マニュアルが読まれない?作成や運用でよくある失敗と解決策を解説
社内で、マニュアルが使われずに放置されていませんか?マニュアル作成の失敗例を把握しておくことで、そのようなマニュアル作りを回避できます。本記事では、マニュアル作成の失敗談と解決策をご紹介しています。誰も読まないマニュアルを作らないために、是非ご覧ください。
目次
なぜマニュアルの作成や運用に失敗してしまうのか?
業務のマニュアル化に失敗してしまう原因はさまざまです。作成や運用など、失敗する段階によっても解決策は異なりますが、マニュアル化に成功すれば、「業務効率化」「教育コストの削減」「属人化の防止」などのメリットを得ることができます。
マニュアルの作成や運用に失敗してしまうと、逆効果になる可能性もあります。業務のマニュアル化を成功させるためには、作成と運用、それぞれの段階でよくある失敗例と解決策を理解することが大切です。
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作成に関する3つの失敗例と解決策
作成に関して、マニュアル化の失敗例と解決策を3つ紹介します。
例1:作成途中で挫折してしまう
マニュアルを作成するにあたって、「空き時間に少しずつでいいから進めて欲しい」と指示されることも多いようですが、業務の合間でマニュアルを作成することは困難です。
業務のマニュアル化といっても、複数の業務をすべて言語化する必要があり、マニュアル作成の作業量は少ないものではありません。
また、マニュアル作成と同時に通常の業務も進めなければならないため、マニュアル作成が後回しになってしまいがちです。こういった場合、マニュアルが完成するまでに時間がかかったり、マニュアルの質が低下したりする可能性もあるので、注意が必要です。
このように、マニュアルの作成業務に集中できない状況であると、作成途中で挫折することに繋がりかねません。
解決策:専門の人員を配置をする
マニュアル作成は、今後の業務効率化といった目的を達成するためにも重要な業務のひとつです。
したがって、マニュアル作成に関して専門の人員を設置しましょう。マニュアルの作成業務に集中できる人員を設けることで、より迅速で質の高いマニュアル作成を期待できます。
また、通常業務の合間で作成とならないために、「一日に3時間」や「13時から15時まで」など、マニュアル作成にあてる時間を決めておくとよいでしょう。
例2:社員一人に作成を任せている
マニュアル作成を端的に言えば「業務の言語化」です。この作業を一人の社員に任せてしまうことも少なくありません。しかし、マニュアル化する業務の種類は複数あり、任された社員が業務内容を把握しないまま作成することも考えられます。
また、業務量の多いマニュアル作りを一人の社員に一任すると、なかなか作成が進まないことも考えられるため、マニュアルの質の低下に繋がる可能性も否めません。
解決策:プロジェクトとしてチームを組む
マニュアル作成をひとつのプロジェクトとして認識し、作成チームを組むことが大切です。チームを組んでマニュアル作成を進めることで、各業務に詳しい社員による正確なマニュアル化や複数回にわたるチェックで、不備のないマニュアル作成が期待できます。
ただ、「チームを組む」ということは複数の社員を集めればよいわけではありません。チームとして集めた社員全員が同じ目標・方向に向かってマニュアル作成に取り組むことが大切です。
例3:スケジュールを明確に立てていない
マニュアル作成においてスケジュールを立てずに進めようとすると、「通常業務に余裕ができたときに進めればよい」と考えてしまう可能性があります。通常業務の合間や空き時間だけで質の高いマニュアルを完成させることは困難でしょう。
そして、スケジュールを立てないことによって、完成までの時間が長引くことや、そもそも完成まで至らないということも考えられます。
解決策:作成前に下準備をする
マニュアル作成に取りかかる前に、いつまでに完成させなければならないのかを明確にしたうえで、マニュアル作成の計画を立てましょう。「いつまでに」「どの部分まで」を作成するのか、期限から逆算する必要があります。
また、マニュアルの方向性を定めるためにも、「誰のため」や「どのような目的なのか」なども明確にしておくとよいでしょう。このように、マニュアルを作成する前には下準備を行うことが大切です。
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運用に関する3つの失敗例と解決策
運用に関して、マニュアル化の失敗例と解決策を3つ紹介します。
例1:要点が把握しにくい
マニュアルが完成しても「要点を把握しにくい」「読みにくい」といった内容だと、マニュアルの効果を最大化できません。文章ばかりのマニュアルも硬い印象を与えるため、社員が活用したいと思えないこともあるでしょう。
