組織エンゲージメントとは?向上させる方法や目的・事例を紹介

最終更新日時:2023/11/17

組織・マネジメント

組織エンゲージメント

昨今では、採用力強化や離職防止など、組織にとって良い効果をもたらすエンゲージメントに注目が集まっています。本記事では、組織エンゲージメントとはどのような指標なのか、取り組む目的や向上させるためのポイントを解説します。成功事例も紹介するので、取り組みに役立ててください。

組織におけるエンゲージメントの概念とは?

組織におけるエンゲージメントは、組織と社員の信頼関係を表す指標です。エンゲージメントが高いほど社員の愛社精神が強く、経営ビジョンの浸透度や仕事の意義・価値に対する理解度が高い状態になります。

この状態になると、社員は組織に対して積極的に貢献しようとします。結果的に組織の生産性を高め、業績の好転や競争力の向上につながるのです。

エンゲージメントに注目が集まる理由

昨今は価値観の多様化によるワークスタイルの変化が進む一方で、労働人口の減少を皮切りに人材の流動化が起こっています。

この状況下では、従来のメンバーシップ型雇用の画一的な人材管理が適さないケースも出てきます。加えて多くの市場で競争が激化しているため、優秀な人材の離職による組織へのダメージは計り知れません。

したがって、社員1人ひとりの帰属意識を高める具体的なアクションを立てるためにも、エンゲージメントに注目が集まっているのです。

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組織エンゲージメントと混同される言葉との違い

組織エンゲージメントと似た表現に「ワークエンゲージメント」「従業員満足度」「従業員エンゲージメント」があります。

しかし、これらの言葉と組織エンゲージメントは意味合いが異なります。

ワークエンゲージメント

ワークエンゲージメントは、仕事に対するやりがいや満足感を表す指標です。

組織エンゲージメントが組織と社員の関係にフォーカスするのに対して、ワークエンゲージメントは仕事と社員の関係にフォーカスしています。

組織と仕事は密接な関係をもちつつも、双方のエンゲージメントが必ずしも一致するわけではありません。ワークエンゲージメントが高くても、組織エンゲージメントが低いケースもあり得ます。

したがって、組織エンゲージメントとワークエンゲージメントは、別々の指標として両方を高めることが重要です。

従業員満足度

従業員満足度は、職場に対する満足度を表す指標です。ここで示す職場とは労働条件や就労環境、人間関係などの衛生要因が含まれます。

従業員満足度を高めることはマイナス要素を予防する効果はあるものの、組織へのコミットメントを高めるほどの効力はありません。

つまり、組織エンゲージメントが社員との関係性のプラス具合を測るのに対して、従業員満足度は社員との関係性のマイナス具合を測るためのものだといえるでしょう。

従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメントは、社員から見た組織との関係性を示す指標です。組織エンゲージメントが組織視点で測るのに対して、従業員エンゲージメントは社員視点で測る違いがあります。

経営ビジョンを例にすると、組織エンゲージメントの指標は浸透度であるのに対して、従業員エンゲージメントの指標は共感度です。

このように別々の視点でエンゲージメントを測ることで、正確な実態の把握に役立てられます。

組織エンゲージメントを高める目的

組織エンゲージメントを高めることは、社員の帰属意識の向上以外にも複数の目的があります。ここからは、組織エンゲージメントを高める目的を紹介します。

いずれの内容も、組織の競争力を高めるうえで欠かせない要素です。

企業の生産性を高めるため

組織エンゲージメントが高いと、社員は仕事にやりがいや満足感を得やすく、業務に対して努力や改善を自発的におこなうようになります。

これにより、生産性の向上が期待できます。

人材を安定して確保するため

今後も労働人口の減少が見込まれる日本において、新卒・中途ともに採用競争は激化していくことが予想されています。そのため、企業は採用力と併せて人材の定着にも注力しなければなりません。

組織エンゲージメントが高まると、組織に対する社員の帰属意識が強まり、同じ組織で長く働きたいと考えるようになります。これが結果的に離職率の低下につながるのです。

社員のモチベーションを保つため

働き方の多様化が進む現代において、労働のモチベーションは多種多様です。収入や出世などの業績に結びつくものもあれば、ワークライフバランスや社会貢献性などの要素を重視する方もいるでしょう。

そのため、社員のモチベーションを保つためには、モチベーションに影響を与える要素が何なのかを特定することが重要です。エンゲージメントを調査することで、モチベーションに影響を与える要素や意欲的に取り組める要素を特定できます。

