経理の繁忙期はいつ?年間スケジュールからわかる忙しい時期や原因・効率化するポイント
1年を通して企業のお金の管理に携わる経理。その1年の中で、特に仕事が忙しくなる繁忙期などはあるのでしょうか。本記事では、経理の業務について、年間スケジュールからわかる繫忙期、忙しさを和らげる効率化の方法について詳しく解説します。
目次
経理が忙しいのはいつ?経理の繁忙期とは?
経理には、大きく分けると、月次で処理する業務と年次で処理する業務があります。それぞれの繁忙期について見ていきましょう。
月次での繁忙期
月次で行われる経理の主な業務は、取引先への請求・入金業務、月次決算業務、給与関連業務の3つがあります。
企業間取引の多くは、支払い期日が月末になっています。そのため、期日に間に合うように、支払いを要求する請求書を発行したり、発行された請求書の入金処理をしたりしなければなりません。
さらに、入出金の集計作業や帳簿作成などの月次決算業務が待ち受けています。基本的には、月初めの数日以内に完了することとなっているため、月末から月初は経理は忙しい時期です。
給与関連業務では、月末に社会保険料の納付、10日に源泉所得税や住民税など、社員の税金に関わる手続きを行う必要があります。給与の支払が月末の場合は、給与計算や支払い業務もしなければなりません。
いくつかの業務が重なる月末・月初は、経理の忙しい時期といえるでしょう。
年次での繁忙期
年次では、決算処理をしなければならない3月〜5月、従業員の各種保険の申告期限である7月、年末調整などの業務を行う12月が繁忙期といえます。
特に、社員から各種証明書や控除関係書類を集める必要のある年末調整関連の業務は、経理担当者だけで仕事を進めることができません。社員からの書類提出が遅れると、それだけ経理作業にしわ寄せがきます。
月次業務も重なり、この時期の経理は、想像以上の忙しさとなるでしょう。
▷経理の業務フロー(流れ)について|日時・月次・年次の業務フローと効率化する方法
▷経理職の人手不足を解消する方法とは?おすすめのツール・アウトソーシング
経理の1年の業務スケジュール
経理の1年の業務は、どのように動いていくのでしょうか。ここでは、業務スケジュールを上半期と下半期に分けて見ていきましょう。
経理の上半期のスケジュール
経理の上半期のスケジュールは、おおむね以下のようになります。特に、4月~5月の決算申告・税金納付と、7月の社会保険・雇用保険・労働保険といった各種保険の手続きは、重要な業務です。
期限までには終わらせなければならないということもあり、経理にとっては繁忙期となるでしょう。
また、株主総会を開く際には、決算書・株主総会招集通知・想定問答集などの様々な書類が必要となりますが、基本的には経理部門で作成することになり、経理の負担が大きくなる要素の一つです。
月 | 主な業務内容 |
4月 | 決算関連の処理 株主総会の準備 固定資産税の第1期納付期限 |
5月 | 各種法人税の確定申告・納付 法人消費税の確定申告・納付 決算申告 |
6月 | 従業員の住民税関連業務 |
7月 | 源泉所得税の納付 社会保険・雇用保険・労働保険の更新 月額算定基礎届の提出 固定資産税の第2期納付期限 |
8月 | - |
9月 | 中間決算書の作成 |
経理の下半期のスケジュール
経理の下半期のスケジュールは、以下のとおりです。下半期はどの月にも年次業務が入っています。特に、11月〜1月にかけては、年末調整と各種税務関連業務が重なるため、かなりの忙しさになってしまうでしょう。
月 | 主な業務内容 |
10月 | 未払い・未収の処理(中間決算を行う場合) |
11月 | 各種法人税・消費税の中間報告・納付 年末調整にむけた資料 |
12月 | 年末調整 固定資産税の第3期納付期限 |
1月 | 償却資産申告書の提出 法定調書合計表の提出 給与支払報告書の提出 源泉所得税の納付 |
2月 | 決算処理準備 固定資産税の第4期納付期限 |
3月 | 決算処理準備 実地棚卸 |
経理の忙しさを和らげるための効率化の方法
