組織運営とは?意味やフレームワーク・必要なスキル、具体例を解説

2023/08/17 2024/05/31

組織・マネジメント

組織運営とは

働き方が多様化する現代において、重要とされる「組織運営」。既に多くの企業で取り入れられていますが、そもそも組織運営とは何か、よくわからないという人も多いのではないでしょうか。本記事では、組織運営の意味や役立つフレームワーク、必要なスキルを詳しく紹介します。

組織運営の意味とは

組織運営とは、事業や団体をスムーズに動かし続けるために、組織の経営資源を管理者がマネジメントすることです。経営資源とは「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つで、中でも人材を指す「ヒト」のマネジメントが重要とされています。

近年、働き方の多様化や雇用のグローバル化により、社員一人ひとりの能力が発揮できるようにマネジメントする組織運営が求められています。

スキルや働き方、価値観などに合わせて個別に対応していくことで、社員は能力を最大限発揮することが可能になり、組織のパフォーマンスを最大化させることができるでしょう。

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組織運営とリーダーシップの違い

組織運営とリーダーシップは、組織の目標を達成するために必要な手段という点で共通しています。

しかし、組織運営は会社や部署などの組織に働きかける取り組みです。組織のビジョンを実現するために必要な要素を分析し、戦略を立てるなどして、計画を実行・管理します。

一方リーダーシップは、組織の目標達成のためにチームを統率し、共有のビジョンに向かって動くように社員を導く能力を指します。主にメンバーのモチベーションアップやスキルアップを図ることが求められるでしょう。

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組織運営に役立つフレームワーク|マッキンゼーの組織の7S

組織運営の成功には、フレームワークに基づく計画と実行が役立ちます。その中でも、とくに有名なのがマッキンゼーの「7Sフレームワーク」です。

このフレームワークは、組織が適応し、変革を達成するための7つの重要な要素を表しています。7つの要素はすべて「S」で始まることから、この名前が付けられました。これらの要素は「ハードの3S」と「ソフトの4S」に分けることができます。

ハードの3S

ハードの3Sは、組織の構造に関わる経営資源を指します。

Strategy「戦略」

戦略とは、組織がその目的を達成するための計画や方向性を示すものです。自社の優れている点や、反対に競合他社と比較して遅れを取っている点を分析し、優位性を保つための戦略を考案する必要があります。

また、企業の舵取りを行う上で欠かせない、市場の現状やトレンド、顧客ニーズなどを理解することも重要です。

Structure「組織」

組織とは、パフォーマンスを最大化できるような組織が構築されているかを指します。

メンバー同士のコミュニケーションが適切か、どのプロジェクトで誰がリーダーシップを取っているかなどの分析が必要です。

System「システム」

システムとは、組織の活動を円滑に行うためのルールや制度を指します。具体的には、人事評価と報酬のシステム、社内情報システムなどが挙げられます。

ソフトの4S

ソフトの4Sは、人に関する経営資源を指します。ハードの3Sと比較して、簡単には変更できない要素であり、時間とコストを必要とする点が特徴です。

Skills「スキル」

スキルとは、組織全体または個々のメンバーが持っている特定の能力や知識を指します。また、企業全体に蓄積されたナレッジや営業力なども含みます。

競合と比較して長けているスキルや自社が伸ばすべきスキルを把握することで、組織のパフォーマンス向上に必要な要素を分析できます。

Staff「人材」

人材とは、組織を構成する社員の情報を指します。具体的には、適切な人材配置や教育が行われているかなど、「ヒト」に関するマネジメントが適切かどうかの分析を行う必要があります。

最適な人材配置ができれば、組織全体のパフォーマンスを向上させることが可能です。その結果、組織としての目標達成の実現にもつながるでしょう。

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Style「スタイル」

スタイルとは、企業の社風や職場環境などのことです。これには、意思決定のプロセスやコミュニケーションのスタイル、組織のカルチャーなど、自社の特徴を知ることが含まれます。

Shared Values「価値観」

価値観とは、組織全体が共有すべき理念やビジョンなどを指します。これらを経営層だけでなく、社員全体に浸透できているかを分析します。

定期的にミーティングを行ったり、社内報を発行したりするなどして価値観を共有しておくことが重要です。

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組織運営の原則・具体例

組織運営を行ううえで、リーダーが心得ておくべき原則がいくつかあります。ここからは、組織運営の原則・具体例を5つ紹介します。

自分が正しいと思い込まない

リーダーは部下を指揮する立場であるため、「自分の行動や考えは正しい」と思い込んでしまう場合があります。

自身の正しさだけを主張しても、万が一過ちがある場合には他者は動いてくれません。過ちがあれば素直に謝ったり、部下から学べることがあれば受け入れたりと柔軟に対応することが必要です。

「自分が正しい」と思い込んで部下の意見を否定するのではなく、部下の意見をしっかりと聞いて学べる部分は素直に吸収し、前向きに意見を交わすことが大切です。

風通しの良い雰囲気を作る

組織運営を成功させるには、風通しの良い環境となっているかを確認しましょう。部下がリーダーの顔色を常にうかがっていたり、他部署とのコミュニケーションが一切ない状態などは、風通しが良い雰囲気とは言えません。

