デジタルデバイド解消の取り組みとは?企業や自治体が実施すべき理由や対策

2022/5/28 2022/05/28

デジタル化

デジタルデバイドの取り組み

デジタルデバイド問題は、政府も非常に憂慮している問題です。デジタルデバイドが引き起こす問題や、解消すべき理由は何かを解説します。また、企業と自治体それぞれがとるべき対策と、すでに実施されているデジタルデバイドへの対応策を紹介します。

デジタルデバイドが引き起こす問題とは

さまざまな分野でデジタル化・IT化が進んでいますが、同時にデジタルデバイドが生まれている現状があります。では、デジタルデバイドの存在により引き起こされる問題について、1つずつみていきましょう。

デジタル化の意味とは?定義や必要性が高まる背景・推進方法を徹底解説

(1)情報格差による孤立

情報格差による孤立は主に高齢者層に多いといえます。若い世代と比べてITリテラシーが低いと考えられる高齢者層は、インターネット上にある莫大な情報から適切な情報を選択することが難しいでしょう。

また、高齢者層の中には「スマートフォン」「タブレット」「パソコン」などの端末を持っていなかったり、積極的に使いたがらなかったりすることもあるため、若い世代との情報格差は広がっていくばかりです。

高齢者層では若い世代に比べてSNSの普及率も低く、コミュニケーションの機会が少なくなるため、若い世代との距離を感じ孤立感を覚える可能性があります。

ただ、ITリテラシーの有無による情報格差は、高齢者層に限ったことではありません。情報格差による孤立は、ITリテラシーの低いすべての人材に考えられることといえます。

(2)所得格差が拡大

近年ではIT関連のビジネスが主流となり、幅広い業種で業務のIT化が進んできました。そのため、多くの企業でICTを扱えるITスキルが求められており、ITスキルが高い人材ほど就職しやすいという現状があります。

また、これから先成長すると考えられる企業のほとんどは業務のIT化を進めているため、ITスキルの高い人材が成長中の企業に集中することも考えられます。こういった流れから、ITスキルの低い人材は就職が難しくなり、所得格差へとつながってしまうのです。

(3)DX化の停滞

DXとは、人々の生活や社会の流れに沿って、デジタル技術を用いたビジネスモデルの変革を目指すものです。つまり、DXにはデジタル技術の活用が必須であり、デジタル技術を使いこなすためのITリテラシーが必要となってきます。

DXの推進は企業全体で進めることが重要です。しかし、DXの実現を目指しデジタル技術を導入しても、デジタルデバイドによって使いこなせる人とそうでない人がいれば、企業全体でDXをスムーズに進めることは難しいでしょう。

(4)企業セキュリティの低下リスク

各企業でデジタル機器やITツールが導入されつつありますが、IT化が進むほどセキュリティリスクも高まります。主に「個人情報の漏洩」「企業の機密情報の漏洩」「デジタル機器のウイルス感染」などが挙げられ、企業はこれらのリスクを想定した対策が必要となります。

また、業務のIT化を急速に進めることで、ITシステムへの理解が追いつかなかったり、ITシステムの管理が適切に行われないといったことも考えられるのです。こういった問題を避けるためにも、デジタルデバイドを解消し、企業のセキュリティを強化しなければなりません。

(5)デジタルデバイドを利用した詐欺や事件

ITリテラシーが低いと、インターネット上における犯罪に巻き込まれる可能性が高まります。たとえば、以下のような問題が挙げられます。

  • 商品の比較ができず、高額商品を売りつけられる
  • 適切なウイルス対策ができず、パソコンがウイルスに感染する
  • 個人情報の管理不足で、ストーカー被害に遭う
  • 悪質なURLをクリックしてしまい、クレジットカードが不正利用される

上記のように、ITリテラシーが低ければ正しい情報を選択できず、犯罪に巻き込まれた際も対応に遅れたり適切な対応ができなかったりするなどのリスクが考えられます。

(6)技術や人材の流出

デジタルデバイドの解消が課題として挙げられるなか、日本ではIT人材の確保が難しいといわれています。理由のひとつとして、ITスキルの高い人材が国外に流れていることが考えられます。

