デジタルネイティブとは?定義や世代の特徴・問題点や指導方法を解説
デジタルネイティブとは、1990〜2000年代に生まれたインターネットがあって当たり前の時代に生まれた人たちを一般的に指す言葉です。本記事ではデジタルネイティブの詳しい定義やこの世代の特徴、問題点や強みについて解説します。またデジタルネイティブ世代への指導方法も解説します。
目次
デジタルネイティブとは何歳?定義を解説
デジタルネイティブは、2023年において何歳のことを指すのかご存知でしょうか。デジタルネイティブの定義について解説していきます。
(1)デジタルネイティブは1990年代〜2000年代に生まれた世代
デジタルネイティブは世代を示す言葉ですが、何年から何年に生まれた世代という明確な定義は確立していません。
諸説あることは前置きしておきますが、一説によると、デジタルネイティブは「1990年代から2000年代に生まれた世代」であり、2023年時点で、33歳以下の方が対象になると考えられます。
(2)生まれた時からインターネットがある環境で育った
デジタルネイティブは、生まれた時からインターネットがある環境で育った世代だと定義されています。
そもそも日本におけるインターネットは、東京大学や東京工業大学、慶應義塾大学の大学間で構築された研究用ネットワーク「JUNET」が起源です。初めから一般的に利用されていたわけではありません。
日本で一般的な利用が開始されたのは1993年からで、その後Windows95の登場でパソコンが使いやすくなったことなどを背景として急激に普及していきました。
具体的には、1998年末には世帯普及率が10%を超え、2001年末には34.0%、2002年末には81.4%となっています。
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(3)デジタルイミグラントとの違い
デジタルネイティブの提唱者であるマーク・プレンスキー氏は、デジタルネイティブと同時にデジタルイミグラントという言葉も提唱しました。
デジタルネイティブはインターネットが当たり前(ネイティブ)の世代ですが、デジタルイミグラントは当たり前ではなく、インターネットをはじめとしたデジタルを習得しようとする世代のことです。
ちなみに、イミグラントは日本語で「移民」を意味します。そのため、デジタルイミグラントではなくデジタル移民と表現されることもあります。
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デジタルネイティブとZ世代の関係性
デジタルネイティブ世代と近しい用語としてZ世代があります。Z世代は1990年代中盤から2000年代序盤に生まれた世代を指し、デジタルネイティブ世代と生まれた年代も似通っています。
そのため、Z世代とデジタルネイティブ世代は呼び方が異なるだけで、意味合いとしてはほとんど同じと言って良いでしょう。
特にZ世代の中でも2000年代後半〜に生まれた場合は、物心がついた時からスマートフォンやSNSが身の回りにある状況で利用しはじめたタイミングも他の世代と比べて圧倒的に速くデジタルネイティブやスマホネイティブとも呼ばれています。
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デジタルネイティブ世代の特徴
デジタルネイティブ世代の特徴として挙げられるものを5つ紹介します。
- わからないことはまず検索する
- 情報発信を積極的に行う
- 対面とネットのコミュニケーションに差を感じない
- 情報を素直に受け入れられる
- 価値観の持ち方が柔軟である
(1)わからないことはまず検索する
デジタルネイティブ世代の特徴として、わからないことはまずインターネットで検索する習慣が根付いているという点が挙げられます。
インターネットで検索することが生活の中で当たり前となったため、すぐにインターネット上にある多くの情報から答えや知見を得ることが可能です。
しかし一方で、答えをインターネット上で簡単に見つけてしまう習慣があると、自分で物事を考えるという重要な前提に欠けるという点も一部で指摘されています。
(2)情報発信を積極的に行う
デジタルネイティブは、情報発信に積極的だと言われています。例えば、TwitterやInstagram、TikTokなどのSNSを利用している人も少なくありません。
つまりインターネット検索によって情報を取得するだけでなく、自らインターネットで情報を発信するのがデジタルネイティブの特徴です。
(3)対面とネットのコミュニケーションに差を感じない
デジタルネイティブは、対面(リアル)と非対面(ネット)でのコミュニケーションに差を感じないとも言われています。対面が当たり前という習慣は、現在でもビジネスや行政の効率を考えるうえで問題となっているところです。
その点、チャットやSNSなどを使ってコミュニケーションを取るのが当たり前なデジタルネイティブの考え方は効率的といえるかもしれません。
(4)情報を素直に受け入れられる
