マルチタスクの意味とは?シングルタスクとの違い・苦手、できない場合の克服方法

最終更新日時:2024/02/27

タスク管理ツール

マルチタスクとは

ビジネスシーンで耳にする「マルチタスク」。言葉自体は知っているものの、具体的にどの様な意味なのかあまり理解できていない方も多いかと思います。そんな方に向けて、この記事では、マルチタスクの意味やメリット・デメリット、シングルタスクとの違いなどについて詳しく紹介していきます。

この記事の要約

・マルチタスクとは複数の作業を並行して行うことであり、シングルタスクは一つのタスクのみに取り組むこと
・労働人口が減少しており一人あたりの業務量が増えていることから、マルチタスクの重要性が高まっている

マルチタスクとは

マルチタスクとは、複数の作業を並行して行うこと、または短時間で切り替えながらこなしていく仕事の進め方を指します。

ビジネスの現場ではシステム化が進む傾向にあり、IT技術によってさまざまな作業の同時進行が可能になりました。また労働人口の減少にともない、一人当たりの業務量が増加したことから、複数の作業を同時に抱えざるを得ない状況も発生しています。

このような時代背景は、ビジネスでマルチタスクの必要性が高まっている要因と考えられるでしょう。少ない人員で複数の作業を同時に進めることで、時間効率の改善が期待できます。

ビジネスにおけるマルチタスクの具体例

ビジネスで用いられるマルチタスクには、プロジェクト資料を作成しながら社員のスケジュール調整をする、取引先の電話に対応した直後に別件のメールを作成・送信するなどがあげられます。

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シングルタスクとは?

シングルタスクとは、一つの作業に専念し、その作業が終了してから次のタスクに取り組む仕事の進め方です。

特定の作業に集中して確実に取り組めるため、ミスの抑制や精度の向上に効果を発揮します。マルチタスクができないからシングルタスクをするとは限らず、業務内容や個人との相性によって使い分けることが一般的です。

ビジネスにおけるシングルタスクの具体例

ビジネスにおいては、高い集中力が求められる作業でシングルタスクを使います。企画の立案やアイデア出し、経理の帳簿チェックといった作業が例です。

ほかの思考が邪魔になったり、同時進行するとかえって非効率になったりする作業には、シングルタスクを用います。ミスが許されない、絶対に失敗できない重要なタスクも、確実性の高いシングルタスクが向いているでしょう。

マルチタスク・シングルタスクの違い

複数の業務や作業を並行してこなす場合はマルチタスク、一つの作業に専念し、終了してから次のタスクに取りかかることをシングルタスクと呼びます。

マルチタスクは、同時進行しても支障のない小さな作業で取り入れます。ちょっとした電話やメールの対応、書類の整理などが代表的です。会議に参加しながら議事録を作るなど、一度に行った方が効率的な場合もマルチタスクを使います。

集中力を高く保つ必要があるものは、シングルタスク向きの作業です。緻密な計算やデザイン作成といったタスクが該当するでしょう。プロジェクトの成果がかかっている企画の立案など、重要度の高いものもシングルタスクと好相性です。

マルチタスクのメリット・デメリット

マルチタスクを実践する前に、メリット・デメリットを理解しなくてはなりません。実践にあたってのメリットとデメリットをわかりやすく解説します。

マルチタスクのメリット

マルチタスクを実践する主なメリットは、業務の時間や対人関係にあらわれてきます。具体的にどのようなメリットがあるのかを確認しましょう。

業務を効率よく完了できる

複数の作業を同時に進めるマルチタスクでは、効率よく業務を完了できます。期日が重なっている複数の業務を引き受けたり、突発的に発生した業務に対応したりするなど、やるべきことを速やかに処理可能です。

単一の作業を行うよりも効率がよくなり、業務の生産性を高める働きが期待できるでしょう。

全体像がとらえやすい

マルチタスクで複数の業務を手がけると、各々の関係性が理解でき、事業や企画の全体像がとらえやすくなります。新たな視点によってアイデアが浮かびやすくなるほか、埋もれていた課題に気づくこともあるでしょう。

