マテリアリティ(重要課題)とは?意味や必要性・SDGsとの関係について

記事更新日:2022/09/29

SDGs

重要課題について話し合うビジネスパーソン

近年注目が集まっているマテリアリティという言葉。企業における重要課題のことを意味することが多いものの、果たして目的や必要性とは一体何なのでしょうか。本記事では、そんなマテリアリティについて、意味や必要性などを詳しく解説していきます。

マテリアリティとは?

マテリアリティは「重要課題」や「企業にとっての重要性」などと訳される言葉です。まずは意味や語源を詳しくみていきましょう。

マテリアリティの意味

マテリアリティは「重要課題」という意味を持ち、企業が最優先に掲げる課題を指します。世の中には、国や企業などが力を合わせて解決しなければならない問題がいくつも存在します。

1つの企業がすべての問題に取り組むのは難しいため、企業はそれぞれ優先課題を設定する必要があるのです。マテリアリティは、この優先順位を示す言葉でもあります。

マテリアリティの語源

マテリアリティは、もともと財務報告において使われていた言葉です。投資家の意思決定に大きな影響を及ぼすような情報を「マテリアル」と位置づけていました。このマテリアルがマテリアリティの語源と言われています。

かつて、投資家にとって意思決定の判断材料は財務指標が中心でした。しかし、社会や環境の変化により、企業価値の判断材料が経営状況だけでなく、「社会問題・環境問題にどう取り組んでいるのか」という点も重要な情報となったのです。

このような流れから、マテリアリティは企業の経済的価値だけでなく、社会的価値を示す「重要課題」という意味合いを持つようになりました。

マテリアリティの必要性

最近では、マテリアリティを公開する企業も珍しくありません。この背景には、非財務指標の重要性が高まったことが挙げられます。非財務指標とは、CSR(企業の社会的責任)やサステナビリティの取り組みのことです。

多くの社会問題や環境問題を抱えている現在、課題解決のためには企業の協力が不可欠です。非財務指標への取り組みを怠っている企業は、社会的な課題に関心がないものとみなされ、企業イメージを損なうリスクを負っているのが今の時代といえるでしょう。

そのため、企業は自社のマテリアリティを特定し、「どの課題に対して、どのように取り組んでいるのか」を、世間や投資家に向けてわかりやすく発信する必要があります。

マテリアリティとSDGsの関係

SDGsとは「持続可能な開発目標」のことで、17の目標と169の達成基準が存在します。SDGsにおける課題を達成するには、世界中の企業の協力が不可欠です。

ただし、SDGsには17の目標と169の達成基準があるため、1つの企業がすべての課題に取り組むわけではありません。事業内容と関連する課題にフォーカスして、問題解決に努めることが重要です。

「自社と関連する課題は何か」「自社が解決に貢献できる課題は何か」といった点を考えるにあたり、マテリアリティの設定が役立ちます。マテリアリティを設定しておけば、企業がSDGsのどの目標に課題を持って取り組もうとしているのかが、第三者にわかりやすく示すことが可能です。

マテリアリティとESG情報開示の関係

ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」3つの頭文字をとった言葉です。これら3つの観点を配慮することが、企業の長期的な成長に必要だという考え方です。

ESG情報開示は、ESGに関する取り組みを情報として可視化し、投資家に向けて発信することを意味します。ESGの数ある課題の中でも、マテリアリティの特定は重要とされています。なぜなら、企業がESGをどのように捉えているのかを、わかりやすく投資家にアピールできるためです。

ESG情報開示におけるマテリアリティは、財務的なものと社会的・環境的なものが存在します。かつては財務的マテリアリティだけを重視する「シングル・マテリアリティ」の考え方が一般的でしたが、近年では社会的・環境的マテリアリティも併せて重視する「ダブル・マテリアリティ」の考えも広まりつつある状況です。

マテリアリティの特定方法|3つのプロセス

いざ自社のマテリアリティを特定しようと試みても、具体的な流れがわからず、悩む人もいるのではないでしょうか。そこでここからは、マテリアリティの特定方法を解説していきます。

1.社会的課題の抽出

まずは、SDGsやESGの観点から、自社の主要事業と関連する課題をリストアップしていきます。この段階では優先順位にこだわる必要はなく、関連があると感じた課題をすべて洗い出しましょう。

