日本におけるデジタル化の歴史とは?現在までの歩みを簡単に解説!

記事更新日:2022/05/13

デジタル化

デジタル化と歴史の歩み

日本において、デジタル化の歴史はどのようになっているのでしょうか。本記事では、日本のインターネットが普及した時代から現在にかけてのデジタル化の歴史や、デジタル化によって衰退したものの具体例、世界視点から見た日本のデジタル化について紹介します。

日本におけるデジタル化の歴史

日本におけるデジタル化の歴史(流れ)を大まかにまとめると次のとおりです。順に確認していきましょう。

  1. インターネットが一般的に普及開始(1995年~)
  2. ICTインフラの整備(2001年~)
  3. ICT利活用の推進(2003年~)
  4. デジタルデータの利活用(2010年代半ば~)
  5. デジタル社会の構築(2018年~現在)

(1)インターネットが一般的に普及開始(1995年~)

1995年頃から、デジタル化のインフラとも言えるインターネットが一般的に普及し始めました。

そもそもインターネットの起源は、1969年に米国が軍事目的で運用を開始したARPAnet(Advanced Research Agency Network)であると言われています。

日本では1984年に東京大学や東京工業大学、慶應義塾大学の3大学間をつないだ研究用ネットワークJUNET(Japan University NETwork)が構築されました。

その後、1988年にJUNET参加者が中心となってインターネットに関する実験プロジェクト「WIDE(Widely Integrated & Distributed Environment)プロジェクト」が発足します。

1992年には国内初の商用インターネットサービスプロバイダーであるIIJ(Internet Initiative Japan)が設立し、1993年にサービスを開始しました。

1995年にはMicrosoft社のWindows95が発売されるなどを契機としてインターネットユーザーは増え、1998年には商用利用開始からわずか5年で世帯普及率が10%を超えました。

(2)ICTインフラの整備(2001年~)

2001年頃には、世界的なIT革命を背景として、日本が世界最先端のIT国家となることを目指しつつ、国家戦略としてICTインフラの整備が進められました。端的に言うとインターネットの利用環境が整備された時期です。

2000年11月にはIT基本戦略が取りまとめられ、IT基本法が成立。そのIT基本法にもとづく国家戦略が、2001年1月に公表された「e-Japan戦略」です。

e-Japan戦略では5年以内に3,000万世帯以上が高速インターネット網(DSL)に、1,000万世帯が超高速インターネット網(FTTH)に常時接続可能な環境を整備することが掲げられました。

実績は下図のとおり、目標を大きく超える結果となっています。

e-Japan戦略の目標達成状況

[出典:総務省「「e-Japan戦略」の今後の展開への貢献」]

(3)ICT利活用の推進(2003年~)

ICTインフラ整備が進むと、次はICT利活用の推進が進められます。概要をまとめると次のとおりです。

  • 2003年7月:「e-Japan戦略Ⅱ」が策定され、医療、食、生活などを含む7分野において先導的取組を進める
  • 2006年1月:「IT新改革戦略」が策定され、ユビキタス社会の実現に向けて3つの政策群が提示される
  • 2009年7月:「i-Japan戦略2015」が策定され、デジタル技術が空気や水のように抵抗なく受け入れられることをビジョンに掲げ、電子政府、医療・健康、教育・人財の三大重点分野が設定される
  • 2010年5月:「新たな情報通信技術戦略」が策定され、政府ではなく国民主導の社会に転換するための重点戦略(3本柱)が定められる

(4)デジタルデータの利活用(2010年代半ば~)

2010年代半ばはデータ大流通時代と呼ばれており、公共データやパーソナルデータなどのデジタルデータの利活用が進められました。

2013年6月には、持続的な成長と発展を可能とする成長戦略の柱として「世界最先端IT国家創造宣言」が閣議決定。次の3つを柱として必要な取組が定められました。

  • 革新的な新産業・新サービスの創出と全産業の成長を促進する社会の実現
  • 健康で安心して快適に生活できる、世界一安全で災害に強い社会の実現
  • 公共サービスがワンストップで誰でもどこでもいつでも受けられる社会の実現

具体的には、公共データの民間開放(オープンデータ)やパーソナルデータの利用促進が図られています。

2016年12月には官民データ活用推進基本法が施行され、翌年2017年5月には「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」が策定されました。

本宣言・計画では、データ利活用によって解決が期待される8つの分野が次のとおり挙げられています。

  • 電子行政
  • 健康・医療・介護
  • 観光
  • 金融
  • 農林水産
  • ものづくり
  • インフラ・防災・減災等
  • 移動

(5)デジタル社会の構築(2018年~現在)

