デジタル化とIT化の違いとは?正しい言葉の意味をわかりやすく解説

最終更新日時:2022/07/15

デジタル化

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近年ますます重視されているデジタル化・IT化。そもそも「デジタル」と「IT」の違いが分からない人も多いのではないでしょうか。本記事では、それぞれの正しい言葉の意味とともに、具体例を用いてわかりやすく違いを解説します。

デジタル化とIT化はどう違う?

デジタル化とIT化は、同じような文脈で使われることも多いため、その意味を混同して捉えられてしまいがちですが、厳密には、デジタル化=IT化ではありません。

それぞれの言葉の意味を正しく理解するために、デジタルとITの意味を確認していきましょう。

「デジタル」の意味

デジタルとは、情報を整数などの数値に変換して表現する情報処理の方式のことを意味しています。さらに簡単に説明すると、身の回りの情報をコンピューターなどの機械で扱えるようにすることと考えると良いでしょう。

そもそもデジタルはラテン語の「指 (digitus)」という言葉が語源であり、指で数字を数える仕草から、数あるいは数字という意味に派生したといわれています。つまり、デジタルとは「数えること」「数値」を指す言葉となるのです。

ちなみにコンピューターは、0と1の数字を使ってデータの作成や処理を行います。つまり、数値化しなければ、コンピューターでは扱えないということになり、コンピューター技術とデジタル技術は、表裏一体の関係にあるといえます。

「IT」の意味

ITとは、Information Technologyの頭文字をとった略語で、コンピュータやネットワークの技術を駆使した情報技術を示しています。

つまり、コンピューターやインターネットなどの通信技術を活用して、新たな価値を生み出すための技術を意味と捉えることができます。

スマートフォンやタブレット端末、ICカード、電子マネーといった製品やシステムは、身近なIT製品の代表例といえるでしょう。

コンピュータやネットワークの技術を様々な場面に活用するITは、人々の生活を飛躍的に便利にすることができる可能性を秘めた技術といえます。

デジタル化とIT化の違い

前述の通り、「デジタル」とは情報を数字で表す手法、「IT」とは情報を活用する技術です。

つまり、違いとしては「デジタル化」とは情報を数字で表せる状態であり、そして「IT化」は、デジタル化された情報を、システムなどを活用し、目的に応じて有効活用できるようにすることとなります。

具体的には、紙媒体の情報を画像やPDFなどのデータに変換することはデジタル化であり、これらのデータから情報を自動で読み取り、手入力で行ってきた作業を自動化させることはIT化です。

デジタル化とは「数値化で表すること」、IT化とは「情報を活用すること」です。デジタル化とIT化は意味が異なるものでありながら、混同されやすい用語でもあります。意味の違いを正しく理解し、適切に使いましょう。

混同しやすいDX化について

デジタル化・IT化と混同しやすい言葉としてDX(デジタルトランスフォーメーション)化という言葉もあります。昨今、この言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。

DXはデジタル化・IT化と同じ文脈で使われることが多いため、混同することが少なくありません。

DXを正しく理解するために、DXの本来の意味を解説し、その後、IT化との違いについて説明していきます。

ビジネスシーンにおける「DX」の意味

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、2004年にスウェーデンにあるウメオ大学の教授であったエリック・ストルターマン氏が発表した論文の中で「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と定義したことが、その始まりであるとされています。

当時は、現実味のない理想論とも受け取られていた概念でしたが、その後、DXはビジネスだけでなく、日常生活にも変革をもたらす重要な要素の一つとして認知されるようになりました。

そして、現代のビジネスシーンにおけるDXは、ITを利用して組織や事業の在り方そのものに変革をもたらし、ITを活用した新たな価値を見出すことで、企業の優位性を確保するための取り組みとされています。

DX化とIT化の違い

続いて、DX化とIT化の違いですが、先にお伝えした通り、DX化は「ITを活用して、企業の優位性を高めること」にその本質があります。

それに対し、IT化は業務フローやプロセスにITツールを活用して、業務効率や生産性を高めるための取り組みです。

そのため、IT化はDXを推進する上での一つの過程であり、手段と目的の関係にあると考えることができます。つまり「IT化を進めることで、DX化が実現できる」ことになるのです。

例えば、顧客対応業務のDXを実現する過程においては、まず問い合わせ対応や顧客情報を一元管理するシステムの導入といったIT化により顧客対応の効率と生産性を改善します。

