請求書に記載する消費税の内税と外税の違いとは?正しい書き方も解説
請求書を書く際に、消費税は内税・外税かどちらで記載すれば良いか迷いますよね。本記事では、内税・外税の違いや、請求書の消費税部分の正しい書き方を紹介します。インボイス制度が導入された際に必要になる追加項目も併せて紹介するのでご覧ください。
目次
日本では消費税10%と8%が混在している
我が国では、品目によって消費税が異なっています。令和元年10月1日に、消費税は10%に引き上げられました。
しかし、低所得者への配慮の観点から、一部の品目は軽減税率の対象となっており、消費税は8%となっています。
具体的には、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」の2種類です。請求書の作成では、この税率の違いを理解しなければなりません。
▷請求書への消費税の記載方法!表示義務やよくある間違いについて解説
消費税の内税と外税の違い
代金を請求する際に意識しなければならない、内税と外税の違いについて解説します。内税と外税の違いは、一言で言えば「価格表記が税抜きか税込みか」という点です。
それぞれについて、説明していきましょう。
消費税の内税とは?
内税とは表記している価格の総額が消費税を含んでいる表記法です。
例えば、100円の商品に消費税10%がかかるとします。これを整理すると、以下のようになります。
- 税抜価格:100円
- 消費税:10円
- 総額:110円
内税は消費税を含んだ価格ですので、総額の「110円」が内税での表示となります。「消費税が内側にある価格」と考えると覚えやすいでしょう。
消費税法では、事業者は不特定かつ多数の消費者に対しては、消費税込の総額で価格表示するよう義務付けられています。
そのため、店頭やお店のカタログなどでは、内税表示が一般的です。
消費税の外税とは?
外税とは、消費税を含めない価格表示です。
100円の商品に消費税10%がかかる商品を例にします。これを整理すると、以下のようになります。
- 税抜価格:100円
- 消費税:10円
- 総額:110円
外税は消費税を含まない価格ですので、税抜価格である「100円」が外税での表示となります。「消費税が表記価格の外にある」と覚えると、イメージしやすくなります。
[出典:e-Gov 消費税法 第六十三条]
▷請求書発行システムの選び方ガイド!選定ポイントや注意点を解説!
請求書の消費税部分の正しい書き方
消費税をどのように書くのか、悩んでしまう方も多いでしょう。ここでは、請求書の記載方法について解説します。
例として、以下の商品の請求書を作成するとします。食品である「大根」と「ねぎ」は軽減税率が適用されるので税率が8%・乾電池は10%です。
商品名 | 価格(税抜) | 数量 | 消費税率 | 消費税額 | 価格(税込) |
---|---|---|---|---|---|
大根 | 300円 | 3 | 8% | 24円 | 324円 |
ねぎ | 100円 | 1 | 8% | 8円 | 108円 |
乾電池 2本セット | 600円 | 3 | 10% | 60円 | 660円 |
内税表示で請求書作成する場合
内税表示での請求書を作成する際は、以下のように記載します。内税表示では、消費税を含んだ金額を記入します。
品名 | 数量 | 単価(税込) | 金額(税込) |
---|---|---|---|
大根 ※ | 3 | 108円 | 324円 |
ねぎ ※ | 1 | 108円 | 108円 |
乾電池 2本セット | 3 | 220円 | 660円 |
※は軽減税率対象品目 | 小計 | 1,092円 | |
消費税8% | 32円 | ||
消費税10% | 60円 | ||
合計 | 1,092円 |
ポイントは以下の6点です。
- 品名ごとに金額(税込)を記載
- 単価も税込表記
- 「※」などの記号を使って、軽減税率対象品目であることがわかるようにする
- 消費税8%の商品にかかる消費税の合計を記載
- 消費税10%の商品にかかる消費税の合計を記載
- 商品総額を消費税込みで「小計」、「合計」に記載
外税表示で請求書作成する場合
外税表示での請求書を作成する際は、以下のように記載します。
品名 | 数量 | 単価(税抜) | 金額(税抜) |
---|---|---|---|
大根 ※ | 3 | 100円 | 300円 |
ねぎ ※ | 1 | 100円 | 100円 |
乾電池 2本セット | 3 | 200円 | 600円 |
※は軽減税率対象品目 | 小計 | 1,000円 | |
消費税8% | 32円 | ||
消費税10% | 60円 | ||
合計 | 1,092円 |
ポイントは以下の7点です。
- 品名ごとに金額(税抜)を記載
- 単価も税抜表記
- 「※」などの記号を使って、軽減税率対象品目であることがわかるようにする。
- 消費税10%の商品にかかる消費税の合計を記載
- 消費税8%の商品にかかる消費税の合計を記載
- 商品総額を消費税抜きで「小計」に記載
- 商品総額を消費税込みで「合計」を記載
総額表示しなくていいケースとは?
