SOHO(ソーホー)とは?オフィス・賃貸物件との違いや最適な職種をわかりやすく解説

最終更新日時:2023/07/12

働き方改革

SOHO(ソーホー)とは

SOHOとは、自宅や小規模なオフィスを職場として活用する働き方のことです。場所や時間に縛られず、自由に稼働できるといった特徴があります。本記事では、SOHOのメリットやデメリット、適している職種に加え、SOHO向けの物件の探し方などを詳しく解説していきます。

SOHOとは?

SOHOは「Small Office Home Office」の頭文字から構成された略語です。SOHOの定義などについて、詳しくみていきましょう。

SOHOの定義

SOHOとは、小規模な事務所や自宅をオフィスとする働き方であり、そのオフィス自体を指す場合もあります。自宅をオフィスとする場合、場所や時間にとらわれないワークスタイルが実現できます。

働き方の多様化により、個人事業主・フリーランスが増加傾向にあるため、SOHO利用者やSOHO向け物件も増えつつあります。ただ、仕事内容によってはSOHO向け物件が利用できないため、事業用の物件・オフィスを契約しなければなりません。

SOHO向け物件とオフィス・賃貸物件との違い

自宅をオフィスとする場合、「現在契約している賃貸物件をそのままオフィスにできるのでは」と考えることもありますが、SOHO向け物件とオフィス・賃貸物件には明確な違いがあります。

SOHO向け物件オフィス賃貸物件
契約形態居住用(住居兼事務所)事業用居住用
会社の表札や看板出せない出せる出せない
家賃に対する税金非課税課税非課税
法人登記オーナーによる可能不可

上記の表から分かる通り、SOHO向け物件は居住用での契約となります。そのため、会社の表札や看板を出すことはできず、法人登記も必ず可能なわけではないのです。

ただ、家賃に対する税金(消費税)が課税されないうえ、オフィスに比べ賃料や保証金が安い傾向にある点が、SOHO向け物件の特徴といえます。

[出典:国税庁「No.6226 住宅の貸付け」]

SOHOのメリット

SOHOというスタイルで働くことのメリットを、3つ紹介します。

場所に縛られることがなくなる

SOHOでは自分で好きな場所を選んでオフィスにできます。そして、SOHOはオフィス内で完結する職業が多いため、物件は都市部に限らず、地方都市など比較的自由に選べるでしょう。また、毎日オフィスに通う必要もないため、日によってはカフェやコワーキングスペースで作業することも可能です。

労働時間を自由に決められる

SOHOには、一般的に定時と呼ばれるような労働時間の縛りがありません。労働時間を自由に決められるため、私生活と両立しやすい傾向があります。自宅をオフィスとする場合、通勤に割かれる時間もなく、プライベートや仕事に割ける時間が増えるため、時間をより有効に活用できるでしょう。

仕事内容を調整しやすい

SOHOは自分の仕事について、クライアントと直接相談したうえで選択できます。会社員は、基本的に会社側の指示には従わなければなりません。そして、繁忙期には、労働時間などにおいて多少の無理が発生することもあるでしょう。

その点、「やりたくない仕事は断る」「プライベートの予定が多い月は仕事を減らす」など、自分で仕事内容や仕事量を調節できるのがSOHOのメリットといえます。

SOHOのデメリット

ここではSOHOのデメリットを3つ紹介します。

収入が安定しない

SOHOは自分で仕事内容や仕事量を調節するため、毎月一定の収入が保証されているわけではありません。状況によっては仕事がなくなる(もしくは減る)場合も考えられるので、会社員に比べて不安定ともいえます。

また、クライアントによって報酬を支払うタイミングや方法が異なる場合があるため、収入に関する管理を自ら行う必要もあります。

仕事とプライベートの区別がつきにくい

SOHOは自宅兼オフィスという形がほとんどです。そのため、自宅内に作業部屋や作業スペースがあったとしても、自宅であることには変わりないため、プライベートと仕事の区別がつけづらいケースも少なくありません。

したがって、生活感のあるものが目に入らない部屋やスペースで仕事をしたり、自分の中で作業時間を設定するなど、仕事とプライベートのメリハリをつけるための工夫が必要となるでしょう。

すべて自分で行わなければならない

SOHOではただ仕事をするだけではなく、クライアントから仕事を受注するための営業活動や納品、経理業務など、仕事に関わるすべての業務を自身で行わなければなりません。

会社のように上司から指示されることもなく、誰かに業務をお願いするわけにもいきません。納期に間に合うようにスケジュールを組んだり、納品物のクオリティを高めるなど、仕事に関する責任をすべて自分で負うことになります。

SOHOに最適な業種・業界

SOHOは、基本的にパソコンひとつで仕事ができるような職業に向いています。ここでは、SOHOに最適な3つの職業を紹介します。

ライター

ライターはインターネット環境とパソコンさえあれば、記事の執筆や編集ができるうえ、場所も選ばないため、SOHOに向いているといえます。クライアントとの打ち合わせや連絡も、オンラインミーティングツールやビジネスチャットで済むので、人と会う機会もそれほど多くありません。