一点集中の作業ばかりでは、全体像をつかむのは困難です。全体像への理解によりタスクの関係性が見えると、トラブルがあったときの影響も的確に把握でき、素早い対処につながります。業務の質を高める上で大きなメリットになるでしょう。

円滑なコミュニケーションがとれる

マルチタスクで業務の全体像が把握できると、誰がどう関わっているかがわかるため、コミュニケーションをとりやすくなります。各部門や取引先との関係性を円滑に保つ上で欠かせません。

業務の関連性やつながりが見えることで、必要とする人に的確な情報を伝えることが可能です。素早い対応が新たな案件に結びつくなど、円滑なコミュニケーションによる相乗効果も期待できるでしょう。

マルチタスクのデメリット

マルチタスクにはメリットがある反面、3つのデメリットがあります。

生産性低下の恐れがある

マルチタスクで複数の業務を同時進行すると、生産性の低下を招く恐れがあります。いろいろと手をつけることで思考が散漫になり、集中力を欠いてしまうためです。

企画書を作成しながらメール対応をしたとしましょう。メールを打っているうちに企画書をどこまで進めたか忘れてしまい、思い出しや整理のために余計な時間がかかります。企画書の内容に気をとられて、メールに誤字や脱字が増えるかもしれません。

マルチタスクで無駄な時間やミスが多くなるとかえって効率が悪く、生産性低下につながってしまいます。

脳が疲労しやすくなり集中力が低下してしまう

いくつもの作業を並行して進めていくマルチタスクは、脳の疲労を招きやすいデメリットがあります。複数の作業に意識を向けたり、思考を頻繁に切り替えたりすることで、脳に負担となり集中力が低下するのです。

疲労・負担といった脳に悪い影響がおよぶと、物忘れや判断力の欠如などの症状が起こる場合があります。効率化を目的にマルチタスクを導入したつもりが、脳疲労によってタスクのミスや抜け漏れにつながり、意味をなさない恐れがあるのです。

時間感覚にゆがみが生じる

マルチタスクは時間感覚にゆがみが生じやすく、常に時間に追われているような感覚になることがあります。「時間汚染」と呼ばれ、本当は十分な時間があるにもかかわらず「時間が足りない」「時間がない」と感じる状態です。

時間がないと感じるほど焦りやストレスにつながり、質の高いパフォーマンスは望めません。作業のミスを招きやすくなるなど、時間感覚のゆがみはトラブルの原因になる可能性があります。

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シングルタスクのメリット・デメリット

マルチタスクとよく比較されるシングルタスクには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。違いを深く理解するためにも、シングルタスクについての学びを深めましょう。

シングルタスクのメリット

シングルタスクを実践する主なメリットとしては、大きく3つ挙げられます。

一つのタスクに集中して取り組める

シングルタスクは、一つの作業を完了させてから次の作業に取り組む仕事の進め方です。常に一つの作業と向き合うことで、目の前のタスクに集中して取り組めるメリットがあります。

集中して作業を行えば、素早く正確に仕事をこなすことが可能です。結果的にタスクが早く終わり、ミスや失敗を抑える働きも期待できます。

心身への負担が少なくなる

目前の作業にだけ集中できるシングルタスクなら、心身への負担が比較的少なくなるでしょう。あれもこれもと考える必要がないため、脳に悪い影響を与えるリスクが減少します。

マルチタスクの場合、取り組む作業によって常に思考パターンを変えなければなりません。脳が疲れやすくなり、集中力を維持することの難しくなります。少しでも心身への負担をできるだけ少なくしたいなら、シングルタスクで一つのことに集中し、脳の疲労を最小限に抑えるのが良いでしょう。

シングルタスクのデメリット

シングルタスクの主なデメリットもチェックしておきましょう。

作業の優先度がつけにくい

一つずつ作業をこなすシングルタスクでは、タスク同士の関係性や全体像を見落としがちです。すると作業の優先度がつけにくくなり、急ぐべきタスクの遅延や抜け漏れリスクを高めます。