月次業務、年次業務に追われる経理の忙しさを和らげたい場合、どのような方法があるのでしょうか。効率化の方法について、解説します。
会計ソフトの導入
ひとつは、これまで手動でおこなっていた業務を自動化できる会計ソフトの導入です。複雑な経理業務も効率的に進められるほか、各種帳簿書類の作成や確定申告業務もスムーズになります。リアルタイムで財務状況を確認できる点も、メリットです。
データの転記、金融機関の取引データをもとにした仕訳作業なども自動化できるため、手入力で起きていたミスも減らせます。
▷【2023年最新】おすすめの会計ソフト15選徹底比較|失敗しない選び方とソフトの特徴
書類のペーパーレス化
領収書、契約書、見積書、納品書、請求書などの書類を紙で管理している場合は、ペーパーレス化を進めることもおすすめです。書類をデータで管理できるようになれば、リモートなど、時間や場所にとらわれることなく業務が進められます。郵送などの手間がなくなり、取引先とのやりとりもスムーズになるでしょう。
ペーパーレス化を進めれば、紙書類の作成や保管にかかる手間、費用を削減できる点もメリットです。
事前の準備や教育の実施
時間的な余裕のある時期に、各種業務の準備を進めたり、経験の浅い社員の教育をしたりすることも効果的です。
書類やデータがそろわないと取りかかれない業務の多い経理ですが、例えば紙書類のデータ化など、期間のあるときに進められる作業もあるでしょう。少しでも必要な準備を進められれば、繁忙期の負担も減るはずです。
また、忙しくなると、経験の少ない社員の面倒を見ることが難しくなってしまいます。余裕のあるときに、繁忙期のシミュレーションを行うなどの研修をすることも、有意義です。
▷経理業務を効率化する方法とは?経理業務の課題や事例・効率化させるステップ
アウトソーシングの活用
アウトソーシングとは、経理業務を外部の業者に委託することをいいます。業務をまるごと委託することもできれば、一部だけを委託することも可能です。
自社に経理担当者が不足している場合、まずは繁忙期に外部委託してみるなど、アウトソーシングの活用を検討することも、経理担当者の負担軽減、業務の効率化につながります。
▷【2023年版】経理アウトソーシングのおすすめ14選比較|メリットや費用の目安
▷経理アウトソーシングとは?メリット・デメリットと外注先を選ぶコツ
経理部門の残業が多い企業の特徴
企業によっては繁忙期に関わらず、業務量が多く残業が多いケースがあります。残業が多い企業の特徴としては、ベンチャーやスタートアップなどの従業員が少ない企業です。
経理担当者一人あたりの業務量が多く、採用活動も積極的に行えていないため、状況がなかなか改善できないのが原因として挙げられます。
しかし、大企業であるからと言って必ずしも残業が少ないわけではないため、企業ごとによって異なると考えておきましょう。
経理に転職しやすくなる時期
経理は、ほかの部署に比べると、繁忙期とそうでない時期がはっきり区分できる職種です。その点を念頭に、転職しやすい時期について考えてみましょう。
1年のうちで特に経理が忙しくなるのは、決算関連業務を行う下半期の3月から、上半期の5月にかけてです。そのため多くの企業では、決算業務が始まる少し前、1月~2月ごろに求人をかけます。
したがって、求人の増える1月~2月ごろが、経理に転職しやすい時期といえるでしょう。
▷経理業務が属人化しやすい原因とは?解消する方法やおすすめのソフト
経理の繁忙期や1年のスケジュールを押さえておこう
月次、年次のスケジュールがほぼ決まっている経理には、繁忙期とそうでない時期があります。月次や年間のスケジュールを把握し、繁忙期を事前に理解しておくと、時間のあるときに繁忙期に向けた準備が進められるでしょう。
また、今回紹介した効率化の方法が、忙しさを和らげる取り組みにもつながります。ぜひ、参考にしてみてください。
おすすめのお役立ち資料
経理アウトソーシングの記事をもっと読む
-
ご相談・ご質問は下記ボタンのフォームからお問い合わせください。
お問い合わせはこちら