テレワークの歴史とは?始まりはいつから?日本やアメリカのこれまで

記事更新日:2022/10/12

テレワーク

テレワークをする男女のイラスト

場所や時間を気にせず働けるテレワーク。近年の感染症拡大の影響により、導入する企業が増加しました。ここ最近特に注目を集めているテレワークは、いつ頃から存在するのでしょうか。本記事では、テレワークの歴史について、始まりから日本やアメリカの現状を紹介します。

テレワークについて

テレワークは、自宅やコワーキングスペースなど、オフィス以外の場所を利用した勤務形態です。そのため、テレワークと呼ばれるのは、自宅での勤務だけではありません。

時間や場所にとらわれない働き方である「テレワーク」について、種類やメリットなどを詳しくみていきましょう。

3種類のテレワーク

テレワークは、「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」の3つに分類されます。

1.在宅勤務

在宅勤務は、従業員がそれぞれの自宅で働く形態で、3種類のテレワークの中では最も馴染みがあるタイプかもしれません。

在宅勤務は、パソコンとインターネット環境さえあれば業務を遂行できます。そのため、通勤にかかる時間やストレスが軽減され、ワークライフバランスの実現にも近づきます。

2.モバイルワーク

モバイルワークは、自宅とオフィス以外の場所で働く形態で、移動中・顧客先・出張先・カフェなどでの業務が挙げられます。

外出の多い営業担当者などによく活用されている働き方です。モバイルワークはスキマ時間でも業務を進められることから、時間の有効活用に役立つでしょう。

3.サテライトオフィス勤務

サテライトオフィス勤務は、本社から離れた場所に、会社がワークスペースとして用意したオフィスで働く形態です。サテライトオフィスの例としては、従業員のみが利用できる専用オフィスやレンタルオフィス、コワーキングスペースなどが挙げられます。

本社よりサテライトオフィスのほうが通勤しやすい従業員が利用したり、在宅勤務の気分転換のために活用されたりします。

テレワークで得られる効果

テレワークを導入することで得られる効果を4つ紹介します。

  • 生産性が上がる
  • 離職率を下げる
  • コストを減らす
  • コロナや災害の対策になる

生産性が上がる

テレワークでは時間や場所にしばられず、自由度の高い働き方ができることから従業員のモチベーション維持につながります。また、通勤時間が長いことや満員電車に乗ることをストレスに感じる人も少なくありません。

そうした人は、出勤時に疲労や倦怠感を覚えてうまく業務に打ち込めない可能性があります。一方でテレワークを活用すれば通勤時のストレスや疲労が軽減されるので、より仕事に集中できるようになるでしょう。

こうしたモチベーション維持や集中力のアップによって、結果として生産性の向上が期待できるのです。

離職率を下げる

オフィスへの出社を前提とした勤務形態では、出産・育児や介護などと両立が難しく、ライフイベントによって離職せざるを得なくなる人も出てくるでしょう。

テレワークを導入することで柔軟な働き方が可能になれば、出産・育児・介護などの理由で離職する人も減らせます。結果的に、多様な人材の採用や定着につながり、従業員のワークライフバランス向上にも寄与するでしょう。

コストを減らす

テレワークでは、通勤の必要がないため交通費がかかりません。また、オフィスが不要になったり縮小したりすることで賃料を安く抑えたり、設備・光熱費などのさまざまなオフィスコストを削減できます。

削減したコストは企画・開発費に充てたり、テレワーク手当(在宅勤務手当)などに活用することで従業員満足度の向上を図ることもできるでしょう。

コロナや災害の対策になる

新型コロナウイルスの感染防止対策として、企業にはテレワークの導入が求められています。

「テレワーク」とは、インターネットなどのICTを活用し自宅などで仕事をする、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点からも、有効な働き方です。

[引用:厚生労働省「テレワークを有効に活用しましょう」より]

テレワークで人と接触する機会が減少すれば、感染防止につながります。また、予期せぬ災害で出勤ができなくなった際、テレワークの体制を整えておけば、大きな遅れもなく事業を継続できるようになります。

このように、テレワークはBCP(事業継続計画)対策としても有効であり、感染症の流行や災害への大きな備えにもなり得ます。

テレワークはいつから始まったのか

テレワークはここ数年で急速に普及した、といったイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、国内におけるテレワークの歴史は1980年代ごろまで遡れ、テレワークの発祥地であるアメリカでは1970年代に始まったといわれています。