組織の問題や課題を見つけるため

組織エンゲージメントの調査は、経営ビジョンや組織文化などの各項目をスコア化するため、組織が抱える潜在的な問題・課題の発見に貢献します。

近年は業界ごとのエンゲージメントスコアをWeb上で確認することもでき、競合他社と比較して自社の強み・弱みの把握にも役立てられるでしょう。

組織の問題・課題を早期に発見できれば、組織内に悪影響が及ぶ前に対策を取れます。社員のモチベーションの安定化にも作用する重要なポイントです。

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無駄な費用を出さないため

組織エンゲージメントが高い組織は離職率が低いため、採用・教育にかかるコストの削減が期待できます。

加えてクチコミサイトでも肯定的な内容が投稿される可能性が高くなり、評価が高まることで結果として少ない採用コストで新たな人材を獲得できるようになるでしょう。

社員が知人・友人に自社を紹介するリファラル採用も促進できるため、組織エンゲージメントを高めることはコストメリットの大きい取り組みといえます。

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組織のエンゲージメントを調べる方法

組織エンゲージメントの調査方法は、主に「アンケート調査」と「1on1ミーティング」の2種類があります。

アンケート調査

1つはアンケート調査を通じて、すべての社員から回答を収集する方法です。

近年はエンゲージメントサーベイの登場により、従来の紙媒体によるアンケート調査よりも手軽にエンゲージメントを調べられるようになりました。

エンゲージメントサーベイでは、以下のような質問項目を複数用意し、それぞれに4〜5段階評価で回答する仕組みです。

  • 仕事で自分の能力を発揮できていると感じるか
  • 職場で自分の意見が尊重されているか
  • 1年の間に成長できる機会があったか
  • 上司や同僚との関係は良好か など

エンゲージメントサーベイは回答数が少ないと正確なスコア化が難しいため、匿名性の保証などを通じて回答率を高めることが大切です。

1on1ミーティング

​​1on1ミーティングは、組織エンゲージメントを高める手段として活用される傾向にあります。

週1回や月1回などの定期的な頻度で上司と部下による面談がおこなわれるため、意識醸成や働き方改善、目標とビジョンの結びつけにより、エンゲージメントが高まる可能性があるのです。

また、1on1ミーティング後に上司と部下に対してアンケートを実施すると、双方の回答のギャップから新たな課題を見つけることもできるでしょう。

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組織のエンゲージメントを向上させる方法

組織エンゲージメントを向上させるためには、押さえるべきポイントがあります。なかでも特に重要なポイントは、次の3つです。

  • 明確な企業のビジョンや課題を共有する
  • 社員の成長や健康維持を支援する
  • 働きやすい職場環境を提供する

明確な企業のビジョンや課題を共有する

ビジョンや課題が曖昧な状態だと、社員の発言・行動が属人化しやすく、判断軸にもズレが生じます。

したがって、企業のあるべき姿を言語化し、現実とのギャップを明確化したうえで具体的なアクションプランを設定することで、社員は共通の目標に向かって前進できます。

また、ビジョンではストーリー性や感情を刺激するメッセージを明示できると、社員の理解・共感を得やすくなるでしょう。

社員の成長や健康維持を支援する

社員の成長や健康維持への投資は、社員の自信や幸福感を高めることにつながります。これらは仕事へのモチベーションやコミットメントを高める要因にもなるでしょう。

加えて昨今はウェルビーイングや健康経営が注目を浴びているように、肉体的な健康だけではなく、精神的な健康を支援することが求められています。

そのため、研修プログラムの拡充や資格取得の奨励で成長における社員の選択肢を増やしつつ、メンタルヘルス対策の実施やワークライフバランスの確立を通じて、職場の継続的な改善を進めていきましょう。

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働きやすい職場環境を提供する

働きやすさには、フィジカル要素とメンタル要素の2軸があります。両方を改善することで、組織エンゲージメントは上昇しやすくなるでしょう。

フィジカル面では、ITツールを活用してタスクの効率化を図り、社員の業務負担を軽減します。これにより肉体的な疲労感を抑え、パフォーマンスの平準化が期待できるでしょう。

