ドラッカーのマネジメントとは?意味や要約をわかりやすく紹介

最終更新日時:2023/07/18

組織・マネジメント

ドラッカーのマネジメント

マネジメントの父と呼ばれるピーター F. ドラッカーは、独自のマネジメント理論を提唱しました。ドラッカーの理論には、成果を得るために重要な内容が多く含まれています。今回は、ドラッカーのマネジメントについて、意味や要約をわかりやすく紹介します。

ドラッカーのマネジメントとは?

ドラッカーのマネジメントとは、オーストリアの経営学者であるピーター・ドラッカーが提唱したマネジメント理論のことです。「マネジメントの父」とも呼ばれるドラッカーのマネジメント理論は、これまで多くの書籍で引用されてきました。

ドラッカーのマネジメント理論では、「成果を上げるためにはマネジメントが重要である」と述べられています。規模・業種・職種などを問わず、成果を上げたい多くの企業で活用されている理論です。

マネジメントの定義

マネジメントとは、ヒト・モノ・カネの3つの資源を適切に管理することです。ドラッカーによる定義では「成果を上げさせるための道具・機能・機関」がマネジメントであるとされています。

「成果」とは企業における「利益」であり、ドラッカーの考える利益とは「顧客の創造」です。顧客を生み出すには、成果を上げるための道具・機能・機関が重要という意味になります。

マネージャーの定義

マネージャーとは、成果を上げさせるためにチームを管理する人のことです。チームがうまく機能するように、メンバーのサポートや部下の教育を行うなど、多彩な役割があります。自らが業務を遂行するケースもみられ、企業によってマネージャーの位置付けはさまざまです。

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マネジメントの父「ピーター F. ドラッカー」について

マネジメントの父である「ピーター F. ドラッカー」について詳しくみていきましょう。生い立ちや経歴、マネジメント理論を広めたきっかけなどを紹介します。

ドラッカーの生い立ち

ピーター F. ドラッカーは1909年のオーストラリアにて、高級官僚で経済学者の父、オーストリアで初めて医学を専攻した女性である母の元生まれました。

18歳でハンブルク大学法学部に入学したドラッカーですが、20歳のときにドイツのフランクフルト大学に移籍し、22歳のときには国際法・国際関係論の博士号を取得しました。24歳になったドラッカーは、ドイツの保守政治哲学者をテーマに自作した論文がナチスの怒りを買うと確信し、ナチスから逃れるため、イギリス・ロンドンへ移住したのです。

ロンドンでは証券アナリストやエコノミストをつとめましたが長続きせず、1937年にアメリカへ移住します。大学教授・執筆活動・コンサルティング活動などを行いながら、1943年にアメリカ国籍を取得しました。

1954年に出版した「現代の経営」により「マネジメント」という概念が誕生し、広まっていくこととなります。1959年に講演のため初来日して以降、たびたび日本にて講ずる機会がありました。亡くなる2005年まで数々の論文を残し、「マネジメントの父」「20世紀の知的巨人」などとして歴史に名を残したのです。

ドラッカーが持つ思想

ドラッカーが持つ思想の根底には、「人を幸せにすること」があります。

ドラッカーが生きた時代の組織は個人の自由を認めず、個人の利益よりも組織全体の利益を優先すべきであるとの考えが定着していました。全体主義とも呼ばれる思想です。

ドラッカーは「組織で成果を上げるにはマネジメントの良し悪しが影響する」としています。ドラッカーが定義するマネジメントは「人を幸せにすること」が前提であるため、成果を上げるにおいて個人の幸福度が大きく関わっているという意味になるでしょう。個人を幸せにするマネジメントこそが、組織の利益を生み出せると考えたのです。

人間の幸福と人間が作り出した環境に焦点を当てた思想から、ドラッカーは自身を「社会生態学者」と呼んでいます。

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ドラッカーが提唱する企業の二大機能

ドラッカーは、企業には以下の二大機能があると提唱しています。

マーケティング

ドラッカーのいうマーケティングとは、顧客のニーズを探って満たすことであると見て取れます。「企業が何を売りたいか」ではなく、「顧客が何を買いたいか」を検討すべきという考え方です。

