【働き方改革】企業における女性活躍を推進する重要性や取り組み方法

最終更新日時:2022/12/02

働き方改革

働き方改革により、日本企業でも女性活躍の推進に注目が集まっています。しかし、実際は女性が活躍できる環境が思ったほど整っていないのが現状です。そこで本記事では、企業において女性活躍を推進する重要性や推進メリット、取り組み方法までを詳しく解説していきます。

働き方改革における女性の活躍とは?

働き方改革では、多様な人々が働けるダイバーシティの推進をおこなっています。中でも女性が活躍できる社会の実現は主要な課題の一つです。

2022年の帝国データバンクの調査では、日本企業における女性管理職の割合は9.4%と非常に低い水準に留まっています。

管理職に女性が少ない現状は、人材管理や職場環境づくりで、女性目線での意見が反映されにくいという問題を生みます。結果として、女性が働きづらく、男性に比べて不利な立場に立たされてしまうのです。

このような問題を打開するために、政府は「女性活躍推進法」の改正をはじめとして、さまざまな取り組みをおこなっています。

各種調査などからもわかるように、依然男女格差は大きいままですが、政府や企業、社会が協力し合い、女性が活躍する社会を実現することが期待されています。

[出典:株式会社帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査(2022年)」]

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働き方改革において女性の活躍が重要な理由

働き方改革において、なぜ女性の活躍が重視されているのでしょうか。

最も大きな理由は労働力不足で、多くの日本企業は現在、慢性的な人手不足に陥っています。

労働人口は2019年の6,886万人から、2021年では6,860万人にまで減少しました。この状況は今後も続くと考えられており、対策が急務となっています。

対策の一つとして挙げられるのが、働ける人々に活躍の機会を提供することです。現状、女性が活躍できる環境が整備されているとはいえません。

そのため、能力や意欲があるにもかかわらず、就業の機会が得られていない女性も多いのです。

そのような人々に活躍の場を提供することは、労働力不足の解消につながると考えられています。

また、人々のライフスタイルの変化も大きな理由です。従来の企業社会では「男性中心」「長時間労働」「終身雇用」が当たり前でした。

しかし、現在は社会の価値観が大きく変化し、女性も活躍できる社会、プライベートを大切にする働き方、流動的な人材移動、が求められるようになりました。

このような働き手の考え方の変化に伴い、企業もそれに合わせた変革が求められています。

[出典:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果の概要」]

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働き方改革で女性の活躍を推進するメリット

女性の活躍を推進することで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。下記3つに分けて解説します。

  • 人手不足の解消
  • 助成金の活用
  • 企業のブランドイメージ向上

人手不足の解消

女性が活躍できる環境をつくり、多くの女性人材を活用できるようになれば、人手不足を解消することができます。

慢性的な人手不足に直面する状況下で人材を確保するためには、雇用の範囲を拡大することが重要です。

雇用を広げる対象としては、女性、外国人、高齢者などが挙げられます。中でも人口が多く、キャリア形成がおこないやすい女性は、企業に大きく貢献できるポテンシャルを秘めています。

今まで女性人材の採用に消極的であった企業や離職率が高かった企業にとっては、女性が活躍できる環境を用意することは、課題解決に向けた効果的な施策となるでしょう。

助成金の活用

国や地方自治体が提供している助成金の支給を受けられることも、大きなメリットです。

たとえば、国が実施している「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」は、仕事と家庭の両立を支援するための助成金制度です。

これは労働時間短縮、年休取得の促進に取り組んだ企業が受けられる助成金で、成果目標の達成状況に応じて支給額が決まります。

2022年11月現在、令和4年度分(2022年度)の受付は一旦停止されていますが、来年度以降の継続の可能性もあるので厚生労働省のホームページをこまめにチェックするようにしましょう。

女性が活躍できる職場の実現には、準備期間や費用面でハードルがあります。このような制度を活用することで、女性が活躍できる職場環境の推進をスムーズにおこなえるようになるでしょう。

