請求書の訂正方法やルールとは?金額ミスや再発行の対処法について
お金のやり取りを明確にし、取引の証拠にもなる請求書は、経営的にも重要な書類のひとつです。だからこそミスは避けたいところですが、ついうっかり間違えたということもあるでしょう。その場合、どのように訂正すればよいのでしょうか。本記事では、請求書をミスしてしまった場合の訂正方法や注意点について解説します。
目次
請求書で起こりやすいミス
請求書は、企業が商品やサービスを提供した際に代金請求のために発行する書類です。
発行は、法的に義務づけられているわけではありません。しかし、スムーズな経理処理、未払いや支払い遅延などのトラブル防止のために、金銭的な取引のあるビジネスでは発行するのが通例です。
ただし、請求書発行に法的義務はないものの、取引の証拠として控えを保管することは、発行元の義務となっています。
請求書の一般的な記載項目は「請求年月日」「請求先」「発行元」「取引年月日」「取引内容」「税込取引金額」「合計請求金額」です。必要に応じて、単価や数量などの明細、振込口座を記載する場合もあります。
このうち、請求書作成にあたってミスをしがちな2項目について確認しておきましょう。
単価や数量も含めた金額
ひとつは、金額です。
例えば、桁数が大きくなればなるほど、間違いやすくなります。単価や数量にミスがあれば、そもそもの請求金額が違ってしまいますし、税率を掛け忘れて計算することもよくあるケースです。
また、発注書を交わした取引であれば、請求書を起こす際に金額の確認ができますが、口頭の約束ですませている場合、記憶が曖昧なまま記載してミスにつながることもあります。
金額のミスを防ぐためにも、取引の際は、契約や発注書類を作成しておくようにしましょう。
▷請求書の正しい金額の書き方は?円・¥の使い分けや記載すべき項目について
請求年月日
請求年月日は、自社や取引先の経理システム、支払いタイミングに関わる項目です。当月分の取引を、月末締めの翌月15日支払いにしている例で見てみましょう。
この取引先に請求書を送る場合、例えば請求日が6月30日だとすれば、支払い日は7月15日です。しかし、7月1日に請求書を作成し、請求日を6月30日ではなく7月1日にしてしまうと、支払いは8月15日になってしまいます。本来は当月分として処理しなければならない支払いが、翌月分になってしまうということです。
こうなると、取引先の経理に不都合が生じるだけでなく、自社の経理にも影響が出かねません。請求書を作成した日と請求日の関係には、注意してください。
▷請求書における宛名の正しい書き方 |「御中」と「様」の使い分けや注意点
請求書を訂正する際の注意点やルール
請求書の作成中に間違いに気づいたら、訂正する必要があります。では、どのように訂正すればよいのでしょうか。注意点やルールを確認しておきましょう。
二重線を引いての訂正はNG
請求書では、改ざんや不正を防止するため、二重線の訂正が認められていません。
請求書は、支払いを請求するためだけの書類ではなく、取引があったことを証明する書類です。そのような重要書類が簡単に訂正できてしまっては大きな問題に発展します。
なお、二重線での訂正だけでなく、修正液や修正テープでの訂正も不可となっています。
請求書は記載ミスのないことが原則
請求書にミスがあっても訂正できないということは、ミスに気づいた時点で作成し直さなければならないということ。請求書はミスなく仕上げることが原則です。
パソコンなら手直しも簡単ですが、手書きの場合は、面倒でも一から書き直しましょう。
▷請求書に関する基本ルールとは?知っておくべき注意点やマナーを解説
請求書送付後に発覚したミスの対処法
請求書作成時にミスに気づいた場合は、請求書を作り直せばよいのですが、送付した後にミスが発覚することもあります。そのようなときの対処法について確認しておきましょう。
請求担当者が気づいた場合
取引先に請求書を送付した後、請求担当者が記載ミスに気づいたり発見したりすることがあります。その場合は、取引先に、速やかに連絡することが基本です。
お詫びをすると同時に手元に届いた請求書の破棄を依頼し、請求書を再発行する旨を伝えましょう。連絡を終えたら、すぐに請求書を作成して送付します。
なお、二重支払いなどのトラブルを防ぐため、再発行した請求書には「〇月〇日付け請求書の再発行」と明記し、元の請求書と区別がつくようにしてください。
取引先が気づき指摘された場合
請求書を受け取った取引先がミスに気づき、連絡を受けることもあるでしょう。
その場合は、まず請求書の控えを確認します。間違いがあったと確認できたら、丁寧にお詫びを伝え、送付した請求書の破棄をお願いしましょう。そのうえで請求書を再発行する旨を伝え、速やかに請求書を作成して送付します。
前述したとおり、元の請求書と区別できるようにしておくことも忘れないでください。
請求書を紛失してしまった場合の対処法
取引先が、請求書を紛失してしまったということも起こり得ます。その場合も、速やかに請求書を作成し、再発行しましょう。
紛失した際に気をつけたいのは、再発行する請求書について、双方でしっかり照合することです。控えを確認し、取引内容や金額に間違いのない請求書を発行してください。
この場合も、元の請求書と再発行した請求書の区別がはっきりつくようにします。
▷請求書の再発行を依頼されたときの対処法!手順・注意点・法的リスクを解説
請求書でのミスを防止する方法
請求書でミスをすると、再発行の手間がかかるだけでなく、取引先からの信用を損なうことにもなりかねません。ミスを出さないための対処法を3案、紹介します。
複数人でのチェック体制を整備する
方法のひとつは、担当者だけでなく、複数人の目でチェックする体制を整えることです。
請求書の作成、発送をひとりで担当していると、どうしても間違いに気づきにくくなりますし、件数が多ければ多いほど、担当者の負担は増します。
そのような事態を回避するためには、作成した請求書をほかの社員にも見てもらうことが有効です。チェック項目をリスト化すると、確認作業もスムーズになります。
請求書業務を代行業者に依頼する
取引先が多く、請求書の作成・発送業務が煩雑になる場合は、請求書業務を専門の代行業者に依頼するという方法もあります。そうすれば社内リソースの負担は、大きく軽減されるでしょう。
ただし、この方法では、請求書の発行元が代行業者になります。事前に取引先に説明をして、了承を得ることが、信頼関係を維持するためにも大切です。
請求書発行システムを導入する
請求書発行システムを導入し、電子請求書で発行することもミス防止に効果的な方法です。人が作業する場合、どれだけ注意を払ってもミスをゼロにすることは難しいもの。しかし、システムに任せれば、計算ミスは起こりませんし、修正も容易です。控えをデータで保管できるというメリットもあります。
▷【2024年最新】請求書発行システムおすすめ21選比較!メリットや選び方も解説
請求書のミスを減らしてスムーズな取引を実現しよう
請求書は企業取引における重要な書類なので、できる限りミスのない請求書の発行を心がけてください。万が一ミスがあった場合、請求書は訂正ができず、再発行しなければなりません。
その分、担当者に手間と負担がかかります。ミスを出さない体制整備も検討しながら、ミスのない請求書で、スムーズな取引を実現していきましょう。
▷個人事業主・フリーランスの正しい請求書の書き方!注意点やツールを紹介
▷【文例あり】請求書に添付する送付状の正しい書き方や注意点を解説
▷【基本】請求書の書き方ガイド! 作り方・記載事項・注意点などまとめ
請求書発行システムの記事をもっと読む
-
ご相談・ご質問は下記ボタンのフォームからお問い合わせください。
お問い合わせはこちら