「工場で生産できる商品を売る」か「顧客が欲しい商品を生産して売る」かでは、後者の商品のほうが顧客満足につながるでしょう。ニーズを満たす目的が果たせ、売り上げも高くなることが予測できます。

顧客が本当に欲しいものを提供すれば、販促活動を行わなくても自然と販売サイクルがめぐる仕組みです。マーケティングの最終到達点は「販促活動を不要にすること」ともいえるでしょう。

イノベーション

ドラッカーが提唱するもう1つの機能がイノベーションです。新たな価値を生み出すことを意味します。新しい商品・サービス・技術を発明することで、これまでと違う満足感を顧客に与える必要性を示す考え方です。

イノベーションとは、まったく新しい発明だけを指した言葉ではありません。今ある商品・サービス・技術の組み合わせや別の目的への活用で、新たな価値を生み出すこともイノベーションに含まれます。

イノベーションの具体例として「iPhone」が挙げられます。iPhoneが登場して以来、顧客にはそれまでなかった「スマートフォンが欲しい」というニーズ・価値が生まれました。イノベーションには、企業だけでなく世の中全体に影響を与える力もあるのです。

事業の成長において、マーケティングとイノベーションの両方が不可欠といえるでしょう。

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ドラッカーが提唱するマネジメントに対する5つの考え方

ドラッカーが提唱するマネジメントでは、以下5つの「労働」の定義を知っておくべきであると述べています。

  • 生理的次元
  • 心理的次元
  • 社会的次元
  • 経済的次元
  • 政治的次元

1.生理的次元

生理的次元から労働をみたとき、人を機械のように扱うべきではありません。「長時間にわたって同じ作業を繰り返させる」「働き方に選択肢を与えない」といった状況では、人は疲弊してしまいます。

自分らしい働き方ができるような、個々の多様性を尊重した労働環境が必要です。多様性を持った働き方によって生産性の向上が期待でき、労働者の満足度も高められるでしょう。

2.心理的次元

労働を心理的次元からみると、人に嬉しいこと・つらいことを与えて心の動きに影響する場であると考えられます。人格の延長線上にありながら、自己実現を叶える場所でもあるのです。

労働のなかで自身の「価値」「成長性」「人間性」と向き合い高めていくには、心理的な視点は欠かせません。

自らの強み・弱みが分かった労働者は、強みを伸ばし弱みを改善することで成長につなげられます。モチベーションや生産性を上げるうえでも、大切な要素でしょう。

3.社会的次元

「人と社会をつなぐもの」という表現は、労働を社会的次元で捉えたときの考え方です。人が1日の多くの時間を労働に割いていることからもわかるように、労働は社会とのつながりを提供する場として役立っています。

マネジメントするという視点からみると、単に労働者が働く場所・利益を生み出す場所ではなく、もっと社会的なものとして捉えなければなりません。

人は社会とのつながりを感じることで、「人と関わりたい」「集団に属したい」といった社会的欲求が満たされます。欲求が満たされれば、労働者のモチベーション向上にも役立つのです。

4.経済的次元

経済的次元からみた労働は、金銭を得るための手段です。労働で得た収入は、やがて支出に変わります。その支出は誰かの収入になるというようにつながりを生み出しているのです。お金を稼ぐ方法であり、お金を循環させる方法でもあるのが労働だといえるでしょう。

企業は労働者に対して、正当な額の報酬を支払うことが大切です。労働に対して報酬が少ないと、生活やモチベーションの維持が困難になります。最悪の場合、労働を継続できなくなる可能性もあるでしょう。収入・支出の循環悪化を招くこととなり、企業にとっても無視できない問題になります。

5.政治的次元

労働における政治的次元は、上下関係や権力関係を意味します。組織では上司・部下などの上下関係が必ず存在しますが、関係性は適切に保たれなくてはなりません。関係を崩さないよう、企業側は労働者に対して政治的な側面での配慮が必要です。

関係構築ができていないと、上司が指導を怠る、部下が指示を無視するといった状況に陥るでしょう。労働者が企業側に不信感や不満を抱く原因にもなります。

上下関係や権力関係は、企業にとってつきものです。労働者のモチベーションを維持するために、政治的次元について配慮しなければなりません。

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マネジメント論の要約から見るマネジメントに必要な能力5つ