テレワークの歴史を解説

ここでは、「日本」と「アメリカ」におけるテレワークの歴史をそれぞれ詳しくみていきましょう。

日本におけるテレワークの歴史

まずは、日本におけるテレワークの歴史について、順を追って解説していきます。

サテライトオフィスの設置が始まり

日本におけるテレワークの始まりは、1984年の日本電気株式会社(NEC)によるサテライトオフィスの設置といわれています。同社では結婚や出産・育児などを理由に離職する女性が多かったため、離職防止を目的としてテレワークが導入されました。

そして、同社のテレワーク導入をきっかけに、三菱マテリアル株式会社や日本電信電話株式会社(NTT)などでも、サテライトオフィスを設置するようになったのです。この背景には、都心の地価も関係しています。

当時、バブル経済の真っただ中で都心の地価が高騰し、都心にオフィスを設置するには莫大なコストを要しました。また、従業員も郊外に住んでいることが多く、通勤に2時間以上かかる人もいるなど、通勤の負担が無視できないものとなっていました。

そこで、各企業は従業員の通勤のしやすさを考慮し、都心より地価の安い郊外にサテライトオフィスを設置し始めました。

またバブル期には、多くの企業が優秀な人材を積極的に確保しようとする動きもみられました。そうした動きの中で、働きやすさをアピールする要素のひとつとして、テレワークを導入する傾向がありました。

バブル崩壊に合わせて改革される

しかし、1991年前後のバブル崩壊とともにテレワークを導入する企業は減少していき、設置されていたサテライトオフィスを閉鎖する企業も少なくありませんでした。これには、地価の高騰が収まったという背景があります。

ただ、「違う形でテレワークを活用できないか」という模索は続いていたようです。例えば、「地方での雇用創出」や「身体障がい者の雇用」などを目的として、サテライトオフィスの活用方法が検討されていました。

テレワークの取り組みが増える

そして、1990年代後半より、仕事や生活においてインターネットが普及し始めたことから、再びテレワークの取り組みが増えてきました。その背景は、企業が従業員のよりよい働き方を模索したことが挙げられます。

2010年代後半には働き方改革によって、テレワークをはじめとした柔軟な働き方が推進されました。また2020年以降のコロナ禍によって、感染症の拡大防止の観点からテレワークの普及が一層進んだとされています。

アメリカにおけるテレワークの歴史

次に、アメリカにおけるテレワークの歴史について、時系列にそって解説していきます。

大気汚染の対策として導入された

テレワークの発祥はアメリカといわれており、始まりは1970年代です。

1970年代のアメリカでは、自動車の交通量が増加したことから、大気汚染が問題視されていました。また、1973年と1979年に石油危機が起こったことから、エネルギー不足が危惧されるようになりました。

そこで、これらの問題の対策として登場したのがテレワークです。テレワークを導入することで、自動車出勤を減らそうという取り組みでした。ただ、当時はインターネット環境が整っていなかったことから、本格的な普及や定着には至らなかったようです。

1980年代からパソコンの利用率とともに増加

1980年代に入ると、パソコンの利用率が増加したことで同時にテレワークも普及していきました。

特に、1989年の「サンフランシスコ地震」と1994年の「ノースリッジ地震」を経験したアメリカは、災害時でも事業を継続させるため、リスク分散の対策としてテレワークを導入する動きが出始めたのです。

また、2001年に「同時多発テロ」が起こった際、いち早く事業活動を再開させた企業がテレワークを導入していたことから、他の企業でもテレワークが次々と導入されていきます。

テレワークに関する法律が制定される

アメリカでは2010年に「テレワーク強化法」が制定されました。テレワーク強化法は、各省庁においてテレワークの導入を義務付けるものです。テレワーク強化法の制定により、テレワークをおこなう職員が増え、国を挙げてテレワークを推進するようになりました。

こうした動きから、民間企業でもコスト削減やワークライフバランスの実現を目的として、テレワークを導入・実施するようになったのです。

テレワークの現状について

では、日本とアメリカにおけるテレワークの現状はどうなっているのでしょうか。

日本におけるテレワークの現状

日本におけるテレワークの普及率は、新型コロナウイルス感染症をきっかけに大幅に増加しました。

新型コロナウイルス感染症の拡大により1回目の緊急事態宣言(2020年4月)が発令される以前の普及率は、17.6%でした。しかし、2022年(令和4年)の5月に発表された総務省の調査によると、2021年(令和3年)9月時点でテレワークを導入している企業は5割を超えています。

テレワークを導入した目的としては「新型コロナウイルス感染症への対応(感染防止や事業継続)のため」が90.5%と最も多い結果となりました。

新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きを見せ始めるとともに、テレワークの普及率が低下しつつありますが、働き方改革や多様な働き方が求められている現代では、欠かせない取り組みといえます。

