グリーンボンドとは?基本概要から投資するメリット・デメリットを解説

2022/9/19 2022/09/19

SDGs

グリーンボンドのデザインイメージ

新しい事業を始めるには資金を調達しなければなりません。国内外で環境問題の解決を目的とした事業に必要な資金を調達するために発行される債券がグリーンボンドです。この記事では、グリーンボンドの基本概要と種類、発行・投資するメリットとデメリットなどを徹底解説します。

グリーンボンドとはどのような債券?

グリーンボンド(Green Bond)とは、企業や地方自治体などが環境改善のプロジェクトに要する資金の調達を目的に発行される債券です。主なプロジェクト例としては、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換や、環境汚染の防止・管理などが当てはまります。

グリーンボンドの特徴

グリーンボンドには、他の債券とは異なる3つの特徴があります。

  • 調達資金の使途が限定される
  • 調達資金の活用が追跡管理される
  • 投資家に対する報告義務が発生する

グリーンボンドで集めた資金は、グリーンプロジェクト(環境問題を解決するための事業)以外には活用できません。さらに勘定科目の細分化や入金口座の開設など、調達資金の追跡管理の仕組み構築が求められることに加え、プロジェクトによる環境改善効果を投資家に報告する必要があります。

この3点で資金の透明性が担保されることで、グリーンプロジェクトによる社会的支持を得やすくなるのが、グリーンボンドの特徴です。

グリーンボンド発行の条件

グリーンボンドの発行に関しては、発行体によって細かな条件が異なります。そのうえで、ベースには一定の共通点があり、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)や、環境省のグリーンボンドガイドラインが用いられています。

大枠の条件として採用される傾向が多いものは、次の5点です。

  • 調達資金の使途
  • プロジェクトの評価・選定プロセス
  • 調達資金の管理
  • レポーティング
  • 外部機関によるレビュー

グリーンボンドの適格性においては、環境省が参考資料としてチェックリストを公開しています。各項目の優先順位や求められている水準を理解するためにも、事前に確認しておくと良いでしょう。

[出典:環境省 グリーンファイナンスポータル「「グリーンボンドに期待される事項」のチェックリスト」]
[出典:ICMA「グリーンボンド原則 2021 グリーンボンド発行に関する自主的ガイドライン2021 年6 月」]

グリーンボンドとESG投資の関係

ESG投資とは、投資先の財務情報だけでなく、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の観点も踏まえて、投資判断を行うための考え方です。

ESG投資での主な投資方法としてSDGs債があり、グリーンボンドはその中の1つとして存在しています。

グリーンボンドの現状

ここでは投資家の人気や市場の動向から、グリーンボンドの現状について解説します。

利回りに関係なく人気がある

グリーンボンドへの投資は、他の債券よりも利回りが低くなる傾向にあります。しかし、そのような事象が起きても、グリーンボンドの人気は衰えることがありません。

その背景には、グリーニアムと呼ばれる現象が関係してきます。グリーニアムとは、グリーンボンドに付帯するプレミアムという意味の造語です。

グリーンボンドでは、投資家が金利や価格よりも、将来的な価値を重視することで、利回りの低さを許容するという現象が起きています。これは世界各国の中央銀行が、グリーン投資に対する後押しを実施していることも関係しているようです。

市場は拡大傾向にある

近年は世界共通の開発目標であるSDGsの存在で投資家の環境意識が高まっており、その影響でグリーンボンド市場も拡大傾向にあります。

世界市場でのグリーンボンド発行額は、2013年の150億米ドルから、2021年は5,862億米ドルまで拡大しています。欧米やアジア太平洋を中心に、発行体やプロジェクトの多様化が進んでいる状況です。

日本におけるグリーンボンド発行額は、2014年の337.5億円から2021年には1兆8,650億円まで拡大し、2018年から件数も飛躍的に増加しています。プロジェクトだけでなく、発行体の業種も多様化しており、幅広い法人・自治体がグリーンボンド市場に参入していることが分かります。

[出典:環境省 グリーンファイナンスポータル「市場普及状況(国内・海外)」]

グリーンボンド原則が示す4種類の債券

国際資本市場協会(ICMA)が発行するグリーンボンド原則(GBP)では、グリーンボンドの種類として次の4つが挙げられています。

  • 標準的なグリーンボンド(Standard Green Use of Proceeds Bond)
  • グリーンレベニューボンド(Green Revenue Bond)
  • グリーンプロジェクトボンド(Green Project Bond)
  • グリーン証券化ボンド(Green Securitized Bond)

ここでは4つのグリーンボンドについて、1つずつ解説していきます。

1.標準的なグリーンボンド(Standard Green Use of Proceeds Bond)

いわゆる一般的なグリーンプロジェクトの資金調達で発行される債券です。償還の財源が限定されておらず、発行体が有する現金など、キャッシュフロー全体を原資とする特徴があります。

2.グリーンレベニューボンド(Green Revenue Bond)

グリーンプロジェクトの中で、廃棄物処理事業をはじめとする公益性の高いプロジェクトが発行対象となる債券です。償還の財源として、プロジェクトで発生した収益のみを原資とする特徴があります。

3.グリーンプロジェクトボンド(Green Project Bond)