2018年からは、これまで目標として掲げられていた「IT国家」が「デジタル国家」へと変わりました。

政府自らが世界最先端のデジタル国家に向けて行政サービスのデジタル変革に取組み、地方公共団体や民間部門を通じた社会システムの抜本改革を実行することとされています。

後に新型コロナウイルス感染症の流行拡大によって急速にデジタル活用が進められました。しかしその一方で、デジタル化が十分に進んでいない点も「デジタル敗戦」と称されるほど浮き彫りとなっています。2021年9月にはデジタル庁が発足し、現在もなおさまざまな取組みが進められているところです。

デジタル化が生活にもたらす影響や変化とは?身近な例や現状と今後について

デジタル化の歴史を感じさせる4つの具体例

日本におけるデジタル化の歴史を、特に政策面から概説してきました。ここでは、政策面ではなく実際にデジタル化の歴史を感じさせる4つの具体例を紹介します。

  • 紙地図の販売数が2016年度ピーク時の約20分の1に
  • 電話帳「ハローページ」が2021年10月での発行終了
  • CDは2018年にはピーク時の半分のシェアに
  • コロナ禍による急速なテレワークの普及

(1)紙地図の販売数が2016年度ピーク時の約20分の1に

国土地理院の紙地図の販売数が激減しています。具体的には、1981年度の販売数は約910万枚でしたが、2016年度には47万2,951枚でした。つまり、ピーク時に比べて約20分の1にも激減しています。

背景にあるのは、パソコンやスマホで簡単に地図にアクセスできるようになったことです。簡単かつ無料で地図が見れるのはもちろん、スマホならGPS機能を活用できることも大きいでしょう。

(2)電話帳「ハローページ」が2021年10月での発行終了

NTT東日本とNTT西日本が電話帳として提供していた「ハローページ」ですが、2021年10月以降、順次、発行終了とされています。

ハローページは固定電話番号を調べるための手段のひとつで、50音別電話帳として提供されていた冊子型の電話帳です。

NTT東日本とNTT西日本の両社は、ハローページ発行終了の主な理由を次のとおりデジタル化であると説明しています。

携帯電話やインターネット等、固定電話の代替手段の普及、通話アプリやSNS等のコミュニケーション手段の多様化、個人情報保護に関する社会的意識の高まり等の環境変化により配布数・掲載数が大きく減少していることから、2021年10月以降に発行・配布する最終版をもって、終了することといたします。

[出典:NTT東日本「ハローページの発行・配布終了について」]

なお、名前と住所から電話番号を調べられる番号案内サービス(104番)の提供は継続しており、個人ではなく企業や店舗の電話番号については「タウンページ」で調べられます。

(3)CDは2021年にはピーク時の半分以下のシェアに

音楽CDについてもデジタル化の影響が見られます。日本レコード協会が行った調査によると、過去半年間のCD購入率は2002年には58.0%でしたが、2021年には25.4%にも低下しました。

ちなみに、CDに代わる近年の音楽の聴き方の主流はと言うと、2021年調査によればYouTubeが最も多い結果でした。次いでテレビと定額制音楽配信サービスが選ばれています。

(4)コロナ禍による急速なテレワークの普及

コロナ禍においては、オフィスで働くのではなく、オフィスから離れて働くテレワークが急速に普及しました。具体的には、1回目の緊急事態宣言(2020年4月7日より)の直前にはテレワーク実施率が17.6%でしたが、2020年6月頃には一時56.4%にも上昇しています。

テレワークが普及した背景にあるのは、契約書への押印慣行についての見直しです。具体的には、契約書に押印しなくても法律違反にならず効力に影響が生じないことが、法務省や経済産業省、内閣府によって明確に示されました。

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これからデジタル化によって日本で起こり得る3つのこと

これからデジタル化によって日本で起こり得る3つのことを紹介します。

  • デジタル化できないものの価値が高まる
  • 内製化支援ビジネスの需要が高まる
  • AIが投資業界に変革をもたらす

(1)デジタル化できないものの価値が高まる

デジタル化によって、デジタル化できないものの価値が高まることが一部で想定されています。その理由は、デジタル化できない体験や共感について希少性が高まるためです。

例えば、音楽や絵画、文学、アニメを考えてみると、たしかにデジタルデータで表現されることが多いものの、その中身は人間が作り出しているからこそ価値が認められている部分も否定できません。

普段は自宅でインターネットを通じて音楽を聞いていても、好きなアーティストのリアルなライブが行われるのであれば、参加したいと考える人も少なくないでしょう。

このように、デジタル社会においてはデジタル化できないものや体験こそ相対的に価値が高まると一部で考えられています。

(2)内製化支援ビジネスの需要が高まる

デジタル化によって、内製化支援ビジネスの需要が高まることが想定されています。

これまでは通信事業者やICTベンダー、ICTサービス事業者などにデジタル人材が偏っており、この状況が公的機関や民間企業においてデジタル化が進まない要因のひとつとして指摘されていました。

