CRMにAI(人工知能)がもたらす発展は?AI搭載のおすすめCRM8選も紹介
CRM(Customer Relation Management)は、顧客関係管理と呼ばれ、企業と顧客間の関係を最適化するためのツールです。本記事ではAI搭載のCRMについて解説するとともに、従来のCRMとの違いやおすすめのツールをご紹介します。
目次
CRM(顧客関係管理)とは?
ライフスタイルの多様化や市場競争のげきか、社会の情報化などが進んだ背景から、顧客情報の適切な管理と活用が、より重要度を増すようになりました。
インターネットを検索するだけで、競合商品・サービスが見つかり、比較も簡単にできる時代には、適切なアプローチによる顧客との強固な関係性の構築が必要となります。そこで注目されるようになったのが、CRM(顧客関係管理)という考え方です。
CRMは、膨大な顧客情報を効率的に管理・分析し、顧客のニーズと特性を的確に把握し、利益の最大化を図るためのマネジメントやマーケティング手法の一つです。
そのため、CRMツールには、あらゆる顧客情報の管理、データ分析、ほかツールとの連携によるプロモーション管理などの機能が搭載されています。
▷CRM(顧客関係管理)とは?機能や重要性など基本知識をわかりやすく解説
AI(人工知能)とは?
AI(人工知能)とは、人間の知的な活動を、人工的に再現する技術です。AIの機能は、主に機械学習といった技術をベースにして開発されています。
この機械学習とは、与えられたデータから何らかの規則性を見つけ出し、分析・予測を行う技術です。AIと聞くと、近未来的な万能ロボットをイメージする方も多いかもしれませんが、AIはあくまで与えられたデータによる分析と予測を行う技術のため、決して万能ではありません。
そこで、機械学習の進化版として開発が進められているのが、「深層学習(ディープラーニング)」です。ディープラーニングでは、人の脳神経の仕組みを真似たシステムにより、記号化されていない情報のパターン認識が可能となった、機械学習の中の一種の技術です。
深層学習の登場により、音声や画像などの記号化できないデータの認識・分析がAIによって可能になりました。
CRMツールにAIを搭載すると何が変わるのか?
現代のビジネス環境は、社会のIT化により、顧客が自ら情報収集し、取捨選択ができる環境が整っています。
このような背景が、競争の激化やニーズの多様化を促進させた要因の一つとなっていることは事実ですが、その一方で、企業が顧客に関する属性や嗜好、行動パターンなどの情報を収集しやすくなったのも事実です。
そこで企業には、膨大なデータ管理と分析、そして、分析結果を活かした商品開発や営業活動などの「顧客視点」のマーケティング戦略が、より求められるようになりました。当然、膨大な顧客データは、蓄積しておくだけでは利益にはつながりません。分析し、見つけ出した法則性を事業活動に活用することで、はじめて有効となります。
CRMツールにおけるAIは、この分析機能のベースとなる技術であり、つまりはCRMによる利益の最大化の根幹となる機能なのです。
AIを搭載した搭載CRMツールの特徴とメリット
AIを搭載したCRMツールでは、具体的にどのようなことが実現できるのでしょうか。
AIを活用したCRMツールの機能についてご説明します。
多角的な分析
CRMツールの最大の特徴であり、活用したい機能が多角的な分析機能です。
具体的には、顧客の特徴を詳細に渡って把握できる顧客分析だけでなく、優良顧客の特定と傾向、購入の確度による顧客の優先度づけ、複雑な項目によるセグメンテーション、売上分析など、顧客視点で売上を拡大するための多様な分析が可能です。
そのため企業は、これらの分析手段を用途や目的によって、複数組み合わせて顧客理解を深めることができます。
▷セグメンテーション分析とは?重要な理由や具体的な方法・成功事例を解説
顧客行動の把握
購入理由・購入の決め手、購入時期、購入方法、購入頻度などの顧客行動についても、膨大なデータを、一元的かつリアルタイムで分析することで、適切かつ無駄のない顧客へのアプローチが可能となります。
その結果、リピート率の向上や優良顧客の育成が、効果的かつ効率的に行えるでしょう。
プロモーション管理機能
分析による顧客理解、顧客行動の可視化は、実効性のあるマーケティング戦略に活かすことができます。
効果の低いプロモーションは、企業にとって無駄な作業やコストとなるだけでなく、顧客にとっても、興味のないアプローチが繰り返されるのは、気分のいいものではありません。
AI搭載のCRMツールでは、顧客分析をもとにしたメルマガ配信やキャンペーンの実施など、顧客視点のプロモーション管理ができるのも大きな特徴です。
AI搭載型のCRMツールおすすめ8選
ここからは、AIを搭載したCRMツールのなかから、おすすめの8つをご紹介していきましょう。
1.CCReB AI
CCReB AIは、不動産の法人営業に特化したCRMツールです。
各企業の中期経営計画や有価証券報告書などの公開資料をAIエンジンが解析、不動産に直接・間接的に関連するワードをスコアリング化し、不動産ニーズのある企業を効率的に抽出します。
2020年2月にサービス提供を開始した、比較的新しいツールですが、不動産営業において膨大な時間を要することの多い企業分析、営業リスト作成などを、大幅に効率化することができます。
提供元 | ククレブ・アドバイザーズ株式会社 |
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初期費用 | 無料 |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
2.Microsoft Dynamics 365
Microsoft Dynamics 365は、米企業のマイクロソフト社が提供するビジネスアプリケーションです。