課題抽出の段階で優先順位を気にしてしまうと、関連度の高い課題を見逃す可能性があるため、注意が必要です。

2.優先順位の決定

自社に関連する社会的課題が抽出できたら、次は各課題に優先順位をつけていきます。優先順位づけは、以下のような視点から検討するのが効果的です。

  • 社会問題・環境問題による自社への影響
  • 自社が課題解決に貢献できそうな分野
  • 社会・環境にとって優先度の高い課題

基本的には、自社と社会の双方にとって重要である課題が、優先度の高い課題といえます。視覚的なアプローチを加えて検討していきたい場合は、「社会的に重要な課題」と「自社にとって重要な課題」の2軸を用いたマトリクスを作成してみるとよいでしょう。

3.マテリアリティの特定

課題の優先順位が決まれば、優先度の高い課題からマテリアリティを特定していきます。企業の経営戦略に関わる内容であることから、取締役会の承認を得てマテリアリティを決定するケースが一般的です。

また、中には優先度の高い課題であっても、社内に専門知識やノウハウが蓄積されていない分野もあるでしょう。その場合は、特定前に外部の有識者と協議の場を設けてみると、マテリアリティの妥当性や実現可能性が検証できます。

マテリアリティを特定する際のポイント

マテリアリティは企業が最優先で取り組む課題として位置づけられるため、適切な特定が求められるものです。的を外れたマテリアリティとならないためにも、特定する際のポイントを確認していきましょう。

企業が取り組む目的を明確にする

取り組む課題を決定する際は、「なぜその課題に取り組むのか」というように、目的の明確化を図りましょう。目的の不透明な課題に対して、意欲的に取り組もうと考える人は少ないからです。

目的を明確に定められたら、社内への周知も忘れず行いましょう。経営層がマテリアリティの特定や取り組みに積極的でも、社員への情報共有が不十分であると、経営層と社員の間に方向性のズレが生じる可能性があります。

また、世間や投資家へ自社のマテリアリティを公開する際も、「なぜそのマテリアリティになったのか」「どのような目的があるのか」を開示することで、説得力が高まり、自社の本気度が伝わりやすくなるでしょう。

自社の強みや弱みを再確認する

マテリアリティを特定する際は、自社の強みや弱みの再確認が必要です。自社の強みを活かしてマテリアリティの解決を図るため、強みの把握は欠かせません。また、弱みを認識しておけば、苦手分野をマテリアリティに定めるミスマッチも低くなるでしょう。

自社の強みと弱みを確認することは、企業の現状を見直すよい機会ともなります。マテリアリティの特定をきっかけとして、企業の方向性を再確認していきましょう。

マテリアリティの特定事例

ここでは、国内教育を主要事業とする某企業の事例をみていきましょう。同社のマテリアリティの特定プロセスは、次のとおりです。

マテリアリティ特定のプロセス
  1. 自社と関連の深い社会課題を抽出
  2. 課題解決への具体的な取り組み内容や優先順位を検討
  3. マテリアリティ案を作成
  4. マテリアリティ案を外部から評価してもらい、必要に応じて修正
  5. マテリアリティの決定

注目ポイントは、マテリアリティを決定する前に、社外有識者との対話の場を設けている点です。これは、外部からの意見を聞くことで、マテリアリティ案に客観性を持たせる狙いがあります。

大学研究者、CSR専門家、自社の事業分野と関係の深い事業団体(NPO)といった社外有識者の協力を得てマテリアリティを特定していった結果、学術的な裏付けや、外部が自社へ求めていることをマテリアリティに反映させることに成功しました。

マテリアリティを指針の1つとして企業価値の向上を

マテリアリティは、企業の取り組みや方針を世間へアピールする材料のひとつです。どのような社会的・環境的課題に問題意識を持っているのかを示すことで、ブランドイメージや企業価値が高められます。

マテリアリティを特定する際は、「なぜその課題に取り組む必要があるか」という目的部分の明確化と、自社の強みと弱みを踏まえた特定を心がけてください。

自社に適したマテリアリティを特定し、企業価値の向上を図っていきましょう。

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