シングルタスクで作業を進める場合は、定期的に業務全体を見渡すことが大切です。各作業の重要度や緊急度を把握し、優先順位を決めてから着手していく必要があります。

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マルチタスクが苦手・できない人の特徴

マルチタスクがてきないと感じている人には、いくつかの共通点があります。ここではマルチタスクが苦手な人の特徴について触れていくのでチェックしてみてください。

完璧を目指してしまう

マルチタスクができない人の多くは、完璧を目指しすぎる傾向にあります。作業に集中してミスなくこなしたいという思いが強くあるため、途中で思考を中断したり、ほかの作業に切り替えたりする対応にストレスを感じがちです。

どれもこれもを完璧にしすぎようとするあまり、精神的なプレッシャーを感じやすいのも特徴でしょう。完璧主義なタイプの人は、マルチタスクよりもシングルタスクのほうが向いています。

スケジュール管理が不得意

スケジュール管理が不得意な人も、マルチタスクに対して苦手意識を抱えてしまいます。

マルチタスクは複数の業務を並行してこなすため、スケジュールの把握と調整が必要不可欠です。重要度や優先順位、納期などのさまざまな要素を考慮して、業務を進めなければなりません。スケジュール管理が不得意だと、調整すべきことが多いマルチタスクに苦手意識を感じてしまいやすいでしょう。

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仕事へのこだわりが強すぎる

仕事に対するこだわりが強すぎるのは、マルチタスクができない人に当てはまる特徴です。

こだわって仕事をするタイプは、一つのことに集中して情熱を注ぎたい傾向にあります。2つ以上の物事に意識を向けても集中できず、思い通りに進まないことからストレスやミスを招きやすくなるのです。

シングルタスクで一点集中すれば、仕事へのこだわりをプラスの効果として出せるようになります。

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苦手なマルチタスクを克服するコツ

マルチタスクができないと悩んでいる人は、克服に役立つコツを試すことをおすすめします。マルチタスクへの苦手意識を克服し、効率化に活かしましょう。

たくさんのシングルタスクをこなすと考える

マルチタスクを克服するコツは、作業の一つひとつをシングルタスクだととらえることです。たくさんのシングルタスクをこなすイメージで、小分けにしたタスクを順に消化していくと、スムーズに進行できるでしょう。

マルチタスクによる集中力の散漫化は、外的要因で作業が中断されることが主な理由と考えられています。シングルタスクとしてリスト化し、自分の意思で作業を切り替えていけば、集中力を保ったままマルチタスクを遂行できるのです。

作業が捗る時間を理解してタスクに臨む

集中して作業に取り組める時間に合わせてタスクを割り振っておくのも有効です。もっとも作業が捗ると感じる時間内でマルチタスクを行えば、集中力が切れにくくなります。

作業が捗りやすい時間には個人差があるため、事前に計測しておくのがポイントです。小さなタスクなら数分〜数十分、ある程度大きなタスクでも2時間までが集中力を維持できる目安となるでしょう。

タスクに集中できる環境を整える

マルチタスクができないと感じる場合、作業環境に問題のあるケースが考えられます。集中できる環境を整えることが、タスクの同時進行や素早い切り替えを可能にするコツです。

タスクに使うこと以外の情報が極力入らないよう、デスクの片付けやパソコン画面の整理を実施しましょう。画面に余計なアプリが起動しているだけで、集中力が散漫になります。作業時間内はほかのものに触れないなど、物理的な対策で作業環境を整えてみてください。

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マルチタスクへの取り組み方

複数の業務がこなせるマルチタスクに取り組み、業務の効率化を目指してください。マルチタスクの具体的な取り組み方をわかりやすく解説します。

「1×10×1」システムを活用する

「1×10×1」システムでは、抱えている業務を「1分で終わる作業」「10分で終わる作業」「1時間で終わる作業」に分類します。その上で、早く終わる1分の仕事から着手し、10分、1時間という順でこなす手法です。

