マーケティングオートメーション(MA)発展の歴史とは?今後のトレンドも解説
マーケティングオートメーション(MA)は、どのように誕生・発展してきたのかご存じでしょうか。本記事では、MAの歴史をご紹介するとともに、現在の各企業がMAツールを導入した目的や日本における市場規模・今後のトレンドについて解説しますので、ぜひチェックしてください。
目次
マーケティングオートメーション(MA)とは?
マーケティングオートメーション(MA)とは、利益の向上を目的にマーケティング活動を自動化・効率化することです。こうしたマーケティングオートメーションを実現するために必要なのが、現在企業規模を問わず多くの企業に導入されているMAツールになります。
昨今、顧客のニーズや行動はインターネットの普及によって複雑化しており、ビジネスの成功には顧客のデータを活用したマーケティングや営業活動が必須となりました。
かつての大量生産・大量消費というマスマーケティング中心の時代が過ぎ去り、消費者一人ひとりのニーズに合わせたOne to Oneマーケティングへと移り変わっていったのです。
時代のニーズに合わせてさまざまな技術や考え方が開発される中、顧客の動きを管理し分析するMAという考え方が生み出されました。
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マーケティングオートメーション(MA)の誕生と発展の歴史
MAツールは、日本ではまだ市場規模が拡大途上ですがその歴史は意外と古く、大量生産・大量消費というマスマーケティング中心から、Webマーケティングの時代に変遷していく中で生み出されました。
MAツールを正しく理解してうまく活用するために、発展してきた歴史について理解しておくことも大切です。ここからは、MAツールが誕生した背景と普及・発展してきた経緯について解説します。
(1)1992年|アメリカでMAが誕生
MAツールは、1992年、マーケティングの先進国であるアメリカにて産声をあげました。アメリカに拠点を置くUnica社が、MAツールの原型となる製品を開発し、世界に向けて提供したのです。Unica社は現在、IBM社の傘下に入っています。
しかし、当時はまだインターネットの普及率が低く、アメリカ国内でUnica社の製品が利用されることはほとんどありませんでした。MAツールが広まっていくのは、これより少し後の時代のことです。
(2)1999年|マーケティングに必要な機能をパッケージ化し、市場拡大
MAツールが本格的に普及し始めたのは、1999年のことです。カナダのEloqua社がマーケティングに必要な機能をパッケージ化して販売すると、市場が徐々に拡大し始めます。これにより、他の会社も続々と市場へ参入し始めました。
MAツールが普及した背景には、1990年代にSFA(営業支援システム)が誕生したことが発端だとされています。SFAによる営業管理の前段階をサポートするツールとしてMAツールが注目されるようになり、広く普及したのです。
MAツールが生み出される前、一般的にマーケティング業務はそれぞれ独立したシステムで管理が行われていました。独立した業務を一つのパッケージにまとめたMAツールは、画期的かつ効率的なツールとして世界的に広く使われるようになったのです。
(3)2004年~|クラウド普及により多くのツールが登場
2004年以降、以前よりも早くアクセスできる高速インターネットが普及していきます。1990年代後半までは、電話回線を使ったダイアルアップ接続を使い、通信がなされていました。
当時、画期的な技術だったダイアルアップ通信ですが、電話と通信が同時にできず、限定的な使い方しかできませんでした。また、通信速度も現在に比べてはるかに遅かったのです。
そんな中、ワールドワイドウェブが普及し、それまでのパソコン通信は衰退していきます。その後、デジタル通信のISDNが普及し、2000年代に入るとさらに早いADSLが拡大。2003年代には光回線が一般家庭でも利用されるようになり、高速インターネットが当然のものとなっていきました。
このような高速インターネットの普及に伴い、ネットワークを利用したクラウド型サービスが広く利用されるようになったのです。クラウドの普及により、様々なかたちのMAツールが生み出され、市場はより活発化していきました。
(4)2015年|国内マーケティングオートメーション元年
アメリカでは1990年代に開発され市場に出回っていたMAツールですが、日本に登場するのは2013年~2014年と比較的遅い時期でした。アメリカにはMAツールが普及しやすい条件が整っていましたが、日本は普及しにくい環境が続いていたからです。
そこには、日本では、生産と販売が売上拡大に繋がる時代が長く続き、アメリカに比べてマーケティングが重要視されていなかったという背景がありました。
そのため、市場の立ち上がりが遅く、市場への投資も少ない傾向にありました。日本におけるMAツール市場は世界的に見ても発展途上であり、まだまだ拡大の余地を秘めていました。
しかし、2015年以降は認知度の向上もあり、市場は急成長を迎えます。外資系のMAツールが本格的に日本の市場へ進出し、国内でも開発が行われるようになりました。2015年は日本のMA元年といわれてます。
日本では当初、外資系企業や先進的な企業が中心となり、MAツールを導入していました。その後、業界を問わずBtoB領域の企業において営業強化が課題となり、MAツールが注目を浴びるようになったのです。
従来の営業スタイルの中心は「待ち」の営業でしたが、時代の流れとともにより積極的にアクションを起こす「攻め」の営業姿勢が求められるようになりました。MAツールは、攻めの営業に有効的なツールとして活用されるようになったのです。
Webの普及・技術の発展が顧客の可視化を可能にした
マスマーケティングの時代は、大量生産と大量消費が基本で、大量の顧客を獲得することが企業活動の最も重要な目的でした。
しかし、マスマーケティングの場合、商品やサービスを提供する側からの一方的なアクションしか繰り出せず、顧客が何を求めているのか、何に対して興味があるのかわからないという重大な欠点があったのです。
こうした問題を抱える中、Webが普及していきます。その結果、企業は顧客の動きをより具体的に把握できるようになりました。顧客が何を求めているのか、何に対して興味があるのかについて、サイトへのアクセス解析や行動データの蓄積によって、Web上での顧客の動きの可視化が可能となったのです。