また、ページによってフォーマットが異なったり、作成者によって要点の記載方法が異なったりすると、読みにくいだけでなく業務内容を誤って把握されることや勘違いを生む可能性も考えられるのです。
解決策:強調の編集や図・表などを使用して視覚的に作成する
要点を視覚的に分かりやすくするため、文章において「文字のサイズ」「文字の色」「下線」などを工夫したり、文章だけでは伝わりにくいと考えられる部分は「図」「表」などを利用して、読み手がより理解しやすいマニュアルを作成することが大切です。
ただ、強調するために色や図を使いすぎても、情報がまとまっていない印象を与えてしまいます。したがって、使う色や下線は数種類に絞り、図や表もバランスよく配置するとよいでしょう。
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例2:説明が抽象的で伝わりづらい
マニュアルの内容が抽象的だった場合、人によって様々な解釈を生む可能性があります。個々で異なる解釈をしてしまうと、業務の手順やルールを正しく理解するためにマニュアルを活用するはずが、誤った業務を覚えたり上司に確認する手間がかかったりするなど逆効果となるでしょう。
また、補足説明を前提としてしまうと、マニュアルを使用する人が「何を覚えればよいのか分からない」といった混乱を招く可能性があります。このように、内容が抽象的であるとマニュアル本来の役目を果たしません。
解決策:読み手に配慮して作成する
マニュアルは誰が読んでも、同じ解釈となるような内容にすることが重要です。
たとえば、「契約後すぐに書類を提出する」という内容を記載する場合、「すぐに」は契約が成立した直後なのか3日以内であればよいのかなど、さまざまな解釈を生みます。したがって、「すぐに」という抽象的な表現は避け、「3日以内に」など具体的な内容で記載しましょう。
また、業務に慣れた社員からすると当たり前のことでも、新たに業務を覚える社員にとっては何が当たり前なのか把握できていません。そのため、当たり前だと思っている細かい部分まで、丁寧に説明することが大切です。
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例3:形骸化してしまい情報が更新されていない
最初に作成したマニュアルを一生使い続けることは不可能といえます。なぜなら、「新しい業務システムが導入された」「以前の業務手順に無駄があった」などの理由で業務手順は改善され続けるためです。
しかし、マニュアルが形としてただ残っているだけで、内容が更新されていないことがあります。この場合、マニュアルを活用して業務を覚えようとした社員が、現在の業務内容とはまったく異なる古い業務手順を覚え、混乱してしまうことも考えられるのです。
解決策:定期的にマニュアルを更新する
マニュアルは一度作成しただけで終わらず、業務手順に変更があればその都度更新することが大切です。マニュアルを常に最新の状態にしておくことで、現場の混乱を防げるでしょう。
また、大きな変更がない場合でも定期的に見直す必要があります。マニュアルを見直す機会を定期的に設けることで、現場の意見を取り入れた業務手順の見直しにもつながります。
マニュアルの更新や変更を定期的におこなうため、マニュアルの担当者を設置したり、「月に1回」など見直す頻度を設定したりすることがおすすめです。更新した内容については、現場の従業員にも明確に伝えて情報共有することも大切です。
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マニュアル作成で大事な3つのポイント
マニュアルを作成するうえで、大事なポイントを3つ紹介します。
1.読み手であるターゲットを具体的に想定する
マニュアルは種類によって読み手が「新入社員」「中堅社員」「幹部社員」などと異なります。そのため、読み手が誰にあたるのかを具体的に想定し、ターゲットのレベルに合わせたマニュアルを作成しなければなりません。
読み手のことを想定せずに作成すると、読み手にとっては難解なマニュアルになってしまうこともあるでしょう。したがって、読み手を具体的に想定し、読み手目線で作成を進めることが大切です。
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2.フォーマットを統一してシンプルな内容に
さまざまなフォーマットで作成されたマニュアルは統一感がなく、読みにくい印象を与えてしまいます。
詳細まで説明するために多くの情報を記載することはよいことですが、異なるフォーマットに記載された情報は要点を把握しにくく、情報の粒度が揃わないことも考えられます。
したがって、情報量が多くなったとしても読み手が理解しやすいよう、同じフォーマットを利用して統一感のあるマニュアルを目指しましょう。
また、フォーマットがあることで作成側も情報をまとめやすく、抜けや漏れが減少するというメリットもあります。
▷業務マニュアルが簡単に作成できる無料テンプレートサイト9選!
