ヘルプデスクはアウトソーシングできる?費用や依頼できる業務・メリットとデメリット
事業規模が大きくなるにつれて、ヘルプデスク業務への負担は増加します。企業によっては、他の業務を兼任する場合もあり、効率低下につながりかねません。本記事では、ヘルプデスク業務をアウトソーシングに依頼できるのか、業務内容からメリットやデメリットまで解説します。
目次
ヘルプデスク業務はアウトソーシングできる
顧客からの問い合わせや従業員からの問い合わせに対応するヘルプデスクは、アウトソーシングすることが可能です。
近年、コスト削減や業務効率化・専門知識の活用など多くのメリットがあるため、ヘルプデスクのアウトソーシングを導入する企業が増加しています。
ヘルプデスクをアウトソーシングする必要性
近年、クラウド・IoT・AIなど技術が急速に発展し、アプリやWebサービスの利用頻度が増加しています。しかし、技術の進化に伴い設定変更やシステム利用方法・デバイスの操作方法が複雑化したため、問題解決に時間がかかることもありヘルプデスクの重要性が高まっています。
社内のヘルプデスク業務は、システム部門の業務になっている場合が多いです。システム部門はシステムやインフラの構築を行いますが、社内ヘルプデスク対応に時間を使っている企業も多くコア業務に注力できていないという現状です。
そのため、ヘルプデスク業務のアウトソーシングが活発化しています。アウトソーシングすることで、システム部門はコア業務に集中できるため、社内の人材不足や人件費のコスト削減が解決できるでしょう。
▷アウトソーシングをするメリット・デメリット|導入を判断する方法
アウトソーシングできるヘルプデスクの業務内容
アウトソーシングできるヘルプデスクの業務には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、社内と社外でどのようなヘルプデスク業務内容があるのかを解説します。
社内ヘルプデスクの業務内容
社内ヘルプデスクとは、ITシステムに関する問題やトラブルを解決するために設置された社内用の専門的なサポートデスクです。
社内ヘルプデスクは、主に以下のような業務を行います。
- 社員からの問い合わせ対応
- システム障害やエラーのトラブルシューティング
- ハードウェアやソフトウェアのインストール、設定変更
- セキュリティ対策、ウイルス対策などの実施
- ネットワークのトラブルシューティングやネットワーク設定の変更
- ドキュメントの作成、更新、改訂
- システム利用方法や操作方法などのトレーニング
社内ヘルプデスクの業務は、問題の受付・分類・対応・解決や、操作方法のレクチャー・システム障害の予防などさまざまです。なお社内ヘルプデスクの業務内容は、企業や組織によって異なります。
社外ヘルプデスクの業務内容
社外ヘルプデスクは、社外の問い合わせやトラブルに対して専門的なサポートや技術的な問題解決を行います。
一般的な社外ヘルプデスクの業務内容は以下の通りです。
- 電話やメールなどでの問い合わせ対応
- システムやアプリケーションの使用方法に関する説明やトラブルシューティング
- リモートサポートによるトラブル解決
- 問題解決のためのチーム内連携や顧客との連絡調整
- チケット管理や顧客情報管理
製品やサービスの利用方法やトラブル対応など、ユーザーの技術的なサポートの提供が主な業務です。社外ヘルプデスクをアウトソーシングすることで、コスト削減や従業員のコア業務にかかる時間を増やすなどが期待できるでしょう。▷アウトソーシングと業務委託の違いとは?目的やメリット・デメリット
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ヘルプデスクのアウトソーシングにかかる費用
ヘルプデスクのアウトソーシングにかかる費用は、主に2つの方式に分類されます。
固定型料金方式
固定型料金方式は、事前に契約した業務範囲や対応時間・対応言語を基に、一定期間(月単位や年単位など)の固定金額を支払う方式です。固定で費用を支払うため、事前に金額を把握でき予算管理が容易になります。
ただしアウトソーシングサービスを提供する会社との契約内容によっては、業務範囲の変更や急なトラブル対応など、追加費用がかかることもあるので契約内容に十分注意してください。
従量型課金方式
従量型課金方式は、利用した件数や時間に応じて費用が発生する方式です。たとえば、メール1通の問い合わせにつき1回あたり○○円や1時間あたり○○円など、利用量に応じて費用が発生します。
従量型課金方式は利用量に比例して費用が発生するため、業務量が多くなる場合には費用の増加が考えられます。しかし業務量が少ない場合には、費用が抑えられるという点ではメリットです。
