工数管理とは?必要性や実施方法・メリットとデメリット、事例について解説!
プロジェクトの進捗を把握するには、工数管理が重要です。業務や作業が複雑化するほど、正確な情報把握が必要になります。工数を管理しておけば、プロジェクトの計画に沿って適宜調整が可能です。工数管理とは何か、方法から必要性やメリットとデメリットまでを解説します。
目次
工数管理とは?
工数管理とは、プロジェクトを完了させるまでに必要な工数を計算し、管理することを指します。工数は業務にかかる時間と必要な人数の積で算出可能です。
また、工数管理をおこなうことでプロジェクトの進捗管理もでき、業務効率化や生産性向上に繋げられるといったメリットがあります。
このように、工数管理をすることで、業務効率化や生産性の向上につなげられるのです。
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工数管理が必要な理由
工数管理は、プロジェクトの進捗をリアルタイムで把握するためにおこないます。どの工程に、どのくらいの人数で、どのくらいの時間をかけているかを明確にでき、見積もりと実際にかかった工数を比較することで進捗の把握が可能です。
また、既存の作業や業務の中で無駄になっていたものを可視化できて削減することができ、業務効率の向上につながります。業務効率を向上させることによって、会社の生産性が向上し結果的に利益の最大化が見込めます。
工数管理に意味がないと言われている理由
プロジェクトを管理する上で重要となる工数管理ですが、意味がないと言われている場合もあります。意味がないと言われている理由は下記のようなものがあります。
- 従業員視点で手間がかかるだけの作業になる
- 管理するマネージャーの負担が増えてしまう
- 社内で評価されにくい
- 工数管理においてExcelを利用していため分析や改善がしにくい
工数管理自体が社内で評価されにくいため、マネージャー・従業員それぞれにとって手間や工数のみがかかってしまうことになるため、意味がないと感じてしまう人がいるのです。
そのため、工数管理を導入する際には意味がないと感じる従業員が生まれないように制度や仕組みを整えておく必要があるでしょう。
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工数管理を行う手法
工数管理を行う手法について解説します。どうやったら工数管理ができるか分からない方は、ぜひチェックしてみてください。
Excelやスプレッドシートを用いる
Excelやスプレッドシートを用いた工数管理は、比較的導入しやすい手法です。普段からこれらを使用していれば導入費用がかからず、操作も簡単にできます。
ただし、最初にフォーマットを作成する必要があるため、手間がかかるのがデメリットです。また、複雑な計算をするには専門的な知識を要するうえ、プロジェクトごとにファイル作成も必要なので、管理が大変だといいうデメリットがあります。
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工数管理システムを用いる
工数管理システムを導入するのも1つの方法です。データを入力するだけで工数管理が簡単にできるので、入力ミスや入力漏れも防げるのもメリットです。さらに、複数のプロジェクトをまとめての管理が可能なため、ファイルの管理も楽にできます。
ただし、工数管理システムの導入には費用が発生し、導入してから運用が定着するまでには時間がかかるのがデメリットです。
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工数管理を行うメリット
工数管理を行うメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、工数管理をおこなうメリットについて解説します。
作業状況を把握できる
工数管理によって、プロジェクトの作業状況を把握できます。工程表と現在の状況を比べることで、スケジュール通りに進んでいるか確認できるうえ、スケジュールが大幅にずれてしまった場合でも、素早く調整することが可能です。
また、管理職からの指示がなくても、従業員が自ら業務の効率化を意識できるので、より少ない工数で終わらせる方法を考えたりなど、スムーズな作業につながるでしょう。
コストを削減できる
工数管理をおこなうことで、これまでに気づけなかった業務の工数を削減することができます。加えて、負荷のかかっている作業を見抜けるので、人員を増やすなどの対策もできます。
そのため、余計な業務を省くことができて生産性が向上するため、人件費の削減や各種費用のコスト削減につなげられるのです。
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リスクを抑えられる
見積もりと実際の進捗状況が大きくずれている場合、プロジェクトに何か問題が発生していると考えられます。早めに異変を察知することで、リスクを最小限に抑えられるでしょう。
また、あらかじめ負荷の大きい工数を想定したスケジュール設定や、人員配置も可能になるため、トラブルを未然に防ぐことも可能です。
業務改善につながる
工数管理の見積もりと実際の進捗状況に大きなずれが生じた場合は、業務体制に問題がある可能性があります。なぜそのようなトラブルが発生したのかをしっかりと把握することによって、業務フローや人員配置を見直すきっかけとなり、業務改善に繋げられるでしょう。
獲得したデータを活用できる
毎回工数管理をおこなうことで、過去のプロジェクトに関するデータを集められます。「なぜ作業が遅れてしまったのか」「実際の工数に対して見積はどうだったのか」など、原因を明らかにし、次に活かすための対策を練ることによって、業務の改善につなげられるでしょう。また、類似プロジェクトの計画や見積もりを立てる際にも活用できるので、効率化も可能になります。
モチベーションを向上させる
工数管理は、負担の大きい作業工程を見つけ出すことができます。作業体制の改善をすることにより、業務負担を軽減させられるので、従業員のモチベーションを向上させられるでしょう。また、従業員それぞれが業務の改善点を見つけるきっかけにもなるのもメリットです。
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工数管理によるデメリット
工数管理によるデメリットについて解説します。工数管理をおこなうとさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあるので、しっかりと把握しておきましょう。
学習や運用にコストがかかる
工数管理を導入するにあたって、管理ツールの使い方を覚えたり、管理体制を作るための学習コストがかかったりします。また、工数管理を運用するのにもコストが必要であり、特に、手動で工数管理をおこなう場合、テンプレートの作成やデータの入力など膨大なコストがかかってしまうでしょう。