日本は海外と比べIT化が遅れているため、ITスキルの高い人材はよりよい待遇を求め、IT分野がより発展した国へと流出してしまうのです。

また、日本で生み出した技術が海外に流出してしまえば、海外でそれ以上の技術へと進化することも考えられます。こうなると、海外にとって日本の技術の需要が減ってしまうのです。

さらに、技術や人材の流出は国だけでなく企業単位でもおこりうる問題です。所得格差があることに不満を持たれることで、ITスキルの高い人材がよりよい待遇を求め退職・転職し、残されるのはITスキルの低い人材ばかりになってしまいます。

デジタルデバイドの解消の必要性

デジタルデバイドによってさまざまな問題が引き起こされます。では、デジタルデバイドを解消する必要性について、「企業」「自治体」という2つの目線から解説していきます。

企業がデジタルデバイド解消に取り組むべき理由

企業がデジタルデバイド解消に取り組むべき理由を1つずつ紹介します。

#1: 顧客対応の質を向上させるため

企業と顧客のコミュニケーション方法は多様化しており、ビジネスチャットやオンライン会議システムなど、企業と顧客の距離も近くなっている傾向があります。

しかし、デジタルデバイドがあれば、顧客対応の質にも個人差が生まれ、企業への不満へとつながってしまう可能性があるのです。

また、IT化が進んでいることから、地方や海外などの本拠地を置く顧客獲得も珍しくありません。そのため、デジタルデバイドを解消し、遠隔でも顧客対応を可能とする必要があります。

しかし、地方や海外の顧客にトラブルが起きた際、ITリテラシーがなければ直接足を運んで解決するという手段しかとれず、対応の遅れや問題の肥大化にもつながりかねないのです。

#2: 会社競争力を高めるため

顧客や社会のニーズは常に目まぐるしく変化しているため、変化に応じたビジネスモデルを構築していかなければなりません。その変化を感じ取るためには情報収集が重要となってきますが、情報収集にはITの活用が不可欠です。

また、ITリテラシーの高い企業では積極的にITツールを活用し、業務効率化や生産性の向上を図っています。そのため、利益を生み出す機会が増え、企業の成長にもつながっているのです。

このように、企業全体でITリテラシーを高め、デジタルデバイドを解消することが会社競争力を高めています。

#3: 省人化・人材不足への対応のため

手作業であれば莫大な時間や人的コストがかかっていた業務も、デジタル技術を取り入れることで解決できるでしょう。

特にデータ入力や勤怠管理などの業務は、デジタル技術があれば時間や人的コストがかからないだけでなく、入力ミスといった問題も解消されるため、業務効率化につながります。

このように、業務の省人化・人材不足に対応するためには、企業内のデジタルデバイドを解消し、企業全体でIT技術を活用することが重要です。

#4: 優秀な人材確保のため

デジタルデバイドが存在する企業では、ITリテラシーの高い人材が待遇に不満を抱くことや、従業員に「働きにくい」と感じさせてしまうことが考えられます。結果として、ITリテラシーの高い人材が他社や海外に流出してしまう可能性があるのです。

働きやすい環境づくりには、デジタル技術の導入が不可欠です。デジタル技術を活用していくためにも、デジタルデバイドを解消し優秀な人材を確保することが重要といえます。優秀な人材の確保は、これからの企業成長にもつながるでしょう。

自治体がデジタルデバイド解消に取り組むべき理由

自治体がデジタルデバイド解消に取り組むべき理由を1つずつ紹介します。

#1: 企業・若者の誘致のため

デジタル環境を整備することで、若者がインターネットを通じて地方に住みながら仕事をしたり、親の介護や子育てをしながら仕事をしたりするなど、働く人にとって自由な働き方を可能とします。

また、土地が安い場所に企業の本社を置くなど、地方に企業を誘致することで雇用の機会も増えるでしょう。

#2: 高齢者の孤立を防ぐため

高齢者層においてITリテラシーが低いことは珍しいことではなく、とくに地方ではデジタル技術に関心のない高齢者も存在するでしょう。

しかし、ITリテラシーが低ければ、情報収集の機会がなくなり、人とのコミュニケーションも不足します。こうなると、情報不足による孤立や独居による孤立を引き起こしてしまうケースも考えられるのです。