3.図や表を適度に挿入して視覚的に理解しやすくする
マニュアルは、業務手順について初めて知る人に活用されることが多いでしょう。そのため、ダラダラと長く続く文章だと、読み手が理解しにくい可能性があります。また、業務の内容によっては文章だけでは的確に説明できないケースも考えられます。
したがって、説明文の途中に図や表を適度に挿入するといった工夫で、視覚的に「読みやすい」「理解しやすい」ものを目指しましょう。
ただ、説明の内容によっては図・表にしようとしても情報がうまくまとまらないこともあるため、内容によって適切な図・表を選択する必要があります。
また、無理に図・表を増やそうとしても、かえって煩雑な印象をあたえるため、図・表にまとまらない場合は臨機応変に、イラストや写真の挿入も検討しましょう。
▷マニュアル作成におけるデザインの重要性とは?作成時の注意点も解説
見やすいマニュアルを作成するには?
見やすいマニュアルを作成する方法は、大きく2つあります。
- マニュアル作成ツールを活用する
- マニュアル作成代行会社に依頼する
マニュアル作成ツールを活用する
マニュアル作成の専用ツールを活用するのもおすすめです。レイアウトに沿って入力していくことによって、初めての人でも簡単に読みやすいマニュアルを作れます。
マニュアルデザインの統一性も生まれて一定の品質を担保でき、画像や動画の挿入もできます。
作成したマニュアルはシステム上で一括管理されているため、社内のだれもがチェックできて、随時更新作業も可能です。
マニュアル作成代行会社に依頼する
社内でマニュアル作成がどうしても上手くいかない場合は、外部への依頼を検討することも一つの方法です。マニュアル作成は短時間でできるものではなく、マニュアルに関する専門知識を持った人材が社内に不足している場合もあるでしょう。
マニュアルの作成や運用に成功すれば、「業務効率化」「教育コストの削減」「属人化の防止」などのメリットを得られます。そして、時間や人的コストを削減するためにも、マニュアル作成の専門家に依頼することは効果的な方法でしょう。
専門業者に委託することで、より高い費用対効果を期待できる可能性もあります。
▷マニュアル作成ツールの選び方とは?機能や費用など比較ポイントを解説
▷マニュアル作成代行とは?費用内訳や内製化と比較したメリットを解説
おすすめのマニュアル作成代行会社3選
マニュアル作成を外部に依頼する際、おすすめのマニュアル作成代行会社を3つご紹介します。
1.マニューアル|株式会社アッシュ・マネジメント・コンサルティング
マニューアルは「はたらきかたを、もっとみんなに、わかりやすく」というキャッチフレーズのもと、誰でも使えるマニュアル作成ツールの提供や作成代行をおこなっています。また、マニュアル作成だけでなく、マニュアルの浸透や運用に関する支援もしています。
提供元 | 株式会社アッシュ・マネジメント・コンサルティング |
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初期費用 | 相談無料 |
料金プラン |
※要望に応じてプランニングされます。 |
機能・特徴 | マニュアル作成代行、動画マニュアル作成ツール、担当者向けのレクチャーや勉強会、マニュアルの効果を体感するためのセミナー、運用支援、自社に適したノウハウ構築 |
URL | 公式サイト |
2.DXの窓口|株式会社シーラベル
DXの窓口はマニュアル作成のほか、ITやDXをはじめとするビジネス課題の解決に向けた相談を無料でおこなっています。他社企業の成功事例を熟知しているため、その成功事例をもとに自社に合ったIT製品や発注先の紹介もしています。
提供元 | 株式会社シーラベル |
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初期費用 | 相談無料 |
料金プラン | 要問合せ |
機能・特徴 | ITやDXに関する無料相談、自社に適したIT製品や発注先の紹介、IT導入や活用推進の支援、営業・マーケティング支援 |
URL | 公式サイト |
3.マニュアル職人|株式会社2.1
マニュアル職人では、マニュアルに曖昧な内容があってはならないと、誰でも再現できるような具体的なマニュアル作成をおこなっています。また、マニュアルの作成だけでなく、マニュアルが仕組みとして組織に浸透するための説明会やガイドラインを提供しています。
提供元 | 株式会社2.1 |
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初期費用 | 相談無料 |
料金プラン | 要問合せ |
機能・特徴 | マニュアル作成、導入説明会の実施、読み合わせ会の実施、活用や更新のサポート、使用状況の数値化 |
URL | 公式サイト |
失敗する原因を理解してマニュアル作成・運用へ
マニュアルの失敗には「作成」や「運用」といった段階別でいくつかの原因があります。自社でマニュアルがうまくいかない場合は、その原因を理解し、原因に沿った解決策をとることが大切です。
そして、マニュアルの運用を成功させるため、作成で終わることなく、その後の運用や定期的な更新を行って、多くの人に読まれるマニュアルを作成しましょう。
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