エンジニア

エンジニアはクライアントからの仕様書や指示内容に沿ってパソコンで作業を進めます。エンジニアもインターネット環境とパソコンがあれば、場所は問われないため、SOHOに向いているといえます。

ただ、仕事内容によっては、クライアントの社外秘資料や個人情報を取り扱うため、業務上の制限がかかる場合もあることに注意が必要です。その場合、クラウド利用・セキュリティ強化・NDA(Non-Disclosure Agreement:秘密保持契約)締結などの対策をとるようにしましょう。

デザイナー

クライアントの理念やコンセプトをデザインで表現するデザイナーも、SOHOに向いています。デザインソフトとパソコン、インターネット環境さえあれば可能です。デザイナーには「その人にしか表現できないデザイン」など、クリエイティブな力が求められます。自分らしい発想を得るためにも、自分に合った環境を選択することが重要です。

SOHOで働くための方法・手順

では、SOHOで働くと決めた場合、どのような方法・手順で進めていけばよいのでしょうか。SOHOで働くための手順を次の3ステップで解説します。

  1. 仕事内容の決定
  2. 開業届の提出
  3. クライアント向けの窓口の設定

1.仕事内容の決定

まずは、SOHOで自分がどのような仕事をしていくのかを検討しましょう。仕事内容に応じて、必要な機材やソフトウェア、借りる物件の特徴が変わってきます。

仕事内容を決める際は、これまでの経験や持ち合わせているスキルなどの要素から検討するとよいでしょう。「どういう仕事がしたいのか」という視点と過去の経験を照らし合わせながら検討することで、より自分に適した職業を見つけられます。

2.開業届の提出

仕事内容を決めたら、個人事業を開始したと申告するため、「個人事業の開業・廃業等届出書」(いわゆる開業届)を税務署に提出しましょう。開業届を提出しないままでもSOHOとして働けますが、屋号付きの銀行口座を開設できません。

また、開業届を提出する際、同時に青色申告の申請も済ませておけば、確定申告で青色申告が利用できます。青色申告では、最大65万円の控除を受けられるなど、個人事業主にとって大きな恩恵を得られるので、積極的に申請したほうがよいでしょう。

3.クライアント向けの窓口の設定

最後に、クライアントとつながるための窓口を設けましょう。SOHOでは自分で営業活動を行い、仕事を受注しなければなりません。クライアント向けの窓口としては、以下のような方法が活用できます。

  • クラウドソーシングサイトへの登録
  • SOHO専用のSNSアカウント作成
  • ホームページやブログ作成

上記のような方法で、ポートフォリオや自己アピールを掲載しておくと、自分のスキルや経歴、得意分野などを発信できます。また、クライアント側も、自社が必要とするスキルや実績を持ち合わせている個人事業主・フリーランスにアプローチしやすくなります。

SOHOをはじめる際のチェックポイント

賃貸の自宅をオフィスとするのは非常に難しいものの、業種によりけりですが、基本的には下記を満たしていれば自宅をオフィスとして活用することができます。

  • SOHO利用が許可されているか
  • 法人登記が許可されているか
  • 業種が許可されているか
  • マンション規約で許可されているか

なお、上記のチェックポイントをクリアしていない場合には新たにSOHO物件を借りる必要があることを理解しておきましょう。

SOHOで働く際の注意点

SOHOで働く際に、注意したいことが3つあります。会社員とは大きく異なる部分もあるので、事前に把握しておきましょう。

セルフマネジメント力を鍛える

SOHOは働く時間や場所などに関して自由度が高い反面、上司や同僚などからの監視や指示、評価もないので、注意を怠ると納期遅れなどが発生するケースも考えられます。

事業を継続するためにも、仕事量やスケジュールなどを適切に管理し、クライアントに迷惑をかけないようにしましょう。納期遅れといった問題を繰り返すと、クライアントから契約を切られることもあり得ます。

私生活とのメリハリをつけて業務にのぞみ、タイムマネジメントを意識して取り組むことが大切です。

休日を設定する

SOHOはいつでも仕事ができる反面、明確な休みも決まっていません。「毎日、十数時間働いている」「休みを取らず連続で働いている」など、過重労働には注意しましょう。無理して働いた結果、体調不良などで仕事ができなくなり収入が減っては本末転倒です。

働き過ぎを回避するためには、事前に休日を設定し、その日は必ず休むといったルールを守ることが大切です。「納期に間に合わない」と休日や深夜まで仕事をする事態に陥らないように、余裕を持った行動をとるようにしましょう。

責任感を持って取り組む

クライアントから受注した仕事を納期に間に合わせることはもちろん、納品物の質を高めることも重要です。クライアントから報酬を得ているからには、仕事に責任感を持って取り組まなければなりません。

