勤怠管理は今すぐにデジタル化すべき?タイムカード廃止のメリットとは?

最終更新日時:2023/02/07

勤怠管理システム

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労働基準法の改正により、より客観的で正確な勤怠管理が求められるようになりました。そんな中、タイムカードでの勤怠管理をデジタル化したいと悩む企業も多いのではないでしょうか。本記事では、タイムカードを廃止するメリットやデジタル化の注意点、おすすめの勤怠管理システムを紹介します。

タイムカードでの勤怠管理を廃止すべき背景や理由

これまでの勤怠管理方法として、一般的であった手書きや印字式のタイムカードですが、近年は、これらの管理方法を廃止して、勤怠管理のデジタル化を進める企業が増えています。システム化への移行が進んだ背景ともいえる、3つの理由を見ていきましょう。

(1)労働基準法の改正

2019年4月より順次施行された働き方改革関連法により、労働基準法が改正されました。改正された規定の中には、中小企業を対象とした割増賃金率の引き上げも含まれています。

これまで月60時間超の時間外労働に対する割増賃金は、大企業が1.5倍と定められているのに対し、中小企業は、60時間以下の時間外労働の割増賃金と同じ1.25倍となっていました。しかし、2023年4月以降は中小企業に対しても月60時間以上の時間外労働に対しては、1.5倍の割増賃金を払うことが定められたのです。

このため、時間外労働に対する割増賃金率は、60時間以下と60時間超で変わることとなり、今までよりも正確な時間外労働の把握が求められることになったのです。

(2)従業員の労働時間の把握の義務化

2019年の労働基準法の改正では、労働安全衛生法において従業員の労働時間の「客観的な把握」が企業に義務化されました。さらに、厚生労働省令では、原則として下記の方法で勤怠情報を記録することを定めています。

タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として 確認し、適正に記録すること

[参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握 のために 使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」]

タイムカードも認められた方法ではありますが、これはタイムレコーダーなどでの打刻を想定していると考えられます。そのため、特に手書きのタイムカードなどに関しては、不正リスクや正確性などの側面から、客観的な記録として認められない可能性のある管理方法なのです。

(3)有給休暇の取得義務

法改正により、有給休暇の取得義務も企業に科せられることとなりました。そのため、年間10日以上の有給休暇を付与される労働者(管理監督者を含む)を対象に、「年休を付与した日を基準日として1年以内に5日以上の有給休暇を取得」させる必要があります。

この義務を果たすためには、対象となる従業員の有給休暇の付与日と日数、また、取得時期についても正確に管理しておかなくてはなりません。タイムカードは、主に労働時間の記録を目的としているため、有給休暇の取得状況までを管理することは困難です。そこで、労働時間と休暇の勤怠管理が一括して行えるデジタルツールの導入が進んだのです。

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勤怠管理におけるタイムカードの問題点

ここまで、タイムカードによる勤怠管理を廃止すべき理由についてお伝えしてきました。さらにここからは、勤怠管理にタイムカードを使う問題点を解説します。

(1)多様な働き方への対応が困難である

フレックス制度やテレワークを採用する企業が増えるなど、現在は多様な働き方が進んでいます。従業員がそれぞれ好きな時間に出社したり、好きな場所で業務をしたりすることが普通になってきているのです。

フレックス制度の場合、タイムカードに打刻される時間がばらばらになるため、特に集計作業が煩雑になります。また、テレワークではそもそもタイムカードによる管理は機能しないという難点もあるでしょう。このようにタイムカードは、多様な働き方への対応が困難なのです。

▷テレワーク時の勤怠管理の重要性と課題とは?原因や解決方法も解説!

