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テレワーク中の正しい残業管理とは?よくある問題や残業が増える原因

2022/05/12 2022/05/12

テレワーク

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社員の勤務状況の確認が難しいテレワークにおいては、残業時間が適正に管理できないといった課題を抱える企業は少なくありません。本記事では、テレワーク中の残業時間の管理で押さえておくべき点やテレワークで残業が増える原因、正しい残業管理の方法をご紹介します。テレワーク残業を削減するポイントもお伝えしますので、ぜひ参考にされてみてください。

テレワーク中の残業管理で知っておくべきこと

オフィス勤務に限らず、テレワークでも社員の勤怠管理の実施は、使用者である企業の義務とされています。そのため企業は、気づかないところで長時間労働の常態化が発生してしまったり、不正な残業代の請求が起きてしまったりしないよう、勤務形態に合った勤怠管理ができる環境を整えなくてはなりません。

ここでは、テレワーク中の残業管理をおこなう上で知っておくべき3つのことについて解説します。

(1)テレワークでも残業代は支払う必要がある

労働基準法や労働安全衛生法といった労働基準関連法令は適用されます。そのため、時間外労働や休日労働、深夜労働を行った社員に対しては、残業代などの法令に従った適切な「割増賃金」を支払わなければなりません。残業代を支給しないと法律違反となり、罰則が科される恐れがあります。

ただし、事業外(オフィス外)におけるテレワークにおいては、使用者側が労働者の労働時間を把握することが困難なことから、一定の要件を満たした上で、特例として労働時間の算定義務を免除する「事業場外みなし労働時間制」の適用を受けることができます。

しかし、その場合においても「みなし労働時間」が法定労働時間を超えた際には、時間外労働として割増賃金の支払い義務が生じますので注意しなければなりせん。

そのほか、休日労働や深夜労働をした場合においても、同様に割増賃金を支払わなければなりません。

(2)テレワークでも社員の労働時間を把握しなければならない

先にお伝えしたとおり、テレワークでも、労働基準関連法令は適用されるため、企業には社員の労働時間を適切に把握し管理する義務があります。

また、労働時間の記録には、原則として勤怠管理システムの利用やパソコンの使用時間による記録など、客観的な方法を用いて記録することが求められていますので、その点にも注意しなければなりません。

正確な労働時間の管理は、適切な給与の支払いにつながるだけでなく、健全な労働環境を構築するためにも必要です。

(3)時間外労働の上限規制はテレワークにも適用

テレワークでは、上長やリーダーが各社員の働き方を直接確認しにくいため、使用者の管理が及ばず長時間労働が発生したり、時間外労働が常態化してしまうリスクがあります。

企業は単に労働時間を管理するだけではなく、社員が長時間労働で健康を害さないようにしなければなりません

時間外労働は、特別な事情がある場合にのみ、原則として月45時間、年360時間の上限範囲内で認められています。また特別な事情があり、たとえ労使間での合意があったとしても、月100時間、複数月平均80時間、年720時間の上限を超えることはできません。

これらの上限に違反した場合は、違反が認められた社員一人当たりにつき企業に対して、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることがあります。

[出典:厚生労働省『「自宅でのテレワーク」という働き方』]

[出典:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」]

[出典:厚生労働省「働き方改革特設サイト」]

テレワークで残業が増える原因

テレワークは業務を効率化できる一方、環境の違いから作業の手間が増えてしまうこともあります。また、コミュニケーション不足から、業務のスピード感を失ってしまうこともあるでしょう。

ここでは、テレワークで残業が増える5つの原因について解説します。

(1)情報共有に時間が取られる

オフィス勤務であれば、少しの声かけで済んでいた情報共有であっても、テレワークの場合は、わざわざ相手の状況を確認しつつ、ビデオ会議を設定したり、画面を共有したりするほか、何かと手間がかかってしまいます。

また、メールで伝えるにしても、文字で説明するとなると、文章作成にやたらと時間を要するわりには、伝わりにくいといった経験をされた方も多いのではないでしょうか。

些細なことと感じるかもしれませんが、一つのタスクを分業していたり、メンバー間の連携が頻繁に発生したりするような業務においては、このような情報共有の手間や面倒が重なり残業へとつながってしまいます。

(2)仕事環境が整わず集中できない

テレワーク勤務においては、自宅が仕事場所となるケースが大半であると考えられます。

株式会社ビズヒッツがリモートワークの経験者500人を対象におこなった「リモートワークをしている場所に関する意識調査」によれば、自宅での仕事場所について、過半数を超える264名が「リビング」と回答しています。

このことから、多くのテレワーカーにおいては、仕事専用のスペースを確保することが難しく、仕事と生活の境目が曖昧になりがちな環境において作業をしていることがわかります。

特に、家族と同居していたり、子育て中の場合は、生活音が気になり集中したくてもできないケースも多いのではないでしょうか。そのため、生産性が下がってしまい、就業時間内に業務を終わらせにくくなってしまうのです。

