BPOとアウトソーシングの違いとは?メリットや対象業務・注意点をわかりやすく解説

最終更新日時:2023/09/22

アウトソーシング

BPOとマネジメントの違い

コストの削減やコア業務への注力などを目的としたBPOは、昨今で注目が高まっており市場も拡大しています。そんな「BPO」と「アウトソーシング」の違いがよく分からず、混合して考えている方も多いはずです。そこでこの記事では、BPOとアウトソーシングの違いやBPOのメリット・対象となる業務についてわかりやすく解説していきます。

BPOとは

BPOとは「Business Process Outsourcing」の略で、企業活動に欠かせない業務工程を丸ごと外部に委託することです。アウトソーシングの一種ともいわれ、業務を遂行にあたって社内に必要なノウハウやリソースが不足している場合に活用されます。

コールセンター業務やバックオフィス業務などは、BPOを活用して外部に委託される業務内容の例です。このように、BPOは社内の部門が丸ごと外部に委託されるようなイメージです。

また、業務工程を一括して外部に委託するBPOは、委託期間も長い傾向にあります。そのため、BPOで業務を委託する事業者とは、パートナーとして継続的な関係が続いていくのが一般的です。さらに、BPO事業者は企業のパートナーとして、「業務工程の構築・設計」「企業の課題解決」「戦略立案のサポート」などを担う場合もあります。

BPOとは?メリット・デメリットや向いている業務を簡単に解説!

アウトソーシングとは

アウトソーシングとは、業務工程の一部を外部に委託することで、主な目的は人手不足の解消です。「業務を遂行するには人手が不足している」といった場合、一時的に人手を補うために業務工程の一部を委託します。

たとえば、普段は問題ないものの、年末調整の時期は業務量が増えるため業務遂行が難しいといった場合、年末調整業務のみを外部に委託するのがアウトソーシングです。

BPOに比べてアウトソーシングの委託期間は短い傾向にあり、あくまでも「業務を遂行するため」に活用されます。そのため、アウトソーシングはBPOのように業務工程の改善や戦略立案のサポートなど、企業の基幹業務には介入しない点が特徴です。

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BPOとアウトソーシングの違い

ここまでで述べてきたBPOとアウトソーシングそれぞれの特徴・違いをまとめてみると下記の通りになります。


BPO
アウトソーシング
主な目的
人手不足の解消
・企業課題の解決
・業務プロセスの構築
専門性高め低め
委託範囲
一部の業務
一括の業務
業務期間
短期的長期的

アウトソーシングが業務の一時的な人材不足や社内リソースの調整などの人材不足の際に活用するのに対し、BPOの目的は業務プロセスの構築や企業課題の解決などです。そのため、アウトソーシングと比べて、依頼期間は長期的で、かつ専門性も高い傾向があります。

BPOはアウトソーシングの一部ではあるものの、両者では目的や依頼期間をはじめ様々な違いがあると言えるでしょう。

BPOの対象となる業務内容

アウトソーシングで外部に委託できる業務範囲は、人事業務・経理業務・営業・システム開発など、多岐にわたります。ここでは、BPOで委託できる主な業務内容について紹介します。

バックオフィス業務

BPOに向いている業務のひとつが「バックオフィス業務」です。具体的なバックオフィス業務としては、以下7つが挙げられます。

  • 経理業務
  • 総務業務
  • 労務業務
  • 人事業務
  • 事務業務
  • コールセンター・ヘルプデスク
  • 品質調査

それぞれ詳しく見ていきましょう。

経理業務

経理業務は、請求書発行・支払処理・経費精算・伝票整理・データ作成など、定型化しやすい業務が多いため、BPOの委託に向いている業務といえます。

経理業務は月末や月初など、特定の時期に業務が集中するため、時期によって従業員の残業が増えたり余剰人員が発生したりといった課題が挙げられます。しかし、経理業務をBPOで外部委託すれば、繁閑に左右されない効果的な人員配置が実現するでしょう。

総務業務

総務業務は、名刺管理・備品管理オフィス管理・郵便物の対応・出張手配など、組織全体に関わる業務が多く、業務範囲の広さも総務業務の特徴です。そして、業務範囲が広いばかりに、業務が煩雑化したり属人化が起こったりするなどの課題が挙げられます。

しかし、総務業務もBPOでの外部委託が可能です。総務業務の業務範囲は広く、定型化できる業務とできない業務が混在しているものの、定型化できる業務を優先的にBPOで外部に委託することで、業務の煩雑化を防げます。

