業務改善報告書の書き方と様式について!記載項目やフォーマットを紹介

最終更新日時:2023/05/12

業務効率化・業務改善

業務改善報告書の書き方

作業の効率化や生産性の向上のために行われる業務改善。業務改善に向けた実施策の成果を報告するためにも、業務改善報告書の作成は大変重要です。そこで本記事では、そんな業務改善報告書の書き方について、記載する項目から一般的な様式まで詳しく解説していきます。

業務改善報告書とは?

業務改善報告書とは、企業や組織で業務の進捗状況や成果、課題などを報告するための書類です。主な目的は経営陣や上司、部門内のメンバーなどに対して、業務の現状を正確かつ明確に伝え問題点や改善点を指摘し、今後の業務計画や戦略についての提言をおこなうことにあります。

業務改善報告書は正確かつ具体的な内容を含み、読み手の立場に立ったわかりやすい表現が求められており、組織内外のステークホルダーとのコミュニケーションの手段としても利用されます。

業務改善報告書を作成することで業務の可視化が図られ、情報共有や意思決定のプロセスがスムーズに進むことが期待されるでしょう。

業務改善提案書との違い

業務報告書と業務改善提案書は、両方とも業務に関する書類ですが、その目的や内容には違いがあります。

業務報告書は、過去の業務実績や現状を報告するための書類であり、業務の進捗状況や成果、課題などを伝えることが主な目的です。また問題点や改善点を指摘し、今後の業務計画や戦略についての提言をおこないます。

一方、業務改善提案書は、業務の改善を提案するための書類です。具体的な課題点や改善案、その効果やメリット、コストや期間などの詳細な情報をまとめて提示します。目的は、業務プロセスの改善による効率化やコスト削減、品質向上など業務の改善に貢献することです。

業務改善提案書は、業務の改善に向けた計画を立てるための重要な資料であり、業務報告書の中で改善案を提示することもあります。ただし業務報告書と業務改善提案書は、目的や内容が異なるため、それぞれ別々に作成されることが多いです。

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業務改善報告書に記載する項目と書き方

業務改善報告書に記載する項目と書き方で押さえておきたい部分は、以下の通りです。

  • テーマ
  • 改善の目的・背景
  • 具体的な実施策
  • 改善により得られる効果
  • 改善に必要なコスト

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

テーマ

改善の対象となる業務プロセスや課題を明確にする「テーマ」は、業務改善報告書の中でも特に重要な項目です。

テーマを記載する際には、改善の対象となる業務プロセスや課題を具体的に表現したうえで、問題点や課題の原因を分析し、改善の目的や方針を明確に示します。そしてその改善案がどのように課題を解決するのか、またその効果やメリットについても明確な説明が必要です。

改善案の効果やメリットを数値化したり過去の実績や成功例を挙げることで、読み手に説得力を持たせます。テーマによっては実例や数値が必要な場合もあるため、適宜挙げるようにしましょう。

業務改善報告書におけるテーマは、改善の成否を左右する非常に重要な項目であり、時間をかけて十分に記述する必要があります。記述する際には、読み手が理解しやすいように、明確で簡潔な表現を心がけることも重要です。

改善の目的・背景

業務改善報告書において、改善の目的・背景を明確にすることで、改善の必要性や重要性を説明し、改善案の説得力を高める役割があります。

改善の目的は、生産性の向上や品質の向上、コスト削減など、改善をおこなう理由や目的を明確に示す項目です。改善案の策定や実施において、何を目指すのかを明確にすることが可能なため、方向性を示すうえで重要な項目となるでしょう。

また、改善の背景には、業務の煩雑化や品質不良などの改善をおこなう背景にある問題点や課題を明確にする項目です。

改善の目的・背景を明確にする際には、過去の実績や現状の課題、市場動向などの情報を取り入れ、客観的かつ具体的なデータや事実を示すことが重要です。さらに、改善の必要性や改善案の優位性を示すために、関連する企業戦略や業界トレンドなども参考にすることが大切といえます。

具体的な実施策

業務改善報告書において、具体的な実施策を明確にすることは大切です。具体的な実施策とは、改善のために具体的にどのようなアクションをとるかを示すことであり、改善の方向性を明確にし、改善の実現可能性を高める役割があります。

具体的な実施策は改善目的に応じて多岐に渡るものですが、一般的には以下のような内容が含まれます。

業務プロセスの見直しや再設計
業務プロセスにおけるムダや非効率な作業を洗い出して生産性の向上やコスト削減を目指す
情報システムの導入や改修
業務プロセスの自動化やデータの一元化などによって、業務の効率化や品質向上を図る
人材教育
業務プロセスに必要なスキルや知識を従業員に身につけさせ、業務の品質向上や生産性の向上を実現する
外部専門家の活用
業務改善に必要な知識や技術を持つ外部専門家を活用する