そのため、民間企業などがデジタル化を進めていくためには、まずデジタル人材の確保が必要です。そのうえでシステム開発や運用の内製化などを行っていかなければなりません。

一方、デジタル人材の確保は難しいところがあるため、内製化を支援するビジネスの需要が高まると想定されています。

(3)AIが投資業界に変革をもたらす

人工知能(AI)の発達が投資業界に変革をもたらすことが想定されています。世界有数の資産運用会社BNYメロンの「Future 2024」レポートによると、調査回答者の3分の2が、「AIの発達は間違いなく資産運用の未来を書き換える」と答えたとのことです。

もっとも、日本国内の資産運用業界でもAI活用に関して動きがありました。具体的には、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所に対してAIの活用可能性についての調査を委託したという経緯があります。

その報告書のなかでは、次のような変革内容(AIの活用機会)が取り上げられました。

  • 現状はニュース等を各自の情報端末で検索しているが、AI導入後は関連情報を網羅的に収集し、関心が高いと思われる情報を識別後配信する
  • 現状は海外運用会社からの提示情報など外国語情報を原文で読解しているが、AI導入後は翻訳AIによって翻訳を自動化する
  • 物流活動や求人情報などの先行指標に基づいて経済動向の予測精度を高める

日本のデジタル化の進歩は世界視点だと遅れている?

日本のデジタル化の進歩は、世界視点だと遅れていると言えるでしょう。デジタル化が遅れていると示される根拠のひとつに、国際経営開発研究所(IMD)が公表したデジタル競争力ランキングがあります。

そのランキングによると日本のデジタル競争力は28位に位置づけられ、2020年の27位と比べて1つ順位を落としてしまっています。

日本のデジタル競争力ランキング

[出典:IMD WORLD DIGITAL COMPETITIVENESS RANKING 2021]

なお、知識は25位、技術は30位、将来への備えについては27位という結果でした。総務省で取りまとめられた情報通信白書においても、日本のデジタル化は「大幅に後れている」と表現されています

これまで見てきたように、我が国のデジタル化について、デジタルインフラ整備などの一部については世界的に見ても進んでいるものの、全体としては大幅に後れていると言えるが、その理由は何だろうか。

[出典:総務省「令和3年版 情報通信白書」]

日本がデジタル化の遅れを取り戻すために行うべき4つのこと

日本がデジタル化の遅れを取り戻すために行うべきだと考えられている4つのことを紹介します。

  • デジタル人材の育成と確保
  • オープン化やクラウド化を進める
  • 5Gやデータセンターなどデジタルインフラの整備
  • デジタル原則を徹底する

(1)デジタル人材の育成と確保

デジタル化を推し進めるためには、デジタル人材が欠かせません。一方、変革を担う人材の確保について独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が調査した結果によると、量が不足していると回答したのは76%でした。

そのため、デジタル化の遅れを取り戻すためにはデジタル人材の育成と確保が喫緊の課題となっています。

もっとも、デジタル化のために不足しているのはエンジニアではなく変革を主導するリーダーであるという旨も一部で指摘されているところです。

(2)オープン化やクラウド化を進める

多くの企業が、端的に言うと古いシステム(レガシーシステム)を運用していることなどから、オープン化やクラウド化への対応が遅れていることが指摘されています。

そのため、企業としてはデジタルトランスフォーメーション(DX)と合わせてオープン化やクラウド化を進めることが重要です。

(3)5Gやデータセンターなどデジタルインフラの整備

5Gやデータセンターなどのデジタルインフラの整備も重要です。デジタル化には、そのインフラとなる5Gやデータセンターの整備が欠かせません。

特に自動運転やメタバースなどの技術利用においては超低遅延で大容量の情報通信が求められています。現時点ではインフラが東京や大阪に集中していることから、地方分散も急務とされています。

(4)デジタル原則を徹底する

デジタル化を推進する際の重要な考え方が、デジタル原則です。なお、デジタル原則とは次の5原則のことで、デジタル対応のための点検・見直し項目として機能します。

  • デジタル完結・自動化
  • アジャイルガバナンス
  • 官民連携
  • 相互運用性確保
  • 共通基盤利用

上記5原則は、デジタル臨時行政調査会のもとで点検と見直しが行われます。

今後さらなるデジタル化の変革が日本にとって重要

日本におけるデジタル化の歴史を見ると、一定の変革はあったものの、世界的に見て未だ多くの課題が残されていると言えます。

実際、日本のデジタル力は国際的に見て高いとは言い切れません。今後もさらなるデジタル化への変革が日本にとって重要です。

2021年9月には、デジタル社会形成のための司令塔としてデジタル庁が発足しました。デジタル社会形成が進むことを期待しつつ、企業や個人も変革を進めていく必要があるでしょう。

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