ドラッカーは、マネジメントには5つの能力が必要であると述べています。以下の能力を参考に、マネジメントスキル向上に役立ててください。

  1. コミュニケーション能力
  2. 明確な目標の設定能力
  3. 適確な評価測定能力
  4. 新たな人材開発能力
  5. 組織化する能力

それぞれの能力について詳しくみていきましょう。

1.コミュニケーション能力

成果を上げさせるためのマネジメントには、高いコミュニケーション能力が必要です。一方的な指導や指示は単なる情報伝達であり、コミュニケーションとはいえません。

コミュニケーションとは、相手の欲求・期待をくみ取って利用し、相手が理解・納得できるまで向き合うことです。マネージャーは身勝手に意見を述べず、相手の話に耳を傾ける姿勢が求められます。

2.明確な目標の設定能力

マネージャーには、組織の向上を目的とした目標の設定能力が必要です。チーム全体の目標を設定することはもちろん、メンバーの強み・弱みを考慮したメンバー単位での目標設定も求められます。

目標を設定するだけでなく、決めた目標をメンバーへ共有したり達成までのプロセスを検討したりするなど、メンバーを導くことが大切です。

適切な目標を設定できれば、メンバーは目標達成に向けてどのような行動が必要かが明確になります。モチベーションの維持においても大事なポイントとなるでしょう。

3.適確な評価測定能力

マネジメントでは、人を的確に評価・測定する能力が求められます。明確な基準を設けたうえで評価を行えば、メンバーは自分の位置付けや役割を理解できるでしょう。具体的な方法としては、昇格・昇給・インセンティブの付与などが挙げられます。

評価に対し、適切なフィードバックを行うことも重要です。フィードバックをその後の行動に役立てられるため、パフォーマンスの向上も期待できます。

正当でない評価をくだせば、メンバーのモチベーションを低下させかねません。マネージャーはメンバーの欲求やニーズを理解し、適切な評価を行うことが大切です。

4.新たな人材開発能力

企業にとって最も重要な経営資源は人材です。マネジメント次第で人材の能力を活かせるか活かせないかが決まり、同じ人間がいたとしてもマネジメント次第で生み出す成果が異なります。

人材開発の具体的な方法としては、個人の長所や目標達成に不足するスキルを見つけ、育成方法や補い方を指導することが挙げられます。正しいマネジメントで人材開発を行い、成果を最大化させましょう。

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5.組織化する能力

個人の能力だけで上げられる成果には限界があるため、成果を上げるには組織づくりが重要です。個々の強みをチーム・組織全体として活かすことができれば、達成できる目標・上げられる成果は大きくなります。

組織づくりを行うにあたっては、業務ごとに個人の強み・弱みを考慮したメンバー選びが重要となります。強みを最大限活かし、弱みは最小限に留めることを意識し、強固な組織を構築しましょう。

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ドラッカーが残したマネジメントに対する6つの名言

マネジメント理論で有名なドラッカーですが、具体的で心に響く名言を多く残しています。

  • マネジメントとは人のことである
  • 強みは当然とできるもので気づかない
  • 人が成果を出すのは強みによってのみである
  • 目指すべき組織は、凡人でも非凡な働きができる組織
  • 組織の目的は、人の強みを爆発させ、弱みを無くすこと
  • 他社との比較で自社の強みを見つけ出す

人を幸せにすることが思想の根底にあったドラッカーは、「ヒト」に焦点を当てた考え方が多くみられます。マネジメントによって「人の強みを引き出せる」「成長させられる」と説かれているのも特徴でしょう。

環境次第では、凡人の集まりであっても非凡な能力を発揮できるとも述べています。組織づくりがいかに重要かを説いた名言です。

ときには他社と比較することも大事であると説明しています。自社の強みを再確認し、自社の弱みを分析するうえでも必要なプロセスなのでしょう。

ドラッカーからマネジメントで大切なことを学ぼう

ドラッカーが提唱したマネジメント理論では、成果を上げさせるための道具・機能・機関の適正化が説かれています。企業が成果を上げるためには、マネジメントをおろそかにはできないのです。

ドラッカーの残した多くの名言は、企業規模・業種・職種を問わず活用できます。企業を真の成功に導くため、ドラッカーのマネジメント理論を組織づくりに役立てていきましょう。

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