マニュアルと活用すべき業務チェックリストとは?作成方法や運用のコツ
チェックリストが付いたマニュアルは、タスクの漏れや確認ミスの防止、業務品質の標準化といったメリットを得ることのできるツールです。本記事では、マニュアルに活用したい業務チェックリストの作成方法や運用するためのコツを紹介していきます。
目次
マニュアル内で活用すべき業務チェックリストとは?
ビジネスシーンでは、主に業務の標準化や引き継ぎ時の資料として活用されるマニュアルについて、改めてその目的と役割を確認してみましょう。
マニュアルとは?
マニュアルとは、業務に関するノウハウや進行手順をまとめた業務手引きのことです。
手順書としての機能はもちろん、業務の必要性や起こりやすいミスなどの注意点を盛り込むことで、業務の品質を確保し、かつ、社員が責任感を持って業務を進めるための指南書としての機能も兼ね備えています。
そのため、マニュアルには「誰でも、いつでも、同じ品質で業務を遂行できる」情報を明記する必要があり、作成時には業務を熟知した社員の豊富なナレッジが不可欠となります。
▷マニュアルとは?正しい意味や重要性・基本的な作り方を徹底解説
チェックリストとは?
チェックリストとは、主に業務の手順や確認事項などを箇条書きで簡潔にまとめ、レ点などのチェックをしながら、作業もれや品質に問題がないかを確認するためのものです。
抜け漏れなく業務を確実に進めるために活用されるツールで、製造、開発から営業、管理部門など、職種を問わずあらゆるシーンにおいて使われています。
マニュアルとチェックリストの違い
効率的かつ一定の品質で業務を遂行するために、マニュアルには抜け漏れなく業務内容や手順を網羅することが求められます。
一方、チェックリストは、ミス防止により作業の品質を保つことが目的のため、説明事項などを細かく記載する必要はありません。
つまりチェックリストは、ミスを起こさないために「やらなければならないこと」と、「やってはいけないこと」を「簡潔」に「網羅」することが重要なポイントであり、マニュアルとは担う役割が異なるのです。
▷マニュアルは本当に不要?無駄・必要ないと考える人の落とし穴
業務チェックリスト作成前に押さえておきたいポイント
作業品質を確保するための重要な役割を持つチェックリストですが、内容が的確でなければその役割を果たすことはできません。
ここでは有効活用されるチェックリストを作るために押さえておきたいポイントをいくつか紹介します。
目的や運用場面を明確にしておく
チェックリストは、「誰が・いつ・何のために使用するのか」によって、その内容やフォーマットが大きく変わってきます。まずは、この点を明確にしておくと、リストに入れるべき項目も絞りやすくなるでしょう。
▷マニュアル作成の目的と必要性とは?無い場合の課題や活用方法を解説
業務の性質を整理しておく
チェックリストは、必要な事項を簡潔にまとめることが効率的かつ効果的に運用するポイントです。そのため、チェックリストの必要の可否や記載項目を決める上では、その業務において「ミスが発生した際の波及効果」がひとつの指標となるでしょう。
作業のミスが「人命に関わる危険を及ぼす」「損害賠償や違約金が発生する可能性がある」といった重大なインシデントにつながるような業務であれば、当然、チェックリストによる確認作業を実施すべきであり、及ぼす影響が深刻なほど厳密なチェック項目が必要となります。
作業者の負担を考慮しておく
チェックリストを作成する際には、実際に使用する作業者の視点から項目や運用ルールを設定していくことも大切です。
チェック作業が、本来の「ミス防止」という目的を逸脱して、大きな業務負担となっていたり、生産性を大幅に阻害したりするようでは、適切な運用とは言えません。また、このような状況では、チェック体制の習慣化を妨げてしまいます。
現場の大きな負担にならない、効率的な運用を前提条件とし導入を進めましょう。
▷マニュアルと手順書の違いとは?役割や作成手順・運用ポイントを解説
マニュアルで活用する業務チェックリストの作成方法
ここからは、実際にチェックリストを作成する際のプロセスを解説していきます。
1.作業内容を整理する
まずはチェックリストの作成計画を立てましょう。主に、以下のような項目が含まれます。
- 作業項目と実施順序
- それぞれの具体的な作業内容と注意事項
- 作業時の確認事項
- 作業時間
- 作業者
「誰が、いつまでに、何をするか」を明確にスケジュールに落とし込んでから、チェックリスト作成を開始することで、無駄なく効率的に作成を進めていくことができます。
具体的には、Excelやスプレッドシートなどで、作業事項と担当者を時系列でまとめた計画表を作成しておくと便利です。また、作成計画には、必ずチェックリストを使用する現場社員へのヒアリングを忘れずに実施するようにしましょう。
2.運用方法を選択する
印刷したチェックリストを活用するのか、または、パソコンやタブレットなどの端末で確認作業を行うのか、運用方法を決定します。