(2)タイムカードの紛失リスクがある

タイムカードは紛失のリスクがあります。また、バックアップなどが取れないため、紛失してしまうと、それまでの勤怠情報を一気に失ってしまいます

紛失のリスクを考えてエクセルの表などで二重管理する方法もありますが、当然、手間がかかることになります。紛失のリスクはタイムカードの大きな問題のひとつといえるでしょう。

(3)簡単に改ざん可能である

打刻式や手書きのタイムカードを使用している場合、打刻されたデータを計算ソフトなどで集計する作業が必要になります。データ入力を手作業で行う際には、労働時間のデータ改ざんも容易にできてしまうでしょう。

企業側が残業代削減のために、労働時間の改ざんをする可能性は否定できません。さらに言えば、勤怠情報を操作できる状態にあること自体が、適切な勤怠管理に沿わないのです。

(4)打刻漏れや不正打刻ができてしまう

打刻漏れや不正打刻もタイムカードによる勤怠管理の問題点です。毎日の作業とはいえ、タイムカードの打刻を忘れてしまう従業員は必ず出てきます。修正は可能ですが、正確性に欠ける上に、労務管理における大きな負担となります。

また、遅刻や欠勤を隠すための代理打刻、残業代を得るために遅れて打刻するなど、不正が起こる可能性も少なくありません

労働時間の自己申告は禁止?正しい勤怠管理の方法や注意点を解説

(5)管理・集計が煩雑である

労働時間の記録に関する書類は、5年間保存しなくてはなりません(労働基準法第109条)。全従業員の5年間分のタイムカードを保管するには、かなりのスペースが必要になります

また、手作業での集計作業も発生します。タイムカードでの勤怠情報の保管や集計は煩雑になり、大きなコストがかかっているのです。

(6)人的ミスのリスクが高い

タイムカードに示された労働時間のデータは、転記や入力、集計など担当者が手作業で行う工程が多く発生します。特に、給与のための集計作業は、給与の締日など、業務が短期間に集中するため、担当者の負担が大きく、その分、ミスのリスクも高くなりがちです。

正確な給与や残業代の支給ができていないと、違法とみなされる場合や、労使間において、大きなトラブルに発展することもあるでしょう。タイムカード管理のもっとも大きな問題でもあるのです。

(7)法改正に対応できない

最初にお伝えしたように、タイムカードで管理する場合、時間外労働の上限を超えそうな従業員や有給休暇が取得できていない従業員を自動的に知らせてくれる機能はありません。

そのため、従業員が法を遵守した働き方ができているのかの確認は、全て「人の目」に頼ることになります。当然、労働関連の法改正があったり、新法が施行されたりした際も同様です。

法改正に対応できないタイムカードによる勤怠管理は、見直すべき段階にあるといえるのです。

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タイムカードを廃止してデジタル化するメリット

ここからは、タイムカードによる勤怠管理を廃止して、デジタル化するメリットについて紹介します。

(1)法律に沿った勤怠管理ができる

勤怠管理をデジタル化すれば、法律に沿った正確な勤怠管理が可能になります。パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスからの打刻が可能になり、客観的な勤怠情報が簡単に記録できます。

管理者はリアルタイムで労働時間を把握できるため、残業時間の超過も防げます。有給休暇の取得状況なども管理できるので、取得忘れも起こりません。労働基準法を遵守した勤怠管理が実現するのは、デジタル化の大きなメリットです。

(2)多様な働き方にも対応できる

勤怠管理のデジタル化は多様な働き方への対応を可能にします。デジタルデバイスからの打刻も可能なため、テレワークや直行直帰の業務などの事業外勤務であっても、客観的な勤怠情報の記録が行えるのです。

自社の勤務形態にフィットしたシステムを選択できるのも、デジタルによる管理の強みといえるでしょう。

(3)法改正への適応もスムーズである

勤怠管理をデジタル化しておくと、法改正への適応もスムーズに行えます。法改正があるごとに勤怠管理システムの提供元が、法律に沿った管理ができるようにアップデートしてくれるからです。

自社で管理方法を大幅に見直す必要なく、正確な勤怠管理が行えます。

(4)管理・集計作業の効率化ができる

労働時間や残業時間、休暇の取得状況などのデータが自動集計されるのも、デジタル化のメリットです。手入力が不要になるため、作業効率の向上とミスの軽減が同時に実現します。さらに、集計データはcsvファイルやPDFなどで出力でき、給与計算システムなどとの連携も可能です。