#3: 地方自治体の活性化のため

若者が少なく高齢者が多い地域では、過疎化が進んでいます。町おこしのためにも、若者や企業を呼び込んだ地域活性化が必要です。また、自治体にデジタル技術を導入したところで、自治体自体のITリテラシーが低ければ、住民は混乱を起こすかもしれません。

したがって、インターネットを活用した自治体の宣伝や、デジタル技術導入に関する講習会を設けるなどの取り組みが必要となります。

企業が実施すべきデジタルデバイド対策

では、デジタルデバイド解消に向け、企業で実施すべき取り組みとして以下の3つの施策を解説します。

  • インターネット環境の整備
  • デジタル研修・教育の機会の設定
  • デジタル部門に強い人材の雇用

(1)インターネット環境の整備

デジタル技術やITツールを導入しても、使いこなせなければ意味がありません。また、活用するためには、整備されたインターネット環境が必要です。ITリテラシーが十分にあっても、インターネットの環境に左右される可能性も考えられます。

とくに、リモートワークといった会社以外の場所で働く際、インターネット環境に個人差が生まれやすいといえます。そのため、インターネット環境を整備するための費用負担や社用パソコンの支給など、従業員が同じインターネット環境下で仕事を進められるような対策が必要です。

そうすることで、ITリテラシーの高さやインターネット環境に左右されることなく、デジタル技術やITツールを積極的に活用できるでしょう。

(2)デジタル研修・教育の機会の設定

労働人口の減少やIT人材の確保が難しい現代で、ITスキルの高い人材だけを採用することは困難といえます。そして、IT技術を導入しても、活用できる人材がいなければ導入の意味がありません。

そのため、企業がデジタル研修や教育の機会を設けることで、ITリテラシーの高い人材を育成することが重要です。

また、IT技術は日々進化し続けています。したがって、研修や教育の機会は1度で終わるだけでなく、定期的に開催することがおすすめです。このように、研修や教育の機会を設け、IT技術への理解や活用に向けた取り組みを行いましょう。

(3)デジタル部門に強い人材の雇用

デジタル技術の導入に向けて、ITスキルの高い人材を雇用することで、デジタルデバイド解消につながります。なぜなら、デジタル技術を活用できるだけでなく、ITリテラシーの高い人材を育成するためにも必要な存在となるためです。

ただ、労働人口が減少していることもあり、ITスキルの高い人材の雇用は簡単とはいえません。したがって、ITスキルの高い人材を雇用するために、働きやすい環境づくりや適切な雇用条件を検討しましょう。

(4)操作しやすいツール導入

企業のIT化を推進するために、操作しにくいツールやデジタル技術を導入してしまえば、デジタルデバイドは広がるばかりです。ITリテラシーの低い人材にとって、新たな技術への対応だけでもストレスに感じる可能性があります。

そのため、シンプルで操作しやすいツールを導入し、新たなツール活用のハードルを下げることが大切です。

企業として活用して欲しいツールと異なる場合でも、扱いやすいツールで慣れてもらったうえで、徐々に移行することが適切でしょう。

自治体が実施すべきデジタルデバイド対策

デジタルデバイド解消に向け、自治体で実施すべき取り組みとして以下の3つの施策を解説します。

  • 高齢者へのデジタル機器の認知向上
  • コワーキングスペースなどの整備
  • ブロードバンド整備への助成

(1)高齢者へのデジタル機器の認知向上

高齢者が多い地方におけるデジタル技術の導入には、高齢者に対してデジタル技術を認知してもらうことが大切です。高齢者層はデジタル機器を嫌う傾向があり、活用に前向きでない場合が考えられます。