また、社内で担当する業務内容を削減することで、業務内容や担当者が明確になり、業務の属人化防止にもつながるでしょう。

労務業務

労務業務は、給与計算・勤怠管理・就業規則作成など、正確性の求められる業務が多い点が特徴です。とくに労務業務が部門として独立しておらず、他部門の従業員が兼任している場合、1人の負担が大きく人為的ミスが起こるといった問題につながりかねません。

しかし、BPOで労務業務を外部に委託すれば、労務業務に長けた専門業者が業務を担当するため、人為的ミスの発生防止につながります。また、労務業務も定型化しやすい業務が多く、繁閑の時期も大まか決まっているため、BPOの導入が向いている業務といえます。

人事業務

人事業務は、採用・人材育成・人員配置などの業務が挙げられ、業務内容が煩雑な傾向があります。たとえば、採用では面接日程の調整・連絡・場所の確保など、人材育成ではマニュアル作成・検収日程の調整・場所の確保・担当者の抽出など、人事業務は多くの工程を踏まなければなりません。

しかし、人事業務にBPOを導入すれば、煩雑な業務を外部に委託し、社内で行うべき工程のみに集中できるようになります。また、人材育成では社内の人間よりノウハウや知識を持った専門業者に委託できるため、社内で行う人材育成より高い効果が期待できます。

事務業務

事務業務は、企業活動の中で欠かせない業務のひとつで、具体的には書類の作成や整理・データ入力・電話応対・来客応対などを行います。企業規模が大きいほど事務の業務量も増えるため、事務業務にBPOを導入する企業の多くが大企業です。

また、事務業務は書類作成やデータ入力など、定型化しやすい業務が多いため、BPOが向いている業務のひとつともいえます。

コールセンター・ヘルプデスク

コールセンターやヘルプデスクも、BPOで外部に委託されることが多い業務です。顧客からの問い合わせは毎日発生し、とくにBtoC商材を扱う企業の問い合わせ数は膨大で、電話以外にもメールやチャットなどでも問い合わせに対応しなければなりません。

そのため、人材不足に陥りやすい傾向があり、ノウハウも必要です。しかし、コールセンターやヘルプデスクの業務を全てBPOで外部に委託すれば、社内のリソースを割く必要がありません。ノウハウを持った事業者に委託できるため、より高い効果も期待できるでしょう。

品質調査

品質調査は、自社の商品・サービスを客観的に評価しなければならないため、BPOの導入に向いているといえます。社内における評価は、どうしても主観が入ってしまい適切な評価ができないケースがみられます。

そのため、BPOで品質調査を委託し、第三者(事業者)から客観的な視点で評価してもらうことで、適切な評価を得ることが可能です。また、BPOでは適切な評価が得られるとともに、具体的な改善施策を提案してくれるため、より効果的な品質調査が実現できるでしょう。

システム開発業務

システム開発業務は、専門的な知識や技術を必要とするため、社内リソースでは対応できずBPOを導入するケースが多くみられます。

近年、働き方の多様化によりテレワークが一般化するなど、多くの企業がニューノーマルな働き方に合わせて業務システムを構築しなければならない状況に直面しています。

業務システムの構築は迅速な対応が求められる場合もあり、BPOで専門業者にスピーディーかつ高品質なシステム開発を委託することは、企業にとってよい選択といえるでしょう。

コンサルタント業務

BPOには一括した業務工程の委託だけでなく、業務改善や提案など、継続的なコンサルタント業務の委託も可能です。

たとえば、コールセンター業務をBPOで外部に委託した場合、業務の遂行だけでなくコールセンター業務の運営そのものも委託できます。コールセンター業務に関するノウハウを持つ専門業者であれば、より効率的な業務遂行につながるでしょう。

BPO導入の成功事例一覧!注意点や向いている業務を紹介!