デジタルネイティブは、情報を素直に受け入れられる特徴があると言われています。
ネット上の情報をすぐに信じてしまうという面で捉えるとデメリットですが、海外の情報も垣根なく素直に受け入れられるため、グローバル人材に適していると言われることもあるようです。
(5)価値観の持ち方が柔軟である
デジタルネイティブは価値観の持ち方が柔軟であると言われています。例えば、インターネット上で人脈を広げることに抵抗のない人も多いです。
もちろん40代や50代などデジタルネイティブではなくてもインターネット上で積極的に人脈を広げている人もいますが、割合としてはデジタルネイティブにかなわないでしょう。また、同様にワーク・ライフ・バランスを重視する人が多いのも特徴的です。
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デジタルネイティブ世代の問題点
デジタルネイティブ世代にはさまざまな問題点があると指摘する声もあります。
- インターネットを通じて人と会うのに抵抗がない
- ネット情報を鵜呑みにしてしまう
- 何でもすぐに検索するので自分で考えることが少ない
- 情報にお金がかかるという価値観がない
- 対面でのコミュニケーションが苦手である
(1)インターネットを通じて人と会うのに抵抗がない
デジタルネイティブ世代の特徴として、対面と非対面のコミュニケーションに差を感じない傾向があると紹介しました。しかしこれは、インターネットを通じて人と会うのに抵抗がないということにもつながってしまいます。
たしかに人脈を広げやすいという面ではメリットですが、本当に信頼できる相手かどうか慎重になるべきともいえるでしょう。
実際、独立行政法人国民生活センターでは、SNSをきっかけとした消費者トラブルが増えていることを背景に若者向けに注意喚起をしています。
SNS上では話の合う「知り合い」でも、本当に信頼できる相手かは分かりません。お金を支払ったとたん相手と連絡が取れなくなることもあり、返金を求めることが困難になります。本当に信用できる相手なのか、慎重に判断しましょう。
[出典:独立行政法人国民生活センター「【若者向け注意喚起シリーズ<No.6>】SNSをきっかけとした消費者トラブル-広告の内容はしっかり確認! 知り合った相手が本当に信用できるか慎重に判断を!」]
(2)ネット情報を鵜呑みにしてしまう
インターネット上の情報を鵜呑みにしてしまう傾向にあることも、デジタルネイティブ世代の問題点として指摘されています。インターネット上の情報は真偽が定かではないものの、それを疑わずに信じてしまい、騙されてしまうケースがあるのです。
例えば、先ほど紹介した国民生活センターの若者向け注意喚起においては、問題のあるSNS広告や安易に儲かるといった悪質なメッセージに騙されてしまうトラブルが多いと紹介されています。
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(3)何でもすぐに検索するので自分で考えることが少ない
インターネット検索が習慣付いている点はメリットとして捉えられる一方、自分で考えることが少ないという点も指摘されています。
インターネットで検索すれば疑問に対する答えがすぐに見つかってしまうため、わざわざ時間と労力を使い、自分の頭で物事を考えることには消極的になってしまうのかもしれません。
自分で考える頻度が少ないということは、それだけネットやスマホに依存しているということであり、今後もスマホやネットへの依存は継続して高くなると言えます。
(4)情報にお金がかかるという価値観がない
情報は無料で取得できて当たり前と感じており、情報にお金がかかるという価値観がない傾向にある点も一部で問題だと指摘されています。
たしかに無料で情報を取得できるのは便利ですが、実際には有益な情報こそリアルな環境や体験、限定の有料コンテンツにあったりするもので、逆に無料で取得できる情報は質が低いものもあったりします。
この点、デジタルネイティブは情報の価値を低く見積もりやすい点に注意すべきでしょう。
(5)対面コミュニケーションに独特の苦手意識がある
デジタルネイティブ世代はオンラインでのコミュニケーションに慣れている一方、対面でのコミュニケーションが苦手だと指摘する声もあります。実際「新人は報連相ができない」と悩む管理職も少なくないようです。
テキスト中心のコミュニケーションであれば、例えば「既読無視」という言葉もあるとおり、一旦無視した後、好きなタイミングでレスポンスをしてもそう不自然ではないでしょう。一方、対面であれば相手が話していることを無視するのは不自然であり、現実的ではありません。
このように対面と非対面でのコミュニケーションは性質が異なる部分があります。しかし、これらのコミュニケーションを同様に捉えてしまうことによって対面でのコミュニケーションが苦手に感じるデジタルネイティブも少なくないようです。
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デジタルネイティブの強み
