ファイル共有サーバーとは?機能やNAS・共有フォルダとの違いを解説
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ファイルの保存や管理に活用されているファイル共有サーバー。データを円滑に共有できることから、業務効率の改善に期待できますが、仕組みについてはよく知らないという方も多いのではないでしょうか。本記事では、ファイル共有サーバーの仕組みをはじめ、導入するメリット・デメリットを解説していきます。
目次
ファイル共有サーバーとは?
ファイル共有サーバーは、複数のユーザーがデータを共有するための装置やコンピューターのことを指します。種類は大きく分けて「オンプレミス型」「クラウド型」の2つです。
どちらのタイプも、企業または個人がファイルを共有するために利用されています。サービスを選ぶ際は、利用目的やセキュリティ要件、予算に合わせて慎重に検討しましょう。
オンプレミス型の特徴
オンプレミス型のファイル共有サーバーは、企業内でサーバーを保有してデータを管理する形式のことを指します。自社のネットワークを利用して運用するため、セキュリティとデータ保護を重視したい場合に適しています。
また、既存システムとの連携といったカスタマイズ性を求める場合や、ネットワークの帯域幅が限られている場合にも候補となるでしょう。ただし、システム構築や運用ができる体制が整っていない場合、それに適した人材を確保する必要があります。
クラウド型の特徴
クラウド型のファイル共有サーバーは、インターネットを介してアクセスできるサービスです。クラウド型のサーバーは、拡張性が高く、ユーザー数やストレージ容量を必要に応じて拡張ができます。コスト効率が高く、設備投資が不要なため、中小企業にもおすすめです。
ただし、オンプレミス型と比べて、通信速度が遅い点やセキュリティ面のリスクがあるということも考慮する必要があります。
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ファイル共有サーバーの主な機能
ファイル共有サーバーの主な機能は以下の通りです。
- ファイル共有機能
- アクセス権限管理機能
- セキュリティ機能
- ランサムウェア対策
- ワークスペース管理機能
- BCP対策
ファイル共有サーバーには、サーバーにアップロードしたファイルを閲覧したり、複数人での文書作成が行えるファイル共有機能が備わっています。その他にも、ユーザーごとにファイルへのアクセスを管理できるアクセス権限機能、機密情報を保護するためのセキュリティ機能などが備わっているのが特徴です。
さらに、ランサムウェアによる異常な動作を防ぐための対策や、自然災害などの緊急時のためのBCP対策に対応しているサービスもあります。
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ファイル共有サーバーと共有フォルダの違い
共有フォルダとは、複数のユーザーが同じフォルダにアクセスできるように設定されたフォルダのことです。
社内で共有フォルダを設定することで、社員全員が社内文書や資料にアクセスできます。また、個人で共有フォルダを設定した場合、家族や友人間での写真や動画の共有を行うことも可能です。
共有フォルダを安全に使用するためにも、アクセスできるユーザーを厳密に制限し、必要に応じてパスワードや暗号化をかけることが重要です。
ファイル共有サーバー・共有フォルダの異なるポイントは、下記のとおりです。
ファイル共有サーバー | 共有フォルダ | |
アクセス方法 | クラウド上またはローカルネットワーク内にあるサーバーにアクセス | ファイルが保存されているPCや、サーバー内に共有設定されたフォルダにアクセス |
拡張性 | サーバーの容量や利用者数を拡張可能 | ファイルを共有するPCやサーバーの容量や利用者数の制限あり |
機能 | バージョン管理やアクセス権限管理、セキュリティ対策など | 基本的な共有機能のみ |
セキュリティ | 高いセキュリティを確保 | フォルダを共有するPCやサーバーのセキュリティに依存 |
低コストでファイル管理をしたいのであれば、共有フォルダでも問題ありませんが、常に高セキュリティな環境で管理を行うには、ファイル共有サーバーの導入が適しているといえるでしょう。
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ファイル共有サーバーとNASの違い
NAS(Network-Attached Storage)は、ネットワークに接続されたHDD(ハードディスク)であり、複数のユーザーが同時にファイルにアクセスできるストレージデバイスのことです。
ファイル共有サーバーと比較すると、導入や運用が簡単かつ低コストで行えるのが特徴です。利用目的もさまざまで、オフィスや家庭でのファイル共有やバックアップ、データの保管などに活用されています。
また、一つのデータを複数のHDDに保存する機能である、RAID(Redundant Array of Independent Disks)を搭載しているため、データのセキュリティや可用性を高めることも可能です。
ファイル共有サーバー・NASの異なるポイントは下記のとおりです。
ファイル共有サーバー | NAS | |
特徴 | 複数のユーザーが同じファイルを共有するためのサーバー | ファイルを保存する専用のハードウェア |
ハードウェア | 専用のサーバーが必要 | 専用のハードウェアが必要 |
アクセス | インターネット経由でのアクセスが可能 | ローカルネットワーク内でのみアクセス可能 |
セキュリティ | セキュリティ設定が必要 | RAIDの設定が可能 |
データの破損 | ネットワークシステム上のエラーによりデータが破損する可能性がある | ドライブ破損によりデータ損失する可能性がある |
ファイル共有サーバーとNASは、データ保存という点で共通の機能があります。
それぞれのメリット・デメリットを踏まえたうえで、自社のニーズに合ったデータの管理方法を検討しましょう。
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ファイル共有サーバーを設置するメリット
