オフィス改革とは?事例やアイデア・働き方改革を成功させるオフィス作りのポイント
オフィス改革とは、働きやすい職場環境を作るためにオフィス環境を改善していく取り組みのことです。働き方改革を背景に、近年検討する企業が増加しています。本記事では、そんなオフィス改革について、目的や事例など詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
オフィス改革とは?
オフィス改革とは、社員の働きやすさを求め、オフィス環境を改善することです。近年で推進されている働き方改革実現に向けた取り組みのひとつとして、オフィス改革を進める企業が増えています。
オフィス改革には、主に「オフィスレイアウトの変更」や「設備の追加」といった働く空間に対しての改善や、社内制度の改善が挙げられます。
このように、オフィス改革は会社全体としての改革となり、多様な働き方の推進にもつながる施策なのです。
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オフィス改革が働き方改革にもたらすこととは?
オフィス改革は働き方改革を実現するための一手段ですが、一般的には「オフィス改革=働き方改革」と広く捉えられることも多いようです。
では、なぜオフィス改革が働き方改革の実現につながるのか、その理由について2つの観点で解説します。
国単位でオフィス改革が推進されているため
総務省では、働き方改革実現に向け、同時にオフィス改革へ取り組んでいます。総務省行政管理局行政情報システム企画課が行ったオフィス改革で変化した点について、主な内容を以下の表にまとめました。
オフィス改革前 | オフィス改革後 |
大量の書類が積み上げられた机 | 情報を電子化し、スッキリした机 |
役職順のオフィスレイアウト | チームごとに1つの卓 |
打合せは予約制の会議室 | 机やイスを一時的に移動して行う、柔軟な打合せスタイル |
紙を用いた会議 | 各自の電子端末を持ち寄り、スムーズな情報共有 |
このように、総務省ではオフィス改革と働き方改革をセットで推進するよう取り組んでいます。
オフィス改革と働き方改革の親和性が高いため
働き方改革は、多様な働き方の実現を目指すとともに、社員がリフレッシュできる環境づくりやモチベーション向上なども目的としています。
ただ、オフィス改革をせず別の方法で働き方改革を進めても、働く空間や制度が改善されないままでは、働き方改革を実現させることは難しいでしょう。
したがって、社員にとって働きやすい職場環境を整えたり、社内制度を見直したりするなど、オフィス改革を進めることが働き方改革の実現につながるといえます。
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オフィス改革を実施する目的・メリット
ここからはオフィス改革に取り組む目的やメリットについて解説していきます。
社内コミュニケーションの活性化が見込める
オフィス改革によるオフィスレイアウトの変更やフリーアドレス化によって、社内コミュニケーションの強化につながります。
社内コミュニケーションが強化されれば、業務効率化や情報共有の活性化も期待できます。また、他部署との接点を持ちやすくなり、社内全体での連携強化にもつながるでしょう。
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生産性の向上が見込める
情報の電子化や1人で集中できる作業スペースの確保といったオフィス改革によって、生産性の向上につながります。情報が電子化すれば、以前までの紙の書類と比べて管理や探す手間、コピーに必要な紙・インクにかかるコストを削減できます。
そして、1人で集中できる作業スペースやミーティングスペースの確保によって、アイデア創出や意見交換が促進されるため、結果として生産性の向上につながるでしょう。
社員のメンタルヘルス対策につながる
働き方改革・オフィス改革のどちらも、社員の働きやすさを改善する目的があります。社員の働きやすさの改善は業務効率を考慮するだけでなく、社員のパフォーマンスを最大化させるためのリフレッシュやリラックス空間を整備することが大切です。
このように、社員が休むための場所を適度に設けることで、仕事と休憩のオンオフを切り替えやすくなり、仕事にも集中しやすくなるでしょう。
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クリエイティブな活動の促進できる
オフィス改革によってオフィス内の壁が減少し、社内の動きが見やすくなるでしょう。このような流れから、部署が異なる社員同士の交流が深まったり、新たな目線でものを見ることが増えたりします。
そのため、互いの刺激やクリエイティブな発想へとつながり、これまでにない活動を促進することにつながるのです。
社員のモチベーションを向上できる
社員のモチベーションを向上するには、以下のような方法が考えられます。
- 人間関係を円滑にする
- 会社の現状や方向性を伝える
- 挑戦できる環境を整備する
