人材育成に成功した企業の事例8選!共通点や成功例からわかるポイント

最終更新日時:2023/08/09

組織・マネジメント

人材育成の成功事例

人材育成の重要性を把握していても、育成の計画を立てられないケースは少なくありません。そこで今回は、人材育成の成功事例を紹介していきます。あわせて、共通点や成功例からわかるポイントについても解説していきますので、今後の人材育成に役立ててみてください。

人材育成に成功した企業の事例8選

人材育成とは、経営戦略を実現するために必要な人材を育成することです。ここでは、人材育成で成功した事例を8つ紹介します。

1.株式会社ニトリホールディングスの事例

株式会社ニトリホールディングスでは、『教育こそ最大の福利厚生』と考え、キャリア支援に力を入れています。さまざまな業種、職種を経験した人を優秀な人材と定義し、2〜3年で配置転換を行っているそうです。

同社では、配置転換で得られた経験を技術に替えていく教育体系をとり、年間の教育投資金額として社員1人あたり平均26万円をかけています。また、近年ニトリ大学を設置し、グローバルな世界でも活躍できるスペシャリストの育成に力を入れているのも特徴です。

さらに、仕事上の業務だけでなく、従業員の豊かな生活を実現するサポートにも取り組んでいます。

2.スターバックスコーヒージャパン株式会社の事例

スターバックスコーヒージャパン株式会社では、従業員の人材育成に積極的に取り組んでいます。OJTでは、従業員一人ひとりの考えを尊重し、目標を設定して実行することで成果を確実にする取り組みを行っているのが特徴です。

さらに、価値観ワークという取り組みでは、従業員の価値観を共有するために80以上のキーワードから3つを選び、グループで議論を行っています。この取り組みにより、従業員同士が意見を交わし、お互いを尊重する機会が生まれ、個人やグループの成長が期待できるそうです。従業員の成長と価値観の共有を重視し、持続的な人材育成に取り組んでいる企業といえるでしょう。

3.サントリーホールディングス株式会社の事例

サントリーホールディングス株式会社は、人材育成の施策としてトレーニー制度や次世代リーダー抜擢を積極的に実施しています。トレーニー制度は、若手社員を海外に派遣し、グローバルな視野やノウハウを身につける取り組みです。これにより、企業のグローバル化に対応し、人材育成の成功につなげています。

また、次世代リーダー抜擢では、グループ企業を超えて人材発掘を行い、将来のリーダー候補を選出します。これにより、企業目標の達成や新たな経営戦略の立案に貢献することが期待されているそうです。同社は、人材育成において持続的な成果を上げるために、さまざまな取り組みを行っています。

4.ユニ・チャーム株式会社の事例

ユニ・チャーム株式会社では、SAPS手法を取り入れた人材育成を行っています。SAPS手法とは、「Schedule」「Action」「Performance」の頭文字を取ったもので、PDCAサイクルと似た構造を持ちます。

SAPS手法における重要なポイントは、優先度の高い課題に、時間と行動を集中させる点です。まずは経営目標に対して各部門の最優先事項を特定し、1週間ごとにKPIを設定して実行していきます。

そのほかにも、2カ月間にわたり社長に同行し、経営トップの行動を身近な場所で学ぶという取り組みを実施しています。また新入社員向けには、自分の配属先を決めるためのプレゼンをする社内ドラフト制度などを行い、適材適所の配置に取り組んでいるそうです。

5.豊田合成株式会社の事例

豊田合成株式会社では、専門分野のスキル向上のために技術教育を導入し、モノづくりに必要な能力向上を図りました。また、海外拠点での実務研修や語学教育の充実により、グローバルに活躍できる人材を育成しています。

さ、階層別教育制度の充実やキャリア支援制度の導入により、従業員一人ひとりの成長をサポート。これらの取り組みにより、従業員の意識や基礎能力、問題解決スキルの向上が実現しています。

同社の人材育成では、女性管理職数の増加も成果として挙げられます。中長期的なキャリア設計と成長を促し、自ら考え行動するグローバル人材の育成に成功したそうです。

6.北上信用金庫の事例

北上信用金庫は、地域に密着した営業を進めるために、人材育成に注力しています。研修においては、信用金庫に関する知識や技術だけでなく、地域住民に信頼される心構えを習得することを重視しています。

