適正人員とは?算出方法の種類や参考にすべき考え方を解説

2023/11/10 2023/11/10

組織・マネジメント

適正人員とは

業務の目標を達成するためには、実行する人員が必要です。ただし、人員が多い場合や少ない場合は、業務効率や利益の低下を招きます。業務に適した人員はどのように算出すればよいのでしょうか。本記事では、適正人員とは何か、算出方法の種類や参考にすべき考え方を解説します。

適正人員とは何か?

適正人員とは、特定の職務やプロジェクトを遂行するうえで、役割に見合う知識・スキルを備えている人材の数を指します。適正人員が不足していれば、組織は事業を効率的・効果的に運営できず、業績にも影響します。

また、採用や育成に多くのコストや時間がかかり、組織の成長や変化に対応できなくなる可能性もあるでしょう。適正人員を確保することは、企業の持続的な成長に不可欠といえます。

適正人員の算出方法の種類

適正人員の算出方法には、大きく分けて2種類の考え方があります。具体的には業務量などの部門・部署のデータを主軸にするボトムアップ型と、計画や予算などの経営データを主軸にするトップダウン型です。

それぞれの算出方法として、ボトムアップ型は「業務分析方式」や「ベンチマーク方式」、トップダウン型は「損益分析方式」が挙げられます。また、どちらの要素も取り入れた「組み合わせ方式」という算出方法もあります。

どの算出方法も一長一短であるため、自社の状況に応じて必要なものを選び取ることが大切です。ここでは、それぞれの算出方式の特徴を見ていきましょう。

業務分析方式

業務分析方式とは、業務量から必要な工数を割り出し、そこから適正人員の数を導き出す方法です。業務に必要な知識やスキルを詳細に分析すれば、必要な人材構成を計算することも可能ですが、より時間や手間がかかります。

そのため、業務分析方式は特定業務における適正人員の過不足を求めたい場合に有効であるといえるでしょう。

ベンチマーク方式

ベンチマーク方式とは、自社あるいは他社の類似事例をベースに適正人員を算出する方法です。成功体験を取り入れるという性質から、他の方式と比べて実行の難易度が低いとされています。

一方で、ベンチマークとなるデータの信頼性や適切性には注意しなければなりません。また、他社事例の入手が難しいため、自社に前例がない場合は事例の確保に労力がかかります。

捐益分析方式

捐益分析方式とは、人員の増減によって発生する収益と費用の変化を分析し、損益分岐点から適正人員を求める方法です。

比較的簡単に行える方法ではあるものの、利益を出すために行われるものであり、人材の特性については考慮されません。この方法で算出を行った場合、人手不足に陥る可能性もあります。

組み合わせ方式

組み合わせ方式とは、業務分析方式と損益分析方式を組み合わせて、ギャップを解消するための方法です。業務分析方式は現場、損益分析方式は経営の視点から分析を行うため、どうしても業務面・財務面の情報量に差が生まれてしまいます。

この情報量の差を埋め、組織の成果と人員の業務適正をバランスよく評価するための方法として、組み合わせ方式が採用されます。

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適正人員の配置を最適化する考え方

適正人員を最適に配置するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。人事部単独では解決できない領域も多いため、関係各所と適切に連携し、情報を正しく整理していくことが重要です。

事業計画の理解を深める

事業計画に示されたアクションプランやロードマップなどを調べることで、組織の目標や戦略を理解することが可能です。

それらの情報から組織の目指すべき姿がわかると、部門や業務に求められる要素が明らかになります。また、事業計画の内容によって適正人員の算出方法も変わるため、まずはじめに事業の方向性を理解することが求められます。

業務に必要な人員と技術を確認する

事業計画を通じて部門・業務に求められる要素を理解した後は、必要な人員と技術を定義していきます。これにより、適切な人員配置が行えるようになります。

ただし、従業員の情報を現場の監督者しか把握できていないために、人事部が適切な評価を行えないというケースもあるかもしれません。このような事態を避けるためにも、人事部で従業員の情報を管理し、分析できる環境を整えておくことが重要です。

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社員のニーズに適した人員を配置する

人員配置を検討する際、人事部や管理職だけで判断すると、現場にいる社員のニーズが適切に反映されません。社員のニーズに反した人員配置を行ってしまうと、社員のモチベーションが下がり、最悪の場合は退職のきっかけになるかもしれません。

