SDGsとCSRの違いとは?基本となる考え方や関係性について解説

最終更新日時:2022/10/07

SDGs

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世界が直面している問題を解決するため、SDGsが制定されました。取り組みに力を入れる企業が増える中、CSRという言葉も同じく耳にする機会が増えています。本記事では、SDGsとCSRの違いについて基本の考え方や関係性を解説します。

SDGsとCSRの意味

最近では、ニュースや記事でSDGsやCSRという言葉を耳にすることが増えてきました。しかし、よく聞く言葉ではあるものの、その意味を正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。

ここでは、SDGsとCSRの意味を解説していきます。

SDGsとは?

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、持続可能な社会の構築を目指すために設定された国際目標のことです。

2015年の国連サミットで採択されたSDGsは、17のゴールと169の達成目標(ターゲット)が存在します。ゴールとして掲げられているのは、世界が直面している社会的・経済的・環境的問題の解決です。具体的には、貧困や飢餓、気候変動や環境破壊などが解決すべき問題に含まれています。

2030年までの目標達成を目指すSDGsでは、各国の政府だけでなく、民間企業や市民団体、さらには個人に至るすべての人々のアクションが求められている点が特徴です。

CSRとは?

CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業における社会的責任を意味する言葉です。ここでいう社会的責任とは、企業が消費者や従業員、株主などのステークホルダーから信頼を得るために果たすべき行動やあり方を意味します。

企業活動が社会へ与える影響は、少なくありません。エネルギーの消費量や環境へ与える負荷は、個人とは比べものにならないでしょう。特に近年では、地球温暖化や環境破壊などが深刻化しているため、企業は利益を追求するのと同時に、社会への配慮が求められるようになりました。

CSRの活動例は、次のとおりです。

  • 環境保全を目的とした植林活動
  • 児童労働撲滅を掲げる非営利団体への寄付
  • 住みよい町づくりを目指したゴミ拾い運動

SDGsとCSRの違い

SDGsとCSRを混同してしまうケースも少なくありませんが、両者には大きな違いが存在します。

まず、SDGsは世界全体で掲げている開発目標のことです。SDGsの目標を達成するために、各国政府や非営利組織、民間企業などが一丸となって世界的な問題に取り組んでいます。

一方、CSRは企業が果たすべき社会的責任を意味する言葉です。企業は地域や社会と関わりながら活動する存在であり、社会をよりよくすることが企業の存続に繋がるという考え方です。

企業がSDGsやCSRに取り組むメリット

企業にとってプラスに働きそうなイメージがあるものの、SDGsやCSRに取り組むことの具体的なメリットが思い浮かばない人もいるのではないでしょうか。

SDGs・CSRに取り組むメリットをそれぞれ確認していきましょう。

SDGsのメリット

企業がSDGsに取り組む最大のメリットは、企業イメージの向上です。SDGsへの取り組みは社会貢献の色合いが強いことから、「社会に役立っている企業」という印象を外部へ与えられます。

最近では社会的な課題にアプローチしている企業を評価する風潮があるため、投資家や消費者にとって魅力的な企業に映るメリットも期待できるでしょう。

さらに、SDGsへの積極的な取り組みは、人材の確保にも繋がります。PRマーケティング会社のベイニッチが実施した調査では、「企業のSDGsへの取り組みが企業選びに影響した」と回答した就活生が、全体の8割以上を占めました。

このように、SDGsに取り組むことで企業は自社イメージの向上が図れるようになり、イメージアップにともない消費者や投資家、人材から広く認知されることが期待できます。

[出典:PR TIMES|「ベイニッチ 22卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」に関する調査実施」]

CSRのメリット

CSRもSDGsへの取り組みと同様に、企業の社会貢献意欲を対外的に示すものです。そのため、CSRに積極的に取り組んでいくことは、企業イメージの向上に繋がり、顧客や取引先からの信頼を高める効果が期待できます。

また、CSRへの取り組みは、従業員満足度を高める効果もあります。社会貢献活動に従事することで、「自分は社会の役に立っている」「自社で働けることが誇らしい」と思えるようになり、会社への帰属意識が高まるのです。