しかし、高齢者層を放置してデジタル技術の導入を進めてしまえば、デジタルデバイドはさらに広がるでしょう。

したがって、自治体は高齢者向けのデジタル教室や講習会など、デジタル技術の活用支援を行うことが認知向上へとつながります。こういった取り組みで、「年齢に関わらずデジタル技術が活用できる」と、高齢者層のハードルを下げられるのです。

(2)コワーキングスペースなどの整備

コワーキングスペースでは、場所にとらわれない働き方をする人がオープンスペースを共有しながら仕事をします。コワーキングスペースが整備されれば、気軽にリモートワークができたり、起業したい人を集めたりすることが可能となります。

また、都市部で働く人も、コワーキングスペースを利用したワーケーションができるため、地方への若者誘致が期待できるのです。

このような流れがあれば、ITリテラシーの高い人材を雇用する機会やITスキルを高めるためのプロジェクト開催も増え、デジタルデバイド解消にもつながるでしょう。

(3)ブロードバンド整備への助成

インターネット環境を整備するにはブロードバンドが必須となります。ブロードバンドとは、スマートフォンやパソコンなどのデジタル端末とプロバイダーをつなぐ回線を指します。

しかし、ブロードバンドの整備には莫大なコストがかかるため、整備されていない地域もあるようです。

ただ、デジタルデバイド解消にはインターネット環境は不可欠といえるため、自治体がブロードバンド整備への助成を行う必要があります。

実際のデジタルデバイドへの取り組み事例

最後にデジタルデバイド対策として行われている取り組みとして以下の4つの施策を紹介します。

(1)携帯ショップのスマホ教室

年齢層が上がるにつれて、スマートフォンやタブレットの利用率は下がります。しかし、デジタルデバイドの解消には、高齢者層の情報収集能力を向上させることが大切です。そのための最も身近な対策として、スマートフォンの活用が挙げられます。

このように、高齢者層でもスマートフォンを活用できるよう、高齢者層と身近な場所で携帯ショップや自治体によって「スマホ教室」が行われています。

スマートフォンの操作方法から情報を集めるための検索方法など、スマートフォンに関する講習や相談を幅広く実施しているようです。

(2)オンラインサービスの利用方法アドバイス

民間企業をはじめ行政手続きでもオンラインサービスが活用されるようになりました。コロナウイルスの蔓延といった理由もあり、オンラインサービスの需要は高まっています。

しかし、需要が高いといっても利用方法が難しかったり、そもそも存在を知らなかったりするため、オンラインサービスが浸透していないのです。

こういった課題から、デジタル活用支援として住民の身近な場所で、地方自治体によるオンラインサービスに関する利用方法のアドバイスを行っています。

この取り組みは、利用方法が分からない人の理解を深めるだけでなく、オンラインサービスの認知度向上にもつながるでしょう。

(3)インフラ整備と通信量の割引

デジタル技術を導入するため、各地域でインフラ整備が進められています。地域間におけるデジタルデバイド解消には、インフラ整備が欠かせません。インターネット環境を整備することで、デジタル機器の利用率向上も期待できるでしょう。

また、通信料の割引を行い、スマートフォンやタブレット利用のハードルを下げています。これまでは携帯電話をはじめスマートフォンの本体料金・利用料金は比較的高価でした。

しかし、「格安スマホ」や「格安プラン」などの登場により、購入を悩んでいた層にも購入のきっかけを与えられるようになったのです。

(4)低所得者向けのインターネットサービスの提供

中国をはじめとして海外では、低所得者向けインターネットサービスの提供を始めました。この取り組みにより、中国国内では都市部と農村部のデジタルデバイドが解消され、中国のインターネット網が世界最大級となったのです。

また、アメリカでは、Googleが公営住宅居住者向けに無料でインターネットサービスの提供を始めています。このように、所得格差があるなかでもデジタルデバイドを解消するための動きが活発になっているようです。

デジタルデバイドを解消して企業や地域の活性化へ

デジタルデバイドは、企業にとっても地域にとってもさまざまな問題のもととなってしまいます。日本は海外に比べIT化が遅れている現状もあるため、デジタルデバイドの解消は重要といえます。

企業や地域にとって必要な取り組みを行い、企業競争力の向上や地域活性化を目指しましょう。

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