メンタル面では、公平かつ透明な評価制度の導入だけでなく、アイデアやチャレンジを肯定する文化を醸成し、心理的安全性を確保することが重要です。

この土台が整うことで、社員が自発的にアクションを起こせるようになり、モチベーションやロイヤリティが高まりやすくなるでしょう。

組織エンゲージメントが低い企業の特徴

組織エンゲージメントのスコアが低迷してしまう企業には、いくつかの共通点があります。

不満を抱えている社員が多い

エンゲージメントが低い企業は、多くの社員が不満を抱えている傾向にあり、仕事に対する意欲や情熱が著しく下がっています。

特に企業のあるべき姿や社会的意義に共感できない、あるいは報酬や評価に正当性がない場合、社員は自分の役割や責任を果たすことに消極的になるでしょう。

大きな不満をもつ社員の存在は職場に悪影響を及ぼすため、次第に不満をもつ社員が増えていくリスクもあります。

この状態を放置すると仕事だけでなく、企業への興味・関心が薄まっていき、次第に退職を意識するようになるため注意が必要です。

コミュニケーションが取れていない

社員間のコミュニケーションがうまく取れていないと、チームワークや創造性は着実に欠けていきます。

結果的に業務の自己完結率が高まり、社員1人ひとりの負担が増すことで、エンゲージメントスコアが下がるのです。

コミュニケーションがうまく取れない背景には、以下のような要因があると考えられます。

  • 経営陣と現場、あるいは上司と部下の間に情報の非対称性がある
  • 役割分担や指揮系統が不明瞭で、責任の範囲が判別できない
  • 組織文化が硬直的で、心理的安全性が損なわれている

コミュニケーション量が少ない組織では気軽な相談や世間話すらできず、次第に風通しが悪くなっていきます。

「言いたいことが言えない」「聞きたいことが聞けない」という風土が醸成され、悪循環に陥るリスクもあるため早期解決が必要です。

悪い組織制度が浸透している

組織エンゲージメントが低い企業には、不当な評価や異常な勤務時間など、悪い組織制度が浸透している傾向があります。このような制度は、社員のモチベーションやパフォーマンスを低下させる可能性が高まります。

特に過去の成功に固執し、旧態依然とした企業活動を続けている場合はこの状態に陥りやすくなるでしょう。

そのため、社員の意見やフィードバックを取り入れながら、時代に合わせて変化を受容していくことが求められます。

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組織のエンゲージメントが高い企業の事例

組織エンゲージメントは企業のアイデンティティによって具体的なアクションが変わるため、企業ごとに独自のカラーが出る傾向にあります。

ここでは組織エンゲージメントを高めるための工夫を実行した3社の事例をご紹介します。

Google合同会社の事例

Google合同会社は組織エンゲージメントを高めるために、さまざまな取り組みをしています。そのひとつが偶発的な出会いを想定した、飲食スポットの充実です。

同社のオフィス内には、カフェテリア(社員食堂)やマイクロキッチンが無数に存在し、行動経済学「ナッジ」を活用した多種多様な工夫が施されています。ナッジとは、ちょっとしたきっかけで人々の行動を自発的に変える手法です。

これにより健康的なアクションを生みながら、食事を起点としたコミュニケーションを生んでいるのです。

また、同社の社員はGoogleらしさを追求する「グーグリー」という共通のマインドをもっています。常にユーザーファーストに考え、行動する文化が根付いているからこそ、他部署の社員とも積極的に協働していけるのです。

株式会社コンカーの事例

株式会社コンカーは働きがいの向上を経営戦略に位置付け、文化の醸成に向けて次の5つのアクションを起こしています。

  • CCO(チーフカルチャーオフィサー)の設置
  • 文化づくりに取り組むタスクフォースの結成
  • 社員のアイデアや課題感を起点にした全社横断プロジェクトの企画運営
  • 社内の課題を吸い上げるための各種調査
  • 働きがいに関する各種調査

社員のアイデアを継続的に実現すべく、活動を通じて仕組み化・制度化に取り組み、次に活かすというサイクルがエンゲージメントに寄与しています。

また、社員の評価レビューに関しては社長が全社員の内容をチェックし、公平性を担保しているのが同社の特徴です。さまざまな取り組みを通じて、同社は「働きがいのある会社」1位を2年連続で受賞しています。

株式会社浜屋の事例

株式会社浜屋は「お客様とWIN-WINの関係を築く」というポリシーを社内に浸透させるために、社長自らが新入社員との食事会をセッティングし、お互いの考えを話し合っています。

食事の場で社長が企業の行動原理を丁寧に伝えることで、「浜屋の社員は機転が効く」という外部評価を得ることに成功しているのです。また、社長が現場に赴いたときは、社員1人ひとりの強みを見つけ、平等に褒めることを徹底しています。

加えて福利厚生にも力を入れており、フォークリフト免許の取得支援や昼食支給、持家支援制度や社員旅行補助制度などを新設し、エンゲージメントの向上に努めています。

組織エンゲージメントとは会社と社員の関係を示す指標のひとつ

労働人口の減少による人材定着の重要性が高まる現代において、多様化した働き方のニーズに応えるためにも、組織エンゲージメントは重要な指標です。

組織エンゲージメントを高められれば、社員の帰属意識が増すだけでなく、生産性や業績にも好転的な影響が生まれるでしょう。

本記事を参考に、組織エンゲージメントを効果的に取り入れ、社員との信頼関係を深めていってください。

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