経費精算はテレワークでも効率化可能!よくある問題と解決策を紹介
多様な働き方に対応するため、テレワークを導入する企業が増えてきました。しかし、経費精算においては、関係する従業員が、その都度出社しているケースが少なくありません。本記事では、経費精算をテレワークで行う方法と生じる問題点、解決策についてご紹介します。
目次
経費精算業務のテレワーク化が進まない原因とは?
多様化する働き方に対応するための勤務形態として、テレワークを導入しているものの、経費精算については、テレワークに対応していないという企業は少なくありません。
ここでは、経費精算業務のテレワーク化が進まない4つの原因を解説します。
(1)上長の承認や申請書の保管業務が必要
経費精算の際、経理での精算前に上長の承認をもらう社内規定を設けている企業が多く、承認フローにかなりの時間を要します。
申請書・領収書ともに紙で手渡をしなければならず、申請する従業員、承認する上長、経理担当者の全員が出社しなければ精算を完了することはできません。
出社のタイミングが合わないと、それぞれの承認作業が進まなかったり、不備で再度出社しなければならなかったりと二度手間になってしまいます。
(2)経費精算システムが社内でしか使用できない
経費精算をシステム化していても、社外からアクセスできない場合は、申請者、承認者、経理担当者の全員が出社しなければなりません。
情報漏洩の防止といったセキュリティ対策として有効な側面があることは確かですが、テレワークを推進するにあたっては、利便性の悪さがリスク以上の欠点となってしまいます。
(3)小口現金で立て替え経費を精算している
交通費や事務用品など、少額の経費は小口現金を使って精算しているというケースもあります。
この場合も出社しなければ精算できないのはもちろんのこと、経理担当者は、常に精算に対応できるよう、銀行で両替をしておくなど、現金を準備しておかなければなりません。そのため、現金を直接やり取りする上での、盗難や紛失などのリスクも発生します。
(4)領収書の電子化に対応していない
紙の領収書で手続きをしており、電子化が進んでいないのも原因の一つです。
領収書は経費を支払ったことを証明する大切な書類であり、税法上も、その保管が義務付けられている書類のひとつです。
万が一、税務調査が入った場合にも、領収書が適切に管理されているかどうかは、調査結果に大きく影響するため、会社規定で「領収書は原本を提出すること」としている企業は多いでしょう。
現在は、法改正により、電子化した領収書データも原本として認められていますが、いまだに領収書を紙で保管している企業が多いのが現実です。
▷経費精算に必要な領収書の原本は保管すべき?コピーや電子化データはOK?
経費精算業務をテレワーク化すべき理由やメリット
経費精算業務を出社することなく、テレワークで完結できれば作業の効率化が実現します。
通勤時間を失くし仕事に集中できる環境を整備することで、社員への負担も減らせるでしょう。今後、テレワーク化を進めることで企業としても新たな1歩を踏み出せる可能性は十分にあります。
(1)経費精算業務全般の業務効率化が可能
経費精算システムを新たに導入することで、以下のような業務の効率化が可能になります。
- 領収書の自動読取機能により手入力作業の削減や入力ミスを予防
- ルート検索機能と連携した交通費の自動計算および精算
- 申請から承認、精算までの業務をオンラインで一括管理
さらに、経費精算の一連作業のシステム化と、領収書の電子化を同時に進めることで、領収書の紛失リスクを抑え、精算後のファイリングといった保管業務の負担も軽減することができます。
▷経費精算に必要な領収書を紛失した時の対処法とは?これを見れば安心!