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ヘルプデスクをアウトソーシングする際のメリット
ヘルプデスクをアウトソーシングする際のメリットは、主に3つです。
- ヘルプデスク業務の効率化が見込める
- 人材コストを削減できる
- 業務の継続性が向上する
それぞれ、詳しく解説していきます。
ヘルプデスク業務の効率化が見込める
ヘルプデスクをアウトソーシングする際のメリットは、業務の効率化が見込めることです。ヘルプデスク業務には専門的な知識が必要ですが、アウトソーシングすることにより、専門的な知識を持ったサポートスタッフが必要なときに迅速な対応ができます。
またアウトソーシングサービスは常に最新技術やトレンドを確認しているため、内部でのスキルアップやトレーニング時間の削減にもつながります。社内外の問題解決スピードが向上することで、ヘルプデスク業務を効率よくスムーズに進められるでしょう。
人材コストを削減できる
ヘルプデスク業務の運用には、専門スキルを持ったスタッフの採用や育成が必要です。そのため、採用に必要な広告費や研修にかかる人件費などの人材コストや教育コストが発生します。
しかしアウトソーシングサービスを提供している企業は、ヘルプデスク業務に必要なスキルや知識があるスタッフを採用しているため、自社で教育や採用するよりもコストが下がります。またアウトソーシング企業は、スタッフのスケジューリングや管理を行うためのシステムやツールを導入しており、企業側が人材管理に費やす時間やコストも削減できるでしょう。
業務の属人化を解消できる
ヘルプデスク業務は専門性が高く、経歴のある従業員に業務が集中する属人化の傾向が非常に強くあります。
そのため、ヘルプデスク部門で豊富な経験を持っている従業員が退職や離職すると、社内で対応できる人材がいなくなってしまう状況が発生してしまうのです。
しかし、業務委託しておけば専門性の高い問題への対応についても任せることができ、業務の属人化を防げます。また、業務のマニュアルやフローを構築してもらうことにより、委託先の業者へのブラックボックスも防げるのです。
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ヘルプデスクをアウトソーシングする際のデメリット
ヘルプデスクの活用には多くのメリットがあるものの、もちろんデメリットもあります。ヘルプデスクをアウトソーシングする主なデメリットは4つです。
- 準備に手間と時間がかかる
- 社内にノウハウを蓄積できない
- 情報漏洩リスクが生まれる
- 依頼費用が高額な場合もある
それぞれ、詳しく解説していきます。
準備に手間と時間がかかる
アウトソーシング企業の選定には、慎重な調査や検討が必要なので時間や労力が必要です。また、アウトソーシングに伴うシステムやプロセスの変更、契約書の交渉や取りまとめなど、さまざまな手続きをしなければなりません。
さらに、アウトソーシング企業とのコミュニケーションや調整なども必要であるため、一時的に業務が増大します。ただし、準備期間中にアウトソーシングの計画や戦略を立て、リスクマネジメントを行うことで、アウトソーシングの成功につながるでしょう。
社内にノウハウを蓄積できない
ヘルプデスク業務をアウトソーシングする場合、トラブルへの対応方法や解決手段の共有がされず、自社にナレッジやノウハウが蓄積されなくなります。
そのため、アウトソーシングに依存してしまい、いつまでも自社にヘルプデスク部門が設置できなくなってしまいます。
万が一アウトソーシング先の企業がサービスを停止・撤退してしまうと、自社での対応ができないため、アウトソーシング先の企業と定期的な話し合いや業務仕様書を作成してもらうなどの対応を依頼しましょう。
情報漏洩リスクが生まれる
ヘルプデスクでは、顧客情報や企業機密情報など重要な情報を多く取り扱います。そのため、アウトソーシング企業のセキュリティ対策が不十分だったり、従業員の教育や監視が徹底できていなかったりすると情報漏洩のリスクが生じます。
ヘルプデスクのアウトソーシングを検討する際は、セキュリティ対策やプライバシーポリシーについて、十分な検討を行わなければなりません。また契約内容において、アウトソーシング企業の情報漏洩防止に関する規定を明確に定めることも重要です。さらに企業も情報漏洩のリスクを最小限に抑えるために、顧客情報や企業機密情報の取り扱いについて、適切なルールを定めて管理しましょう。
依頼費用が高額な場合もある