また、パソコンやクラウド上でデータの保存ができるため、管理スペースも不要になります。

(5)コストカットできる

労働時間や残業時間の集計が自動で行われるため、人件費の削減が可能です。また、システム内で残業や休暇の申請から承諾までができる機能もあるため、申請書が不要になり、用紙代や印刷代のコストもカットできます。

(6)紛失・改ざんリスクの抑止になる

デジタルでの勤怠管理システムは、クラウド上でデータを管理します。そのため、タイムカードの紛失のようなリスクはありません。また、情報の編集に権限をつけたり、変更記録が残るように設定したりできるので、改ざんの抑止にもなります。

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タイムカードを廃止する時の注意点

勤怠管理のデジタル化は進めるべきではありますが、タイムカードを廃止する時には注意点もあります。

(1)廃止の意義について従業員に理解を得る

タイムカードを廃止してデジタル化するには、従業員の協力が不可欠です。中には、新しいシステムの導入に疑問やストレスを感じる人もいるかもしれません。

勤怠管理のデジタル化は、労働基準法をはじめとする労働関連の法令を遵守するためであり、従業員の労働環境や健康を守ることにつながります。この意義を従業員に伝えて、理解を得るようにしましょう。

(2)テレワークなど多様な働き方に対応できるものを選ぶ

勤怠管理をデジタル化する際は、多様な働き方に対応したシステムを選びましょう。現在は全従業員がオフィス勤務をしている企業であっても、社会状況や時代に合わせて働き方は多様化していきます。自社の勤務形態も大きく変わる可能性があるのです。

テレワークへの移行なども想定して、多様な働き方に対応できるように準備しておきましょう。

(3)打刻方法が自社の環境に合っているものを選ぶ

勤怠管理のデジタルツールは、選ぶサービスによって対応できる打刻方法が異なります。パソコンやスマートフォンを使ったWebブラウザでの打刻、ICカード、生体認証などが主な打刻方法です。

従業員全員がオフィスに出社する会社であれば、ICカードやパソコンによる打刻が使いやすいでしょう。テレワークや外勤の従業員が多い場合はスマートフォンからの打刻に対応している必要があります。自社の勤務形態を考慮して環境に合ったものを選んでください。

(4)従業員が操作しやすいものを選ぶ

正確な勤怠管理のためには、システムのスムーズな運営が欠かせません。そのためには、従業員がすぐに使える操作性の良いものを選ぶ必要があります。職種によってはパソコンを使う機会がなく、システムに苦手意識をもつ従業員もいるはずです。また、操作が複雑だと打刻ミスが発生し正確な情報が記録できません。

導入前に、一度、担当者が操作性を確認し、誰もが無理なく使えるシンプルなものを選びましょう。

タイムカードを廃止してデジタル化する方法

タイムカードを廃止してデジタル化するには主に2つの方法があります。1つは勤怠管理システム、2つ目は入退室管理システムの導入です。それぞれの方法を詳しく解説していきます。

(1)勤怠管理システムの導入

勤怠管理システムは、ICカード、パソコン、スマートフォンなどで打刻ができ、労働時間や残業時間は自動集計されます。

近年クラウド型が主流になっているので、インターネット環境さえあれば、どこからでもシステムの利用が可能です。給与計算システムや会計システムなど、他のシステムとの連携が可能なものも多く、業務の効率化も図れます。

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勤怠管理システムを導入する目的と効率化によるメリット8選

(2)入退室管理システムの導入

入退室管理システムは、いつ、誰が、どこに入退室したのかを管理するシステムです。従業員の入退室が記録され、データを保管できます。

個人端末にQRコードを発行し、設置した読み取り機にかざして出勤・退勤時間を記録できます。入退室の記録により正確な労働時間を把握できますが、テレワークに対応できないところが難点です。