デジタルネイティブの問題点を挙げましたが、もちろん強みもあります。デジタルネイティブの強みを確認しておきましょう。
- デジタル機器に強い
- 情報発信がスピーディにできる
- 思想が柔軟である
(1)デジタル機器に強い
デジタルネイティブの強みは、デジタル機器に強いことです。パソコンやスマートフォンを当たり前のように使っているため、デジタル機器を活かした業務効率化も比較的スムーズに受け入れられるでしょう。
ただ一方で、パソコンを使ったことがないデジタルネイティブも多くなってきているようです。
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(2)情報発信がスピーディにできる
SNSの普及によって、自分の考えを気軽に外部へ発信してきたデジタルネイティブ世代は、情報発信がスピーディーにできることも強みです。伝えたいことを相手に伝わりやすくするためにはどうすればいいのか、他の世代と比べて日常的に身についています。
そのため、例えば企業や商品・サービスの情報をスピーディーに消費者(ユーザー)に届ける役割に適しているといえます。
(3)思想が柔軟である
デジタルネイティブは柔軟な思想を持っていることが強みです。新しいことなどに対して偏見を持たず柔軟に受け入れることができます。迅速な変化が求められる時代においては、柔軟な思想を持ち変化を受け入れられるデジタルネイティブの強みが活きるでしょう。
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企業におけるデジタルネイティブの指導方法
企業(組織)におけるデジタルネイティブ世代の指導方法について紹介します。デジタルネイティブの問題点を克服しつつ強みを活かせるよう、参考にしてみてください。
- 社会での常識への研修などを行う
- あれこれ指示するのではなく情報共有する
- デジタル関連の仕事を担当してもらう
- 情報精査の重要性を教える
(1)社会での常識への研修などを行う
デジタルネイティブ世代は、時に社会常識がないと指摘されることもあります。例えば、対面での報連相を避けたり、絵文字やスタンプでのコミュニケーションに慣れ切っていて文章がひどく苦手だったりするのが原因です。
そこで一定の社会常識を身につけるために研修を実施しても良いでしょう。会社を休むときや退職するときの連絡は対面や電話で行うことなど、基本的なビジネスマナーを知ってもらいます。
もっとも、デジタルネイティブの強みを抑え込んでしまわないように注意するのも重要です。例えば、「なぜ報連相は非効率な対面でする必要があるのか」と問われるとどうでしょうか。
ビジネスチャットを導入して日常的なコミュニケーションの非対面化を進めるのも、業務効率化の観点からは悪いとは言い切れません。
(2)あれこれ指示するのではなく情報共有する
あれこれと指示するのではなく、情報共有をするという意識で業務コミュニケーションを取るのもおすすめです。
デジタルネイティブ世代は、根拠がない指示を嫌う傾向にあります。上司と部下という上下関係に関しても、あまり許容的な考えを持っていない場合もあるようです。
指示が必要になる場面も当然ありますが、指示し過ぎると指示待ち人間になってしまうおそれもあります。したがって、できる限り情報共有の意味合いでコミュニケーションを取り、自分で物事を考えてもらうよう促すと良いでしょう。
(3)デジタル関連の仕事を担当してもらう
デジタルネイティブ世代には、デジタル関連の仕事を担当してもらうと良いでしょう。デジタルネイティブ世代の特徴に歩み寄るという考え方に加えて、持ち味を活かすという考え方です。スピード感を持ち、さまざまなデジタルを活用しながら仕事を進めてくれることが期待できます。
(4)情報精査の重要性を教える
デジタルネイティブ世代はすぐにインターネットで情報を取得する傾向にありますが、本当にその情報が正しいかどうかなど、情報を精査することの重要性を教えておくと良いでしょう。
具体的には次のような精査方法が考えられます。
- 他の情報と比べてみる
- 情報発信元の信頼性を確認する
- いつの情報なのかを確認する
- 一次情報を確かめる
ビジネスにおいても「本当に根拠としているデータが正しいのか」「参照した記事の内容は本当なのか」と情報の信憑性が重要になるケースが多くあります。情報を正しく収集し、正しく自分の判断を下して解釈できる情報リテラシーを身につけることは、デジタルネイティブにとって非常に重要な観点になります。
▷デジタル社会に必要な人材と組織とは?現状と実現に向けた課題を解説
デジタルネイティブの強みと弱みを知り、指導に活かすこと
デジタルネイティブとは、生まれた時からインターネットがある環境で育った世代のことを指します。強みや問題点などさまざま挙げられますが、歩み寄ることや持ち味を活かすことが重要です。
ぜひこの記事をデジタルネイティブを理解するための参考としつつ、デジタルネイティブという人材を活かすことを検討してみましょう。
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