請求書の再発行を依頼されたときの対処法!手順・注意点・法的リスクを解説

最終更新日時:2022/12/21

請求書発行システム

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取引先から請求書の再発行を頼まれた時は、どのような対処をすれば良いのでしょうか。本記事では、請求書の再発行手順や法的リスク、再発行した際の日付の書き方を紹介します。注意点も解説しているので、再発行依頼が来た際はご覧ください。

パターン別!請求書を再発行する際の対処手順

取引をしていくなかで、稀に取引先から請求書の再発行を求められることがあります。

再発行の依頼を受ける理由はさまざまですが、ここでは代表的な2つのパターンと、その際の対応について説明していきます。

(1)紛失

請求書の再発行を求められる理由の1つが、取引先による請求書の紛失です。紛失は、紙による請求書のやりとりをしている場合に起きます。

PDF化した請求書をメールで送ることが増えているので、紛失を理由とする再発行は減少しています。しかし、中には紙の請求書以外は扱わないという企業もあるため、紛失するということもあり得るでしょう。

また、法人税法により請求書は取引を証明する証憑として保管することが義務付けられています。受け取った企業にとって、支払い業務に必要なだけでなく、保管義務を果たすためにも、請求書を紛失してしまったことは大きな意味を持つのです。

紛失を理由とする再発行は、以下の通りに進めていきます。

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#1: 内容の確認

最初に取引先から、紛失した請求書の内容をヒアリングします。同じ取引先と複数の案件をやりとりしている際には、複数の請求書を同月に送っていることもあります。そのため、別の請求書と間違えないように、どの案件か、提供した商品・サービスは何かを確認します。

#2: 請求書の作成

紛失された請求書が確認できたら、再発行をします。再発行は、同じデータをそのまま印刷すれば良いというものではありません。

そのままの請求書を発行することにより、二重請求になってしまうリスクも否めません。

「再発行」という文字を加えるか、スタンプを押すかして、明確に再発行の請求書であることがわかるようにする必要があります。

#3: 送付状の作成

請求書を送付する際には、送付状を添えるのがマナーです。再発行の場合でも丁寧な送付状を添えるようにしましょう。

また、紛失した請求書が出てきた場合には、必ず最初に送付した請求書を破棄し、再発行したものを正式な証憑として保管することをお願いします。

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(2)請求書の誤りを指摘された

請求書発行には、担当者だけでなく上長などによるダブルチェックが必須ですが、それでも内容や金額にミスが生じることがあります。自社内でミスを発見し、送付前に修正できればそれに越したことはないのですが、取引先に届いてから先方により記載内容の誤りを指摘されることもあり得ます。

その際には、自社のミスによる再発行になるため、丁重にお詫びし、早急に対応することが必要です。

#1: 該当箇所の確認

取引先からの連絡により請求書の誤記が発覚した際には、まず先方の指摘をもとに当該請求書を確認します。

請求書のデータと指摘内容を照らし合わせ、どの請求書のどの部分が間違っていたかを確認しましょう。

#2: 誤りがあった場合お詫びの連絡

誤記が確認できたら、早急に取引先に対し謝罪の連絡を入れましょう。

メールで指摘された場合は、メールでの返信でも大丈夫ですが、さらに電話を入れて丁重にお詫びをし、すぐに修正した請求書を送り直すことを伝えるようにしたいものです。

ミスは誰にでも起こるものですが、スピーディな謝罪と丁重なコミュニケーションがないと信頼関係に傷がつくことがあります。

できるだけ早く謝罪をし、請求書の修正をするようにしましょう。

#3: 請求書の作成

謝罪が済みましたら、早急に請求書の修正を行いましょう。

取引先担当者による指摘を確認しながら、間違いがないよう修正した上で、上長や同僚とダブルチェックして再発行の請求書を作成します。

こちらのパターンでも、請求書は再発行であることがわかるように、「再発行」の文字やスタンプを入れるようにしましょう。

#4: 誤りの請求書の破棄依頼

修正した再発行請求書を送付する際には、送付状に以前送った請求書を破棄していただくようお願いのひとことを添えます。

誤った請求書が残ることを避けられ、再発行の請求書を保管してもらうことができます。

請求書発行システムの選び方ガイド!選定ポイントや注意点を解説!