時間別に分けるだけで混在していた作業をわかりやすく整理でき、効率的にマルチタスクを進められます。先に短時間で完了する仕事を処理するため、適度に達成感が得られるのも利点です。モチベーションアップ、集中力の維持が期待できるでしょう。

パーキングロットの手法を取り入れる

パーキングロットの手法を取り入れると、マルチタスクを円滑に実践できます。タスクAの途中にタスクBを依頼された際、Bはいったん保留とし、Aを完了させてからBに取り組む方法です。パーキングロットが意味する「駐車場」のように、後から発生したタスクをひとまず置いておくとイメージしましょう。

途中で作業を切り替えず、一つのタスクが完了するまでほかには手をつけないことで、集中力を保ったまま遂行できます。用件が入った時点で緊急度や重要度を確認すること、忘れないようにメモを取るといった工夫も行うのが大切です。

タスクシフトを活用する

あらかじめ決めたタイミングで能動的にタスクを切り替える、タスクシフトと呼ばれる方法があります。集中力が切れにくく、マルチタスクの有意義な活用に効果的です。

タスクシフトでは、タスクを個別に書き出して優先順位をつけ、作業時間や切り替えタイミングを設定します。優先順位に沿って、設定した時間通りにタスクをこなしていけば、複数の作業を効率的に片付けられるでしょう。

外的要因によるやむを得ない作業中断は、脳への負担要因です。タスクシフトで意識的に切り替えを行うと、脳に悪い影響を最小限に抑えてマルチタスクを行えます。

ポモドーロ・テクニックを活用する

ポモドーロ・テクニックとは、短時間で集中的に作業をこなす方法です。25分間タスクに取り組み、5分の休憩をはさんでから再び25分間作業し、25分×4回取り組んだら、30分ほど休憩をとります。

このように、短時間のうちに強く集中すると、作業精度が高まり効率がアップします。適度に休憩をはさむことから、脳に負担がかかりすぎるリスクもありません。マルチタスクができない悩みの解消はもちろん、限られた時間を有効活用するスキルも磨けるでしょう。

時間管理のマトリックスを活用する

マルチタスクをうまく使うには、タスクの優先順位をわかりやすくする必要があります。時間管理のマトリックスは、タスクの優先順位を明確化するのに有効です。

タスクを個別に洗い出し、重要度と緊急度の観点から4つの領域に分類します。重要度と緊急度のいずれも高いものから着手していけば、おのずと優先すべきタスクから処理していけるため、都度判断の必要がありません。

マルチタスクで複数の作業を担うときは、今処理すべき作業を見極めることが重要です。時間管理のマトリックスを活かすことで判断にかかる時間がなくなり、集中力を維持したままやるべきタスクをこなしていけるのです。

時間管理のマトリックスとは?4つの領域ごとの分け方・具体例を交えて解説

タスク管理ツールを導入する

タスク管理ツールを導入することもマルチタスクに効果的です。ツールにはタスクの一覧化やスケジュールを管理する機能があり、作業内容や納期の可視化が行えます。複数のタスクを簡単に管理できるため、マルチタスクのサポートに最適なのです。

複数の業務を種類や納期などで区別できるので、優先順位も見極めやすくなるでしょう。同じ業務に携わるメンバーとの連携もでき、マルチタスクの遂行に必要な情報共有がスムーズになります。

自分に合ったツールを導入すれば、マルチタスクをしっかりサポートしてくれるでしょう。

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マルチタスクを適切に取り入れて業務の効率化を

マルチタスクを適切に取り入れれば、業務を効率的にこなすことが可能です。タスクとの相性を見極めるほか、個人のキャパシティーを超えない範囲で活用すると、最大限に効果を発揮します。

マルチタスクができないと悩んでいるなら、苦手な人の多くに当てはまる特徴を理解し、その克服を目指しましょう。脳疲労を招かないよう時間管理の上でマルチタスクを実践し、業務効率を高めてください。

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