ユニットエコノミクスとは?SaaS事業に欠かせない重要指標KPIを解説

2022/8/31 2022/08/31

SaaS

人型とドル・ユニットエコノミクスのイメージ

SaaS事業の重要なKPIとして知られているユニットエコノミクス。ユニットエコノミクスは、ビジネスの経済性を判断するのに欠かせない重要な数値です。本記事では、そんなユニットエコノミクスについて、意味をはじめ、計算式や維持に必要な施策まで詳しく解説していきます。

ユニットエコノミクスとは?

SaaS事業の重要なKPIであるユニットエコノミクスとは何でしょうか。ユニットエコノミクスの意味や限界利益との違いなどを確認していきましょう。

ユニットエコノミクスの意味

ユニットエコノミクスは、事業の経済性を測定する指標の1つで、単位(ユニット)あたりの収益性(エコノミクス)のことです。詳細は後述しますが、ユニットエコノミクスは次の式で求めます。

  • ユニットエコノミクス=LTV(顧客生涯価値)/CAC(顧客獲得コスト)

つまり、ユニットエコノミクスは、1ユーザーあたりの収益性を見る指標です。これによりユーザー数の多少にかかわらず、収益性の判断ができます。

もしユニットエコノミクスが1を下回っている場合は、ユーザーから得る価値よりユーザー獲得コストが大きいことを示しますので、1未満は問題のある水準です。

ユニットエコノミクスと限界利益の違い

ユニットエコノミクスと比較される指標に限界利益というものがあります。限界利益とは、売上高から変動費を差し引いたものです。

つまり、限界利益がプラスなら固定費をまかなえている状態、限界利益がマイナスなら売れば売るほど損失が出る状態となります。また、限界利益が大きいほど利益獲得力が高いことを示します。

ユニットエコノミクスは1ユーザー獲得するごとに得られる利益を示すのに対し、限界利益はプロダクトを売るごとに得る利益を示します。いずれも、事業の収益性を測る指標であるという点では同じです。

ユニットエコノミクスがSaaSにおいて重要な理由

SaaS事業に多いサブスクリプションモデルにおいては、ユニットエコノミクスが重要視されています。

その理由は、サブスクリプションが従来のような売ったら終わりのビジネスではなく、ユーザーが解約せずに継続利用することで初めて投下コストを回収できるビジネスモデルであるためです。

仮に顧客獲得コスト(CAC)がかさんでいても、解約率が低い場合はユニットエコノミクスは高い数値となります。一方、一般的な損益計算だと顧客獲得コスト(CAC)が高いために、単なる赤字事業として認識されてしまうのです。

SaaS事業は単期ではなくより長期的に評価することが重要です。長期的な収益力を見るためには、顧客生涯価値(LTV)やチャーンレート(解約率)も考慮したユニットエコノミクスのほうが適しています。

ユニットエコノミクスの計算式

ユニットエコノミクスの計算式は冒頭で紹介しましたが、ここではLTV(顧客生涯価値)やCAC(顧客獲得コスト)がどのようなものかも含め、計算式を解説します。

ユニットエコノミクスがどのように算出されているのかを知り、理解を深めていきましょう。

ユニットエコノミクスの計算式

ユニットエコノミクスの計算式は次のとおりです。顧客獲得コストあたりの顧客生涯価値がユニットエコノミクスとなります。

  • ユニットエコノミクス=LTV(顧客生涯価値)/CAC(顧客獲得コスト)

LTVの計算式

LTV(Life Time Value)は顧客生涯価値のことで、計算式は次のとおりです。

  • LTV=顧客平均単価/チャーンレート(解約率)

つまり、顧客平均単価が高くて解約率が低いほど、顧客生涯価値は高くなります。一方、顧客平均単価が高くても解約率が高ければ顧客生涯価値は高くなりません。

このように、LTVは利用開始から解約までにどれほどユーザーに価値を与えたか(ユーザーから利益を得たか)を示す指標です。

CACの計算式

CAC(Customer Acquisition Cost)は顧客獲得コストのことで、計算式は次のとおりです。

  • CAC=顧客獲得コスト総額/新規顧客獲得数

つまり1ユーザー獲得するためにいくらのコストを要したかを指します。なお顧客獲得コストには広告宣伝費などが含まれます。

ユニットエコノミクスの理想値と回収期間の目安

ユニットエコノミクスの算出方法が理解できたところで、その数値はどのように判断すればよいのでしょうか。ここでは、ユニットエコノミクスの理想的な水準と回収期間の目安を紹介します。

ユニットエコノミクスの理想値

一般的に、ユニットエコノミクスの理想値は3以上だといわれています。つまり顧客獲得コストより顧客生涯価値のほうが3倍以上高い状態です。

ただし3という水準はあくまでも理想的な水準であり、順調なSaaS事業でも3倍未満である場合もあります。また、高すぎても適切であるとは限りません。

例えば、顧客獲得コストを抑えすぎているために、売り上げを拡大できる余地を失っている場合もあるでしょう。この場合、分母たる顧客獲得コストが低いので、ユニットエコノミクスは高く算出されます。

