業務自動化とは?DX時代に必要な理由や導入するメリット・進め方

最終更新日時:2023/02/13

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高齢化による人材不足や働く環境の変化など、企業には問題が山積みです。改善する手段のひとつとして、新しい技術を取り入れる業務自動化が注目されています。本記事では、業務自動化とは何か、必要とされる理由から導入方法や効果まで解説します。

業務自動化とは?

業務自動化とは、かつて人間が行っていた業務をIT技術によって自動化することです。

例えば、定型的なルーティン作業・データの検索・簡単な表作成などが挙げられます。業務の自動化を進めることで作業効率が上がるので、従業員の負担を軽減することが主な狙いです。

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業務自動化が必要とされている理由

業務自動化が必要とされている理由には次のような項目があります。

  • 少子高齢化によって働き手が減少している
  • 働き方改革による業務方針の変更

それぞれ解説します。

少子高齢化によって働き手が減少している

少子高齢化による働き手の減少しているからです。内閣府が発表した「令和2年版高齢社会白書(全体版)」によると、日本の総人口は1億2617万人で65歳以上人口は3589万人です(2019年10月1日現在)。上記のデータを計算すると、高齢化率は約28.4%です。

また、高齢化の傾向が続くと、2065年には約3.9人に1人が75歳以上になると予測できます。労働人口そのものが不足するため、業務自動化の必要性が高まっています。

参考:内閣府「高齢化の状況

働き方改革による業務方針の変更

働き方改革の推進で、業務方針変更の流れが形成されたことも理由の1つです。残業時間の削減や有給の積極的な消化が推奨され、時短勤務という選択肢を選ぶ人も増えています。多様性を重視した働き方を実現しながら経営目標を達成するには、業務の自動化が必須です。

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業務の自動化が進まない原因

業務の自動化は少子高齢化や働き方改革が進む中で重要ですが、なかなか計画が思ったように進まない企業が目立ちます。ここからは、業務の自動化が進まない原因について解説します。

業務効率化に詳しい人材がいない

社内に業務効率化について詳しい人材がいないことが大きな理由です。DX化を推進できる人材がいないため、新規システム導入などが積極的に進められていない企業が多くあります。

問題意識が低い

従業員の問題意識が低いことも理由の1つです。「業務の自動化を進めなければならない」と考えていても、具体的な施策を実施できる企業は多くありません。日々の業務で手一杯になっており、施策の実施が先延ばしされてしまいます。

会社内のITリテラシーが低い

社内のITリテラシーが低いと業務の自動化は進みません。特に上層部のITに関する知識が足りないと、どんなに従業員から業務システムの自動化が提案されても実現は見込めないでしょう。

自動化に向いている業務の種類

自動化に向いている業務には、いくつかの種類があります。主な種類を、部門ごとに表でまとめました。

人事・労務部門
  • ルーティン化された書類作成
  • 新規取引先の情報収集
  • 従業員の労働時間管理
  • 人事考課管理
  • 求人応募者の管理
  • 入退社手続き
  • 給与明細作成
経理・財務部門
  • 売掛確認、入金
  • 買掛確認、支払
  • 交通費の精算
  • 資産管理
  • 請求書作成
営業部門
  • 見積書作成
  • 受注業務
  • 発注業務
  • 市場調査
マーケティング部門
  • データ抽出
  • データ分析

業務自動化で用いられる手段

業務自動化を進める際によく用いられる手段には、どのようなものがあるのでしょうか。実際に用いられている手段について解説します。

RPA

RPAとは「Robotic Process Automation」の略でアナログ作業をデジタル化するツールです。ヒューマンエラー発生の心配がないため、データ抽出やメール送信などに役立ちます。ただし、AIのような学習能力はないので、イレギュラー要素を含む業務には向いていないでしょう。

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マクロ

マクロとはOffice製品を使った業務を自動化できる機能です。Excelの業務を効率化したい時に活躍します。しかし、プログラムを書く必要があるため、専門知識がなければ導入は難しいでしょう。

AI

AIは学習能力を備えた人工知能です。開発までの難易度は高いですが、柔軟性のあるデータ分析ができます。膨大なデータに基づいて次回以降のアクションを決定するため、大規模なビジネス予測も可能です。

ETL

ETLとは「Extract・Transform・Load」の略です。複数のデータベースからデータを抽出・変換し、DWH(データを保管するシステム)に書き出します。さまざまなデータを統合して管理できるため、円滑なデータ分析が可能です。

業務自動化で得られるメリット

業務を自動化することで、いったいどのようなメリットが得られるのでしょうか。

生産性の向上が見込める

少ない負担で大きな成果を残せるので生産性の向上が見込まれます。生産性を向上することで、クリエイティブな業務や新規事業の構想などにリソースが使えるようになり、業績アップも期待できます。

また、ルーティン要素の強い業務を従業員に任せることもなくなるため、事業成長だけではなく個々の社員の成長にもつながります。

コストを削減できる

業務を自動化すると、長時間残業や人材の新規雇用が必要なくなるので、人件費などのコスト削減が可能です。新規ツールの導入にはもちろん費用がかかりますが、総合的に考えるとコストの抑制につながります。