ヘルプデスク業務の依頼費用が、高額になる場合もあるので注意が必要です。契約期間中はヘルプデスク業務をアウトソーシング企業に依存するため、契約更新の時に費用が上昇する可能性もあります。そのため、アウトソーシングを検討する場合は、自社の予算と比較検討し長期的な視点で契約を検討しなければなりません。
アウトソーシング企業を選ぶ際には、価格だけでなくサービス内容や品質、安定性など総合的な評価が重要です。
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ヘルプデスクのアウトソーシングをおすすめする企業の特徴
各企業の社内環境や状況に応じてヘルプデスクをアウトソーシングすべきかは異なります。ここでは、アウトソーシングした方が良い企業の特徴について紹介していきます。
社内にヘルプデスクが存在していない企業
社内にヘルプデスクの部門が存在しておらず、疑問やトラブルが生じた際に自力で解決している場合、アウトソーシングを検討してみましょう。
自らで対応する場合、業者へ連絡したり自分で原因を調べたりするために時間がかかってしまい、本業に支障が出てしまいます。生産性の低下や売り上げの低下などの悪影響を及ぼす可能性も考えられるのです。
ヘルプデスクをアウトソーシングすることにより、従業員のリソースを割くことはなく、スムーズに問題を解決することができます。
ヘルプデスク部門が一人で属人化している企業
社内のヘルプデスク業務を担当者が一人でこなしていると、業務自体が属人化している状況になります。業務が属人化すると退職や休職などで担当者がいなくなった場合に対応できる人がいなくなります。
また、属人化を防ぐためには、採用や教育のコストや業務を任せるまでの時間も必要です。
そこでヘルプデスクをアウトソーシングすることにより、人件費や採用にかかるコスト・時間をかけることなく、業務の属人化を防ぐことができるのです。
▷情シスのアウトソーシングを比較!おすすめのサービスやメリット・失敗しない選び方
ヘルプデスク業務を依頼するアウトソーシングサービスの選び方
では実際に、どのような企業にヘルプデスク業務を依頼すべきでしょうか。ヘルプデスク業務を依頼するアウトソーシングサービスの選び方は主に6つです。
今後導入を検討している方は、ぜひご確認ください。
目的に適したサービス内容か
ヘルプデスクのサポート範囲や自社の顧客対応など、目的に適したサービス内容かを確認しましょう。たとえば海外支社がある場合、24時間体制のヘルプデスクサポートが必要かもしれません。もし選定したアウトソーシングサービスが24時間体制でなければ、別の契約をするなど余計な費用がかかってしまいます。
電話やチャット・メールなど、どのツールでサポートしてくれるのか、サポート提供の範囲はどこまでかなどを確認して自社に合致している必要があります。
セキュリティ面は万全か
セキュリティ面も事前に確認しておきましょう。たとえば、ヘルプデスクで使用されるシステムやデータへのアクセス権限が、厳格に制御されているのか確認をしてください。情報にアクセスできる人員を限定することで、不正アクセスや情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。
特に「Pマーク」や「ISMS認証」など情報セキュリティに関する第三者の認証があれば、信用できるアウトソーシングサービスといえるでしょう。アウトソーシング会社に依頼する場合は、セキュリティ面に問題がないか確認してください。
オペレーターの対応は高いか
オペレーターは、顧客と直接コミュニケーションを取り問題解決に向けて取り組みます。そのため、親切で丁寧な対応が迅速にできるオペレーターが揃っているかを確認してください。
アウトソーシングのサービス提供会社に確認すると、IT機器・ネットワーク系など能力や得意ジャンルがわかります。依頼する前には必ず専門知識の有無を確認し、本当に任せられる会社か判断するようにしましょう。
費用対効果を得られるか
コストが低いというだけでアウトソーシングサービスを選んでしまうと、ヘルプデスクの品質が低かったり対応に別途費用がかかったりすることがあります。そのため、コストだけでなく基本サービスを確認して、費用対効果が得られるか確認しましょう。
また、契約内容やサービスレベルによっても費用対効果が変わります。契約前にオペレーターの質やセキュリティ対策など、提案内容と費用面のバランスを考慮するようにしてください。
関連サービスとの提供はあるか
ヘルプデスク業務だけでなく、関連サービスの提供があるかを確認しましょう。たとえば、顧客サポートに特化したアウトソーシングサービスは、顧客満足度を向上させるために必要な関連サービスを提供している場合があります。