新人研修では、社会人としての教養を身につけるため、通信講座や書籍の購入、資格取得を自主的に行うことを4年目まで支援する取り組みを行っているそうです。基礎的な知識とスキルを身に着けた後は、自主的な成長を促す環境を整えています。

7.株式会社井口一世の事例

株式会社井口一世は、製造業におけるIT事業の推進において、シークレットビッグデータを活用した人材育成を行っています。これは、加工技術や職人の腕を数値化し、主体的に考える社員を増やすために行われています。指導の中では正解を教えず、社員が自ら問題を解決することを促進するのが特徴です。

また、OJT研修やスキルアップ支援をタイムリーに行うため、給与改定のタイミングを見直しました。その結果、本質を見抜く能力や多様な業務をこなせる社員の育成に成功し、事業の多角化を実現しています。

さらに、社員の長期休みの取得が可能になったことで、業務の生産性も向上しました。同社は人材育成の取り組みによって、目標の達成と業績向上を実現したそうです。

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8.株式会社グローバル・クリーンの事例

グローバルクリーンは、宮崎県北部を中心に地域密着型のビル清掃を手掛ける企業です。幹部候補の人材育成のために、個々の社員に合わせた教育カリキュラムに加え、マネジメント層向けに独自開発した研修プログラムを定期的に実施しています。

この取り組みにより、リーダー人材の確保ができて能力のある社員の数が増加し、新規事業への特化や事業の多角化を成功させたそうです。

成功事例の共通点からわかる人材育成のポイント

人材育成の成功事例には、どのような共通点があるのか気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、共通点からわかる人材育成におけるポイントを3つ紹介します。

目的や目標を明確に設定する

人材育成の成功事例では、明確な目的と目標の設定が共通点として挙げられます。これにより企業は、自社の将来や求める人材像を把握し、具体的な育成方針を策定できます。

経営陣のビジョンが明確であれば、一貫性のある計画を立てて実行することが可能です。また、明確な目的と目標を立てることは、効果測定や成果の可視化にも役立ちます。

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自社の制度や仕組みを整える

人材育成における成功事例の共通点は、自社の制度や仕組みの整備です。自社の制度や仕組みが整っていなければ、育成の効果は期待できません。

たとえば、年功序列などの成果を無視した制度では、正当な評価がされていないと感じることもあるでしょう。このような状況では、成長につながる風土が作れず、モチベーションの維持が難しくなります。

そのため、人材育成を成功させるには、自社の理念や環境に合わせた育成ノウハウを確立し、制度や仕組みを整備していくことが重要です。

自発性が高まる取り組みを実施する

人材育成成功事例の共通点として、自発性を引き出す取り組みを行っていることも挙げられます。成長意欲のある社員に対しては、主体性を促す環境づくりが重要です。そのため、評価制度の見直しや資格取得支援制度の導入など、自発的な学びや成長に応える仕組みを整えることが求められます。

また、書籍購入制度やeラーニングの活用など、学びの機会を提供することも重要です。これらの取り組みを社内に周知し、利用されるよう努めることで、社員の自発性が高まり、成長意欲が引き出されるようになるでしょう。

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人材育成の効率を良くする方法

人材育成を自社で効率よく実践するには、どのような方法があるのでしょうか。この章では、3つの方法を解説します。

OJTやOff-JTを活用する

人材育成には、現場における教育指導や社内外の研修が重要です。OJTは実務を通じて必要な知識やスキルを習得させるため、上司や先輩の指導が不可欠になります。一方、Off-JTでは社内の集合研修や、外部講師を招いたセミナーなどを活用します。これらを上手く組み合わせることで、より効果的な人材育成を行うことが可能です。

現場での実践を通じて能力を補完し、社内外の研修で幅広い知識や視野を得ることで、社員の成長を促進します。これらは、短期的な目標を実現したいときに効果的な手法といえるでしょう。

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成長につながる制度を導入する

人材育成を成功させるためには、人事評価や目標管理などの制度を有効活用しましょう。人事評価制度は、能力や業績に基づいて昇進や昇級を行うことで、社員のモチベーション向上に貢献します。評価を振り返ることで自己改善の機会を得て、成長につなげることが可能です。

目標管理制度は個々の目標を設定し、進捗や実行を自己管理する手法です。これは経済学者P・ドラッカーが提唱したマネジメント手法で、MBOと呼ばれることもあります。この制度のメリットは、社員の自己管理能力や業務遂行力を向上させられる点です。これらの制度を導入することで、明確な目標設定と成果の可視化が可能となり、社員の意欲や能力向上を促進することにつながるでしょう。