だからこそ、社員アンケートや1on1ミーティングを通じて、業務の現状やキャリア形成に対する考え方などを理解することが大切です。

また、社内公募制度などで社員の要望を叶える仕組みがあると、よりスムーズな人員配置が行えるでしょう。

現場と経営側のニーズから人員を整理する

現場と経営側のニーズを考慮して適正人員を算出することも重要なポイントです。双方のニーズが把握できたら、損益分析方式と業務分析方式を利用して算出を行います。ただし、ほとんどの場合2つの方式で算出された人員数は一致しないと考えてよいでしょう。

この差を埋めるには、直間比率を見るようにしてください。直間比率とは、売り上げに直結する直接部門の人員と、直接的には売上がない間接部門の人員の比率を指します。

適正な比率は業界によっても異なりますが、直接部門が70%以上あることが望ましいとされています。また、売上高を人員数で割って算出される労働生産性についても確認しましょう。

人員配置に適したツールを活用する

人員配置を効率化するには、タレントマネジメントツールの活用が有効です。社員の職歴をはじめ、スキルや経験などを一元管理できるため、要員計画を合理的かつ迅速に行えます。

近年はAI分析を搭載したタレントマネジメントツールも登場し、人員配置がこれまで以上にスピード感をもって実行できるようになっています。人員配置に多くのリソースを割けない場合、タレントマネジメントツールの導入を検討してみましょう。

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人員の配置方法

人員の配置方法は、どのような課題を解決するのか、人員をどこから確保するかによって主に5種類に分けられます。ここでは、それぞれの配置方法について解説します。

昇進や降格

昇進や降格は、人員配置のひとつです。

昇進は社員が配置後の役割に適した知識・経験をもち、組織の目標やビジョンに貢献できる場合に行われます。

降格が行われるのは、社員が配置後の役割に適した知識・経験を持たない、あるいは組織の目標やビジョンに対する貢献度が低い場合です。現ポジションの期待と成果のギャップが大きい場合だけでなく、職種変更や部署異動を希望する社員の適正値が低い場合も降格対象となります。

昇進・降格は公平性や透明性が欠けていると、社員の不満を買うリスクがあるため、注意が必要です。また、昇進・降格後のフォローアップやサポートも忘れずに行いましょう。

人事異動

人事異動はスキルや経験を活かせる業務に配置することで、キャリアパスや成長機会を提供します。

昇進・降格は同じ業務や部門のなかで行われるのが一般的ですが、人事異動の場合は現在担当する業務と異なるポジションや、部門をまたいだ人員配置も対象となります。

人事異動は業務環境が大きく変化するケースが多いため、社員のメンタルヘルスに配慮することが重要です。異動の理由や目的を説明し、社員が納得できればモチベーションを高めることもできるでしょう。

雇用形態の変更

社員が担当する業務の物量や内容が変化した場合、あるいはライフスタイルやキャリアプランが変化した場合に雇用形態の変更が行われます。

  • 正社員
  • 契約社員
  • パートタイム
  • アルバイト

上記のような雇用形態のなかで、状況に応じて雇用形態を変更するのが一般的です。具体例としては、契約社員のパフォーマンスを評価して正社員に登用する、家庭との両立を目的に正社員からパートタイムに切り替えるなどが挙げられます。

雇用形態の変更は労働条件や福利厚生にも影響を与えるため、社員に対してしっかりと説明を行い、合意を得ることが大切です。

採用

新しい人材の採用を行う際にも人員配置を行います。採用には新卒採用と中途採用があり、どのような人員を求めるかによって具体的な採用方法が変わってくるでしょう。

ただ、採用には募集要項の決定や書類選考・面接対応に加え、入社後のオンボーディング(新人研修)が発生するため、一定の労力とコストがかかります。

そのため、他の配置方法と比べて長期化しやすく、計画性をもって進めることが重要です。

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リストラや契約解除

リストラや契約解除は、人員を配置するうえで最もネガティブな方法です。業績の悪化や事業の縮小・撤退にともない、雇用の維持が難しくなった場合の選択肢となります。

リストラや契約解除は、社員に対してネガティブな印象を与えることにもなるため、やむを得ない状況でない限り別の方法を模索したほうが良いでしょう。

リストラや契約解除に踏み切る際は、社員への説明責任を果たすだけでなく、再就職支援を行うなど、少しでも社員の理解・納得を得ることが大切です。

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適正人員とは事業目標の達成に適した人数のこと

事業計画を遂行するためには、適正人員を把握することが欠かせません。適正人員を確保できるかどうかで、組織のパフォーマンスは大きく変化するといえるでしょう。

適正人員を算出する際は、事業計画や現場・経営層のニーズを事前に調査しておくことが重要です。自社に最適な算出方法を利用して、業務の効率化や人件費の適正化を行いましょう。

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