そして、上記の内容はオフィス改革とも関係する部分が大きくあります。オフィス改革によって、仕事のストレスを軽減させることや、業務中の気分転換につながる取り組みを進めることで、社員のモチベーションを向上・維持できるのです。
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オフィス改革を実施する注意点・デメリット
オフィス改革を進めるうえでの注意点やデメリットについて解説します。
生産性が低下する可能性がある
オフィス改革は生産性の向上が期待できる取り組みですが、慣れてきた空間や制度に変化を加えることから、定着するまでの一定期間、生産性が低下することも考えられます。
また、オフィス改革前と比較して自由な雰囲気となる場合が多いため、集中力の低下につながってしまう可能性もあります。
したがって、オフィス改革の目的を明確化したうえで、会社や部署に応じた取り組みや、オフィス改革について社員と意見交換を続けることが大切です。
部下のマネジメント方法の見直しが必要になる
オフィス改革では社内環境が大きく変化するため、以前までのマネジメント方法では部下を適切に管理できないリスクもあります。そのため、ICTを活用したマネジメント方法へと移行しなければなりません。
しかし、マネジメント方法の変化に戸惑う管理職も少なくないため、部下の指導や評価の方法について予め見直すことが必要です。
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情報管理の方法を変更する必要がある
オフィス改革の実現に向けて、ほとんどの企業で情報の電子化を進めることとなるでしょう。これまで紙で管理してきた莫大な情報を電子化しなければならないため、クラウドサービスや新たなシステムの構築が必要となります。
また、情報管理の方法を変更するにあたって、新たなセキュリティ対策も不可欠といえます。
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オフィス改革の具体的な事例
オフィス改革の実現に向けた取り組みを6つ紹介します。
ペーパーレス化
ペーパーレス化によって業務効率化や省スペース化が期待できます。書類の管理や探す手間が省けるうえ、保管する場所も多くは必要でなくなるでしょう。また、コピーに必要な紙やインクのコストも削減できます。
場所にとらわれない柔軟な働き方を実現するためにも重要と考えられており、テレワークやフリーアドレスのスムーズな導入にもつながります。
ペーパーレス化を進めるにあたっては、業務フローの見直しやITツールの導入を検討することが必要です。
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フリーアドレスの導入
フリーアドレスとは、社員に固定のデスクを与えず、オフィス内であれば作業する場所を自由に選べる仕組みのことです。導入するメリットは以下の内容が挙げられます。
- 省スペース化
- 他部署との交流の増加
- コミュニケーションの活性化
- 自由度の高さによるモチベーションの向上
- 整理整頓の常態化
- プロジェクト内容ごとのチーム編成
フリーアドレスの導入は固定のデスクを排除するだけでなく、オフィス内のインターネット環境を整備したり、社員へ電子端末を配布したりするなどの対策が必要となります。
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シェアオフィスの利用
シェアオフィスとは、複数の企業が1つのオフィスを共有することです。そのため、自社専用のオフィスを借りるのに対し、大幅に低コストで利用できるでしょう。
シェアオフィスにはオープンスペースをはじめ、会議室や応接室が設けられていることもあります。オープンスペースではさまざまな企業や個人と交流できるため、情報交換や人脈拡大につながることも期待できます。
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リフレッシュスペースの設置
リフレッシュスペースの設置は、メンタルヘルス対策として重要なオフィス改革です。飲食するための「食堂」「カフェ」や、休憩するための「ラウンジ」などが挙げられます。
業務が滞った際の気分転換や休憩時間の息抜きがしやすくなるでしょう。「マッサージチェアの設置」「ジム」「仮眠スペース」を提供する企業も増えてきているようです。
また、カフェスペースやラウンジを作業スペースとして許可しているケースもみられます。ただ、オンオフの切り替えが難しくなるため、社員の働きやすさや満足度などを考慮しながら、最適な方法を見つけることが大切です。
ミーティングスペースの設置
以前までは、予約制の会議室を設けていることが主流で、時間帯によっては予約が埋まって会議室を利用できないなど、会議室不足が課題として挙げられていました。
適切なタイミングで会議を行えないのは、「アイデアを共有したいときにとっさに打合せができない」など業務効率を下げることにつながります。
そのため、予約不要で気軽に利用できるミーティングスペースの設置が重要です。オフィスの一部分にホワイトボードやディスプレイを設置したり、オープンスペースにあるデスクをミーティングスペースとして利用したりすることが考えられます。