またヘルプデスク業務だけでなく、ITインフラ管理やセキュリティ対策などのサービスを提供している場合もあります。関連サービスが提供されているかどうかを確認し、自社に必要なサービスが揃っている会社を選ぶことで業務の軽減につながるでしょう。
▷ITアウトソーシングサービスおすすめ比較!選定のポイントや失敗しないコツ
災害などのリスク対策があるか
災害や停電などが発生してもサービスが継続できるように、リスク対策が行われているか確認しましょう。リスク対策が行われていないと、業務がストップして顧客対応できなかったり、取引先とのやりとりができなくなったりするため売上に影響があります。
BCP対策が行われているか、複数に拠点があり被災しても別の拠点で対応可能かなどを確認して、業務が円滑にすすむようにアウトソーシングサービスを選定しましょう。
▷ITアウトソーシングのメリット・デメリット|委託を失敗しない秘訣
ヘルプデスク業務におすすめのアウトソーシングサービス
ヘルプデスク業務のアウトソーシングサービスを行っている企業は多く、どこを選んでいいか迷っている方も多いはずです。ここでは、特におすすめのアウトソーシングサービスを4社紹介します。
anet
anetは、エイネット株式会社が運用している情シスのアウトソーシングサービスであり、PCのピッキングやヘルプデスクをはじめ豊富な業務に対応してくれます。
月額4,800円(税込)からと気軽に始められる料金も魅力のひとつであり、サービスを開始してから25年の実績があるので安心して利用できるのもポイントです。
提供元 | エイネット株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 情シス代行ベーシックプラン基本料金:4,800円(税込)/月~ ※別途メニュー代金が発生します。 |
機能・特徴 | ヘルプデスク、セキュリティ運用、IT資産管理運用など |
URL | 公式サイト |
Total IT Helper
Total IT Helperは、リップル株式会社が提供している情報システムで発生するさまざまな業務をサポートしてくれるアウトソーシングサービスです。
PC1台あたり2,000円からと低価格で導入できるのが特徴で、100万件以上の問い合わせで培ったノウハウにより、迅速かつ正確にトラブルを解決してくれます。
提供元 | リップル株式会社 |
初期費用 | 10,000円 |
料金プラン |
※最低利用期間:半年 |
導入企業数 | 42,668社(2023年2月現在) |
機能・特徴 | ヘルプデスク、OA機器管理、コンサルティングなど |
URL | 公式サイト |
情シスフォース
情シスフォースは、DeepApex株式会社が運営する専門のエンジニアチームが企業の課題を解決してくれるアウトソーシングサービスです。
業界や業種を問わずに対応してきた実績があり、豊富なノウハウを蓄積しているため、手厚いサービスを受けることができます。また、最短3営業日から業務の開始が可能なので、すぐにでも依頼したい企業におすすめです。
提供元 | DeepApex株式会社 |
初期費用 | 無料 |
料金プラン |
|
機能・特徴 | ITコンサルティング・DX、情報セキュリティ、サーバ管理、ヘルプデスク、PCキッティングなど |
URL | 公式サイト |
CROSS HEAD
CROSS HEADは、クロス・ヘッド株式会社が運営する、情シスコンサルティングによる業務代行や改善支援、情シスBPOによるアウトソースサービスです。
属人化している業務を標準化し、誰でも効率的に情シス業務を行う体制を整えてくれます。実績も豊富なため、安心してアウトソーシングができるサービスといえるでしょう。
提供元 | クロス・ヘッド株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 | 情シス相談、業務支援・改善、IT環境改善、アカウント管理、セキュリティ運用など |
URL | 公式サイト |
負担の多いヘルプデスク業務にはアウトソーシングを活用しよう
ヘルプデスク業務をアウトソーシングするかは、会社や組織の状況によって異なります。アウトソーシングには、コスト削減や専門的な知識や経験の活用などのメリットがあります。しかしアウトソーシング会社の品質やセキュリティ、コミュニケーションの問題などがデメリットになることも考えられるでしょう。
本記事を参考にヘルプデスクのメリットやデメリットを理解し、自社に適したアウトソーシングサービスを比較検討してください。
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