(2)あらゆるコストを削減
経費精算を紙で行う場合、申請書の印刷・回覧・承認・保管と、すべての作業に時間と手間がかかります。出社で精算する場合は、交通費など、経費精算のためにさらなる経費が発生することにもなるでしょう。
さらに領収書は、税法上、7年〜10年間の保管が義務付けられているため、紙の書類を保管するとなれば、かなりのスペースを要します。保管費用や保管場所を定期的に整理するための人件費など、さまざまなコストがかかっているのです。
システム化し、テレワークで行うことにより、これらの費用の多くを削減することができます。
(3)オンライン&ペーパーレスによる効率化
システム化により申請者はいつでもどこでも経費申請ができるようになります。
テレワークに対応できるだけでなく、外回りが多い従業員においても合間の時間を使って申請ができるため、経費精算を溜め込んでしまうことがなくなります。同様に、承認業務も場所を問わず可能になることで、迅速に行えるでしょう。
上記の一連の作業がスムーズになることで、毎月大量の経費が「締切間近」に持ち込まれるといった、業務量の極端な偏りを解消することができます。
また、領収書が電子化されることで、管理業務の負担が一気に軽減され、ファイリング作業などからも解放されるでしょう。
(4)「無駄な時間」の廃棄で生産性を向上
出社での精算を前提とした経費精算の場合、申請者、承認者、経理担当者の全員が出社しなくてはなりません。
それぞれに移動時間の無駄が発生するのはもちろんのこと、テレワークの合間に出社して精算するのであれば、全員の足並みを揃えることは難しく、一つひとつの経費精算に多くのタイムラグが発生することになります。
システム化することで、無駄な時間がなくなり、本来やるべき業務に集中して取り組むことができるようになるのです。
(5)経費精算のために出社が不要になる
企業によっては経費精算をするにあたって、原本や各種書類を提出しなければならない関係で、経費精算のために出社をしなければならないこともあります。
せっかくテレワークの働き方が定着してきたにも関わらず、わざわざ出社しなければならないと、社員にとっても不満が募ります。
そこで、領収書の電子化や各種フローをクラウド上で行えば、経費精算のためだけに出社する必要がなくなります。
▷経費精算でクレジットカード明細は利用可能?領収書の要否や注意点を解説
テレワーク業務に移行するために必要なこと
経費精算をテレワークでも可能にするには、具体的に以下の作業を行う必要があります。
- 経費精算システムの導入
- 領収書・請求書の電子化
- 小口現金の撤廃とキャッシュレス決済の導入
詳しい内容について順に解説します。
(1)経費精算システムの導入
経費精算システムには、具体的に以下のような機能が搭載されています。
- 経費の申請および承認機能
- 経路検索システムや交通系ICカードとの連携
- 会計システムとの連携
- 帳簿書類の電子化
現在は、さまざまな経費精算システムが存在し、機能や料金形態も多様化しています。導入を検討される際には、導入の目的を明確にし、必要な機能を搭載しているシステムを選んでください。操作性については、経理担当者だけでなく、申請側の従業員の意見を考慮することも大切です。
さらに、会計業務など、経費精算と親和性の高い業務に既存システムがある場合は、連携可能かどうかも忘れずに確認しましょう。
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(2)領収書・請求書の電子化
経費精算システムを導入する場合、領収書などの帳簿書類は、電子化されたデータでやり取りをして保管することになります。
領収書などの帳簿書類の電子化には、税法上、保存の際の要件がいくつか設定されています。電子化したデータが、要件を満たさず原本として認められないといったトラブルに発展しないよう、保存する際の方法や注意点は必ず、詳細をわかりやすくまとめて、従業員全員に周知を徹底するようにしましょう。
▷経費精算の領収書は電子化で効率化!方法やメリット・注意点を解説
(3)小口現金の撤廃とキャッシュレス決済の導入
経費精算をシステム化することで、小口現金は必要なくなります。システム化することで、経費精算が簡単になることは事実ですが、出張などで経費の支払いが日常的に多く発生する場合は、その都度システムを介して精算するのは効率的とはいえません。
そのようなケースでは、法人用クレジットカードやプリペイド式の法人カードなどのキャッシュレス決済を導入しておくと便利です。
これらの方法で、決済を行った場合は、利用履歴が領収書の代用として認められているため、確認作業の軽減にもつながります。
テレワークで発生する経費の例
ここからはテレワークで会社が負担する経費について紹介していきます。
- パソコンを含めた周辺機器
- ネットワーク通信費
- 水光熱費
- 消耗品
パソコンを含めた周辺機器
テレワーク時に利用する貸与パソコンや周辺機器については、基本的に会社側から貸与し、費用も基本的に全額会社が支給します。
貸与するパソコンは会社が保持していたり、リース契約であったりと企業によってさまざまです。
ネットワーク通信費
ネットワーク環境を整える際のネットワーク通信費も会社側が負担するケースが一般的です。
ただ、個人利用分と業務利用分の切り分けが難しいこともあり、全額ではなく一定額を会社負担にする傾向があります。
消耗品
消耗品は従業員が利用した後に経費精算するというよりは、会社側で購入してあるものを渡して利用してもらうケースが一般的です。
在庫がなくなってしまうと業務がスムーズに進まないこともあるので、あらかじめ用意しておくようにしましょう。
経費精算システムをテレワークで利用する際の問題と解決策
実際にテレワークで経費精算システムを導入した場合、以下のような問題が起こる可能性があります。
ここからは、3つの問題とその解決策をご紹介します。
(1)システムに慣れるまでの時間が必要
新しいシステムを導入する場合は、オフィス勤務やテレワークなど、勤務形態にかかわらず、慣れるまでの時間が必要です。しかし、テレワークならではの「コミュニケーションの取りにくさ」により、慣れるまでには、オフィス勤務時以上の時間を要することがあります。
周囲に従業員がいる状況であれば、使用上のちょっとした疑問をその場で解決することができ、システム上、どの部分で疑問や不安が生じたのかといった点もリアルタイムで共有されます。しかし、テレワークの場合、そうはいきません。ちょっとした疑問を解消するのにも時間がかかってしまうのです。
このような導入後の混乱を避けるためには、事前準備が重要となります。システムの使い方については、システムのキャプチャやイラストなどを多用した、使い方の流れを「可視化」したマニュアルを準備しておくようにしてください。
よくある質問に関しては、このマニュアルを見て、ある程度の対応ができるよう準備しておけば、同じような質問の対応に経理担当者が時間を取られることはありません。
また、ビジネスチャットツールなど、スピーディーなコミュニケーションができる手段も導入しておくと便利です。経費精算システムの使用に関する質問や課題は、グループチャットで随時共有し、システム導入を円滑に進めましょう。
▷経費精算時の費用はどの勘定科目に該当?科目ごとに具体例を一覧で紹介!