[出典:PR TIMES,2021年3月24日掲載「リモートワークをしている場所ランキング!男女500人アンケート調査(2021)」]

(3)オン・オフの切り替えが難しい

自宅で仕事をする場合、普段の生活空間で作業することになるため、仕事とプライベートを分ける自己管理が必要になります。

しかし現実は、趣味や娯楽など、オフィスにはない「誘惑」に気を取られてしまいがちです。その結果、就業時間とプライベートを区別する意識が低くなってしまい、ダラダラと非効率な働き方をしてしまうケースは少なくありません。

このようなことから、就業時間内の生産性が低下し、残業が生じてしまいます。

(4)企業が勤怠状況を把握できていない

テレワークでは直接社員の勤怠状況を確認できないため、勤怠管理システムやパソコンの使用時間などで把握することになります。

しかし、勤怠管理システムや自己申告の場合、操作や申告は社員本人がすることになるため、サービス残業をしていたり、長時間労働が続いていたりしても即座に気づくことは難しくなってしまいます。

社員一人ひとりの労働状況の「見えにくさ」は、長時間労働や残業を常態化させてしまう最も大きな要因ともいえるでしょう。

(5)過程ではなく結果主義になっている

テレワークでは勤務態度、業務のプロセスが判断しにくいため、どうしても結果のみに偏りがちな評価になってしまいがちです。

評価が結果主義に寄りすぎてしまうと、成果や実績を上げるための残業が増えるなど社員の働きすぎを招いてしまいます。

テレワークによって発生する12つの弊害とは?企業が取るべき対策法も紹介!

残業時間が増えると起こりやすい問題

社員の残業時間が増えると、社員個人だけではなく組織全体に問題が発生します。では、長時間労働が常態化した場合、具体的にどのような問題が起こるのでしょうか。

ここでは、残業時間が増えると起こりやすい問題について解説します。

(1)メンタル疾患になる可能性が高まる

長時間の残業は、十分な睡眠や休養が取れず疲労を回復できないまま働き続けることになるため、当然ながら社員の意欲は低下します。

さらに、残業が慢性化してしまうと、うつ症状などの気分が沈んだ状態が続き、出社ができなくなるなど、社員の離職を招く結果につながってしまいます。

(2)生産性が悪くなる

残業による身体的、精神的な疲労の蓄積、集中力の欠如を引き起こします。集中力の低下による生産性の悪化だけでなく、ヒューマンエラーなどのミスも起こりやすくなるため、無駄な作業を増やす結果となってしまいます。

また、モチベーションの低下は、スキルアップ意欲の減退をも誘発するため、仕事への能動的な取り組みができなくなり、個人の能力が上がりづらくなってしまうデメリットも生じさせてしまうでしょう。

テレワークで生産性は向上するのか?低いと感じる原因や改善策を解説

(3)離職率が高まる

長時間の残業が慢性化した場合、心身の疲労やワークライフバランスの取りにくさから、社員が会社に貢献したいと感じる姿勢や意欲とされる「社員エンゲージメント」が低下し、離職率が高まります。

離職が増えてしまうと残った社員の負担が増え、さらなる人材流出を招く悪循環へと陥ってしまう恐れもあります。

(4)採用が難しくなる

長時間労働の慢性化や休日出勤、深夜残業の多い企業といった評判は、現代社会において、すぐさま広く知られるところとなるでしょう。

人材不足の深刻化が進む現状の中、企業イメージの悪化による応募者の減退は、企業の成長に大きな影響を与えかねません。

(5)社会的信用を失う

ブラック企業として悪い評判が広まると、企業イメージの悪化だけでなく、社会的信用の低下も招いてしまいます。

社会的信用を失うと、人材の流出だけではなく、顧客やパートナー企業まで失うことにもなります。一度失った信用を取り戻すことは難しく、企業の経済活動にも深刻な影響を及ぼします。

(6)創造力が失われる

長時間労働が続くと社員の身体的・精神的余裕がなくなり、目の前の仕事で手一杯になってしまいがちです。その結果、創造力が失われ、仕事に対する工夫や改善、新たな分野の開拓などに取り組む余裕やアイデアが生まれなくなります。

テレワークによるストレスの原因や影響とは?ストレス解消法も解説!

残業を認めないことは可能?