タイムカードのデジタル化におすすめのツール6選

タイムカードをデジタル化する際におすすめのツールを、勤怠管理システムと入退室管理システムの管理方法別にご紹介します。

(1)勤怠管理システム

まずは、おすすめの勤怠管理システムを3つ紹介します。

1. ジンジャー勤怠

ジンジャー勤怠は画面がシンプルで、システム関係に苦手意識のある人でも簡単に操作できます。直行直帰の従業員が多い場合は、スマートフォンでの打刻も可能です。

不正打刻の防止には、IPアドレスによる打刻制限や打刻時のスマートフォンカメラ起動、GPS機能などが活用できます。無料アップデートが行われるため、今後の法改正時にも安心して利用できるのも嬉しいポイントです。

◆料金

月額400円/人 ※最小利用人数10名

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2. KING OF TIME

KING OF TIMEは、従来のタイムカードに代わるシステムとして、多彩な打刻手段が準備されているのが特徴です。ICカード、生体認証、パスワード認証、パソコン上のログオン・オフ情報連動、顔認証など、会社の業務内容によってベストな打刻手段を選べます。

オフィス出社や店舗勤務だけでなく、テレワークや直行直帰の業務まで管理と集計が可能です。操作がシンプルなので、タイムカードからの乗り換えもスムーズに行えます。

◆料金

月額300円/人、初期費用無料

3. ジョブカン勤怠管理

ジョブカン勤怠管理は、多機能とシンプルな操作性が両立した勤怠管理システムです。必要な機能の数でプランを選べるため、無駄なコストがかかりません。

有給休暇や残業の管理など、働き方改革関連法案への対応も万全です。無料のサポートも充実しているので、タイムカードからの乗り換えも安心して行えます。

◆料金

プラン利用機能数料金(1ユーザー)
無料プラン1〜4つ(機能制限あり)無料
有料プランプラン11つ月額200円
プラン22つ月額300円
プラン33つ月額400円
プラン44つ月額500円

※月額最低利用料金2,000円

(2)入退室管理システム

次に、おすすめの入退室管理システムを3つ紹介します。

1. Akerun

Akrunは、既存のドアに専用のインターフェースを取り付けるだけで、ICカードやスマートフォンがオフィスの鍵として使用できるようになります。ドアに貼り付けるだけで簡単に設置可能。入退室の記録が自動で行われ、ユーザーごとの入退室の履歴確認や、他の勤怠管理システムとの連動も可能です。

2. bitlock Starter Kit

bitlock Starter Kitは、専用のインターフェースの取り付けにより、ICカードやスマートフォンで開錠と、入退室の記録が自動で行われます。

最大の特徴は、顔認証オプションがあることです。顔認証であれば、ICカードやスマートフォンをかざす必要がなく、スムーズな入室が可能になります。

3. カギカン

カギカンは、専用のデバイスをドアに設置するだけの簡単さが特徴のスマートロックです。開錠・施錠の方法は、スマートフォンアプリ、ICカード、PINコードから選べ、オートロック機能も搭載しています。

入退室情報は、各ドアごとに履歴が確認でき、日別、ユーザー別の表示も可能。これらの情報は、クラウド上で集約されるので、拠点が複数ある会社でも一括管理できます。サーバー導入費用などの大きなコストがかからず、原状回復が可能なので、賃貸オフィスで使える点も魅力といえるでしょう。

正しい勤怠管理のためにデジタル化を検討しましょう

2019年の労働基準法改正により、勤怠管理はより正確性を求められるようになりました。そのため、従来のタイムカードでは、法律に則した勤怠管理が難しいと考えられています。

企業にとって適切な勤怠管理は義務であり、従業員が健康的に働ける労働環境を整える上でも必要なことです。適切な勤怠管理をするために、ぜひデジタル化を検討しましょう。勤怠管理システムや入退管理システムを導入すれば、効率的で正確な勤怠管理が実現します。

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