CACの回収期間の目安

CAC(顧客獲得コスト)は、将来の収益獲得のために投下した先行投資です。この先行投資(CAC)の回収期間(Payback Period)は、12カ月以内が理想とされています。

なお、CACの回収期間(Payback Period)は次の式で求めることが可能です。投下コストは月間利益の何カ月分かを算出します。

  • 回収期間(Payback Period)=CAC/MRR(月次経常収益)

ユニットエコノミクスの維持や向上に必要な施策

ユニットエコノミクスの維持や向上に必要な施策を挙げると次のとおりです。

  • チャーンレートを改善する
  • アップセル・クロスセルを促進させる
  • NPS®を活用する
  • マーケティングコストを削減する

チャーンレートを改善する

チャーンレート(解約率)を改善することで、ユニットエコノミクスを改善できます。チャーンレートとは解約率のことで、ユーザーの継続利用こそが収益源となるSaaSにおいてとても重要な指標です。

チャーンレート(解約率)が高い場合は、なぜユーザー離れが進んでいるのか原因を明確にしましょう。例えば、ソフトウェアサービスが使いにくいことが理由かもしれません。あるいは、カスタマーサポートなどユーザーの疑問を解決するためのアプローチに問題があった可能性も考えられます。

ソフトウェアサービスが使いにくいのであれば、機能改善はもちろん、わかりやすいチュートリアルを準備するなどオンボーディングを促進する必要があります。

アップセル・クロスセルを促進させる

顧客単価の向上(アップセル)や関連商品への誘導(クロスセル)を促進しましょう。一般に、新規顧客を獲得するより既存顧客へのアップセルやクロスセルのほうが容易といわれています。

アップセルやクロスセルができると顧客生涯価値(LTV)が向上し、ユニットエコノミクスが向上します。

NPS®を活用する

NPS®(ネットプロモータースコア)を指標として活用し、顧客ロイヤルティを向上させましょう。

NPS®はユーザーが企業やブランドに対して有している愛着や信頼を測る指標で、具体的には「あなたはこの商品を友人にどのくらい勧めたいと思いますか」などの質問でスコアを収集し、推奨者や批判者の割合から求めます。

顧客ロイヤルティを可視化することによって、より適切なマーケティング戦略を推進できるでしょう。

マーケティングコストを削減する

ユニットエコノミクスは分母がCAC(顧客獲得コスト)ですから、マーケティングコストを下げることで向上できます。マーケティングコストを削減する具体的な方法は次のとおりです。

  • 有料広告を抑えオーガニック流入(自然流入)を増やすコンテンツ施策を推進する
  • 業務をデジタル化して販管費を抑える
  • 既存データを分析してより効果的なアプローチに絞る
  • ノンコア業務をアウトソーシングしてコア業務にリソースを集中する

従来のマーケティング施策の実効性を点検し、より効率的なマーケティング活動を行いましょう。

ユニットエコノミクスを投資判断に活用するメリット

ユニットエコノミクスは経営指標の1つですが、事業における投資判断においても有用な指標です。ここでは、ユニットエコノミクスを投資判断に活用するメリットを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

参入障壁を構築できる

ユーザーがSaaSを導入するためには、現状利用しているソフトウェアからのスイッチングコストが発生します。スイッチングコストは利用サービスの解約金だけでなく、導入時の費用やデータの蓄積などもスイッチングコストとして機能します。

そのため、SaaS事業はできる限り早めに投資・参入することで、先発優位を得ることが可能です。

LTVが向上する可能性がある

ユニットエコノミクスの構成要素であるLTVは、顧客生涯価値を示す指標です。SaaS事業に早めに投資することで、今後解約しにくいユーザーを早期に獲得することができます。

早期にユーザーを獲得することで、顧客生涯価値(LTV)は高くなります。もっとも、無理して早期に投資をしても、すぐに解約してしまうユーザーばかり獲得してしまう可能性もあるので注意が必要です。

そうならないためにも、早期からマーケティングデータを収集しながら解約率を抑えるアプローチを取ることが必要です。

顧客獲得コストの回収がしやすい

SaaSビジネスは、ソフトウェアサービスの認知を得てユーザーを獲得するまでのコストがかかります。とはいえ、ユーザーに安定して継続利用してもらえるのであれば、その投下コストは十分に回収できるはずです。

継続利用をしてもらうためには、カスタマーサクセス(顧客の成功)を意識しながら、サービスを設計する必要があります。顧客の成功こそSaaS事業の収益源となることを理解し、有効な投資を行いましょう。

ユニットエコノミクスはSaaSにおいて欠かせないKPI

ユニットエコノミクスは、ユーザーがサービスの利用を継続することこそ収益源となるSaaS事業において欠かせない指標(KPI)です。ユニットエコノミクスは3以上が理想だといわれていますが、それ以上に適切な値を維持できるように、改善に取り組んでいきましょう。

この記事では、チャーンレートの改善やアップセル・クロスセルの促進などユニットエコノミクスを向上する施策を説明しました。ぜひ参考にしながら、ユニットエコノミクスへの理解を深めてください。

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