作業環境と照らし合わせ、より効率的な方法で運用することが重要です。習慣化や効率を考えるのであれば、パソコンやタブレットでの運用の方がコストや手間を軽減できます。複数メンバーで同時に使用するケースが想定されるのであれば、リアルタイムで同時編集が可能なスプレッドシートを用いるのも便利です。
また、クラウド型チェックリストツールでは、チェック項目と実際の業務品質の紐付け・分析が容易に行えるため、組織の生産性向上という点からもおすすめの方法です。
3.チェックリストを作成する
作成計画や運用形態が決まったら、実際にリスト作成のスタートです。作成は、大きく分けて以下の4つの工程で進めるとよいでしょう。
整理した業務の粒度を揃える
ヒアリングした内容を、文章にしてたチェックリストの場合、肝心の「確認すべき事項」が埋もれてしまう場合があります。チェックリストは必ず、「簡潔な箇条書き」にできるよう、各項目の粒度を揃えなければなりません。
例えば、一連のチェック作業であっても「数量と重量および傷や破損がないかを確認する」といったリストへの記載方法では、いずれかの確認事項が抜けてしまうリスクが発生します。「数量を確認」、「重量を確認」など、分けて記載するようにしましょう。
ただし、粒度を揃える際には、チェックリストのボリューム(項目)が膨大になりすぎないように留意することも重要です。
カテゴリーや時系列で整理する
チェック項目の記載順が実際の作業の流れと合っていない場合、リストを行ったり来たりしながら確認することになり、効率が悪いだけでなく、抜け漏れが発生しやすくなってしまいます。チェック項目は、実際の作業の流れや作業の時系列に合わせて整理するようにしましょう。
確認項目の欄を設ける
チェックリストの確認自体が抜けてしまっては意味がありませんし、チェック項目が多い場合は、確認したかどうかを忘れてしまう場合もあるでしょう。チェックボックスやプルダウンメニューなどを設定し、確認済みなのかどうかがひと目でわかるようにします。
スプレッドシートなどでは、全てのチェック項目の完了していることを、「確認中」や「確認済み」といったステータスに反映させて、よりわかりやすく可視化することも可能です。特に重要度の高い業務のチェックリストには、このような機能も活用すると良いでしょう。
入力欄を設ける
一つのチェックリストを業務の流れに沿って複数名が利用する際には、簡単な申し送りができる入力欄や備考欄などを設けておくのも良いでしょう。
ただし、チェックリストはあくまで確認のためのツールであり、報告や情報共有を目的としたツールではありません。入力欄を設けることで、本来であれば、直接伝えるべき内容を「情報共有したつもり」になってしまい、トラブルが生じるようであれば削除してしまっても良いでしょう。
4.実際に運用し評価してもらう
チェックリストが完成したら、まずは試験的な導入を実施し、現場からのフィードバックをもらいましょう。リストの運用形態といった基本的な部分はもちろん、「項目の過不足」「リストの記載順」など、実際の業務に合った内容になっているかを確認します。
現場からのフィードバックを反映しながら徐々にアップデートをしていくPDCAサイクルを回すことで、チェックリストがより現場に定着しやすくなります。
▷【基本】見やすいマニュアルの作り方!失敗しないコツやポイントも解説
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チェックリストやマニュアルを運用するためのコツ
マニュアルやチェックリストは、運用を習慣化させることもゴールに含まれています。
ここからは運用におけるコツを解説していきます。
目的や意味を理解してもらう
まずは「運用の目的」に対する全社的な理解を得るようにします。
マニュアルやチェックリストの導入には、文書やリストの作成、導入後の確認作業といった、業務が発生するため、目的やメリットへの理解がない場合は、ネガティブな印象を受ける社員がいてもおかしくはありません。反対にメリットについての共有が徹底されていれば、全社的な協力体制を気づくことも可能です。
「なぜ必要なのか」「どのような効果が期待できるのか」は、運用開始前に、必ず社員へと共有しましょう。
▷マニュアルが活用されない原因は?よくある課題や整備の必要性を解説
必要最低限の項目で作成する
チェックリストが、ミス防止の目的以上に、そのほかの業務を大きく圧迫するほどの負担になってしまっているようでは、そのほかのミスの原因となってしまうかもしれません。
チェックリストの作成は、特に「効率」を常に念頭において進めなければなりません。項目数は必要最低限に抑え、確認項目は判断基準を明確かつ簡略に記載するようにしましょう。
また、網羅性が重要なマニュアルについても、文章は「誰が読んでも同じ捉え方ができる内容」と、「簡潔にまとめる」点をポイントにして作成してください。
▷マニュアル作成におけるデザインの重要性とは?作成時の注意点も解説
ツールはシンプルな物を使う
チェックリストは、使用するツールは誰でも簡単に使用できるものを選ぶことが、運用を定着させるコツです。普段から業務の中でタブレットやPCを使用している場合は、そのままの端末上で使用できるクラウド型ツールが便利でしょう。
▷業務マニュアルが簡単に作成できる無料テンプレートサイト9選!