[出典:総務省「令和3年版 情報通信白書|テレワークの実施状況」]
[出典:総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」]
[出典:東京都「テレワーク実施率調査結果をお知らせします!6月の調査結果」]

アメリカにおけるテレワークの現状

2018年の調査によると、アメリカにおけるテレワークの普及率は85%にものぼるといいます。

調査時の他国の普及率はイギリスが38.2%、ドイツが21.9%となっており、欧米諸国の中でもアメリカの数字は際立って高いことがわかります。

[出典:厚生労働省「テレワーク総合ポータルサイト 海外のテレワークの導入状況」]

テレワークの大きな課題

普及が加速しているテレワークですが、よい面ばかりではありません。テレワークが抱える課題を5つの視点からみていきましょう。

コミュニケーションに関する課題

テレワークでは出社する必要がないため、人と会う機会が少なく、チーム内でコミュニケーションが取りにくいという課題があります。

出社していれば、近くの上司や同僚にちょっとした相談がすぐにできるでしょう。しかし、テレワークではオフィス以外の場所で一人黙々と作業をするため、スムーズなコミュニケーションがとれません。

また、社内でのコミュニケーションが難しいことから、情報共有がうまくいかないケースも考えられます。円滑に情報を共有できないと、社内で情報格差が生まれたり、業務効率が低下するなどのリスクが考えられます。

こうした課題を解決するためには、コミュニケーションツールの活用を検討するなど対策が必要です。

業務に関する課題

テレワークはあらゆる業種・職種に適用できるわけではありません。中には、テレワークに不向きな業務もあります。対面での接客や医療・介護、現地での作業が必要な業務など、仕事内容の特性上、テレワークに移行できないものもあるのが実情です。

また、テレワークの導入によって、業務効率が低下するリスクもあります。コミュニケーションに関する課題でも挙げた情報共有の難しさから、分からないことを相談できずそのままにしておくことも考えられます。

適切な方法を知らないと、業務を進められなかったり、誤った方法で実行してしまい、ミスの発生や顧客対応の不備につながる可能性があります。こうしたケースでは、テレワークよりも出社したほうがよいと感じる従業員も少なくありません。不満を抱く従業員が増えると、モチベーション低下や生産性低下といった懸念も生まれるでしょう。

ただし、テレワークを導入する業務を限定するなど、解決策を見出すこともできるはずです。特定の業務にだけテレワークを導入するという方法でも効果が期待できるので、在宅やサテライトオフィスなどでも行える業務がないか、精査してみるのも効果的です。

コストに関する課題

テレワークを導入するには、IT機器やシステムの導入コストや就業環境を整えるためのコストがかかります。前述したような、テレワークの導入によって期待できるコスト削減効果がある反面、導入そのものにもコストがかかる点には留意が必要です。

ただし、長期的な視点で考えると、導入コストより削減できるコストのほうが大きいケースが多いでしょう。まずは費用対効果を計算し、効果が見込めそうだと判断したら導入コストをかけてでもテレワークを実施したほうがよいといえます。

管理に関する課題

テレワークでは、従業員の働く姿が見えないことから、勤怠管理や人事評価が難しいという課題があります。テレワークでは仕事に集中しにくい傾向があり、労働時間だけでなく生産性についても正確に把握することが重要になってきます。

そのため、ITツールを導入するなどして、テレワーク下でも正確に勤怠管理や成果物の管理ができるように工夫しましょう。同時に、適切な人事評価ができるような社内制度の再整備を行うことも大切です。

セキュリティに関する課題

テレワークでは、セキュリティ上のリスクが高まるともいわれています。従業員がオフィス以外の場所で業務を遂行するため、パソコンや記憶媒体などの盗難による機密情報の漏洩・流出リスクなどが考えられるでしょう。

また、カフェなどで提供されている無料Wi-Fiに接続したことで、不正アクセスが起こり、情報漏洩につながることもあります。

したがって、セキュリティリスクに対する意識を高めるためにも、セキュリティ研修を実施したり、セキュリティ性の高い通信環境を従業員に提供するなどの対策が必要です。

テレワークは意外と古くから存在する働き方

テレワークは、コロナ禍の影響で普及が加速したことから、新しい働き方と捉えている方も少なくありません。しかし、実際には国内では1980年代頃から始まった取り組みであり、時代によって普及率が変動しながらも、徐々に定着率が向上しつつあります。

働き方改革が進む現代においては、今後もさらに普及率が高まっていくことが予測されます。それに応じて、企業はITツールの導入などを通して、正確な勤怠管理や人事評価、生産性を向上させる就業環境の整備などを実施することが求められています。

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