役員や社長の経費精算ってどうやるの?勘定科目や注意すべきポイントを解説

最終更新日時:2023/01/23

経費精算システム

経理担当者の悩みの1つである役員や社長の経費精算。役員や社長は対外的な業務も多く、何を経費として精算すべきなのか判断に困っている人も多いのではないでしょうか。本記事では、役員や社長の経費精算について使用される勘定科目や、注意すべきポイントをあわせて解説します。

役員や社長の経費精算の基準

社長や役員が立て替えた費用を経費に精算するかしないかは、損金に算入できるかがポイントです。

損金とは、会社の支出のうち、経費として計上されない売上原価や費用、損失を指します。

損金算入が可能であれば、法人税の計算時に必要経費として計上できるため、課税対象外になります。また、節税対策にもつながるため、損金算入の可否基準はしっかりと理解しておく必要があるのです。

社長や役員は対外的な業務が多く、さまざまな費用が個人と法人どちらなのか判断に迷う場面は少なくないでしょう。

経費として計上するためには、法人として必要な支出であることが証明されなければなりません。

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損金に算出できない費用

社長や役員の業務内容や範囲は多岐に渡ります。

さまざまな支出に対し経費計上の可否を判断するためには、損金として算入できないものを把握しておくことが重要です。

損金算入不可の項目としては、下記4つがあげられます。

  1. 役員賞与
  2. 同族会社との取引
  3. 寄付金
  4. 罰金

項目ごとに算入不可の理由について解説します。

1.役員賞与

臨時的な報酬として支払われる役員賞与は、損失算入は不可であり課税対象となります。

損失算入不可と判断される理由は、役員賞与を税金から逃れるための利益操作に利用されないためです。

いつでも好きな時に好きな額を臨時報酬として支給し、それを損金として算入することができれば、企業の利益を0円に調整することも可能となってしまいます。

企業の利益を0円に調整できれば、法人税の徴収自体ができなくなる恐れがあるため、臨時的に支給される役員賞与を損金として算入することは認められていません。

ただし、会計年度開始から4ヶ月以内に所轄税務署に役員報酬の支給スケジュールと支給額を届け出ることで、役員賞与も損金算入できるという例外もあります。

2.同族会社との取引

同族会社との取引は、税金逃れのリスクが高いため、損金算入は不可です。

国税庁が行った調査によると、日本企業(単体法人)の96.4%は同族企業で、特に中小企業のほとんどが同族会社です。

日本の中小企業の多くは「株主=経営者」であるため、「所有」と「経営」が分離していないことから、本来であれば経営者に対して働くはずの株主による牽制機能が無効化しているケースが散見されます。

内部牽制が弱体化することで、会社が私物化され、租税回避を目的とした経済的合理性に欠ける取引が発生しやすい環境になってしまい、国税庁も大きな懸念事項と考えています。

【出典:国税庁「令和2年度版会社標本調査-調査結果報告-」P168】

3.寄付金

先述のケース同様、寄付金も利益操作による租税回避が行われる可能性が高いため、損金不算入項目となっています。

ただし、全く損金算入が不可能というわけではなく、算入上限額内であれば算入が可能です。

寄付金の算入上限額は、以下の方法で算出されます。

損金算入可能上限額 = 資本金額 × 1/400 + 所得額 × 1/40

上限額は、寄付金という名目によって際限なく経費計上されることを防ぐことを目的として設けられており、寄付先も学校や神社などの取引と関係のないところに限るとされています。

例外として、国または地方公共団体への寄付に対しては、寄付した全額を損金として算入することが可能です。

4.罰金

罰金はその効力が薄れることを回避するため、原則的に損金算入不可の項目です。

交通違反はもちろん、国税や地方税の納付遅延による延滞税も損金算入不可です。

ただし、社会保険の納付を延滞した場合に発生する延滞金のみ、法人税法により例外的に損金算入が可能となっています。

【出典:e-Gov法令検索「法人税法第55条第3項」】

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役員や社長の経費精算の項目

役員や社長が立て替えた費用の中で以下の項目においては、いくつかの条件を満たした場合にのみ、経費として精算することが可能です。

  • 交際関連費用
  • 海外渡航費用
  • 健康診断費用

ここからはそれぞれの項目について、経費精算するためのポイントを解説します。

交際関連費用

交際費に関連する費用の中でも下記の費用については、損金算入が可能な費用です。

  • 渡切交際費
  • 同業者団体の会費
  • 社交団体の入会金
  • ゴルフクラブ等の入会金

損金として計上するためには、具体的にどのようなポイントをおさえておくべきでしょうか。

渡切交際費(わたしきりこうさいひ)