CSRを通じて従業員満足度を向上できれば、従業員それぞれのモチベーションが高まり、労働生産性アップも期待できるでしょう。

企業のSDGsやCSRの取り組みによるデメリット

企業がSDGsやCSRに取り組むことには多くのメリットがある一方で、気になるデメリットもいくつか存在します。それぞれのデメリットをみていきましょう。

SDGsのデメリット

企業がSDGsに取り組むデメリットのひとつに、成果が出しにくいという点があります。

SDGsは世界規模の目標であるため、企業単体で問題を解決することは不可能です。そのため、活動をスタートしても目に見える成果が現れず、消極的な姿勢に転じてしまう企業も少なくありません。

また、SDGsに取り組む際は「SDGsウォッシュ」に注意する必要があります。SDGsウォッシュとは、見せかけのSDGs活動を揶揄する言葉です。

表面上だけSDGsに意欲的な姿勢を見せようとする行為は、SDGsウォッシュとみなされ、企業イメージを大きく損なうリスクがあります。大手企業の活動であってもSDGsウォッシュと指摘されたケースもあるため、SDGsに取り組む際は入念な計画を心がけましょう。

CSRのデメリット

CSRのデメリットとしては、コスト増加や人的リソースの不足などが挙げられます。CSRに関連する活動は、慈善活動の意味合いが強いものです。

CSR活動が利益や売上に直結することは少なく、基本的にコストをかけながら活動を展開していく流れとなります。資金に余裕のない企業の場合、CSR活動が負担となるケースもあるでしょう。

また、CSRに取り組む際は、コストだけでなく人的リソースも必要です。人手不足に困っている企業にとって、貴重な人材を本業と関係のない活動に割くのは望ましくないでしょう。

長期的に取り組むほど多くのメリットが期待できるCSR活動ですが、短期的なコスト増加や人員不足が発生する可能性も視野に入れておく必要があります。

SDGsやCSRと関係のある言葉

SDGsやCSRに関連する言葉として、「CSV」と「ESG」という言葉があります。ここからは、それぞれの言葉の意味をチェックしていきましょう。

CSV

CSVとは「Creating Shared Value」の略称で、「共有価値の創造」を意味する言葉です。ハーバードビジネススクールの教授であるマイケル・E・ポーター氏が、2011年に発表した論文で提唱しています。

CSVをわかりやすくいうと、「本業を通じた社会問題の解決」を図る試みといえます。社会問題へ取り組むことが、結果的に自社の経済的利益に繋がる、という考え方がCSVの特徴です。

利益や売上に重きを置いている点が、CSRと異なる点といえるでしょう。

ESG

ESG(Environment Social Governance)とは、企業の長期的な成長に必要とされる要素(環境・社会・ガバナンス)を表す言葉です。投資を判断する際の新たな指標として、近年注目が集まっています。

ESGに関連した言葉として「ESG投資」があります。企業の財務情報だけでなく、環境や社会、ガバナンスへの取り組みも投資判断材料としている点が、ESG投資の特徴です。

SDGsやCSRと異なり、投資家の立場から使用されることの多い言葉です。

SDGs・CSR・CSV・ESGの関係性

それぞれの関係性を確認するために、各用語の特徴を整理した以下の表をチェックしていきましょう。

用語要請元特徴
SDGs国連

  • 国連が定めた国際目標
  • 持続可能な社会の実現を目的としている
CSR社会

  • 企業の社会的責任
  • 企業がステークホルダーからの信頼を得る手段のひとつ
CSV企業

  • 本業を通じて社会問題を解決する試み
  • 社会貢献が自社の経済的利益に繋がるとする考え
ESG投資家

  • 企業への投資判断に用いられる指標
  • 環境、社会、ガバナンスへの取り組みが、投資家の投資判断材料となる

関係性を一言で表すと、いずれの取り組みも「サステナビリティ(持続可能性)」を目指すものといえます。最終的な目標であるサステナビリティの実現へ向け、それぞれが密接に関わり合いながら展開している状態だと認識しておくとよいでしょう。

SDGsとCSRには明確な違いが存在する

SDGsが持続可能な社会の実現へ向けた開発目標であるのに対し、CSRは、企業における社会的責任を意味する言葉です。同じような言葉として認識してしまいがちですが、両者には明確な違いがあることを覚えておきましょう。

SDGsやCSRに取り組むことは、企業イメージや従業員満足度の向上に繋がります。短期的なコスト増大や人員不足を引き起こす可能性もありますが、長期的に取り組むことで多くのメリットが得られるでしょう。

SDGsとCSRの違いを理解したうえで、自社に必要な取り組みを検討してみてください。

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