そして、これらのシステムに集約されたデータを有効に活用し、顧客ニーズを的確に捉えた製品・サービスの創造を新たなビジネスチャンスへとつなげることでDXが実現されたと言えるのです。

デジタル化・IT化の具体例

デジタル化とIT化には、正確には明確な違いがあるものの、ビジネスシーンにおいては、その境界線が曖昧な言葉として使われてしまうこともあります。

そのため、具体的なイメージができない場合もあるでしょう。そこでここからは、デジタル化とIT化の理解を深めるため、具体例とともに解説していきます。

デジタル化:紙の資料をデジタルデータに変換

紙の資料を、画像やPDFなどのデータに変換することはデジタル化の取り組みの1つです。

名刺やプレゼン資料、業務マニュアルのほか、バックオフィス業務においても、例えば領収書による経費精算や給与明細の発行など、企業活動の上では、想像以上に紙媒体が情報伝達の手段として使用されています。これらの紙媒体をデータ化することは、デジタル化の代表例といえるでしょう。

IT化:データを活用できる状態に

IT化では、データ化された情報を有効に活用することが焦点となります。

例えば、データ化された名刺情報をシステムによって一元管理し、迅速に全社へと共有すること、また企業情報などのデータバンクと連携して営業活動をサポートすることなどはIT化の例のひとつです。

そのほかにも、勤怠管理にITツールを取り入れ、労働時間を自動で計算することにより、労働状況の把握に役立てることもIT化の取り組みです。

デジタル化→IT化の順序が正しい

具体例の説明からもわかるように、IT化は、情報がデジタル化されていることが前提となった取り組みです。

そのため、組織においてIT化を進める際には、まずはデジタル化が必要であることを理解してくと良いでしょう。

ビジネスにおけるデジタル化の重要性

デジタル化は、IT化の前提であることから、DXを進める企業においては、まず最優先にデジタル化に取り組まなければいけません。

ここからはデジタル化が、ビジネスにとってどのような重要性があるのかを解説していきます。

社内情報の一元管理を実現

情報のデジタル化が実現することで、さまざまな情報を一か所に集約し、かつ容易に共有できる環境が整います。

職種や部署といった垣根を超えた情報共有が円滑になり、活性化されることは、イノベーションの促進にもつながります。

業務の効率化・自動化につながる

人材不足が深刻化する日本のビジネス環境において、業務の効率化や自動化は、多くの企業における最重要課題のひとつとなっています。

そのため、領収書のデジタル化を進めて、経費精算をオンライン上で完結できるようにする、あるいは、契約書をデジタル化して、印刷や製本、郵送といったブロセスを削減するといった、デジタル化による業務の効率化は必須の取り組みとなるはずです。

また、労務管理へのシステム導入による各種書類の自動化やデジタル化は、人的リソースの最適化による生産性の向上に大きく貢献します。

ペーパーレスの実現

紙の書類や資料などをデジタル化することで、ペーパーレスによるコストの削減を図ることもできるでしょう。

また、現代社会においてペーパーレス化は環境負担を削減する観点においても、企業の社会的な役割とされています。そのような意味でも、優先度を上げた取り組みが求められているといえます。

テレワークなどの多様な働き方へ対応

テレワークを導入する際にも、デジタル化は必須の対策となります。

柔軟な働き方への対応は、既存の従業員の満足度やエンゲージメントの向上につながるだけでなく、「オフィスへの通勤」がなくなることにより、幅広い採用活動が可能になるなど、人材確保のうえでも、多くのメリットをもたらします。

コスト削減につながる

デジタル化を行うことで、それまで必要だったコストが不要になる可能性があります。

紙の書類や資料などを作成するに紙代や印刷代が発生するだけでなく、保管が必要な資料であれば、物理的な保管場所も必要でした。しかし、デジタル化を行えば、これらのコストをすべて削減することも可能です。

また、紙での運用方法をデジタルに変えると、手書きといったヒューマンエラーが起こりにくくなり、トラブルの解消に費やしていた労力や時間などの目に見えないコストの軽減にもつながります。

正しい理解のもと企業のデジタル化を推進しよう

コロナ禍により、期せずしてテレワークなどの働き方が一気に拡大したことから、企業におけるデジタル化やIT化も、急加速的に進められることになりました。

しかし、デジタル化やIT化の理解ができていないと、目指すべきDX化に辿り着けなかったり、IT化のプロセスをやり直すことになってしまったりすることもあります。

そのような無駄なプロセスが発生しないよう、デジタル化・IT化それぞれの位置付けと目的を理解し、企業のデジタル化を推進していきましょう。

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