渡切交際費とは、接待費や旅費、交通費などを後日精算しないことを前提に事前に役員や社長に渡しておく交際費です。

渡切交際費は、法人として必要な経費として使用されたという実績を領収書などで証明しなければ損金として計上することはできません。

しかし、交際費が毎月定額支給されている場合は、領収書がなくても損金計上が可能です。

同業者団体の会費

協会や連盟などの団体に属することも多い役員や社長ですが、加盟時の会費も、損金として算入可能な項目です。

ただし、算入が可能なのは、「同業者団体」の会費に限られます。

その他の団体の会費は、その用途に応じて交際費や寄付金として計上します。

入会金は、交際費扱いで譲渡または脱退する時までは資産として計上し、その他の費用は繰越資産として計上可能です。

社交団体の入会金

社交団体への入会金は、入会した会員の種類により、損金算入の可否が決まります。

法人会員に入会した場合、入会金と会費はどちらも交際費に損金計上が可能です。

役員や社長が個人会員に入会した場合、入会金と会費はどちらも給与で処理されます。

例外として、該当団体に法人会員制度が設けられておらず、その団体への入会が業務上必要であることが認められる場合は、入会金と会費は法人会員と同様に扱われ損金計上が可能です。

法人会員制度を設けていない団体には、ロータリークラブやライオンズクラブなどがあります。

ただし、あくまで役員または社長個人で負担すべきとの判断に至った場合は、入会費、会費どちらも役員の給与として扱われます。

ゴルフクラブ等の入会金

ゴルフクラブへの入会も、社交団体への入会同様に会員の種類によって費用の仕訳方法が異なります。

法人会員の場合は、入会金は資産、年会費は交際費に計上されます。

また個人会員の場合は、入会費、年会費はどちらも給与として計上可能です。

法人会員枠が無く、業務上の必要性から個人会員で入会した場合は、その他社交団体と同じく、法人会員の扱いと同様に処理されます。

ちなみにゴルフのプレー代金は、業務上の必要性が認められれば交際費として計上が可能ですが、私的な理由のプレー代金は給与として扱われます。

海外渡航費用

海外渡航に関する費用は、業務上の必要性と金額の妥当性が認められた場合、損金として計上することが可能です。

上記に該当しない場合は、給与として扱われます。

業務上の必要かどうかの判断材料は、旅行の目的や行き先、期間などから総合的に検証します。しかし、以下のケースに該当する場合は、業務上の必要性があると認められません。

  • 観光渡航の許可を得て行われる旅行に参加する場合
  • 旅行あっせんを行う者などが行う団体旅行に参加する場合
  • 同業者団体およびそれに準ずる団体が主催する観光を目的とした団体旅行に参加する場合

ただし、上記に該当する条件で海外渡航した場合でも、渡航先で業務に直接的関連性があると認められる内容や費用が発生した場合、それらにかかる費用のみ、経費として損金算入が可能です。

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健康診断費用

役員や社長が受診する健康診断にかかる費用は、原則福利厚生費で経費計上することが可能です。

ただし、福利厚生費として認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 全従業員が対象の健康診断であること
  • 検診先の医療機関に、企業が直接その費用を支払うこと
  • 健康診断にかかる費用が、常識の範囲内で健康管理上必要とされる金額であること

上記いずれか1つでも満たしていない場合は、給与扱いで処理されます。

役員や社長などの特定の役職のみを対象に、人間ドックやPETなどの高額な検診を受診した場合も、給与として処理され課税対象となります。

ただし、「一定年齢以上」という規定を設け、そのうちの希望者全員が人間ドックと同程度の検診を受けられるよう手配し、その費用を企業が負担するのであれば、福利厚生費として計上することが可能です。。