Webの登場と普及により、マーケティングは顧客個人に着目した施策中心へと変化していきました。技術の発展は、マーケティングの対象を不特定多数から個人へと大きく変化させたのです。そして、Webマーケティングの時代においてMAツールは不可欠なものとなり、世界中に普及していきます。
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MAツールを導入した目的やSFAとの関係
1990年代にSFAが誕生し、営業管理の前段階を補助する形でMAツールが活用されるようになりました。MAツールが誕生する以前は、顧客の管理データや分析データなどは独立したシステムで行われていました。これらを一つにまとめてパッケージ化したものが、MAツールです。
MAツールの導入により効率的かつ効果的なマーケティング・営業活動が可能となるため、各企業が続々とMAツールの導入を開始するに至りました。
法人営業においてSFAも同時に重要視されてきた
従来は、営業担当者がマーケティング部門を兼務したり、広報が担当していたマーケティングから連携して法人営業を行ったりしていました。
しかし、リーマンショック以降はマーケティング部門を新しく設立する企業が増加していきました。このような変化に伴い、各企業で専用のマーケティングに必要なツールの導入が増加しているのです。
MAツールの活用により、サイトへアクセス数やページの閲覧回数などを把握し、優先度の高いリード(見込み顧客)を選別できます。MAツールは営業活動において効率的かつ有効的なツールですが、SFA、いわゆる営業支援システムを導入せずに手作業で管理している場合、正確なフィードバックはできません。
SFAとMAを連携させることではじめて、効果的・効率的な営業活動が可能となるのです。このように、法人営業においてはSFAも同時に重要視されてきたという背景があります。
SFAの前段階をサポートしてくれるMAツールは、本来SFAと同時に活用することで最大限の効果が発揮できるということを認識する必要があります。
MAツールとSFAの連携を使いこなすことが大切
ただし、便利な機能があるからといって漫然と導入するだけでなく、その後いかに活用するかということが重要です。MAツールとSFAを連携させ、うまく活用してはじめて売上アップに繋がるのです。
SFA機能とMA機能を合わせたツールを導入する企業も見られるようになってきましたが、この2つをうまく連携させて活用するのは知見のない企業にとっては難易度が高いことです。機能の理解が難しく、設定や操作が困難で、自社内では対応できる人材がいないケースも少なくありません。
外部のコンサルタントに依頼する方法もありますが、外部依頼を行うには高額な費用が必要となるでしょう。
そのため、MAツール・SFAを導入する前に必要な機能や特徴を正確に把握し、自社内で使いこなせるかどうかチェックし、必要な知見のある人材やリソースの確保することが導入・運用を成功させるために非常に大切です。
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MAツールの市場規模
MAツールの市場規模は、2020年時点で447億円と推測されています。世界と比べ、日本はマーケティングオートメーションの普及が遅いのが現状です。しかし、リーマンショック以降はMAツールの必要性が注目され、市場は拡大し続けています。
2025年には737億円に達するという予想が出ており、市場は今後も成長を続けていくでしょう。MAツールの市場が拡大している理由としては、以下の2点が考えられます。
- バイヤーズジャーニーの変化
- 個人に合わせたかたちへ情報提供が変化
バイヤーズジャーニーとは、製品やサービスを認知した後、検討し購入に至るまでのプロセスのことです。インターネットが広く普及した現代において、顧客は簡単にWeb上で情報を収集できるようになりました。
こうした情報収集プロセスの変化が、MAツールの市場拡大に繋がっているのです。Web上での顧客の動きを正確にキャッチして、より効果的な営業に繋げていくために、MAツールが必要不可欠だからです。
また、Webの普及に伴い、近年は個人に対する情報提供が重視される時代に変化してきています。個人に向けたタイムリーな情報提供のためには、顧客の行動データや属性の情報を収集・管理しなければなりません。これを効率的に行ってくれるのがMAツールだというわけです。
MAツールの今後のトレンド
日本においては、MAツール導入が始まってから数年ほどしか経過していないため前例が少なく、市場規模も成長途上です。しかし、MAツールをうまく活用することで、より効果的な営業活動が可能となり、結果的に売上アップも期待できることは明確です。
現在は大企業を中心に広まっていますが、今後は中小企業にも導入しやすいMAツールが普及していくと予測されています。
MAツールを導入・利用している前例はまだまだ少ないため、成功例や体験談も余り蓄積されておらず、MAについて正しく理解できていない企業も少なくありません。このこともあり、日本におけるMA市場の成長は緩やかなのです。
ただし、これまでは様子を見ながらの緩やかな市場拡大でしたが、MAツールの認知度と必要性の認識は日本国内で高まっており、トレンドワードに上がることも増えてきました。
より効果的・効率的な営業活動を行うため、MAツールを導入する企業は増えていく一方ですので、今後はますます市場も活発化し、拡大していくでしょう。
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アメリカで誕生したMAの歴史は長いですが、日本国内ではまだまだ普及が進みきってはいない状態です。大量生産・大量消費というマスマーケティングの時代から、個人に合わせた営業スタイルへと変化してきた現代において、MAツールの導入は有効的かつ効率的な営業を行うために欠かせません。
MAツールの導入が広まりつつある現在、さまざまな製品が販売されるようになりました。初めて導入する企業向けの商品も数多く存在するので、MAツール導入のハードルは徐々に低くなってきています。今後は中小企業にも導入が広がり、MAツールを使用する企業は増えていくでしょう。
MAツール導入・活用を実現するためにも、MAツールの歴史を知り正しく理解した上でこれからのマーケティングのトレンドを敏感に察知するアンテナを持っておくことが非常に大切です。
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