マネジメントが可能な適正人数は何人?スパン・オブ・コントロールについて解説

最終更新日時:2023/07/24

組織・マネジメント

マネジメントの適正人数

1人の管理者が適切にマネジメントできる部下の人数を表す、「スパン・オブ・コントロール」。部下の能力を最大化するには、スパン・オブ・コントロールの実行が欠かせません。本記事では、マネジメントが可能な適正人数は何人なのか、人数が多い場合のリスクとあわせて解説します。

マネジメントの適正人数|スパン・オブ・コントロールとは?

スパン・オブ・コントロールとは、1人の管理職が同時にマネジメントできる適正人数を指します。

一般的に1人の管理職がマネジメントできる部下の人数は、5〜8人が目安で多くても10人までです。部下の人数が10人を超えると、評価や育成などの難易度が上がってしまうといわれています。部下の統率が取れないと、情報共有がうまくいかずトラブルが増えることもあるでしょう。

たとえば、仕事に行き詰まった部下を十分にフォローできず、モチベーションの低下につながることが考えられます。管理職がスパン・オブ・コントロールを学ぶメリットは、能力を発揮しやすい環境を整備できる点です。それぞれの部下に目が行き届き、手厚いサポートができます。

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マネジメントが可能な適正人数は何人なのか?

スパン・オブ・コントロールでは、マネジメントの適正人数は5〜8人を一つの目安としています。ただし、組織の形態やリーダーのタイプによって、マネジメントの適正人数は大きく変動します。ここでは、4つのリーダー・組織のタイプでマネジメントが可能な適正人数を考えてみましょう。

  • プレイヤー型リーダー
  • 司令塔型リーダー
  • 課題解決型組織
  • オペレーション型組織

4つのタイプで、適正なマネジメントの人数は異なります。たとえばプレイヤー型リーダーの所属するチームや課題解決型組織は、少人数チームの構成がおすすめです。一方で、司令塔型リーダーが所属するチームやオペレーション型組織は、大人数でのマネジメントに適しています。

プレイヤー型リーダー

プレイヤー型リーダーとは、現場で活躍するプレイヤーと管理職を兼任するタイプのリーダーです。業務遂行の能力が高いものの、協調性やマネジメント能力に乏しいケースが珍しくありません。

自身もプレイヤーとして現場で活動するため担当業務に割く時間も確保しなければならず、必然的にスパン・オブ・コントロールの範囲は限定されます。部下のマネジメントに割く時間も減り、業務のフォローやメンタルケアも不足する傾向にあります。

プレイヤー型リーダーが率いるチームは、3〜5人程度の少人数チームがおすすめです。チームメンバーには、実務経験を一定以上積んでいる優秀なプレイヤーを選出してください。

司令塔型リーダー

司令塔型リーダーはプレイヤーとして能力は高くないものの、コミュニケーション能力や調整能力に優れているタイプです。メンバー一人ひとりの作業負荷や進捗状況などに細かく気を配れるため、大人数のマネジメントに適しています。

業務を進めやすい環境を整備し、メンバーのスキルアップやモチベーションアップが望める点もプラスです。ただし、リーダーによってマネジメント可能な人数は変動します。過去の実績を見ながら、チームの人数を決めていきましょう。

課題解決型組織

課題解決型組織がマネジメントする場合の適正人数は4〜7人です。課題解決型組織は、業務内容やプロセス・期限を一から決めておくべき組織です。チームメンバーは案件内容に応じて臨機応変な対応を求められるケースが多く、メンバー同士の連携やコミュニケーションの質が重要になります。

メンバーが少ないほど情報共有がしやすいため、チームの構成人数は4〜7人が理想でしょう。チームの人数が8人以上になった場合は、メンバー全員と頻繁にコミュニケーションを取ることが難しくなります。結果としてメンバー間の相互理解が深まらず、作業の進捗状況も不透明になり生産性が低下する可能性があります。

オペレーション型組織

オペレーション型組織は、最大15人までマネジメントが可能です。ただし、15人をマネジメントする場合、管理職の他にリーダー役の設定が条件です。リーダーを置くことで、管理職の業務負担が軽減しマネジメントの質が向上します。