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キャリアデザインを明確にする

キャリアデザインを明確にすることも効果的です。キャリアパスや給与テーブルの公開により、社員は自身の現状や目指すべき方向を明確に把握できます。明確な目標と報酬のイメージを持つことで、モチベーションが高まるでしょう。

また、大同生命保険会社では、人材育成用の社内ポータルサイトを開設し、社員のプロフィールをいつでも閲覧できるようにしています。これを通じて他の社員のキャリアや取り組みを知ることができ、自身のキャリアアップの参考にすることが可能です。

その結果、社員は自己啓発やスキルの向上に積極的に取り組むことができ、キャリアの明確性と成長への意欲が高まります。キャリアデザインの明確化は、社員のモチベーションを向上させ、組織全体の成果につながる重要な要素となるでしょう。

組織マネジメントとは?事例や必要な能力・参考にすべきフレームワークを紹介

人材育成で活用できるフレームワーク

この章では、人材育成で活用できるフレームワークを5つ紹介していきます。

SMARTの法則

SMARTの法則は、目標の設定において「具体性」「計測可能性」「達成可能性」「関連性」「期限の明確性」という5つの要素を考慮するフレームワークです。具体的で明確な目標を設定し、数値や指標で進捗を測定できるようにします。

同時に、目標が現実的かつ達成可能であることを確認し、組織や個人の目的と関連性があることを重視するのが特徴です。さらに、目標には期限を設けてタイムバウンド性を持たせます。これにより、明確な目標設定と達成可能性の高い目標が実現され、パフォーマンスの向上やエンゲージメントの促進につながるでしょう。

ベーシック法

ベーシック法は、最も基礎的な目標設定のフレームワークです。目標を具体的に設定するために、「目標項目」「達成基準」「期限設定」「達成計画」を作成します。

ひとつひとつの項目について熟考することにより、目標が明確になり、達成可能性を高めることができるでしょう。ベーシック法は目標設定の基本となるフレームワークであるため、これまでに目標設定を行ったことがないという人にも取り組みやすい方法といえます。

カッツモデル

カッツモデルは、マネジメント層の能力を階層別・スキル別に分類し明示したフレームワークです。このフレームワークは、「ロワーマネジメント」「ミドルマネジメント」「トップマネジメント」の3つの階層と、「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つのビジネススキルで構成されます。

カッツモデルは1950年代にロバート・L・カッツ氏によって提唱されたフレームワークで、人材育成や組織開発の指針として広く活用されています。役職ごとに求められるスキルの割合を示すことで、マネジメント層の育成やスキル開発に役立つでしょう。

カークパトリックモデル

カークパトリックモデルは、ドナルド・カークパトリックによって提唱された教育の評価法のフレームワークです。教育や研修の効果を4つの段階で評価し、研修前後の変化を投資効果として測定することを重視しています。

「反応」「学習」「行動」「結果」の4つの段階により、研修の効果を総合的に評価することが可能です。カークパトリックモデルは幅広い分野で活用されますが、とくに新入社員研修やリーダーシップ研修などの領域で広く使われています。このモデルは、教育の効果を明確に把握し、研修プログラムの品質向上と効果的な学習を促進するのに役立ちます。

思考の6段階モデル

思考の6段階モデルは、教育学者ベンジャミン・ブルームによって提唱されたフレームワークです。このモデルでは、思考プロセスを「記憶」「理解」「応用」「分析」「評価」「創造」という6つの段階に分け、それぞれの能力を伸ばしていくことが重要と考えられています。

このモデルを活用して教育や研修プログラムを段階的に設計していくことで、社員の能力を確実かつ効率的に伸ばしていくことが可能です。

マネージャーが参考にすべき目標設定のポイント|具体例やフレームワーク

成功事例を参考に自社に適した人材を育成しよう

自社の理念や経営目標を実現できる人材を育成するには、まずはじめに必要な人材像を明確にする必要があります。また、社員の自発性を高め成長を促すような環境を整備することも重要です。

本記事では、さまざまな企業での人材育成の成功事例を紹介しました。今回紹介したポイントなども参考にしていただき、自社の経営方針に適した人材育成を図りましょう。

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