組織構築とは?成功させるポイントや注意点・手法を解説
企業の業績安定や向上には、規模や目的に適した組織の構築が必要不可欠です。本記事では、組織構築を成功させるためのポイントから注意点や手法までを詳しく解説します。組織構築の課題や悩みを抱えている方は、組み立て時の参考にしてください。
目次
組織構築の役割とは?
組織構築とは、組織の目標を達成するために、効率的に動ける体制を築くことをいいます。その際のポイントは、単に形を作るだけでなく、組織としての方針や戦略、社風、個々の役割を明確にし、それらが相互に作用するようにすることです。
組織構築がうまくいけば、戦略も方向性も明確になります。組織内のコミュニケーションや情報共有もスムーズにでき、メンバー全員が共通の目標に向けて動けるようになるでしょう。
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組織構築に欠かせない要素
組織構築においては、欠かせない要素があります。組織の形式、戦略、適切な人材、そして価値観の共有です。
組織の形式
組織の形式とは、階層的な組織、機能的な組織、フラットな組織など、組織がどのように組み立てられているかということです。組織としての目標、戦略に基づいて決定され、主に以下のような形式があります。
事業別組織 | 製品やサービスなど、事業ごとに部門を分けた組織 |
機能別組織 | 総務、人事、営業、経理など、経営上の機能で分けた組織 |
マトリクス組織 | 一人の社員が複数の業務を担当するなど、事業部別組織と機能別組織を組み合わせた組織 |
チーム型組織 | 特定のプロジェクトを遂行するための一時的な組織 |
カンパニー型組織 | 事業を独立した会社(カンパニー)とする組織 |
戦略
組織構築においては、長期的な成功を目指すための戦略が重要です。どのようにして目標を達成するかのシナリオを社員に示せば、各部門や個々の役割が明確になります。
なお長期的な目標を達成するためには、短期、中期とスパンを分けた戦略を設定することも重要です。
適切な人材
人材は経営資源のひとつであり、組織の成功には適切なスキルと経験を持った人材が欠かせません。組織の戦略を理解し、それを達成するために動ける人材の確保と育成は、組織構築における重要な要素です。
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価値観の共有
価値観は、組織の行動と意思決定をガイドする基準となるものであり、企業理念と言い換えられます。
価値観の共有が、組織の一体感を生み、事業の成功へと導きます。
適切な組織構築がもたらす効果
適切な組織構築を行うことで得られる効果は、大きく分けて以下の3つです。
取り組みを通して目標が明確になる
組織構築により組織の形式や戦略が決まれば、何を達成したいのか、どういった手段でそれを達成するのかという目標が明確になります。社員一人ひとりが自身の役割と責任を理解し、仕事を通じて組織全体の目標達成に寄与してくれるでしょう。
意思決定を素早く行える
明確な組織構造があり、ルールが整備されていれば、情報が適切に共有されて迅速な意思決定が可能になります。組織内での意思決定の遅延は、ビジネスチャンスの損失につながりかねません。
適切な組織構築により、意思決定プロセスがスムーズかつスピーディーになることは、組織全体の機動性と対応力向上という点でも効果があります。
ノウハウが社内に蓄積される
組織構築をして戦略や目標を共有すれば、個々の社員の経験がノウハウとなります。蓄積されるノウハウは、組織の持続的な成長を支える重要な資産です。
適切な組織構築には、このような知識の蓄積と共有を促進する効果もあります。
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組織を構築するための手法
組織構築の手法では「組織マネジメント」「組織デザイン」「インナーブランディング」が有効です。
組織マネジメント
組織マネジメントとは、組織内の人々が能力を最大限に発揮し、組織全体が目標に向かって効率よく機能するように、経営の4資源「ヒト」「モノ」「金」「情報」を管理することです。
そのために意識したい要素が次の「7つのS」といわれています。
戦略(Strategy) | 目標を達成するための組織の方向性 |
組織(Structure) | 目標達成に適した組織の形式 |
システム(System) | 「ヒト」を生かすルールや制度 |
スキル(Skill) | 他社との競争における優位性 |
人材(Staff) | 個性を尊重しながら目標達成に貢献する人材を育成すること |
スタイル(Style) | 経営スタイル、社風、企業のカラー |
価値観(Shared Value) | 方向性の判断基準となる企業の理念、ビジョン |
例えば「組織」では、リーダーによるチーム体制、「システム」では、人事評価や教育の体系化などが挙げられます。
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組織デザイン
組織デザインとは、組織の構造や運営方法、制度を設計することで、組織のパフォーマンスを最大化する手法です。
基本的には、すでにある組織をモデルとし、自社の目標や戦略、組織の規模、業界の状況などを考慮しながら、設計を進めます。組織の見直しに取り入れることで、より組織の機能性と柔軟性が高まるでしょう。
インナーブランディング
インナーブランディングとは、社内に向けて、企業の価値観やビジョン、社風などを形成、浸透させることです。
組織のメンバーが一体感を持ち、共通の目標に向かって行動するためには、組織のブランドイメージを共有することが欠かせません。
具体的な方法としては、社内報の発行、面談、研修、社内イベントなどが挙げられます。
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組織構築を成功させるためのポイント
組織構築を成功させるためには、以下の3つのポイントが重要です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
社内で定めた理念やビジョンを浸透させる
組織の理念やビジョンは、組織が目指す方向性を示す重要な指標です。これらを明確に定め、組織内に広く浸透させることで、社員全員が組織の方向性を理解し、行動の指針とすることができます。
ただ、なかなかハードルが高いことも事実です。認知よりも共感に重点を置き、面談、社内イベントなどを通じて理解を促していきましょう。
社員が働きやすい環境を整える
一人ひとりが自分の能力を十分に発揮でき、業務に対するモチベーションを保つことができるような環境を整えることが重要です。
環境整備には、物理的環境を提供するだけでなく、公平な評価システムや社員の成長を支える教育制度、健康を考慮した労働時間設定なども含まれます。
外部の環境を見定めて経営戦略を立てる
組織構築にあたっては、内部だけでなく、外部環境も見定めて対応する必要があります。市場の動向、技術の進化、競合状況、法律や規制の変更など、さまざまな外部環境の変化に応じた経営戦略を立てることで、組織は持続的な成功を手にできるでしょう。
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組織構築の理解を深めて自社に適した体制を整えよう
組織構築は、企業の業績安定や向上のために、不可欠なプロセスです。自社の目標、戦略、文化に適した組織構造を構築することで、目標達成に必要な要素が、効率的にそろいます。
組織構築の理解を深め、自社に最適な組織体制を整えることで、組織の長期的な成功へとつなげていきましょう。
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