BPOのメリット

BPOのメリットは、以下の3つです。

  • コア業務にリソースを避ける
  • 自社の新たな課題を発見できる
  • コスト削減につながる

コア業務にリソースを避ける

業務を一括で外部に委託することによって、社員は本来リソースを注ぐべきコア業務に集中することができます。企業全体としても生産性の向上が見込めるでしょう。

また、社員がルーティン的な業務をこなす必要がなくなるため、業務へやりがいを感じられたり、モチベーションがアップしたりなどの効果も得られます。

自社の新たな課題を発見できる

BPOでは専門性が高く豊富な実績のあるパートナーに業務を依頼するため、これまでに気づけなかった課題に気づける可能性もあります。

浮き彫りになった課題をどう解決すべきか・いつまでにどのようなプロセスを組むべきなのかなど、解決に向けた対応もとってくれるのでスムーズな課題解決ができます。

コスト削減につながる

BPOによって、当たり前のように発生していた人件費やシステム費などの固定費や変動費として計上でき、全体的なコストの削減が実現します。

削減した分のコストを最適化することで、よりプロジェクトの拡大や売上の向上、従業員満足度アップなどにもつながるでしょう。

BPOを導入する際の注意点

BPOを導入する際の注意点は、以下の4つです。

  • BPOの導入目的の明確化が必要
  • 自社の条件にあうアウトソーサーであるか吟味が必要
  • 委託する業務内容の詳細設定・提示が必要
  • 管理・監視体制の構築が必要

BPOの導入目的の明確化が必要

BPOを導入する場合は、事前にBPOの導入目的を明確化することが大切です。目的が不明確なままBPO導入を進めてしまうと、自社に適していないBPO事業者を選定したり、BPOで外部に委託する業務範囲が曖昧になったりする可能性があります。

そのため、まずは自社が抱えている課題を洗い出し、その課題を解決するためにどの業務範囲にBPOを導入すべきか、目的を明確にしたうえでBPO導入を検討しましょう。

自社の条件にあうアウトソーサーであるか吟味が必要

BPOを依頼できるアウトソーサーでも、企業規模・コスト・専門性・実績・セキュリティ体制など、さまざまな要素が異なります。そのため、自社の条件に合うアウトソーサーであるかを吟味しなければなりません。

たとえば、専門性が高く実績も豊富で安心できるアウトソーサーでも、BPO導入に割ける予算をはるかに超えたコストになれば、自社の条件には適していないといえます。

そのため、アウトソーサーに求める条件を洗い出したうえで、条件を満たした複数のアウトソーサーから見積もりをとり、比較検討することが大切です。

委託する業務内容の詳細設定・提示が必要

BPOを導入する際、委託する業務範囲や内容を詳細に伝える必要があります。そのため、業務工程が不明確な業務を委託する場合、まずは業務工程を洗い出す作業から始めなければなりません。

もし業務工程や内容を明確にしないままBPO事業者に委託してしまうと、「期待していた効果が得られない」「BPO事業者がどのような業務を行っているか分からない」などの問題が生じる可能性があります。

したがって、BPOを導入する際には委託する業務内容を事前に設定したうえで、どのような工程を踏んで業務を遂行して欲しいのか、BPO事業者に詳しく伝えるようにしましょう。

管理・監視体制の構築が必要

BPOを導入した業務は、一括して外部で遂行されるため、「社内にノウハウが蓄積されない」「委託した業務の属人化が発生する」などの課題が残ります。委託した業務内容を知っている従業員が退職・転職した場合、社内にその業務内容を知った人材がいないという問題も起こりかねません。

また、BPOの導入によってどれだけの効果が出ているかも、定期的に検証する必要があります。定期的な検証を行わなければ、効果がないままコストだけが割かれてしまうといった状況になりかねません。

そのため、BPO導入後もBPO事業者とコミュニケーションをとりながら、業務の進捗やノウハウを共有してもらえるような管理・監視体制の構築が大切です。

BPOのメリット・デメリット|効果や費用・導入時のポイントを紹介

BPOの導入手順

企業がBPOを導入する際、どのような手順で進めるべきかという点は非常に重要なポイントです。一般的には下記のような手順で進んでいきます。

  1. BPOを導入する目的を明確にする
  2. 委託する業務範囲を明確化する
  3. 提案依頼書(RFP)を作成する
  4. BPO業者を選定する
  5. BPO業者との協議〜運用スタート

BPOの導入にあたってはいくつかのステップがありますが、最初のステップである、「なぜ導入するのかの目的」「どの業務を委託するのかの範囲」を明確に定めるのが重要です。

目的と業務範囲が定まっていないと、委託をしても「思ったような効果が得られない」「業務改善ができない」などの失敗リスクがあるので注意しておきましょう。

自社にあうBPO企業を選定し企業活動に活かそう

BPOと言っても委託できる業務範囲は幅広いため、自社が委託したい業務とその業務代行を得意とする事業者を選定しなければなりません。

また、BPOを導入する場合はパートナーとして継続的な関係が続きます。そのため、よりよい関係性が構築できるような事業者を選ぶことも大切です。自社に最適なBPO企業を選定し、企業活動に活かしていきましょう。

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