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請求書を再発行した際に先方に送付する例文

再発行の請求書を送付する際には送付状を添え、再発行に伴い、最初に送った請求書の破棄等を取引先にお願いします。

誤りを指摘された場合の送付状には、ミスについての謝罪を丁重に行います。

それぞれの場合の送付状の例文は、以下の通りです。

(1)請求書を紛失された場合

送付状は、あくまでも謙虚な姿勢で丁寧な表現を心がけましょう

内容のポイントは、以前送ったものが発見された際には、再発行のものを正規の請求書としていただき、以前のものは破棄してもらうということです。

文例

〇〇案件の請求書につきまして

〇〇株式会社 営業1課 〇〇〇〇様

平素より格別のお引き立てを賜りありがとうございます。

株式会社□□の□□□□でございます。

先日お問い合わせいただいた、「〇〇案件の請求書の再発行」につきまして、当該請求書を発行いたしましたので、送付させていただきます。

この度、同封させていただいた請求書は、「再発行」となります。

紛失された請求書がお手元に出てきた場合には、大変恐縮ですが「再発行」の請求書を正規のものとして差し替えていただき、以前のものは破棄願います。

お忙しいところお手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

また、支払期日までのご入金も、重ねてお願いいたします。

それでは、失礼いたします。

振込先:〇〇銀行 〇〇支店 普通口座9999999 口座名 株式会社□□

株式会社□□ クリエイティブセンター 第一制作室 担当□□□□

(2)請求書の誤りを指摘された場合

自社側のミスで、請求書を再発行することになったので、要らぬ手間をかけてしまったことを重ねて謝罪します。文面は、謙虚な姿勢で迷惑をかけたことに対する遺憾の念が伝わるように心がけましょう。

内容のポイントは、誤記があった以前の請求書は破棄してもらうということです。

この場合も、手間をかけてしまうので恐縮していることを書き添えましょう。

文例

〇〇案件の請求書につきまして

〇〇株式会社 営業1課 〇〇〇〇様

平素より格別のお引き立てを賜りありがとうございます。

株式会社□□の□□□□でございます。

この度は、〇〇案件の請求書の件につきまして、大変ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございませんでした。

弊社の不徳の致すところであり、ご多忙のところお手間をおかけしたこと、お詫び申し上げます。

当該請求書を修正し、再発行いたしいましたのでお送りいたします。

恐縮ですが、こちらの「再発行」の請求書を正規のものとして差し替えていただき、以前のものを破棄していただくようお願いいたします。

この度は、お手数をおかけし申し訳ございませんでした。

また、支払期日までのご入金も、重ねてお願いいたします。

今後とも、よろしくお願いいたします。

それでは、失礼いたします。

振込先:〇〇銀行 〇〇支店 普通口座9999999 口座名 株式会社□□

株式会社□□ クリエイティブセンター 第一制作室 担当□□□□

再発行した請求書の日付は?

請求書を再発行する際、請求書の発行日は最初に発行した請求書と同じです。

以前の請求書と同日付にすることになるので、「再発行」の文字やスタンプを請求書内に記載し、二重請求にならないように気を付けることが重要です。

(1)支払期限前の場合

支払期限前に再発行をするケースでは、基本的に紛失の場合も誤りが指摘された場合も、最初の請求書と同日の日付で発行するのが一般的です。

1つの取引に対する正規の請求書として差し替えられるため、請求日は同じになります

また、支払期日も、同じ日付のままで大丈夫です。

(2)支払期限を過ぎた場合

支払期限の間近であったり、すでに過ぎている時点で再発行が必要になった場合だと、発行日は最初の請求書のままですが、支払期日の変更が必要になることがあります。

特に、こちらの誤記が原因での再発行の場合には、支払いを延長することも必要になるでしょう。

2週間から1ヶ月程度延長するのが通例で、取引先にも納得していただける範囲です。

請求書の再発行を依頼された時の注意点

請求書の再発行の依頼を受けた際の業務の内容を説明してきましたが、請求書の再発行について、いくつか注意しておきたい点があります。

(1)二重請求にならないよう、前のものと区別できるようにする

紛失の場合は請求書が見つかったり、こちらのミスによる再発行の場合は、最初に送った請求書が破棄されない場合もあります。

そのようなことも想定し、再発行の請求書が最新で正規であることを示す必要があります。

最初に送った請求書と間違わないようにするためには、「再発行」というスタンプや文字を目立つように入れることが有効です。

また、請求書番号の末尾か先頭に、(再)という文字を付加するという方法もあります。

この2つを施しておけば二重請求になることを避けられますし、自社が保管する請求書と同じものが正規の請求書として、取引先にも保管されるようになります。

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(2)支払期限の延長を求められた場合、理由を聞く

支払期限前に請求書の再発行を求められた際に、支払期限の延長を先方から求められた場合には注意が必要です。

まずは、その理由をヒアリングしましょう。取引先の資金繰りが原因だった場合は特に慎重に判断する必要があります。上長や部門責任者に相談しながら、受け入れるか拒否するかを考えなければなりません。