具体的な実施策を記載する際には、改善の目的・背景に合わせて、実施策の選定理由やメリット、実施時期や責任者などを明確に記載することが重要です。

また、実施策の具体性や実現可能性を高めるために「実施前の検証や評価」「課題やリスクの洗い出し」「評価指標の設定」などをおこなうことも大切でしょう。

改善により得られる効果

業務改善報告書において「改善により得られる効果」は、改善提案の中でも重要な項目の一つです。この項目では改善提案が実施された場合に、どのような効果が得られるかを具体的な数字や指標を用いて記載することが求められます。たとえば下記などが挙げられます。

  • 生産性の向上によるコスト削減効果
  • 品質向上による不良品率の改善
  • 業務プロセスの効率化による業務時間の短縮
  • 人材教育

また、改善によって得られる効果は、業務プロセスや業務環境に応じて異なります。そのため、まず現状分析や問題点の洗い出しをおこない、改善によってどのような効果が得られるかを具体的に検討することが重要です。

改善に必要なコスト

業務改善報告書における「改善に必要なコスト」は、改善提案を実現するために必要な費用や予算を記載する項目です。

主に下記などがあり、これらは改善提案によって改善に必要なコストが異なります。

  • 新しい設備の導入
  • ITシステムの開発や導入
  • 人員の追加やトレーニング
  • 施設の改修

そのため、改善提案に必要な投資額や維持費用、改善効果による収益予測などを評価し、改善提案が妥当であるかどうかを判断することが重要です。

また、改善提案に必要なコストが膨大な場合は、長期間にわたって改善を進めるなどの方法をとることで、費用を分散できるでしょう。

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業務改善報告書の一般的な様式・エクセルフォーマット

業務改善報告書の一般的な様式・エクセルフォーマットは、企業によって異なりますが、一般的には以下のような内容が含まれることが多いです。

表紙
業務改善報告書のタイトル、作成日、提出者の名前や所属部署などを記載
目次各章や節の見出しやページ番号を記載
改善の背景や目的
改善提案の背景や問題点、改善の目的、改善がもたらす効果を記載
実施した改善策内容や実施方法、必要な人員・時間・費用などを記載
効果の評価
成果や目的達成率を記載
課題点
改善策の実施過程で課題や今後の課題を記載
まとめ改善提案に対する意見や今後の展望を記載
参考文献・資料業務改善報告書の作成にあたり参考にした文献や資料を記載

また、エクセルフォーマットを用いる場合、表やグラフなどを使ってデータを分かりやすくまとめたり、計算式を使って自動的に集計したりすることも可能です。とくに、改善策の効果を数値化する場合には、エクセルを使うと正確にデータをまとめられるでしょう。

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業務改善報告書を作成する際のポイント

業務改善報告書を作成する際のポイントは、4つあります。

  • 客観的な視点で記述する
  • わかりやすく簡潔に文章を書く
  • 明確な目的やゴールを記載する
  • 社内での共有環境を整備する

各ポイントについて、詳しく見ていきましょう。

客観的な視点で記述する

業務改善報告書を作成する際には、客観的な視点で記述することが重要です。自分自身や関係者の主観的な意見や感情ではなく、データや事実に基づいた客観的な分析結果を示すように心がける必要があります。

たとえば、業務改善の目的や背景を説明する場合には、問題点を客観的に分析し、改善の必要性を訴えるようにするためにも、具体的な数字やデータを用いることが大切です。

また、改善策の提案にあたっても、実現可能性やコスト面など客観的な視点から検討するようにしましょう。該当の策にどの程度の効果があるのか、どれくらいのコストや時間が必要なのかなど、客観的なデータをもとに検討して根拠のある提案をおこなうことが求められます。

わかりやすく簡潔に文章を書く

業務改善報告書を作成する際には、わかりやすく簡潔に文章を書くことが大切です。

業務改善報告書を読む人は、多くの場合時間的・精神的な制約を抱えており、情報を効率的に取り込まなければなりません。そのため、わかりやすく簡潔な文章を用いることで、読み手の負担を減らし、伝えたい内容を的確に伝えられます。

わかりやすい文章を書くためには、専門用語や難しい言葉はできる限り避け、漢字の多用や長文の連続なども避けるように心がけましょう。また図表やグラフなどを活用し、文章だけでは伝えきれない情報を補完することも重要です。

ただし図表やグラフなどを用いる場合には、読み手が正確に理解できるように必ず説明文を添えましょう。

また、簡潔な文章を書くためには、文章全体の構成を考えて要点を整理し、余計な情報を省く必要があります。その際に目次や箇条書きを用いて、読み手が必要な情報をすばやく見つけられるようにするとよいでしょう。

明確な目的やゴールを記載する

業務改善報告書の作成時には、明確な目的やゴールの記載も大切なポイントとなります。

業務改善報告書は、業務の改善に向けて何をおこなうべきかを具体的に提案する書類です。目的やゴールがはっきりとしていなければ、読み手にとって業務改善報告書の意義や目的が理解しづらくなります。明確な目的やゴールを設定することで、業務改善報告書の内容が一貫していることを示せるでしょう。

