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給与明細とは?基礎知識から給与計算時の発行義務・発行方法について

2022/05/12 2024/08/01

給与計算システム

給与明細とは

毎月交付する給与明細ですが、作成する本来の意味について理解していない方も多いのではないでしょうか。本記事では、給与明細の概要や記載が必要な項目、給与計算・給与明細作成に必要な書類を詳しく解説します。給与計算・給与明細作成の流れや効率化する方法も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

給与明細とは

給与明細とは、従業員一人ひとりに支給される給与額、社会保険料や所得税などの控除額や勤怠情報が記された書類のことです。

給与明細を発行することで、給与額や控除額が正しく計算されているかを企業側と従業員側がお互いに確認できます。給与計算が誤っていると従業員の生活にも大きく影響するため、給与額や控除額に間違いがないかを必ず確認する必要があります。

また、給与明細には決まったフォーマットがなく、必要な項目が記載されていれば自由なフォーマットで作成可能です。

給与明細は交付する義務がある

給与明細の交付は、所得税法231条の1項目で規定されています。

第二百三十一条 居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。

[引用:e-Gov法令検索「昭和四十年法律第三十三号 所得税法」より]

もし給与明細が交付されなかった場合、所得税法違反となって罰則が課せられます。給与明細の不交付、もしくは虚偽の記載や交付をした場合は、所得税法242条7号によって1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課されるため、会社側は給与明細の交付を必ず行うようにしましょう。

また、給与明細の交付が遅れたことに対する罰則はありませんが、給与支払日に給与明細を交付するようにしましょう。そうすることで、給与明細の交付に関連するさまざまなトラブルを防ぐことができます。

[出典:e-Gov法令検索「昭和四十年法律第三十三号 所得税法」より]

給与計算の基礎ステップ~初心者でもわかる基礎知識から計算方法まで

給与計算の明細書に必要な記載項目

給与明細に記載が必要な項目は、以下の4つです。

  • 勤怠項目
  • 支給項目
  • 控除項目
  • そのほかの項目(総支給額や差引支給額など)

ここからは、それぞれの項目について詳しく解説します。

勤怠項目

勤務日数や残業時間などを把握するための項目として、給与明細には勤怠項目が設けられています。具体的には、以下のような項目が記載されています。

  • 勤務日数
  • 欠勤日数
  • 残業時間
  • 有給残日数
  • 有給消化日数数

特に残業時間は、給与の支給額に大きく影響する項目です。給与明細が交付されたら、残業時間と時間外手当の支給額が一致しているかを必ず確認しましょう。

支給項目

支給項目は「額面」とも呼ばれ、以下のような項目が記載されています。

  • 基本給
  • 残業代
  • 各種手当

基本給は給与の基本となる額で、ボーナスが発生する際にも基準として計算に使用される金額です。また、時間外労働や休日労働などが発生した場合は、残業代も記載されます。残業代は通常の基本給より割増で支払われる賃金です。

さらに、住宅手当や役職手当、通勤手当といった各種手当も支給項目に加えられます。手当については、会社の規程によって内容に変動があるため、就業規則を確認して何が手当に含まれるのかを把握しておきましょう。

控除項目

控除項目は、健康保険料や所得税、住民税など給与から差し引かれる金額を指します。具体的な項目は以下のとおりです。

  • 健康保険料
  • 介護保険料(40歳以上の方)
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 所得税
  • 住民税

ほかにも、財形貯蓄や組合費などが控除される場合もあります。健康保険料については、全国健康保険協会が掲載している「都道府県ごとの保険料額表」から、厚生年金保険料は日本年金機構の「厚生年金保険料額表」から確認可能です。

そのほかの項目

給与明細では勤怠項目や支給項目、控除項目以外に、以下のような項目も記載されます。

  • 総支給額
  • 差引支給額など

総支給額は、基本給や残業代、各種手当などすべての支給額を足した金額です。差引支給額は、総支給額から控除項目を差し引いた額のことで、実際に従業員に支払われる金額を指します。一般的に「手取り額」と呼ばれる金額です。

差引支給額が最終的に支給される金額となるため、総支給額=手取り額となるわけではない点に注意しましょう。

給与明細に記載される項目とは?天引きされる税金や保険料を解説

給与計算・給与明細作成に必要な書類

ここからは、給与計算・給与明細作成に必要な書類を詳しく紹介します。給与計算に必要な書類やデータがいくつかあるため、給与計算前にそれらの情報について把握しておきましょう。

従業員の勤務時間に関する書類

まず必要なのが、従業員一人ひとりの勤務時間が確認できるタイムカードや勤怠管理システムの記録などの記録です。

企業は、従業員の勤務時間を正確に把握する必要があります。出勤日数や欠勤日数だけではなく、細かな勤務時間についても正確に記録しましょう。

勤怠管理は今すぐにデジタル化すべき?タイムカード廃止のメリットとは?