消費税法第六十三条に基づき、事業者は消費税込の総額で価格表示するよう義務付けられています。
ただし、これは相手が「不特定かつ多数の消費者」の場合に限られます。そのため、以下のような場合では、総額表示の必要はありません。
- 口頭での説明
- 見積書
- 請求書
- 事業者向けカタログ
注意しておきたいのが、上記の例でも対象が不特定多数の消費者になる場合は、総額表示が必要になるという点です。例えば、誰でもアクセスできるWebサイト上での見積もりなどは、総額表示義務の対象になります。
[出典:e-Gov 消費税法 第六十三条]
今後重要となるインボイス制度とは?
令和5年10月から、消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式(インボイス制度)が始まります。
インボイス制度の導入によって、消費税の取り扱い方が大きく変わります。
現在、消費税は品目によって異なっており、売手が買手に正確な適用税率・消費税額等を伝える方法が必要になりました。そこで導入されるのが適格請求書(インボイス)です。
適格請求書には必須記載事項が定められているため、適用税率、消費税額がひと目で確認できるようになります。
▷インボイス制度とは?いつから?変更点や対応すべきことについて解説
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インボイス制度開始後に請求書記載が必要な消費税項目
適格請求書には、必ず記載しなければいけない事項が定められています。その中で、消費税項目の記載方法について解説します。
税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率
消費税はすべて合算して記入するのではなく、税率ごとに区分して、それぞれの合計値を記入しなければなりません。
例えば、請求の内訳が以下のものだったとします。
- 消費税10%の品目の合計が50,000円(税抜)
- 消費税8%の品目の合計が30,000円(税抜)
この場合、請求書には下記のように記入します。
外税表記の場合 | |
10%対象 | 50,000円 |
8%対象 | 30,000円 |
内税表記の場合 | |
10%対象 | 55,000円 |
8%対象 | 32,400円 |
消費税額等
消費税額についても、税別ごとに表記します。
さきほどと同じく、請求の内訳が以下のものだったとします。
- 消費税10%の品目の合計が50,000円(税抜)
- 消費税8%の品目の合計が30,000円(税抜)
この場合、表記は下記のようになります。
外税表記の場合 | |
10%対象 | 50,000円・消費税_5,000円 |
8%対象 | 30,000円・消費税_2,400円 |
内税表記の場合 | |
10%対象 | 55,000円・消費税_5,000円 |
8%対象 | 32,400円・消費税_2,400円 |
▷インボイス制度が一人親方に与える影響とは?対策方法や注意点を解説
内税と外税の違いを意識して正しい請求書の作成を
請求書の作成では、内税と外税の表記が原因でトラブルになることがあります。
記入のミスによって請求書を再作成するようなことは、取引先に迷惑をかけるだけでなく、信頼感を損ねる行為です。
事業を始めたばかりの人にとっては、書類作成は慣れない作業です。しかし、経営者は数字に厳しい人が多いため、徹底して注意しなければなりません。内税と外税の違いを意識することで、そのようなトラブルのリスクを抑えることができるでしょう。
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