たとえば、「顧客満足度を向上するためにはどのような取り組みが必要か」といった目的を設定します。その目的に合わせた具体的な改善策を提案すると、業務改善報告書の読み手が何を期待して読んでいるのかを把握できるでしょう。

また、明確な目的やゴールの設定は、改善の効果を見積もることにもつながります。「人件費の削減により、年間10%のコスト削減を目指す」という目的を設定した場合には、改善の効果がどの程度見込めるのかを示せるでしょう。

このように、明確な目的やゴールを設定すれば、業務改善報告書の読み手が意義や目的を正しく理解し、改善策の選択や実施に向けて適切な判断をおこなえるようになります。

社内での共有環境を整備する

業務改善報告書を作成する際のポイントの一つに、社内での共有環境を整備することが挙げられます。業務改善報告書を作成する目的は改善策の提案だけでなく、組織内で共有し、実施することにもあります。そのため、業務改善報告書は社内で共有可能な形式で作成しなければなりません。

具体的には、業務改善報告書のフォーマットや言葉遣い、使用する図表の形式など、社内で広く理解されやすく共有しやすい形式で作成する必要があります。また業務改善報告書を作成した担当者は、業務改善報告書の内容を丁寧に説明し、メンバーにフィードバックをもらった時には、より良い改善策を提案できるように努めなければなりません。

さらに、業務改善報告書の内容を社内で共有するためには、社内の情報共有システムやプレゼンテーションツールなどを活用することも大切です。社内で業務改善報告書を共有し、意見交換をおこなうことで、より多くの人の意見を反映させ、より良い改善策の実現につながります。

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業務改善報告書をパワーポイントで作る場合のポイント

業務改善報告書をパワーポイントで作る場合は、構成やサマリーをしっかりと作成する必要があります。

パワーポイントを使った具体的な書き方と共に、詳しく見ていきましょう。

構成・サマリーの作成

業務改善報告書をパワーポイントで作成する場合、構成やサマリーを明確に作成することが重要です。

まず、読み手に伝えたい内容を整理して必要な情報を的確にまとめ、スライドの構成を決めましょう。その際には目次スライドを作成して、全体像を把握しやすくすることも有効です。

サマリーについては、最初のスライドで全体像を簡潔にまとめることで、業務改善報告書全体の理解を深められます。業務改善の目的や背景、具体的な実施策、効果やコストについての概要などを記載し、読み手にとって重要なポイントを伝えるのが大切です。

また、スライドごとに明確なタイトルを付けてわかりやすい図や表を使用すれば、読み手にとって見やすく、理解しやすい業務改善報告書を作成できます。さらに、スライドのレイアウトや色使いにも注意し、統一感のあるスライドを作成することも忘れてはいけません。

パワーポイントでの書き方

業務改善報告書をパワーポイントで作成する場合、以下の手順で進めるのが一般的です。

1.テーマの決定

テーマは、業務改善報告書の中心となる内容を端的に表すものです。テーマを明確にすれば、業務改善報告書の構成がスムーズになるでしょう。

2.構成の決定

構成は、業務改善報告書の章立てや各章の内容を決めるものであり、業務改善報告書に対する理解を助けるために大変重要な役割を果たします。

3.サマリーの作成

業務改善報告書の冒頭には、全体の要点をまとめたサマリーを記載しましょう。サマリーとは、業務改善報告書を読まなくても報告内容を理解できるように簡潔にまとめたものです。

4.スライドの作成

スライドを作成する際には、各章の内容を要約したキーワードや図表を用いて、わかりやすく伝えることが大切です。スライドの見出しやレイアウトにも注意して、業務改善報告書の内容を的確に伝えられるように工夫しましょう。

5.資料の追加

スライドには、業務改善報告書の内容を支える資料やデータを追加し、信憑性や説得力を高めましょう。

6.最終確認

スライドの内容や表現に誤りがないか、フォントや色の使い方が統一されているかなどをチェックし、誤字脱字がないように細心の注意を払いましょう。

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業務改善報告書の書き方や様式を押さえておこう

業務改善報告書は、企業の業務プロセスに対して改善を提案するために作成される報告書です。作成する際には、「事実に基づいた客観的な視点で記述する」「わかりやすく簡潔に文章を書く」「社内で共有するための環境整備」などに気を付けましょう。その結果、読み手が業務改善報告書の内容を正しく理解でき、改善提案を実施するための意識を高めることにもつながります。

また、パワーポイントを使用して業務改善報告書報告書を作成する場合は、まず構成やサマリーを作成することが大切です。目次や見出しを使って業務改善報告書の構造を明確にし、読み手が内容を理解しやすくなるようにしましょう。

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