Dynamics 365は、複数のアプリケーションの総称であり、その1つである「Dynamics 365 Sales」にはCRMの機能が含まれています。そのほかにも、MA用や顧客対応管理、プロジェクト管理などのアプリケーションが揃っているため、連携できる点が魅力です。
提供元 | 日本マイクロソフト株式会社 |
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料金プラン | 【Dynamics 365 Sales】
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導入実績 | 世界24万社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
3.Eight Team
Eight Teamは、組織内の名刺情報を集約し、共有性を高める名刺のデータベースです。
AI-OCR機能を使った名刺情報のテキストデータ化により、自動でデータベースを構築。閲覧性と検索性の高い名刺管理が可能となるだけでなく、社内の共通の知り合いを可視化する機能なども搭載しています。また、機能のシンプルさと低コストでの利用が可能な点も特徴です。
提供元 | Sansan株式会社 |
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基本使用料 | 1チーム13,200円(税込)/月 ※年間契約のみ。途中解約は原則として不可。 |
料金プラン | 月額440円(税込)/1ユーザー |
導入実績 | 2,300社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
4.GeAlne
GeAIne(ジーン)は、商談の可能性が高い企業を、受注リストなどの顧客データからAIが自動で抽出してくれる、アポイントの獲得に重点を置いたツールです。
CRM機能も搭載していますが、どちらかというとSFA機能が充実したツールと言えるでしょう。
提供元 | エッジテクノロジー株式会社 |
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初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 【基本プラン】 ビジネス
スタンダード
ハイエンド
【営業リスト付プラン】 ビジネス
スタンダード
ハイエンド
※1週間の無料トライアルあり ※最低利用期間3か月 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
5.Sales Force Assistant
Sales Force Assistantは、営業支援システム(SFA)・顧客関係管理システム(CRM)を、業種・業態別、営業スタイル別のシリーズ製品として展開しています。
自社の事業や営業スタイルに合わせてシステムを選べるほか、専属アシスタント「AI秘書」の業務サポートにより、営業担当者の業務負担を軽減できる点が特徴と言えるでしょう。なお、Sales Force Assistantには、クラウド版とオンプレミス版があります。
提供元 | 株式会社NIコンサルティング |
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初期費用 | 55,000円(税込)※クラウド版 |
料金プラン | クラウド版
※各料金は1名あたり ※最低1名以上、2000名以下 ※最低利用期間が6か月 オンプレミス版
※全て5ユーザーライセンスの価格。 ※ライセンス数により価格が変動します。 |
導入実績 | シリーズ累計8000社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
6.SalesForce Sales Cloud
Salesforce Sales Cloudは米国企業であるセールスフォース社が開発したCRMツールです。売上管理や顧客管理といった基本的な機能から、AIを使った売上予測など高度な機能も揃っています。
30日間の無料トライアル期間があり、導入時の運用や課題をトライアル期間中に確かめることも可能です。トライアル期間終了後はユーザー数やカスタマイズによって料金も変化するため、継続で使用するならばトライアル期間中にプランを検討しておきましょう。
提供元 | Salesforce, Inc. |
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初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | Essentials
Professional
Enterprise
Unlimited
※無料トライアルあり |
機能・特徴 | 顧客管理、案件管理、見込み客管理、レポートとダッシュボード、モバイル、売上予測、メールの連携、ワークフローと承認、ファイルの同期と共有 など |
URL | 公式サイト |
7.Senses
Sensesは、とことん現場目線にこだわって開発された営業支援ツールです。
CRM機能が搭載されているほか、蓄積された情報からAIが営業の成功・失敗事例を解析して営業活動をアシストするなど、営業活動の最適化が実現できる機能の豊富さが魅力のシステムです。
提供元 | 株式会社マツリカ |
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初期費用 | 無料 |
料金プラン | Starter
Growth
Enterprise
スタートアップ支援プラン