[出典:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」]

企業のブランドイメージ向上

女性が活躍できる企業であることをアピールすることで、ブランドイメージ向上に繋げられる可能性があります。

女性が活躍する職場は、「男女共同参画社会を目指している」「新しい社会の実現に積極的に取り組んでいる」といったポジティブなイメージが生まれます。

また、女性の活躍推進は、持続可能でより良い社会を目指すSDGsの目標の一つである、ジェンダー平等の実現にも寄与することにもなるのです。

そのため、ステークホルダーからの評価が高まり、自社製品・サービス利用に繋がると期待できます。

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働き方改革で女性の活躍推進を阻害している問題とは?

女性が活躍できる職場を目指しても、必ずしもスムーズにいくわけではありません。さまざまな問題が取り組みを阻害してしまうおそれがあります。代表的な問題を4つ紹介しましょう。

  • 育児や介護に対する制度の不整備
  • 時代に合わない企業の風土
  • 労働環境の不整備
  • 女性自身の意識問題

育児や介護に対する制度の不整備

育児や介護が原因で、女性のキャリアが阻害されることがあります。

ライフイベントとして、育児・介護は無視できません。この期間中は、フルタイムでの勤労がどうしてもむずかしくなってしまいます。

産休・育休期間の休職や、時短勤務、業務内容の変化によって、出世コースから外れてしまうことは少なくありません。

育児中の母親の仕事が簡単で低負担なものになり、昇進に必要な高度な実績をつめなくなることは「マミートラック」と呼ばれ、海外でも問題になっています。

育児・介護による休職や時短勤務は避けがたいものです。そのため、企業が可能な限りサポートをおこなう、キャリアに影響のないような制度を整える、などの対策が必要です。

時代に合わない企業の風土

昔からの企業風土が、女性の活躍を妨げている可能性があります。

従来の日本企業は「男性中心」「長時間労働」「終身雇用」が常識でした。このような価値観の中では、女性が活躍しキャリアを積む機会はなかなか得られません。

「女性が管理職をこなせるとは思えない」

「長時間働かない人間に力がつくわけがない」

このような考え方が企業の中に残っている組織もあるかもしれません。実際に声に出さなくとも、無意識で思っていることも少なくないため、改善がむずかしいことも問題です。

地道な啓発や、人事評価基準の見直しなど、企業風土を変えるには全社的な取り組みが必要になります。

労働環境の不整備

労働環境の不整備が、女性の活躍を阻害している可能性があります。

育児や介護などの家庭の事情、パートナーの転勤など、長い人生の中では女性が思うように働けなくなる事態がしばしば発生します。しかし、これらのライフイベントは、労働環境の改善によって対応できる場合があるのです。

代表的なものがテレワークです。テレワークを導入することで在宅勤務が可能になり、通勤がむずかしい状況でも就業が可能になります。

逆説的に、このような環境を用意できていないことは、企業が女性の活躍を妨げているともいえるでしょう。企業が積極的に労働環境を、時代に即したものに発展させていくことが求められています。

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女性自身の意識問題

見落としがちですが、女性自身の意識が原因となっている場合があります。

女性は管理職に向いていない、男性と同じようには働けない、といった偏見を持っているのは男性だけではありません。同じ企業文化を共有する女性も、同じような考えを持っている可能性があります。

これは、現状女性管理職が少ないため、十分なロールモデルがないというのが原因の一つです。「女性で管理職になるのは優秀な人なので、自分にはむずかしい」といった思い込みが、モチベーションを奪っていることがあります。

