に役立ちます。
スキルアップを目指す際は、学習講座の受講も検討しましょう。学習講座でパソコンやITツールの操作方法を学ぶことで、独学と比較すると学習にかかる時間を短縮できる可能性があります。
また、正しい情報を講師から直接教えてもらえるため、間違って自己解釈してしまう心配がありません。パソコン操作やタイピングのスキルが身につけば、経理業務を効率化できるでしょう。
ネットワークについて学ぶ
経理業務では、クラウド型のITツールを使用することも多いでしょう。クラウド型ツールの場合、オンライン上での会計管理やデータ確認ができる利点がある一方で、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが発生します。
「何となく」でツールを利用すると、本来の使い方と異なっていたりやるべきセキュリティ対策ができていなかったりする可能性もあるため注意しましょう。ネットワークの構造やセキュリティ対策の方法・バックアップの重要性などを事前に確認しておくことで、適切にITツールを利用できるようになります。
経理に関連する資格を取得する
経理に関連する資格を取得するのもおすすめの方法です。経理業務では、税理士や公認会計士といった特別な資格は必要ありません。しかし、お金に関わる業務を行うため、以下のような資格を保有しているとスキルアップに有利になるでしょう。
- 日商簿記2級
- 電子会計実務2級
- MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト) など
また、海外と取引がある企業では「TOEIC」や「IELTS」「実用英語技能検定」などの資格・検定も重宝されます。経理業務に付随する業務で役立ちそうな資格を探し、取得を目指しましょう。
▷経理の仕事は将来なくなる?懸念されている理由や経理として活躍し続ける秘訣
経理のスキルアップに役立つおすすめの資格
ここでは、経理の仕事で役立つスキルアップにおすすめの資格を6つ紹介します。今後経理業務でスキルアップしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
日商簿記検定
日商簿記検定とは、企業の営業活動に必要な記録・計算・整理の能力を数値化する検定試験です。日商簿記の勉強をすることで、会計知識や財務諸表の読み方、経営状況を分析する力などが身につきます。
簿記検定は3種類ありますが、日商簿記検定は日本商工会議所が運営する簿記検定で、年間約52万人が受験する知名度の高い検定試験です。初級・3級・2級・1級と4段階に分けられており、2級以上を保有していると実務で役立つでしょう。階級が上がるにつれて難易度も資格の評価も上がっていきます。
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
WordやExcelなどのマイクロソフト社が提供するツールで、利用スキルや知識を証明する資格で、一般レベルと上級レベルの2レベルが用意されています。
試験科目や内容に関連性はないため、はじめから上級レベルを受験しても問題有りません。なお、マイクロソフトの製品は定期的にバージョンが更新される仕組みになっており、MOSの試験でもバージョンごとに内容が異なります。
マイクロソフト社のツールは世界的で利用されているため、MOSの資格は国際的にも役立つスキルです。「将来外資系企業に務めたい」「海外進出が盛んな企業に就職したい」と考えている方にもおすすめです。
電子会計実務検定
電子会計実務検定は、日商簿記検定と同じく日本商工会議所が行っている検定試験で、会計ソフトを使いこなす能力を証明するための資格です。試験は実際の会計ソフトが利用される内容で、実務に関するスキルが問われる資格です。
電子会計実務検定は1級から3級まであります。3級や2級は選択方式が主ですが、1級は記述方式が基本となっており難易度が上がります。試験で使用される会計ソフトやバーションは商工会議所のホームページに記載されているため、事前に確認することをおすすめします。
給与計算実務能力検定試験®
給与計算実務能力検定試験®は、給与計算の能力を証明するための検定試験です。内閣府から認可を受けている一般財団法人職業技能振興会と、一般社団法人実務能力開発支援協会が共同で開催しています。
給与計算実務能力検定試験®に合格するためには、給与の計算スキルだけでなく、社会保険や税務・労働法令などに関する幅広い知識が必要す。
検定は1級と2級があり、2級は年に2回試験が開催されますが、1級は年に1回しか試験を受ける機会がないためしっかりと勉強をしてから挑むことをおすすめします。検定は知識問題と計算問題が出題され、7割以上の正解率で合否が決まります。
経理・財務スキル検定
経理・財務スキル検定(FASS検定)は、経理や財務に関する知識と実務スキルの習得度を証明する検定試験です。経済産業省の委託事業として、日本CFO協会が開催しています。
資産・決算・税務・資金の4分野から出題され、売掛債権や固定資産の計算・法人税等申告の作成などの業務で使用する知識やスキルが問われます。なお、試験は合否判定ではなく評価制で、1から5段階でスキルの成熟度が判定されます。
経理事務パスポート検定
経理事務パスポート検定は、日本CFO協会とパソナが共同開発した検定試験です。経理や財務の能力よりも、事務を行う際に必要となる経理知識が問われる内容になっています。そのため、経理部署での事務を目指す方に最適な資格です。
試験内容は、経済産業省が発表している「経理・財務サービススキルスタンダード」に準拠しており、1級から3級の3段階に分かれています。売上業務や小切手管理・現預金管理など実務で活用できる問題が出題されるため、即戦力として使えるスキルが身につくでしょう。
ビジネス会計検定試験®
ビジネス会計検定試験®は、財務諸表に関する知識や分析力を証明する検定試験です。大阪商工会議所が主催する検定で、2007年7月から開始された新しい試験です。2級と3級があり毎年3月と10月の2回実施されます。
ビジネス会計検定試験®へ合格するには、財務諸表に記載された数値の意味を理解し、企業状況を分析する力が求められます。この検定試験を受験するにあたって勉強をすることで、実務の際に役立つ知識を習得できるでしょう。
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資格を取得し経理のスキルアップを図ろう
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