リーダー役の配置によって業務の指示系統が明確になり、伝達ミスによるトラブルが発生しにくい点もメリットです。またオペレーション型組織の場合、業務の流れや内容・遂行方法は、チーム内である程度確立されている状態です。

「進捗状況に遅れはないか」「緊急対応の業務は発生していないか」など、確認事項の内容も限定されます。課題解決型組織と比べコミュニケーションが少なくて済むため、比較的多くの人数をマネジメントできます。

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マネジメントの適正人数の決定要素

スパン・オブ・コントロールは、以下の要素によって変動します。

  • 部下の業務内容・レベル
  • 組織の状態
  • 権限委譲の進行度合い
  • 管理者の業務量

高度な専門知識やスキルを必要とする業務をメンバーそれぞれが担当する場合、スパン・オブ・コントロールの範囲は狭くなります。管理職は作業の進捗状況や作業負荷を細かく管理できるよう、少人数のチームを構成しましょう。

一方で業務の標準化が進み、それぞれの担当する業務内容が明確な場合は、スパン・オブ・コントロールの範囲は広くなります。確認事項や緊急対応の機会も減るため、大人数のマネジメントも対応可能です。

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マネジメントする人数が多い場合のリスク

スパン・オブ・コントロールの範囲を超えると、管理職はメンバーそれぞれをフォローする時間が十分確保できません。その結果、作業の進捗状況や課題などを正確に把握できず、トラブルを招く可能性が高まるでしょう。

特にプレイヤー型リーダーの場合は、顧客との商談や社内会議で不在の時間も多くなります。プレイヤーの活動時間が長くなると、メンバーが相談や報告をしづらくなるため注意が必要です。

また、マネジメントする人数が多い場合は、情報共有やビジョンの浸透も難しくなり、チームとしての結束力が低下します。結果として協調性が低下し、人間関係の希薄化や作業効率の低下につながります。

マネジメントする人数が多い場合の対策

ここまで、マネジメントの人数が多い場合に生じるリスクを紹介しました。しかし、管理職の不足によって、1人の管理職が多くのメンバーを見るべきケースもあるはずです。ここでは、マネジメントの人数が多い場合の対策を5つ紹介します。

  • 管理職を増やす・部下の人数を減らす
  • 1-3-9のチームを発足する
  • 部下に権限を委譲する
  • 組織のIT化を図る
  • 業務マニュアルを作成する

それぞれ詳しく説明します。

管理職を増やす・部下の人数を減らす

管理職の増員や部下の人数を減らして、管理職1人あたりの業務量を削減する方法です。管理職を増やす場合は、責任や指揮決定権の所在を明確にしておきましょう。曖昧な状態だと、トラブルが発生した際どの責任者に相談すべきか部下が判断に迷います。

意思決定に時間がかかると対応が後手に回り、被害状況や利益損失の額が大きくなる可能性があります。そのため、責任や指揮決定権は特定の管理者に集約しておきましょう。また、部下を減らす場合は、業務の割り当てを事前に決めておく必要があります。

後任が決まらないと担当者は業務の引き継ぎができず、全体の進捗にも影響を及ぼします。管理職が担当するのか、同じメンバーに割り当てるのかを事前に決めておきましょう。

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1-3-9のチームを発足する

1-3-9のチームとは、管理職1人の下に3人のリーダー役を置き、リーダーが9人のチームメンバーをコントロールする方法です。リーダー役は1人で3人のメンバーを担当し、管理職が3人のリーダー役をフォローすれば、合計で12人をマネジメントできます。

1-3-9のチームを発足する上で重要なのは、リーダー役に与える権限の範囲です。権限の範囲が狭すぎると、都度リーダー役から報告を受けなければならず負担が増大します。

一方で権限を与えすぎると、重要な内容もリーダーが勝手に判断する機会が増え、組織としての統制が取れなくなります。最初はリーダーの権限範囲を小さく設定し、状況を見ながら徐々に広げていくようにしましょう。

部下に権限を委譲する

管理職が持つ権限の一部を部下に委譲するのも一つの選択肢です。権限委譲によって個人の判断で業務を進められる範囲が広がり、スパン・オブ・コントロールも拡大できます。権限委譲では、委譲した人材の潜在能力の開花や人材育成も期待できます。