また、契約内容にもよりますが、クライアントから修正の依頼などがあれば真摯に対応するようにしましょう。納品物の質の高さが、継続的な依頼にもつながるかもしれません。

SOHO向け賃貸物件の具体的な間取り例

自宅兼オフィスにする場合、生活空間とSOHOスペースを完全に区切れる間取りがよいでしょう。

SOHOスペースは玄関から近い位置にあるのが理想的です。SOHOスペースへ行くのに、リビングや寝室を通ってしまうと生活感を感じ、移動のたびに集中が切れる可能性があります。

また、トイレも独立していたほうがよいでしょう。浴室とトイレが一緒の場合、トイレに行くたびに脱衣所が目に入り、同様に、生活感によって集中が切れるかもしれません。

SOHOは来客の頻度は少ないかもしれませんが、打ち合わせなどでクライアントが自宅に訪問することも想定しておくことが大切です。玄関からすぐの部屋で、トイレも独立していれば、クライアントに生活空間を見られる心配もありません。

SOHO向け賃貸物件の家賃目安

東京都を例に挙げ、「渋谷区」「新宿区」「品川区」におけるSOHO向け物件の家賃を、以下の表にまとめました。なお、下記に掲載されている情報は2022年8月29日時点のものです。

渋谷区新宿区品川区
1DK(~30平米)10.9万円程度7万円~10.9万円7.8万円程度
1LDK(~40平米)9.2万円~26.5万円9万円~18.4万円11.3万円~16万円
2LDK(~60平米)19万円~33.5万円18万円~24万円23万円~23.6万円

[出典:不動産・住宅サイトSUUMO]

SOHO向け物件は居住用物件の家賃相場とそれほど変わりません。ただ、「SOHO可」という条件が加わることで、物件数は少なくなる傾向にあるようです。

SOHO向け賃貸物件を探す際におすすめのサイト4選

SOHO向け賃貸物件を探す際に活用できる、おすすめのサイトを4つ紹介します。

1.SOHO東京

SOHO東京では、ベンチャー企業の経営者やこれから起業する人向けに、小規模のオフィス・店舗として利用できる賃貸物件を紹介しています。デザイン性の高い物件も多く、新しい発想が必要となるベンチャー企業にとって、最適な物件がみつかるかもしれません。

さらに、同社では会社設立やオフィス移転の手続き・作業などに対するサポートも行っています。

提供元株式会社トランスリアル
仲介手数料月額賃料の1か月分+消費税
特徴
  • デザイナーズSOHOやリノベオフィスを多数紹介
  • 契約後すぐに使える内装工事不要のローコスト物件も多数紹介
  • 「一戸建て」「屋上・バルコニー付き」「ペット可」など、人が集まるようなオフィスも取扱いあり
URL公式サイト

2.ニフティ不動産

ニフティ不動産では、有名不動産サイトの情報をまとめて一括検索できます。約1,000万件もの物件を取り扱っているため、希望する条件やこだわりに合致する物件が見つけやすいでしょう。

入居条件で「事務所可(SOHO)」と設定のうえ、好みの物件を探してみましょう。

提供元ニフティライフスタイル株式会社
仲介手数料要問い合わせ
特徴
  • 大手不動産サイトをまとめて比較可能
  • SOHO可物件からさらにこだわり条件で検索可能
  • スマホアプリあり
URL公式サイト

3.R-net

R-netは、麻布十番や白金の賃貸物件、港区の高級賃貸物件を中心に取り扱う不動産会社です。取り扱う物件の家賃相場は高い傾向にありますが、デザイン性に優れた物件や高級感のある物件が多数紹介されています。

提供元株式会社アールネット
仲介手数料要問い合わせ
特徴
  • 麻布十番・白金・港区などの高級賃貸物件を多数紹介
  • デザイナーズマンションやタワーマンションなどのSOHO可物件あり
URL公式サイト

4.the SOHO

the SOHOは賃貸物件を紹介するサイトではなく、the SOHOに360区画ものスモールオフィスが集合しており、そのうち1つのオフィスを借りるというものです。「自由度が高く」「快適な」「リラックスできる」「安全な」オフィスであると謳っています。

海を眺望できるタイプのオフィスや、33平米から260平米までのあらゆる広さのオフィスが存在します。そのため、個人事業主やベンチャー企業など、目的や好みに応じて最適なオフィスを選択するとよいでしょう。

提供元株式会社RJオフィス
初期費用要問い合わせ
料金プランオフィスタイプによって異なる
特徴
  • 湾岸エリアに位置し、利便性が高い
  • スモールオフィス360区画の集合体のようなビル
  • 空や海が眺望できるロケーション
  • 「フロントサービス」「食堂」「バーラウンジ」「ジム」など、快適に過ごすための施設あり
URL公式サイト

SOHOはますます注目される新しい働き方

働き方の変化によって個人事業主・フリーランスが増加傾向にあり、SOHOを選択する人も増えてきました。ベンチャー企業などの活動も活発になっていることから、SOHOは今後も増えていくことが予想されます。

SOHOは会社員として働くこととは異なる特徴やメリット・デメリットがあるので、本記事で紹介した注意点なども理解しながら、自分に合った働き方を選択していきましょう。

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ビズクロ編集部
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