※Starter、Growthプランは無料トライアルあり |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
▼現場ファーストでビジネスを成長させる!営業管理ツール「Senses」▼
8.Zoho CRM
Zoho CRMは、アメリカ発の世界中にユーザーを獲得しているCRMツールです。
比較的、低価格の月額料金ながらSFAやMAなどの機能も充実しており、CRMの情報を活かした営業やマーケティングまでを1つのシステムに集約することができます。また、あらゆる業務の自動化にも優れているため、業務負担の軽減も期待できるでしょう。
提供元 | ゾーホージャパン株式会社 |
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初期費用 | 無料 |
料金プラン | 月間契約
年間契約
※全て1ユーザーあたりの価格。 ※15日間の無料お試しあり。 |
導入実績 | 世界25万社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
無料のCRMおすすめツール3選
近年では、無料で利用できる、AI搭載のCRMツールもあります。
ここでは、無料で使えるCRMツールを3つご紹介していきます。
1.Hub spot CRM
Hub spot CRMは、無料ながら顧客管理や営業支援などに役立つ機能が充実したツールです。
最大100万件のコンタクトと会社が保存でき、ユーザー数とストレージは無制限。無料ツールは、期間制限なく、ずっと無料で使用することができます。
提供元 | HubSpot Japan |
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初期費用 | 無料 |
料金プラン |
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導入企業数 | 14万社以上 |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
2.Ambassador Relation Tool
Ambassador Relations Toolは、株式会社コンファクトリーが提供する初期費用・月額費用がいずれも無料のCRMツールです。
顧客の購入履歴から、「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」の3つの指標を用いて顧客をグループ分けするRFM分析を無料版でも使用することが可能です。
各グループ(ランク)に応じた施策を行うことができ、顧客属性に合わせて最適なマーケティング活動を実施できるなど、無料とは思えない充実した機能が利用できます。
提供元 | 株式会社コンファクトリー |
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初期費用 | 無料 |
料金プラン | フリープラン
クラウドプラン
クラウドBプラン
サーバ設置プラン
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機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
3.Fullfree
Fullfreeは、株式会社フリースタイルが提供する、ダウンロードして使用するCRMツールです。
データベースソフトのため、顧客管理システムを無料かつ自由にカスタマイズできる点が特徴。クラウド共有により複数台のパソコンによる共有・操作も可能です。
提供元 | 株式会社フリースタイル |
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初期費用 | 無料 |
料金プラン | 無料 |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
AI搭載のCRMツールを活用する際の注意点
最後に、AIを搭載したCRMを活用する場合の注意点について詳しくご説明します。
AIによる分析が全てではない
AIび技術は日々進化しているとはいえ、AIが導き出す顧客行動の分析や予測は、あくまで過去のデータの傾向にすぎません。
例えば、「一緒に購入されやすい商品」の可視化はできたとしても、その背景にある「なぜ」を見出すことはできないのです。あくまで顧客理解を深めるための指標の一つであることを認識しましょう。
データに誤りがあれば、結果も信憑性を失う
CRMツールにおけるAIによる分析は、記録されたデータに基づいて行われます。そのため、データが増えれば増えるほど分析の精度も向上することになりますが、当然、データが間違っていれば正確な分析はできません。
また、データに不具合や不都合が起きていないかを確認するのは、人の目であることを理解しておく必要があります。
選ぶツールによってはコスパが低下してしまう
顧客情報は活用できる業務範囲が広いことから、CRMツールもシンプルな機能のものから、多機能なものまでさまざまです。
ただし、多機能なツールは、料金プランも高額になる傾向のため、不必要な機能まで搭載したCRMツールを選んでしまうとコストパフォーマンスが下がってしまうこともあるでしょう。必要な機能の見極めとコストのバランスが大切です。
AI搭載のCRMを使って「無価値」な戦略を無くそう
AI搭載のCRMは、顧客情報の分析により、顧客理解を深め、顧客視点に立った営業戦略やマーケティング活動を可能にしてくれるツールです。
CRMツールの活用により、ぜひ成果が期待できない仕事を排除し、価値のある仕事に注力できる環境の構築を実現しましょう。
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