【出典:国税庁「人間ドックの費用負担」】

役員や社長の経費精算の注意ポイント

企業の内外で業務している役員や社長は、業務上さまざまな出費が発生します。

これらの出費は、「業務上必要性があるもの」と「業務に関連しないもの」の2つに分けられ、前者は損金、後者は役員給与として計上されます。

前項で解説した、役員や社長の経費精算の中でも代表的な項目においても、原則としての取り扱い方は定められているものの、最終的には詳しい事情や内容を総合的に勘案して損金計上の可否を判断するしかありません。

そのため、業務上の必要性が明確に示すことができない費用は、基本的に役員給与と判断されると考えていいでしょう。

個人と法人の境界線が曖昧になってしまう役職だからこそ、1つ1つの費用の必要性と妥当性をきちんと検証し判断するよう注意が必要です。

経費精算時の費用はどの勘定科目に該当?科目ごとに具体例を一覧で紹介!

役員等が個人資金から立て替えた場合の勘定科目

役員や社長が経費を立て替えた場合、「役員借入金」もしくは「短期借入金」として仕訳を行います。

これは、法人が個人(役員または社長)から借入をしているという認識だからです。

ここからは、それぞれの勘定科目の特徴を解説していきます。

役員借入金

役員借入金とは、企業の役員が自分の個人資金を法人に対して貸し付けることを指し、主に、開業時に企業の資金が不足している時などに発生します。

借入金とは、お金を借りていることになるので、当然利息が発生します。

しかし、役員借入金の場合、利息の有無は任意で設定が可能なので、借入先の役員や社長が同意すれば、利息なしで借りることができ、法律上も問題はありません。

また、返済期限も設けられていないため、いずれは返済しなければならないものの、そのタイミングは自由に選ぶことができます。

短期借入金

短期借入金は企業の運転資金を想定しており、基本的には「役員借入金」とほぼ同じ意味を持つ勘定科目です。

そのため、役員や社長が経費を立て替えた場合でも、短期借入金として仕訳することが可能です。

役員や社長による立て替え以外に、金融機関や取引先からの借入金も対象となります。

役員借入金との違いは、「役員借入金」と記載すれば役員が立て替えたことが明確になる点です。

加えて、返済期間が定められている点も役員借入金と異なります。

短期借入金は、決算日の「翌日」から起算して1年以内に返済日が設定されます。

一般的に長期借入金よりも低金利で審査が通りやすいとされているため、企業の運転資金の調達方法として選ばれることが多いのも特徴です。

しかし、頻繁に役員や社長が資金の立て替えを行い、短期借入金や役員借入金の額が膨らむことは、企業の評価が下がるだけでなく、相続税や留保金課税などを支払うリスクにもなるので扱いには注意が必要です。

経費精算時の費用はどの勘定科目に該当?科目ごとに具体例を一覧で紹介!

役員等が個人資金から立て替えた場合の仕訳方法

ここからは、役員や社長が個人資産からの立て替えを行った際の仕訳方法を、具体例で紹介していきます。

事例1. 業務上必要な消耗品(ボールペン)を購入した場合

借方貸方
消耗品費1,000円役員借入金1,000円

事例2. 未払金の支払いをした場合

借方貸方
未払金100,000円役員借入金100,000円

事例3. 役員や社長が立て替えた経費を現金で精算する場合

借方貸方
役員借入金50,000円現金50,000円

役員等の経費精算は目的に応じて正しく処理しよう

役員や社長が立て替えた費用を経費計上するには、「業務上必要な支出」であることが明確に証明されなければなりません。

社内業務以外の活動が多い役員や社長は、支出の目的や用途が曖昧になってしまうため、健全な経営体制を維持するには、正しく仕訳処理することが大切です。

いくつもの仕訳方法が考えられるからこそ、それぞれの違いや特徴をしっかり理解した上で、適宜使い分けるようにしましょう。本記事を参考に、正しい経費精算を理解してください。

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