ファイル共有サーバーを設置するメリットは下記の5つです。
- データを集約できる
- 社内でのファイル共有が円滑になる
- PCの容量問題を解決できる
- バックアップを確保できる
- ファイルへのアクセスを制限できる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
データを集約できる
ファイル共有サーバーを設置する主なメリットは、データを集約できることです。データを集約することにより、複数のユーザーが同じファイルにアクセスでき、情報の共有や編集を効率的に行なえます。
たとえば、自社の営業部門や財務部門などの異なる部署で必要なデータを共有することがあるとします。その際、ファイル共有サーバーでデータを集約することで、他の部署間であっても必要なユーザーがいつでもアクセス可能です。
業務に関連するファイルをサーバーに集約し、必要な社員がいつでもアクセスできるようにすることで、ファイル共有に関するミスも減らせるでしょう。
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社内でのファイル共有が円滑になる
ファイル共有サーバーを設置することで、社内でのファイル共有が円滑になることもメリットのひとつで、社員間での情報共有やコラボレーションがスムーズに行うことが期待できます。
具体例として、プロジェクトチームが複数の社員で構成されている場合を考えてみましょう。それぞれの社員が、プロジェクトに関連するファイルを、従来のやり方であるメールでの送信やUSBメモリーなどを使用した場合、多くの手間やミスが発生しかねません。
また、リモートワークが一般的になったこともあり、複数の場所からファイルにアクセスするといったシーンでの活用も考えられます。複数の社員が同じファイルにアクセスし、編集する必要がある場合でも、共同作業を円滑に進めることができるでしょう。
PCの容量問題を解決できる
ファイル共有サーバーを設置することで、PCの容量不足による作業の妨げを解消することが期待できます。
ビジネスシーンでは、大量のデータを扱う場面が多いです。例えば、デザインや動画編集、CADデータなどは、一つのファイルだけでも数GB単位になることがあります。これらのファイルを保存するためには、大容量のハードディスクが必要になりますが、容量が限られているPCがほとんどです。
こうした場合に、必要なデータをファイル共有サーバーで管理することで、PCの容量問題を解決し、作業効率を向上させることができるでしょう。
バックアップを確保できる
ファイル共有サーバーを設置するメリットの一つに、バックアップを確保できることが挙げられます。
ビジネスシーンにおいて重要なデータを扱う場合、データの損失は大きな問題となります。例えば、会計データや契約書などの重要な文書を共有フォルダで保存している場合、それらが紛失したり破損してしまったときに、大きな損害を被ることになります。
こうしたリスクを回避するためにも、ファイル共有サーバーを導入することが有効です。共有するデータはサーバーに保存されるため、サーバー側で定期的にバックアップを取ることでデータを復旧することができます。また、ファイル共有サーバーは複数のユーザーがアクセス可能なため、ファイルの紛失や誤消去を防ぐことにもつながるでしょう。
ファイルへのアクセスを制限できる
ファイル共有サーバーを導入するメリットの一つに、ファイルへのアクセスを制限できることが挙げられます。これは、ユーザーに必要な情報だけを提供し、機密情報が外部に漏洩するリスクを軽減するためです。
企業内での情報共有において、機密情報を含むファイルの管理は重要です。たとえば、会社の財務情報や顧客情報を扱うファイルは、特定のユーザーのみがアクセスできるように制限しなければなりません。このように、特定のユーザーや部署が必要とするファイルだけを提供することで、情報の漏洩リスクを軽減できます。
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ファイル共有サーバーを設置するデメリット
ファイル共有サーバーを設置するデメリットは、以下の2つが考えられます。
- 導入や運用に手間とコストがかかる
- 設置場所を確保する必要がある
導入や運用に手間と費用がかかる
ファイル共有サーバーには、導入や運用までに手間やコストがかかるといったデメリットもあります。
まず、導入するにあたってサーバーを機能させるためのシステム構築や、各種機能の設定作業が必要です。
さらに、運用においては社内インフラに関する専門的な知識を持った管理者を確保しなくてはなりません。導入後はサーバーのメンテナンスやセキュリティ対策、ユーザーからの問い合わせといった対応が必要となるためです。
また、サーバーの導入に欠かせないハードウェアやソフトウェアにかかる費用や人件費など、多額の費用がかかる場合があることも考慮する必要があるでしょう。
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設置場所を確保する必要がある
オンプレミス型のファイル共有サーバーを設置する場合、適切な設置場所を確保する必要があります。
設置場所には、クールダウンや電源管理、物理的なセキュリティなどの要件を満たした場所を選ぶ必要があるでしょう。
また、設置場所によっては周辺環境に影響を与える可能性があります。たとえば、サーバールームの設置場所が不適切である場合には、周辺の電力供給に影響を与えたり、騒音を発生しかねません。
設置場所を確保するためには、不動産賃貸料、電気代、通信費用、セキュリティ対策などのコストについても検証するようにしましょう。
▷ファイル共有しやすいおすすめのオンラインストレージ|選定の基準を解説!
ファイル共有サーバーを活用し業務を効率化しよう
本記事では、ファイル共有サーバーの機能や種類による違いについて解説しました。
ファイル共有サーバーは、自社内の情報共有やプロジェクトチームでのファイル管理などに活用されています。どのタイプのファイル共有サーバーが適しているか悩んでいる方は、自社の利用目的を明確にすることからはじめてみましょう。
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