従業員の控除に関する書類

従業員の控除に関する書類は、以下のとおりです。

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
  • 住民税課税決定通知書

健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書

健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書とは、健康保険料や厚生年金保険料の計算に用いる書類です。

新たに社会保険に加入した場合や基本給が変更される場合、標準報酬月額の見直し手続きを行った場合などに使用します。

健康保険・厚生年金保険の被保険者報酬月額算定基礎届を7月に提出することによって、その届出による情報をもとにした標準報酬決定通知書が作成され、届出人のもとへ送られます。

住民税課税決定通知書

住民税課税決定通知書は、従業員が毎月納付する住民税額が記載された書類です。

給与支払報告書を毎年1月31日までに地方自治体へ提出することで、5月31日までに住民税課税決定通知書が送られます。給与支払報告書を期日までに提出できない中途入社の従業員の場合、別途手続きが必要です。

住民税の納付額は、前年度の所得をもとにして算出されています。毎月の住民税は、この通知書を参照しながら給与から差し引かれます。

給与計算・給与明細作成の流れ

給与計算・給与明細作成を行うには、勤務時間の集計や手当の計算など、さまざまな作業があります。ここからは、給与計算・給与明細作成の流れを詳しく解説します。

勤務時間を集計

まずは、タイムカードや勤怠管理システムなどのデータを用いて、従業員の勤務時間を集計します。労働時間だけではなく、残業時間や遅刻、早退の時間なども集計しましょう。

勤怠管理システムを利用している場合は、システムが自動で集計してくれるため、データをエクスポートするだけで作業が完了します。

手当を計算

各種手当は、時間外労働や休日出勤などの記録から計算しましょう。ここからは、それぞれの手当における計算方法を解説します。

時間外労働

1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて労働させた場合は、時間外手当の支払いが必要です。割増率は以下のように設定されています。

  • 1日8時間・週40時間以上の労働を行った場合:25%以上
  • 時間外労働が限度時間(1カ月45時間、1年360時間など)を超えた場合:25%以上
  • 時間外労働が1カ月60時間を超えた場合:50%以上

時間外手当は「残業時間×1時間あたりの賃金×割増率」で計算が可能です。1時間あたりの賃金は、「月給÷1カ月の平均所定労働時間」で算出できます。

休日出勤

週1日の法定休日に出勤させた場合は、休日手当を支給しなければなりません。休日手当の割増率は35%以上です。

休日手当は「1時間あたりの賃金×休日の労働時間×割増率」で計算します。

なお、休日出勤をして1日8時間以上の労働を行い残業した場合でも、時間外労働における25%以上の割増賃金は発生せず、休日手当と同様の35%以上の割増率で計算する点に注意しましょう。

例えば、法定休日に9時間労働した場合の計算式は、「1時間あたりの賃金×9時間×1.35以上」となります。

休日出勤とは?給与計算方法・手当が発生するケースを解説

深夜労働

22時から5時までに労働させた場合は、深夜手当を支給します。深夜手当の割増率は25%以上です。深夜手当は「1時間あたりの賃金×深夜労働時間×割増率」で計算します。

なお、残業で深夜労働が発生した場合は、時間外労働の割増率(25%以上)も計算に加わるため、「1時間あたりの賃金×深夜労働時間×割増率(1.5)」で計算可能です。

そのほかの手当

そのほかの手当とは、以下のようなものが該当します。

  • 通勤手当
  • 家族手当
  • 皆勤手当
  • 出張手当
  • 住宅手当 など

これらの手当は法律上、必ず支給しなければならない手当ではないため、企業ごとの独自のルールにしたがって支給します。

なお、一定の金額を下回る通勤手当や出張手当などは、非課税になる場合があります。非課税の場合は所得税の算出に関わってくるため、ミスがないように計算しましょう。

総支給額を計算

ここまでの手順で算出した基本給や各種手当などを加算して、総支給額を計算します。総支給額の計算はいたって簡単で、以下の式を活用してみてください。

総支給額=基本給+時間外手当+各種手当

控除額を計算

次に、控除額を計算します。控除額の合計は、「健康保険料+厚生年金保険料+介護保険料+そのほかの控除」で算出可能です。ここからは、それぞれの控除額の算出方法を紹介します。

健康保険料

健康保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担して支払います。

計算方法は以下のとおりです。

  • 全体の健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率
  • 従業員が負担する健康保険料=全体の健康保険料÷2

標準報酬月額は、従業員の年齢や、4月から6月に支払われた各種手当などを含む報酬の平均額から決定します。

厚生年金保険料

厚生年金保険料は、70歳未満の会社員や公務員が加入する公的年金制度の保険料のことです。健康保険料と同じく、会社と従業員が半分ずつ負担して支払います。

計算方法は以下のとおりです。

  • 全体の厚生年金保険料=標準報酬月額×18.3%
  • 従業員が負担する厚生年金保険料=全体の厚生年金保険料÷2

社会保険料でも用いる標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から32等級(65万円)に分けられています。