再生可能エネルギー発電事業など、単一あるいは複数のグリーンプロジェクト施設の設備・運営費などを使途とするプロジェクトが発行対象となる債券です。

グリーンレベニューボンドと同様に、プロジェクトで発生した収益のみを原資として償還を行う特徴があります。

4.グリーン証券化ボンド(Green Securitized Bond)

グリーンプロジェクトに関連する資産を担保に発行する債券です。太陽光発電システム、電気・水素自動車などの資産担保証券(ABS)が該当し、資産のキャッシュフローを原資として償還を行う特徴があります。

グリーンボンドが持つメリット

ここではグリーンボンドの発行・投資に関するメリットをそれぞれご紹介します。

発行に関するメリット

企業にとっては、グリーンボンドの発行自体に価値があります。企業がグリーンボンドを発行することは、社会に対して環境問題に取り組むスタンスを示すことにつながるのです。

カーボンニュートラルやエシカル消費など、環境問題に対する意識が高まる現代において、グリーンボンドの発行はプロジェクトの成否にかかわらず、企業のイメージアップにつながる可能性を秘めています。

また、環境問題に対する取り組みにおいては、サプライチェーン全体での改善が重要です。そのため、サプライチェーン上で関わる企業との連携を強化するうえでも、グリーンボンドによる資金調達は有効であるといえるでしょう。

投資に関するメリット

グリーンボンドへの投資は、ESG投資の観点から持続可能な世界構築に対する支援のスタンスを社会に示すことにつながります。

また、グリーンボンドは株式や他の債券と比べて、価格連動性が低いという特徴があります。そのため、投資家はグリーンボンドへの投資を通じて、分散投資によるリスクヘッジと、社会活動によるイメージアップを両立することができるでしょう。

グリーンボンドが持つデメリット

グリーンボンドの発行・投資にはメリットがある反面、デメリットも存在します。

発行に関するデメリット

グリーンボンドは調達資金の使途制限があり、環境事業のみにしか活用できません。そのため、環境分野に縁遠く、資金力に余裕のない中小企業の場合、新規事業としてプロジェクトを立ち上げるのが難しく、発行のハードルが高いというデメリットがあります。

また、グリーンボンドは外部機関のレビューを受けることが推奨されており、発行にも手数料がかかります。これらのことから、資金力や人材力に余力があり、社会的責任を強く求められる大企業以外は、グリーンボンドを発行するメリットは決して大きくないでしょう。

投資に関するデメリット

グリーンボンドは事業の有効性や資金の使い道など、投資家の判断力を問われる部分が多いです。ここを見誤ってしまうと、期待した環境改善効果が得られないばかりか、グリーンウォッシュ債券に投資する可能性が高まってしまいます。

グリーンウォッシュ債券とは、環境改善の効果が見込めないプロジェクトを有効だと主張する、あるいは調達資金をグリーンプロジェクトに充当しているかのように偽装するなど、実態と乖離のある債券を指します。

グリーンボンドを通じて環境改善に貢献する場合、投資先の信頼性はもちろん、グリーンプロジェクトの妥当性を吟味し、慎重に投資を行うことが重要です。

グリーンボンドの発行事例

ここでは日本と海外におけるグリーンボンドの発行事例をご紹介します。

日本での発行事例

日本で初めてグリーンボンドが発行されたのは2014年です。日本政策投資銀行がグリーンビルディング向け融資を使途として発行しました。以降、三井住友銀行、栗本ホールディングス、JAG国際エナジーが続き、エネルギー分野でのグリーンボンド発行が盛んになります。

2017年に環境省からグリーンボンドガイドラインが発行されてからは、金融・エネルギー業界以外の法人・団体も続々と市場に参入するようになりました。自治体、運輸、建設、製造、不動産、小売など、グリーンボンドの発行体の業種が広がり、資金使途となるグリーンプロジェクトの多様化も進んでいます。

海外での発行事例

日本初のグリーンボンド発行が2014年だったのに対して、世界初のグリーンボンド発行は2007年です。当時、欧州投資銀行(EIB)がグリーンボンドの基盤となる債券「Climate Awareness Bond」を発行しました。

その後、世界銀行によるグリーンボンド発行によって市場の基盤が形成され、着実に広がりを見せていきます。2014年に国際資本市場協会(ICMA)がグリーンボンド原則(GBP)を制定して以降は、民間企業や政府系金融機関の発行も増加しました。

そして、2015年の持続可能な開発目標(SDGs)の採択によって、その勢いは加速することになります。現在ではエネルギー、ビルディング、公共交通、水道、森林、水産、中央政府、教育など、幅広い分野のプロジェクトでグリーンボンドが発行されています。

グリーンボンドとは環境問題の改善に関する債券

本記事では、ESG投資によって拡大するグリーンボンド市場について解説しました。近年は世界共通の目標としてSDGsが掲げられたことで、グリーンボンドはソーシャルボンド、サステナビリティボンドによって構成されるSDGs債の1つとして注目を集めています。

環境改善や社会貢献に対する意識が高まる現代において、グリーンボンドによる環境事業の推進は、社会に対するメッセージにもなり得ます。グリーンボンドの発行を起点に、企業としてのパーパス(存在意義)を示すことで、社会的支持の獲得が期待できるでしょう。

環境事業を立ち上げる際は適格性を踏まえ、グリーンボンドでの資金調達を検討してみてはいかがでしょうか。

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