また、新しい支払期日の設定も、単純に1ヶ月延長するのか、それ以上の延長が求められているのか慎重にならねばなりません。

基本的には、「下請代金支払遅延等防止法」により、商品・サービスを提供した日より60日以内のできるだけ短い間に支払期限を決めることが求められています。

期限を延長する場合は、2週間から1ヶ月の間で検討するのが適当でしょう。

[出典:e-Gov 下請代金支払遅延等防止法 第二条の二]

(3)二重線で訂正しない

請求書は二重線での訂正は認められていません。ミスの箇所が些少な誤字・脱字の場合でも、きちんとデータから作り直して再発行するようにしてください。

二重線で修正した請求書は、証憑書類として無効となるため注意が必要です。

(4)迅速な対応を心がける

請求書の再発行が依頼されるときは、取引先も月末の入金処理などで急いでいることが想定できます。取引先の会計処理に間に合うように、修正した請求書は即座に対応して送るのが望ましいでしょう。

その際、郵送では請求書の到着までに時間がかかることもありますので、直接持参することも視野に入れなければなりません。

メールによる請求書送付が可能な場合は、連絡がきてその日のうちに対応したいものです。

請求書を再発行をする上での法的リスク

請求書が証憑書類である以上、発行された請求書は、発行側・受け取った側の双方に保管する義務があります。

保存期間は法人の場合、法人税法で7年間と定められており、税務調査等が入った際に請求書がないと取引実績が証明できないことにもなりかねません。

また、請求書は2社間での支払いの約束でもあるので、支払いが遅延したり債務不履行になるケースもあります。

2社間の関係を判断しながら対処していくため、ただちに法的措置に出るということは避けたいです。しかし担当者個人に拠るものの場合などは、取引先の上司と話し合いが必要になることもあります。

法的に、問題になりうる例をみていきましょう。

(1)請求書を紛失された場合

請求書は受け取る側からすれば、入金金額や振込先、振込期日を明確化したものであり、代金の振込処理に必要なものです。請求書を紛失することで、期日までの入金ができなくなることもあケースもあります。

そのためにも、紛失してしまった担当者は、経理部門にその旨を伝え、発行元に再発行を依頼することが必要です。

また、請求書には、法人税法による保管義務があります。

請求書原本を紛失してしまうと保管ができなくなり、税務調査の場合に取引を証明できません。

そのようなことを鑑み、紛失が発覚したらすぐ発行元に再発行の依頼をする必要があるのです。

(2)支払方法を変更された場合

キャッシュがショートしている場合など、やむをえず支払いを延長してもらわねばならないことも企業の資金繰り上あり得ます。

期限までに支払えないという事態が、「債務不履行」の状態です。

債務不履行には、「履行遅滞」「履行不能」「不完全履行」の3種類がありますが、「履行不能」の場合を除いては、支払い意思があれば2社間で話し合いをし、請求額を分割したり支払期日を延期したりすることがあります。

その場合には、両者で覚書や念書を取り交わし、確実に支払いが履行されるようにしなければなりません。

取引先との関係を長期的に重要なものと考えている場合には、直ちに法的な措置をとるのではなく、話し合いにより解決することが多いようです。

(3)請求を拒否された・応じない場合

商品・サービスを提供し、案件の納品が済んでいるのにも関わらず、請求書を送付しても入金してくれない場合もあります。これは明らかな「債務不履行」です。

取引先が資金繰りの関係で止むを得ない事情がある場合には、先方と話し合いをし支払期限を延長したうえで、新しい期限を記載した請求書の再発行が必要です。

支払期限の延長は2週間から1ヶ月が適当です。覚書や念書を取り交わし、トラブルにならないように努めましょう。

(4)先方のミスであっても丁寧に対応する

取引先とのお付き合いは短期で考えるものではありません。取引先による請求書の紛失が原因での再発行であっても、相手を敬い丁寧に対応する態度は必要です。

今後とも長く協力関係であり続けるのですから、相手のミスや怠惰に対して感情的になるのは得策ではありません。

良好な関係を維持するためにも、丁寧な対応をしたいものです。

適切な方法で請求書の再発行をしよう

請求書は支払いに必要なだけでなく、法的に保管義務のある証憑書類です。金額や期日が間違っていたら、口頭やメールで修正して正規の金額を振り込んでもらえば済むというものではありません。必ず修正した上で再発行し、それを保存することが必要です。

記載の誤りを指摘された際は、すぐに電話やメールで謝罪をし、修正した再発行の請求書をできるだけ早く送付しましょう。

また、取引先が請求書を紛失してしまった際も同様です。

相手は原本を、発行側は写しを保存しなければなりませんので、きちんと再発行し差し替えることが必要になります。

請求書の再発行は、さまざまな理由や取引先の都合により生じるものです。

柔軟かつスピーディに対応しながら、相手先の事情や状況を寛容に受け止めて対応していきましょう。

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ビズクロ編集部
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