男性と同様に女性の昇進は珍しいものではない、という認識を共有し、女性の意識変革を図る必要があります。

働き方改革で女性の活躍を推進するための取り組み方法

女性の活躍を促進するための、具体的な方法は次の3つです。

  • 女性社員がキャリアを考えられる環境の構築
  • 出産や育児へのサポート強化
  • 女性社員のスキル育成

女性社員がキャリアを考えられる環境の構築

女性社員がキャリアプランを立てられるよう環境を整えましょう。

女性社員における昇進の障壁として、具体的な昇進コースやキャリアプランがわからないというものがあります。

そのため女性社員が次の行動に移せる環境を用意することが必要です。セミナーの開催や先輩との個人面談の機会を設けるなどして、女性社員が実際に行動に移せるようサポート体制を構築することを検討してみましょう。

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出産や育児へのサポート強化

出産・育児のような女性のライフイベントの負担を、企業が軽減できるようにしましょう。

出産・育児はキャリアパスの面で、不利になってしまいがちです。休職期間は経験を積めないため、一時的に昇進がストップしてしまいます。

また、育児期間中は突発的な休みや早退が多くなるため、責任ある仕事が任されにくくなり、昇進のための実績づくりがむずかしくなる、という問題もあります。

このような問題は、企業の福利厚生といったサポートで軽減が可能です。たとえば、ベビーシッターの利用補助や託児所の設置などを導入することで、育児中の女性社員の負担を大きく減らすことができます。

このようなサポートは従業員エンゲージメントを向上させ、離職率を低下させる効果も期待できます。

女性社員のスキル育成

女性社員が管理職に昇進しにくい理由の一つとして、スキル育成の不足が挙げられます。

スキル育成は講習会や研修だけでなく、先輩や上司による現場での教育が重要です。しかし、教育側に管理職に育てようという意識がなければ、十分な教育がおこなわれない可能性があります。

そのため、管理職を中心に意識改革をおこない、女性社員の育成を自発的におこなえるようにすることも、女性を活躍させるためには重要です。

働き方改革での女性活躍を後押しする女性活躍推進法とは?

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」とは、女性が職場で個性と能力を十分に発揮し、活躍できる社会を実現するための法律です。

この法律は2016年4月から施行され、2025年度末に効力を失う時限立法です。また、2019年に改正女性活躍推進法が成立し、2022年4月から全面施行されます。

女性活躍推進法では、101人以上の企業を対象に、女性が活躍するためにおこなうべき取り組みが定められています。この取り組みは大きく分けて4つの段階に分類されます。

  1. 自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析
  2. 一般事業主行動計画の策定、社会周知、公表
  3. 一般事業主行動計画を策定した旨の届出
  4. 取り組みの実施、効果の測定

これらの取り組みにくわえ、101人以上の企業は自社での女性の活躍に関する情報を公開する義務があります。これには、女性の求職者が情報にアクセスできるようにして、優秀な人材の確保や競争力の強化につなげる狙いがあります。

また、取り組みの実施状況が優良な企業を認定する「えるぼし認定制度」が設けられました。えるぼしは評価に応じて星1から星3まで用意されています。さらに、2020年6月から、特に優良な企業を対象に「プラチナえるぼし」が導入されました。

企業はえるぼし認定をPRに利用することで、女性躍進に積極的に取り組んでいることをアピールし、イメージアップにつなげることができます。

働き方改革での女性活躍を後押しする助成金

働き方改革を推進するために、女性が活躍できる職場づくりを支援するための各種助成金制度が用意されています。ここでは、国による支援制度の一つである「両立支援等助成金」について解説します。

両立支援等助成金とは?