役職に関係なく社員同士で雑談できる環境を整えるなど、オープンに話せる雰囲気を作るだけでも風通しが良くなり生産性の向上や離職率の低下などが期待できます。

風通しの良い雰囲気を作る方法の具体例として、挨拶の励行や社内イベントの企画、1on1ミーティングの導入やカフェスペースの設置などがあげられます。

部下に裁量を与える

部下に裁量を与えると、一人ひとりが自発的に行動できるようになり、組織運営の成功に導けます。また、部下は「上司から信頼されている」ということを認識できるため、モチベーションもアップして生産性の向上や業務効率化なども期待できます。

さらに、裁量を与えることで部下のマネジメント力や発想力の向上も期待でき、部下自身の成長にもつながる点がメリットです。

裁量を与えることで部下のプレッシャーとなる場合もありますが、部下の成長の促進につながり、やりがいを持って働けるようになります。

綿密にコミュニケーションを取る

組織運営の成功には、社員間での綿密なコミュニケーションが欠かせません。

業務を進行するうえで必要な情報は、細かなことでも逐一部下に共有したり、部下からの意見も真剣に聞いたりするなどコミュニケーションを綿密に取ることを意識しましょう。

部下から意見や提案を伝えやすいように、対面だけではなくメールやチャットツールなどからも気軽にコミュニケーションを取れる雰囲気作りが大切です。

例えば、ある業務の進捗や情報をメールやチャットツールで伝える際、意見や提案があれば気軽に連絡がほしい旨を書き添えることで、部下からコミュニケーションを取るハードルを下げられます。綿密なコミュニケーションを通じて、部下との信頼関係を構築していきましょう。

透明性を重視する

組織運営の効果を高めるには、組織の透明性を重視しましょう。

透明性の高さは社員との信頼関係を築き、より良い成果を生むとともに優秀な人材も惹きつけられるようになります。また、透明性の高さによって部下は自身の仕事が何につながっているのかを把握することで、仕事に愛着が湧いてエンゲージメントの向上も期待できます。

組織運営に必要なスキル

組織を適切に運営するためには、複数のスキルが必要とされます。これらのスキルを身につけることで、組織の効率性を高め、目標達成への道をスムーズに進めることが可能です。

ここでは、組織運営に欠かせない4つの主要なスキルについて解説します。

目標設定・計画立案スキル

目標設定・計画立案スキルは、組織のビジョンや目的を明確にする能力を指します。具体的には、組織のミッションを理解し、それに基づく実現可能な目標を立てること、さらにそれを実現するための手段やプロセスを策定することが含まれます。

努力しても実現できないような高すぎる目標では、メンバーのモチベーションは高まりません。また、メンバーの能力に対して低すぎる目標を設定している場合も同様です。

社員のスキルや業務にかかる工数を把握して目標設定を行うことで、メンバーのモチベーションを高めることができるでしょう。

計画を実行・遂行するスキル

計画を実行・遂行するスキルは、策定された計画を具体的な行動に移し、結果を得る能力を指します。

計画の実行は、その計画の有効性や適切性を試す実践の場となります。このスキルには、時間管理やタスクの優先順位の決定、必要な資源の確保や配分などが含まれます。

実行の過程で予期せぬ障害や問題が生じた際には、柔軟に対応し、計画を修正する能力が求められるでしょう。また、チーム内のコミュニケーションを効果的に取りながら、組織の目標に沿った行動を促進するリーダーシップも不可欠です。

計画の遂行は、組織の戦略を現実にするための重要なステップであり、その成果が組織の成功に直結します。

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コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルは、情報を効果的に伝達し、相手との理解を深める能力を指します。

このスキルは、組織内外のステークホルダーとの関係構築や維持に不可欠です。組織運営の管理者には、経営層と現場の双方が納得できるような説明能力が求められます。

さらに、複雑な状況や対立などが生じたときに、平穏な状態に導くためのコミュニケーション能力も重要です。効果的なコミュニケーションは、組織の信頼関係を築き、チームの協調性を高め、業績の向上を促進する役割を果たします。

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人材マネジメントスキル

人材マネジメントスキルは、組織内の個々のメンバーの能力や特性を理解し、最大限に活用しながら、成長を支援する能力を指します。このスキルには、人員の採用・育成・評価・適切な人材配置が含まれます。

リーダーやマネージャーとしての役割を果たす者は、チームメンバーのモチベーションを維持・向上させ、キャリアの発展をサポートする必要があります。また、異なるバックグラウンドや、価値観を持つメンバー間のコミュニケーションをスムーズにする能力も重要です。

成功する人材マネジメントは、組織内の信頼関係を深化させ、全体の生産性やイノベーションを促進します。従って、このスキルは組織の持続的な成功にとって欠かせないものと言えるでしょう。

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ポイントを踏まえて適切な組織運営を

組織運営は、誰にでもできる簡単な職務ではありません。しかし、必要なスキルを身につけたり、適切なフレームワークを使用することで、より円滑な運営が可能となります。

社員一人ひとりの能力を最大限発揮するには、スキルや働き方などにあわせて個別に対応していくことが求められるでしょう。組織運営の強化を図りたいと考えている方は、ぜひ本記事で紹介した内容を参考にしてみてください。

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