社員による不必要な残業やサービス残業を防ぐために、残業を禁止にしたり、許可制にすることは可能です。しかし、残業を禁止にしていても、残業代を支払わなければならない場合もあるので注意が必要です。

残業禁止の指示を出しても残業代を支払う必要がある場合

企業側が、単に「残業禁止」のアナウンスをするだけでは、発生した残業に対する賃金を支払わなくてもいいことにはなりません。企業は、時間外労働をさせない仕組みを策定し、実際に徹底して取り組むことが大切となります。

ここでは、残業禁止の指示を出しても残業代を支払う必要がある2つの場合について解説します。

#1: 明らかに業務量が多いなど黙示の残業命令がある

業務時間内に終わらない業務量の仕事を指示している場合は、残業代を支払う必要があります。実際に残業しないと終わらせることができない仕事のため、黙示の残業命令があったとみなされるからです。

黙示の残業命令があると見なされた場合、残業禁止の指示の有無に関わらず残業代を支払わなければなりません。

#2: 残業禁止の周知が適切に行われていない

残業禁止を社員に対して適切に周知しなかった場合、残業代を支払う必要があります。

周知していたとしても、口頭で注意するだけなど残業させない仕組みを構築せず、企業が残業しない環境づくりに向けた適切な取り組みをしていなかった場合も残業代を支払わなければなりません。

単に残業禁止の制度を作るだけではなく、実態に合わせて運用していくことが大切です。

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テレワーク時の正しい残業管理の方法

テレワークでは直接社員の勤務状況を確認できないため、残業時間の把握を含む社員の勤怠管理が困難となります。そのため、勤怠管理システムの利用や、新たなルールの策定など、残業時間の管理をしやすくする工夫が必要です。

ここでは、テレワーク時の正しい残業時間の管理の方法について解説します。

(1)社員に残業が多い理由をヒアリングする

残業の多い社員を頭ごなしに注意するのではなく、上長やリーダーによって、まずは残業の理由をヒアリングすることが大切です。ヒアリングの内容によっては、作業方法の改善といった適切なアドバイスにより、残業が解消される場合もあります。

このようなコミュニケーションは、労働時間を管理する目的だけでなく、社員の離職防止や部署全体の信頼関係の構築にも役立ちます。

(2)勤怠管理システムを利用する

クラウド上で利用できる勤怠管理システムを導入することで、テレワークでも、大きな手間を要することなく社員の労働時間や時間外労働の管理が可能になります。

このような勤怠管理システムでは、パソコンはもちろんのこと、モバイル端末からの打刻も可能なため外回りの多い社員の勤怠管理もスムーズにおこなえます。

また、勤怠データは、オンライン上でリアルタイムの確認が可能なため、残業が目立つ社員やチームにおいては、業務量や人的リソース配分を見直すなど、長時間労働が慢性化する前に対策を講じることもできるようになるでしょう。

勤怠管理システムで改善できる5つの課題とは?スムーズな導入方法も解説

(3)システムでアクセス制限を設ける

テレワークの場合は、社内のシステムにアクセスできる時間に制限を設けることも実用的な対策として有効です。

アクセスできる時間を制限することでダラダラ働いてしまうことを防ぎ、社員の残業時間を減らすことができます。

(4)残業を事前の許可制にする

残業を許可制にするルールの策定は、長時間労働の常態化や不正な残業代の請求に一定の効果があると考えられます。

ただし、申請を面倒に感じてしまい、サービス残業をする社員が増えてしまうリスクもあるため、導入する際は、慎重に検討する必要があるでしょう。

テレワーク時に残業を減らすポイント

残業時間の削減に取り組むのであれば、管理方法だけでなく、業務内での工夫も必要です。

ここでは、テレワーク時に残業を減らすポイントについて解説します。

(1)深夜や休日のメールや電話を極力減らす

就業時間外や休日のメールやチャット、電話などであっても、「対応するのが当たり前」といった企業文化は、残業時間増加の原因となります。その場合、組織全体の意識改革から取り組む必要があるでしょう。

また、緊急連絡以外は、就業時間外のメールやチャット、電話などの使用を制限するといったルール設定も残業を減らすために有効です。

(2)夕会を行う

テレワークでは業務の区切りが曖昧になるため、オンラインで夕会を行って業務時間に区切りをつけることも効果的です。オンライン夕会では、チームや部署単位でその日の業務報告やタスクが完了しているかの確認、残業の有無の確認などをおこないます。

夕会を実施することにより、効率的に情報共有ができ、仕事の目標終了時間が明確になるため残業を減らす効果が期待できます。

テレワークに監視は必要?監視方法や注意点・おすすめ監視ツールを解説

テレワーク中でも正しい残業管理を徹底しよう

本記事では、テレワークにおける残業時間の管理方法や、残業を減らすポイントについて解説しました。テレワークは、業務を効率化できる一方で、働き方については社員一人ひとりの自己管理に任せる部分が多いため、場合によっては、長時間労働が常態化してしまいがちです。

ただし、適切な勤怠管理は、残業時間の削減だけなく、社員の心身の健康を守ることで、離職防止や企業のさらなる発展につながります。

残業時間の管理にはツールの利用や、ルールの設定などが大切です。今回ご紹介した残業管理の方法や残業を減らすポイントを参考に、テレワークにおいても適切な労働時間や残業時間の管理を実行しましょう。

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ビズクロ編集部
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