厚生年金保険とは?基礎知識や加入条件・計算方法をわかりやすく解説

介護保険料

介護保険料とは、40歳から64歳までの健康保険加入者が支払う、​介護保険制度​の保険料のことです。会社と従業員が半分ずつ負担します。計算方法は以下のとおりです。

  • 全体の介護保険料=標準報酬月額×介護保険料率
  • 従業員が負担する介護保険料=全体の介護保険料÷2

介護保険料率は、毎年見直しが行われます。そのため、介護保険料の費用も年度ごとに異なる点に注意が必要です。

介護保険とは?基礎知識や仕組み・介護保険料の給与計算方法を解説

雇用保険料

企業に属しており一定の条件を満たす従業員は、雇用保険に加入する必要があります。加入者は、毎月雇用保険料を支払わなければなりません。

雇用保険の計算は、「給与額(賞与額)×従業員が負担する雇用保険料率」で行います。

従業員が負担する雇用保険料率は年度によって異なり、事業ごとに負担する率も差があります。例えば、令和6年度の雇用保険料率は一般の事業で0.6%ですが、農林水産・清酒製造の事業や建設の事業などは0.7%です。

雇用保険料とは?正しい計算方法や対象賃金・効率化する方法を解説

住民税

住民税の場合は、毎年5月31日までに特別徴収税額決定通知書が会社へ届きます。すでに各地自体が計算した納税額が記載されているため、会社側で計算を行う必要はありません。

なお、1カ月の住民税の納税額は「特別徴収税額通知書に記載の金額÷12」で算出できます。上記で算出した金額が、毎月の総支給額から差し引かれます。

源泉所得税

源泉所得税は、毎月の総支給額から会社が所得税を差し引いて納める税金です。

源泉所得税は、国税庁のホームページにある「給与所得の源泉徴収税額表」を基に計算します。

まずは課税支給額を算出し、そこから社会保険料を差し引いた金額と「給与所得の源泉徴収税額表」を照らし合わせましょう。そして扶養親族の数を当てはめると、源泉所得税の金額が算出できます。

差引支給額を計算

総支給額から控除額を差し引いた差引支給額は、「総支給額-控除額=差引支給額」で計算が可能です。

差引支給額が従業員の手取り額となるため、計算に間違いがないかをよく確認しましょう。

給与計算の差引支給額とは?~総支給額との違いや計算方法を解説~

給与計算・給与明細作成を効率化する方法

給与明細は必ず交付しなければならないため、毎月従業員ごとに細かな計算をする必要があります。膨大な手間や時間がかかるため、テンプレートや給与計算ソフトなどを活用して効率よく作成しましょう。

ここからは、給与計算・給与明細作成を効率化する方法を2つ紹介します。

テンプレートを作成する

エクセルを使用してテンプレートを作成しておくことで、給与明細の作成を簡単に行うことができます。計算式もセルにあらかじめ入力しておくことで、給与明細の作成が素早くできる点もメリットです。

給与明細を全従業員へ配布するために印刷する手間がかかりますが、作成にかかる作業をすべて手作業で行う場合に比べて大幅に効率化できます。

給与計算ソフトを活用する

給与明細の作成に関する業務をすべて自動化したい場合は、給与計算ソフトを導入しましょう。

全従業員の給与計算を自動化できるほか、給与明細をメールで配信することも可能で、従業員はオンライン上で給与明細を確認できます。印刷コストを抑えることもでき、誤ってほかの従業員の給与明細を渡してしまうトラブルも防止可能です。

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給与証明書が必要な場合

給与証明書は、従業員から求められた際に給与明細とは別で作成する必要があります。

給与証明書は、住宅ローンを組む時や賃貸住宅への入居をする時などに入居者の所得証明書類の一つとして、金融機関や貸主から提出を求められます。給与明細と違って発行義務はないため、従業員が自ら依頼して発行してもらう必要があるのです。

発行様式については特に法律で定められておらず、一般的には以下のような項目が記載されます。

  • 設定された期間における支給額
  • 前年度の年収
  • 支払い年月
  • 総支給額
  • 所得税などの控除額
  • 差引支給額

ほとんどは直近1年のものが有効

住宅ローンを組む際などに提出する所得証明書は、基本的には直近1年のものが有効とされています。

1年以上を過ぎた所得証明書は無効となる場合が多いため、注意しましょう。万が一無効になった場合は、新たに発行してもらう必要があります。

給与明細の保存期間

給与明細は、法律によって保存は義務付けられていません。

しかし、記載される内容が法定三帳簿のうちの「賃金台帳」や「出勤簿」などと重複しており、これらの帳簿は5年間の保存義務があることから、企業コンプライアンスの遵守という点で給与明細も保管しておく企業が多いでしょう。

また、従業員にとっても確定申告を行う際や失業給付金を申請する時、厚生年金の確認といった手続きに必要となる可能性があるため、保存しておくことをおすすめします。

必要な場合に備えて、少なくとも2年間は保存しておきましょう。しかし、確定申告の際は過去5年分の給与明細が必要になる場合があるため、安易に捨てないように気をつけなければなりません。

給与明細の記載項目を理解し、正しく給与計算を行おう

本記事では給与明細に記載されている項目など、給与明細に関する基礎知識について紹介してきました。給与明細は従業員への交付義務があるため、毎月の給与計算はミスなく行って給与明細も作成しなくてはなりません。

従業員自身で確定申告や失業給付金を申請する際にも給与明細が必要となるため、無くさないように少なくとも2年間は保存しておきましょう。

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