(2)セキュリティ上の問題
テレワークの場合、オフィス外の場所からシステムにログインすることになります。そのため、使用する従業員のセキュリティに関する意識が低いと、情報漏洩の危険性も高まります。
こうした問題を解決するためには、セキュリティに関して第三者機関の認証を受けた信頼できるシステムを利用することに加えて、従業員にシステムを運用する上でのルールを、徹底して守ってもらう必要があります。
パスワード設定の際のルールや、自宅および自宅以外で作業する際の注意点などの社内規定を整備し、周知と実行を徹底するようにしてください。
(3)コストの問題
導入費用は、選ぶシステムによって異なりますが、いずれにせよ初期費用やランニングコストなどは必要となってきます。
初期費用や月額料金が無料の経費精算システムもありますが、やはり有料版と比べ、機能やセキュリティ面など、劣る点が見受けられるのは否定できません。
しかし、システム導入により、消耗品や人件費などのコストが削減できるのも事実です。システムの利用料金は、使用する機能によっても異なるため、不要な機能まで搭載されている高額なシステムを選択する必要はありません。必要な機能に絞ってシステムを導入することで、最大限の費用対効果を得るようにしましょう。
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テレワークにおすすめの経費精算システム3選
テレワークに移行するには、経費精算システムの導入が必要です。おすすめの経費精算システムを3つ厳選してご紹介します。
(1)ジンジャー経費
シンプルなシステムで、初見でも簡単に利用できる設計になっています。初めて触れるシステムに戸惑う社員もいるなか、無駄な装飾を省くことで簡単に作業できるでしょう。
必要なプランのみを選んで導入することが可能。選び方によっては、経費精算のみでなくWeb会議などバックオフィス業務全般の効率化も実現してくれます。
提供元 | jinjer株式会社 |
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初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 400円〜/人/月 |
機能・特徴 |
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おすすめの企業 |
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URL | 公式サイト |
(2)楽楽精算
楽楽精算は申請の項目やレイアウトを自由に設定できるため、使い慣れた自社の申請書フォーマットを引き継いで使うことができます。設定の変更手順も簡単なため、テレワークに移行した後も、状況に合わせてカスタマイズしていけるでしょう。
サポート体制が充実しており、困った際には専任のサポートスタッフが解決するまで丁寧に付き添ってくれます。
提供元 | 株式会社ラクス |
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初期費用 | 110,000円(税込) |
料金プラン | 33,000円(税込)/月~ |
導入企業数 | 約10,000社(2022年4月時点) |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
(3)CONCUR Expense
製品全体の継続利用率が99%を誇るなど、利便性の高さがユーザーから支持されている株式会社コンカーが提供している、経費精算システムです。口コミによるとシステムを導入したことにより、大幅なコストダウンや社員満足度が上がった企業もあります。
世界各国で導入実績のあるシステムのため、グローバルな事業展開をしている企業も安心です。多言語や他通貨に対応しているので、国外とも連携して経費精算を行えます。
提供元 | 株式会社コンカー |
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初期費用 | Expense Standard Only:無料Expense Standardエントリー以上:要お問い合わせ |
料金プラン | Expense Standard Only:2万9,000円/月~Expense Standardエントリー以上:要お問い合わせ |
導入企業数 | 約4万8,000社(SAP Concur 全体) |
主な機能・特徴 |
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おすすめの企業 |
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URL | サービスの詳細はこちら |
▷中小企業におすすめの経費精算システム14選!選び方や導入の重要性も解説
経費精算システムを導入して働き方改革を推進しよう
テレワークを認める企業が増える一方で、担当業務によって、出社を余儀なくされている従業員もいます。経費精算システムを導入することで、これまでは紙の書類をもとに行うしか方法のなかった経費精算が、オンラインで行えるようになり、一気にテレワーク化が推進できます。
それに伴い、経理にかかっていた人件費や諸費用などのコストの大幅な見直しができるメリットも得られるでしょう。
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