人件費を節約できることにより、別の事業や部門に予算を割けるようになるので会社として成長できるメリットもあります。

人為的な失敗を防止する

単純作業を自動化することで人為的な失敗やミスを防止できます。業務のクオリティが高くなるので、企業の信頼度も向上するでしょう。ヒューマンエラーの頻発に悩まされている企業は、迅速な自動化がおすすめです。

単純なミスがなくなるので、作業の二度手間や確認と言った工程がなくなるのもメリットと言えます。

業務自動化で生じるデメリット

業務自動化には、メリットだけではなくデメリットも存在します。両方の観点から特徴を学び、正しい知識を身に付けましょう。

導入や運用のコスト

業務を自動化するには、新しいシステムやツールの導入コストやランニングコストがかかります。決して安くないので、複数のサービスを比較検討して適切なものを選びましょう。

導入・運用にかかるコストが高額になると、費用対効果を実感しにくく継続して利用ができなくなるので注意が必要です。

業務のブラックボックス化

実際の業務内容を知る従業員がいなくなり、業務がブラックボックス化してしまうのもデメリットの1つです。ネットワークの通信エラーや運営側のトラブルでシステムが使用できなくなった場合に、業務が一切実施できなくなる可能性があります。

業務自動化を実現させるための手順

業務自動化を導入する際は、どのような手順を踏めばいいのでしょうか。5つのステップに分けて解説します。

ペーパーレス化

社内でペーパーレス化を促進させましょう。例えば、紙媒体で整理していた書類をスキャンしてデジタル化したり、従業員に会議資料用のタブレットを配布したりすることでペーパーレス化が促進できます。

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データベースの構築

社内で取り扱うデータを集め、データベースを構築します。データの検索にかかる手間が削減されて、データベースそのものが企業の資産になるでしょう。将来的には、高精度なデータ分析もできるようになります。

自動化範囲の選別

自動化を行う範囲を選別しましょう。従業員が実施している業務をすべて洗い出し、自動化が可能な業務をリスト化するとわかりやすいです。一気に複数の業務を自動化すると現場が混乱するので、実施しやすい業務を優先して取り組んでください。

導入手段の選定

自動化する業務が決まったら、導入手段を選定します。プログラミングなどの専門知識が必要かどうかや、システム導入にかかる金額の詳細などを詳しく調べてください。無料トライアルがあるシステムもあるので、活用した上で自社に合った導入手段を選びましょう。

効果の検証と改善

業務自動化後は、定期的に効果の検証と改善を行います。従業員にアンケートを取り、使いにくい部分や直してほしい部分をヒアリングすることが必要です。システムを放置しないように、積極的なブラッシュアップを続けましょう。

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業務自動化の実現に向けた注意点

業務自動化を実現させるには、さまざまな注意点に気をつけなければなりません。

適した人材の確保や育成が必要

適した人材の確保・育成が必要です。システムやツールを安全に運用するためには、トラブル発生時に対応できる人材が求められます。人材はなるべく複数人を育成し、属人的な業務にならないよう配慮しましょう。

導入目的を明確にする

導入目的を明確にすることにも注意してください。「人件費を削減する」「残業時間をカットする」といった具体的な目標を設定しないと、現場のモチベーションが維持できず、従来の方法に戻ってしまう可能性があります。

セキュリティ対策を取る

セキュリティ対策を取るのも非常に重要です。大切なデータを守るために、セキュリティソフトは確実に利用してください。定期的にセキュリティに関するセミナーを開催し、従業員のITリテラシーを高める方法も効果的です。

サポート体制を確認しておく

新しくツールを導入する際は、サポート体制が充実したものを選びましょう。電話・メール・チャットツールなど複数の相談形式が用意されたサービスだといざという時にすぐ問題を解決できます。

いざというときに相談できるベンダーがいれば、思わぬトラブルを防止できて心強い存在になります。

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業務自動化を実現させた主な事例

業務自動化を取り入れて成功を収めた企業は、業種を問わずにあります。各業界ごとに、代表的な事例を説明します。

医療業界の事例

名古屋大学医学部附属病院は、2019年からRPAを導入したことで、定型的な事務作業を自動化しました。結果として、スタッフがより重要性が高い業務に専念できるようになり、労働時間が改善されました。

金融業界の事例

GMOクリック証券株式会社は、2017年から証券業務だけでなく、人事総務・財務・企画など、さまざまな部署に自動化システムを導入しました。「問題点を改善していく」という全社的な風土を形成することが目的だったそうです。

サービス業界の事例

NECマネジメントパートナー株式会社は、複数のRPAを導入したことで、年間20万時間の労働時間を削減できました。業務効率化によって、在宅勤務の推進もスムーズに進んだそうです。

製造業の事例

三菱重工業株式会社は、2018年にRPAツールを導入し、製造の工数を大幅に削減しました。RPA技術者の育成にも力を入れており、企業全体で業務の効率化に取り組んでいます。

メディアの事例

株式会社テレビ朝日サービスは、2016年から自動化システムを取り入れ、番組分析・機器管理・監査業務などをDX化しました。業務自動化を導入したことで業務の無駄を大幅に省き、年間50,000時間の労働時間を削減したそうです。

業務自動化とはIT技術を取り入れて効率化を図ること

業務自動化とは、IT技術によって人間が行っていた業務を自動化することです。自社に適したシステムやツールを導入すれば、多くのメリットがあるのでおすすめです。本記事で紹介した内容を参考に、自社の労働環境を改善してみましょう。

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