両立支援等助成金は仕事をしながら、育児等がおこなえる環境整備を支援する制度です。

出産・育児は親の負担が大きく、これらのライフイベントは特に女性のキャリアアップを阻害してしまう可能性があります。そのため、企業は社員の負担を軽減して、継続して実績を積める環境構築に努めなければなりません。

そのために利用できるのが、両立支援等助成金の中の「出生時両立支援コース」と「育児休業等支援コース」です。

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金制度)は、男性社員が育児休業を取得しやすいよう、業務体制整備をおこなった企業に支給されます。女性の負担が大きくなりがちな育児を、男性が休みやすくするという形でサポートすることが狙いです。

育児休業等支援コースは、育休の円滑な取得と復職支援のための取り組みを実施した企業に支給をおこなう制度です。

女性が活躍できる職場環境をつくるためには、出産・育児などで生じる休職・復職に柔軟に対応できる体制が必要です。これらの助成金は、新しい体制への移行の助けになるでしょう。

[出典:厚生労働省「両立支援等助成金」]

[出典:厚生労働省「2022年度 両立支援等助成金のご案内」]

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働き方改革での女性活躍を成功させた企業事例

ここでは、働き方改革を通じて、女性が活躍できる職場を実現させた企業を紹介します。今回取り上げるのは次の3社の事例です。

  • サイボウズ株式会社
  • さくら情報システム株式会社
  • 株式会社メルカリ

サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社は、毎年の離職率が20%を超えており、人材の確保が大きな課題になっていました。そこで対策の一環として、従業員に自由な働き方を認める「ウルトラワーク制度」を2012年に導入しました。

ウルトラワーク制度を利用すれば、従業員は場所も時間も選ばずに働けるようになります。たとえば、「朝型なので朝5時から14時まで働く」「午前中は子供の行事に参加して、午後に集中して働く」といったことが可能です。

運用にあたっては下記のルールを定め、ルールに反しない限りは従業員に自由な裁量を与えています。

  • チームの生産性を下げない
  • 会議、上司の指示を優先する
  • 部ごとのルールに従い、上司の承認を得る
  • 前日までに業務時間を「スケジュール」に登録する
  • 業務時間中には連絡を取れるようにする

このような取り組みの結果、最大28%にもなっていた離職率は、4%にまで低下しました。

さくら情報システム株式会社

さくら情報システム株式会社では、ダイバーシティ推進を積極的におこなっています。

同社では女性管理職の比率が11.6%(2020年末時点)となっており、同じIT業界内の平均は上回っているものの、低い水準に留まっています。そのため、年度ごとの初任管理職登用者に占める女性の割合を20%以上にするために、教育の充実を図りました。

  • マネジメント育成選抜研修、上級技術者育成選抜研修のモニタリング
  • マネジメント力を強化する場を設ける
  • 人事部の管理職手前の女性社員に対してキャリア面談を実施
  • オンライン座談会など、情報共有の場を提供

さくら情報システムは、女性活躍推進に取り組んだ優良企業に与えられる「えるぼし」の最上位である「段階3」に認定されています。

株式会社メルカリ

株式会社メルカリでは、人生で起こるさまざまなライフイベントと仕事を両立できるよう、2016年にmerci boxという人事制度を導入しました。

merci boxの保証範囲は非常に幅広いですが、特に育児面では下記のような支援を受けられます。

  • 産休・育休による休業からの復職で、一時金を支給
  • 子どもの看護のための特別有給休暇(1年で最大10日間)
  • 子どもの病気による臨時の保育施設、ベビーシッター利用の費用支給
  • 0歳児保育のための費用補助(1ヶ月10万円まで)

同社ではこのような支援制度で社員と家族を支え、従業員にGo Bold(大胆にいこう)な働き方をすすめています。

働き方改革における女性活躍推進の重要性を押さえておこう

女性活躍推進は、働き方改革でも重要な要素です。女性は人口面でも能力面でも、高いパフォーマンスを発揮できるポテンシャルを秘めています。にもかかわらず、女性が活躍できる環境が十分に用意されていないのが現状です。

女性の社会進出がうまくいっていない状態は、社会にとっての大きな機会損失となっています。そのため、女性が活躍できる環境づくりに積極的に取り組まなければなりません。

女性社員が働きやすい職場環境の実現と、スキルアップや昇進がしやすい制度づくりを目指して、できることから始めてみましょう。

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