気軽にミーティングを行える場所を確保することで、短時間でも打合せがしやすいため、コミュニケーションの活性化にもつながるでしょう。
テレワークの導入
テレワークの導入は、オフィス以外の場所での業務を可能とします。社員にとって通勤時間の削減やプライベートの時間を確保しやすくするだけでなく、会社にとってもオフィスの省スペース化や経費削減につながります。
オンライン会議システムやITツールを利用すれば、テレワークはさまざま業種で対応可能です。このように、テレワークは多様な働き方を実現するとともに、オフィス改革にもつながっています。
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サテライトオフィスの導入
サテライトオフィスとは企業がある本社とは別の遠方に設置されたオフィスのことであり、社員の働き方を多様化させるのを目的としています。
本社オフィスに出社するのが負担になってしまう社員がいる場合、自宅に近いサテライトオフィスがあれば通勤の負担軽減が可能です。
なお、サテライトオフィスは政府が推進している働き方改革とも親和性が高く、様々な企業で導入が進んでいたり、複数の企業による共同のサテライトオフィスも誕生しています。
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オフィス改革を成功へと導くアイデアの秘訣
オフィス改革はやみくもに始めて成功できるものではありません。オフィス改革を進めるにあたって、さまざまな課題も生まれるでしょう。そこで、オフィス改革を成功させるためのコツをご紹介します。
オフィス改革の目的を明確にする
オフィス改革に取り組む目的を明確化させましょう。明確な目的がなければ、オフィス改革実現に向けた取り組みを導入しても、「定着しない」「定着までに時間がかかる」などの問題を引き起こします。
目的を明確化させるためには、以下3つのパターンが考えられます。
- 経営陣が方向性を決定するパターン
- プロジェクトメンバーが理想の働き方を考慮し、経営陣に伝えるパターン
- ワークショップなどを通じて、社員一人ひとりの意見をまとめ、経営陣に伝えるパターン
上記のいずれの方法でも、目的の明確化は可能です。自社に合った方法を選択するとよいでしょう。
社員と綿密なヒアリングを行う
オフィスのどの部分を改善すればよいのか、社員にヒアリングを行いましょう。経営陣には分からないオフィスに対する不満や意見が得られるかもしれません。
その意見によって、オフィス改革を始めれば、オフィス改革実現に向けた取り組みの導入に社員がギャップを感じることが少なく、スムーズに導入できるでしょう。
選択の幅が広い空間を取り入れる
社員の働く姿勢はさまざまです。「人と話し合いながら」「1人で集中して」「リラックスした雰囲気で」「お客様の対応」など、働きたいモードは個人や日によって異なります。
したがって、フリースペース以外にも「リフレッシュスペース」や「ミーティングスペース」の設置が必要となるでしょう。
また、目的によってスペースを区切っていたとしても、その目的で利用する人がいなければまた別の目的に利用できるように、選択の幅が広い空間を取り入れるとよいでしょう。
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コミュニケーションが取りやすい空間を意識する
オフィス改革は、社員の働きやすさやコミュニケーション強化を目的に実施されますが、便利さを求めるばかりではいけません。
たとえば、デスクの配置を工夫し、部署の異なる人間と接する機会を多くすることで社員同士のコミュニケーション促進が期待できます。また、ゴミ箱やコピー機を一か所に集めることでも同様の効果を生み出せるでしょう。
このように、一見不便に感じられることでも、コミュニケーションを活性化させるためには有効な方法があるのです。
他社のオフィスレイアウトも参考にする
オフィス改革を実施するにあたって、自社に最適な方法を検討することが大切です。しかし、オフィス改革に対する課題が分かっていても、具体的な解決策が思いつかなかったり、どのように実行すればよいのか分からなかったりします。
こういった際は、他社のオフィスレイアウトを参考にするとよいでしょう。参考にする場合、企業規模が同じくらいの企業を参考にすれば、自社に導入できる部分が発見できるかもしれません。
また、オフィスレイアウトの見学を実施している企業もあるため、経営陣だけでなく社員にも参加してもらうことで身近な意見を得られるでしょう。
オフィス改革を実施して働きやすい職場環境へ
オフィス改革は働き方改革を実現するためにも有効な方法です。オフィス改革によって、社員の働きやすさが向上することや、経費削減といった企業のメリットも得られます。
オフィス改革を実現し、生産性の向上や従業員にとってよりよい職場環境を目指し、働き方改革を推進させていくことが重要です。
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