業務チェックリスト作成におすすめのツール3選
ここからは、チェックリスト機能が搭載された業務管理ツールを紹介していきます。
業務の抜け漏れを防止する機能以外にも、タスク管理機能をはじめ様々な機能が搭載されているため、目的にあったツールを選定する際の参考にしてみてください。
1.Lychee Redmine|株式会社アジャイルウェア
Lychee Redmineは、ソフトウェア開発におけるプロジェクト進捗管理を行うためのツールとして活用されていました。シンプルな操作画面と操作性のほか、クラウド型とオンプレミス型の選択肢から、組織に合った導入形態が選べる点が特徴です。
チェックリストの作成だけでなく、タスクとスケジュールの可視化に加え、各担当者の業務負荷もリアルタイム確認できるため、チーム全体を俯瞰しながらの進捗管理を実現します。
そのほかにもコストの健全性をチェックする出来高管理機能やコスト分析機能、また適切な納期短縮を可能にするCCPM導入など、多角的にプロジェクトの進捗を管理し生産性向上を支援してくれるツールです。
提供元 | 株式会社アジャイルウェア |
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初期費用 | 要問い合わせ(無料トライアルあり) |
料金プラン | 【クラウド】
【オンプレミス】
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導入実績 | 5,000社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
2.Jooto|株式会社PR TIMES
Jootoは、カード型のタスク管理による直感的な操作性を強みとするカンバン方式の管理ツールです。
基本操作はドラッグ&ドロップのみ。1つのダッシュボード上で、付箋を貼ったり、はがしたりするようなイメージで複数のプロジェクトを管理できる、シンプルなレイアウトが大きな魅力と言えます。
また、プロジェクトの円滑な進行に必要なコミュニケーションを強化する機能が充実している点も特徴です。タスク管理の画面上で関連したコミュニケーションが取れるため、必要な情報の共有・伝達がスムーズに行えるメリットがあります。
提供元 | 株式会社PR TIMES |
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初期費用 | 要問い合わせ(無料トライアルあり) |
料金プラン |
【年間契約】
【月間契約】
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導入実績 | 約1,800社【※2022年3月末時点】 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
▷チェックリスト作成で業務の抜け漏れを防ぐタスク管理ツール「 Jooto」
3.Trello|アトラシアン株式会社
Trelloは、プロジェクトチーム内での連携強化をひとつの目的としたツールのため、プロジェクト管理・タスク管理・チーム内のコミュニケーションなどをすべてツール内で完結できる点が最大の強みです。
各プロセスを視覚的に細分化できるボードの活用により、複雑な要因が絡み合う進捗管理においてもスムーズな進行が可能となり、ストレスフリーにタスクを進めていくことができます。
また、プロジェクトボード上の操作を自動化してくれるBulterも、ツール操作の手間削減や利便性向上に役立ちます。
提供元 | アトラシアン株式会社 |
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初期費用 | 要問い合わせ(無料トライアルあり) |
料金プラン |
【月間契約】
【年間契約】
※ENTERPRISEはユーザー数により価格が変動するため、要問い合わせ |
導入実績 | 世界200万チーム以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
チェックリストを上手に活用して業務の漏れを防ごう
世界のナレッジワーカーを対象とした調査では、勤務時間の約60%が、仕事の調整や確認作業といった「仕事のための仕事」に費やされているという結果がでています。
人の目や手作業によって業務を遂行する上では、人的ミスや業務品質のバラツキを完全に排除することは困難です。そのため、確認作業は必須のプロセスであり、それらの作業には、日々多くの時間や労力が使われているのではないでしょうか。
そのようなチェック作業を抜け漏れなく実行し、円滑かつストレスなく進めるために活用したいのがチェックリストです。今回紹介したコツを参考に、的確なチェックリストを作成し、ぜひ運用の標準化を目指してください。
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