ただし、判断力に優れた人材が社内にいなければ権限委譲はできません。意思決定には、正確性とスピードが高いレベルで求められます。納期がひっ迫した際やトラブルが起きた場合など、素早い決断が求められるケースは多々発生します。安心して業務を任せるためにも、判断力に優れた人材がいた場合のみ権限を委譲するようにしましょう。

組織のIT化を図る

組織のIT化とは、自社の業務プロセスにデジタル技術(DX)を取り入れることです。IT化によって、業務効率改善やペーパーレス化の促進など多くのメリットが期待できます。

たとえば、勤怠管理システムを導入し、出退勤時刻や労働時間をシステム上で管理するなどが挙げられます。IT化の推進によってシステムへ任せられる業務も増加し、管理職の負担も軽減できるでしょう。

ただし、業務プロセス全般を一度にIT化へ移行するのは避けてください。従業員に大きな負担をかけるだけでなく、取引先にも迷惑がかかる可能性があります。ビジネスチャットや経費精算システムの導入など、導入しやすい分野から取り組みを始めましょう。

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業務マニュアルを作成する

業務全体の流れや手順・注意点を記載した業務マニュアルの作成も有効です。業務マニュアルを見れば業務の進め方がわかるため、業務の属人化が防げます。

業務マニュアルの作成を効率的に進めるためにも、マニュアル作成ツールの導入を検討しましょう。レイアウトに沿って必要事項を入力すれば、簡単にマニュアルを作成できます。

画像や動画でのマニュアル作成に対応しているツールも多く、機械の操作手順や調理手順など文章では伝わりにくい内容も正確に伝えられます。過去に作成したマニュアルをシステム上で管理できるため、ペーパーレス化が促進できる点もメリットです。

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スパン・オブ・コントロールの実行事例

スパン・オブ・コントロールの事例として、AmazonとGoogleの2社を紹介します。実際の企業の事例を確認し、自社で導入する際の参考にしてください。

【事例1.】Amazon

AmazonのCEOを務めるジェフ・ベゾスは、チームを構成する人数に関してピザ2枚ルールを提唱しています。ピザ2枚ルールとは、「チームの生産性を高めるに、ピザを2枚食べきれる人数でチームを構成するべき」という理論です。

アメリカのピザは大きいため想像しづらい部分はありますが、チームを構成する人数は5〜8人を想定しています。少人数の方が情報共有やフォローがしやすく、メンバー間の団結力が高まりやすいです。

また、少人数チームの採用は、ミーティングで発言しない人を減らす目的もあります。ミーティングは、チーム全員の時間を使います。AmazonではFrugality(倹約)を企業方針に掲げているため、チームの人数を絞ることで時間の浪費を最小限に抑えることが可能です。

【事例2.】Google

Googleの方針として、最小人数で最大限の成果を生み出すことを重視しています。スパン・オブ・コントロールの範囲は7人です。1人の管理職がコントロールする人数を7人と設定し、チームの生産性向上やマネジメントの強化に努めます。

また、Googleは管理職にさまざまなルールを設けています。たとえば、マネジメントに専念するためルーティンワークは担当しません。またチームメンバーの能力や個性によって、コミュニケーションの取り方を変えるよう求めています。

ほかにも、能力や意欲が低いメンバーに対しては具体的な指示を送ります。一方で、能力や意欲も高いメンバーに対しては、放任すべきという考えです。

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スパン・オブ・コントロールを理解しマネジメント人数を適正化しよう

1人の管理職がマネジメントできる適正人数は5〜8人ですが、マネジメントの人数はあくまで目安であり、リーダーのタイプや組織形態によって適正人数は大きく変動します。

たとえば、プレイヤー型リーダーが管理職を務める場合は、もっと少ない人数でチームを構成しなければなりません。プレイヤーとして活動する時間も一定数生じるため、司令塔型リーダーと比べるとマネジメントに割ける時間は少なくなります。

一方で、業務内容や遂行方法が確立されているオペレーション型組織の場合、リーダー役を配置すれば、最大15人までマネジメントが可能です。マネジメント人数が多くなると、チーム全体の生産性やモチベーションが低下するため、注意が必要です。

しかし、管理職の不足によって、スパン・オブ・コントロールの範囲を超えるケースもあるでしょう。マネジメントする人数が多くなった場合は、本記事で参考に対策を講じリスク回避に努めてください。

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