くわえて、工数管理を導入したからといっても、すぐに成果が出るわけではありません。工数管理を運用してから軌道に乗るまでは、時間がかかる場合もあり、その間はコストに対する効果の実感が薄く感じる可能性もあるでしょう。
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管理精度を高める必要がある
工数管理では、精度の高い管理をおこなう必要があります。データの精度が低いと工数管理が正確にできず、労力が無駄になってしまうリスクがあるためです。
そのため、メンバーによる作業時間の報告は正確にしてもらわなければなりません。メンバー全員が工数管理への高い意識を持ち、現実と報告上のデータに乖離が起きないようにすることが大切です。
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【5Step】工数管理のやり方・流れ
工数管理のやり方を5つのステップに分けて解説します。工数管理は具体的にどのようにおこなったら良いのか分からない方は、ぜひチェックしてみてください。
1.責任者を決める
まず、メンバーの工数入力やプロジェクトの進捗度を確認する責任者を決めましょう。その際は、予実管理の経験がある社員を選ぶとスムーズに進められます。
責任者はメンバーが決められたルールに従って、工数を入力しているかチェックし、入力を怠っている社員がいる場合は工数の入力を促しましょう。
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2.工数表を作成する
次に、工数表を作成します。工数表では作業をタスクごとに分解し、それぞれ担当者・作業開始日・終了日、進捗ステータスを記入しましょう。また、日報の欄も作成することでより細かい進捗状況を把握できます。
工数表は実際に入力する社員が扱いやすいように作成することが大切です。入力方法やルールを設定し、社員によってデータにばらつきが出ないようにしましょう。
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3.工数を入力する
プロジェクトが動き出したら、実際にかかった工数を正確に入力します。業務日は毎日入力するのが理想です。
工数入力の際は、勤務時間のうち該当プロジェクトのどの作業にどのくらいの時間かけたかを割り振ります。一人の従業員が複数のプロジェクトに関わっている場合もあるので、各自でしっかり記録するようにしましょう。
4.予想と実績を比較する
プロジェクト開始前に見積もった予想の工数と、実際にかかった工数を日々比較することが大切です。予想と実績にずれがある場合はスケジュールが遅れていたり、人員をもっと割く必要があるでしょう。
予想と実績の比較をすることで、トラブルを早期発見でき、早めの対応が可能になります。
5.集計したデータを分析する
プロジェクト完了後は集計したデータを分析し、次のプロジェクトに生かしましょう。社員やチームごとの工数の差や予想と実績の差など、さまざまな観点から分析することが大切です。
また、複数プロジェクトを比較すると、発見できる改善ポイントもあるでしょう。次回以降のプロジェクトでより高い成果を得るために、プロジェクト終了後は振り返りをおこなうことが大切です。
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工数管理の効果を高めるポイント
工数管理の効果を高めるポイントについて解説します。工数管理の効果を高めるためにも、押さえるべきポイントをしっかりと意識しましょう。
管理責任者を決めておく
工数管理は、管理責任者を決めることが大切です。管理責任者は、メンバーが決められたルールに従って工数を入力しているか確認したり、入力を怠っている社員がいる場合は工数を入力するように促したりします。
また、プロジェクトの進捗度チェックも必要なため、予実管理の経験のある社員を選ぶとスムーズに進められるでしょう。
細目に管理内容を確認する
管理責任者は、こまめに工数入力状況を確認することが大切です。日々チェックをおこなうことで、工数入力の形骸化を防ぎ、正確なデータを集められます。
記入漏れのある社員を見つけた場合は、積極的に声かけをしましょう。入力漏れのある社員を全員が把握できるようにすれば、社員どうしで注意し合うこともでき、作業の効率化にもつながるためおすすめです。
現場と連携を取る
工数管理は管理者が一方的におこなうのではなく、現場と連携することが大切です。工数の計算前に現場社員にヒアリングをするなど、現場視点の工数管理をおこなうことで、より現実的な予想を立てられます。
現場との連携により、無理のないスケジュール設定や人員配置が可能となって、プロジェクトをスムーズに進められるでしょう。
予想数値と合わせて管理する
工数管理をする際は、実績だけではなく予想数値も合わせて管理することが大切です。予想と実績両方の数値を入力し、比較する管理方法を予実管理といいます。
この予実管理は、作業のトラブルを早期に発見して未然に防いだり、プロジェクトの成功要因や失敗要因の分析をしたりなど、工数管理に役立つでしょう。
社内でデータを共有する
工数管理で得られたデータは社内で共有しましょう。データを共有することで、経営層の意思決定における判断材料となります。また、プロジェクトの進捗状況が可視化されるので、現場社員のモチベーション向上につながったり、進捗に遅れがある場合も、スムーズに対応したりすることも可能です。
さらに、日々の工数入力によってどのようなデータが得られるか明確になるため、社員のデータ入力の精度が向上します。
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工数管理を実際に導入した事例
ここでは、工数管理を実際に導入した事例を5つ紹介します。工数管理を導入するか迷っている方は、実際の導入事例を参考にしてみてください。
株式会社マネーフォワードの事例
株式会社マネーフォワードでは、プロジェクトごとの予実管理ができていないことが課題でした。また、財務会計における新しい収益認識基準に対応するため、厳密な工数管理をおこなう必要があり、工数管理ツールを導入したのです。
工数管理ツールの導入後は、プロジェクト単位での予実管理が可能になり、軌道修正が容易にできるようになりました。さらに、よりシンプルで正確な工数管理がおこなえるため、管理部門の負担も軽減できたのです。
[出典:CrowdLog「株式会社マネーフォワード」]
ヤマハ発動機ビズパートナー株式会社の事例
ヤマハ発動機ビズパートナー株式会社では、部門ごとに利用しているツールがバラバラで、業務・工程ごとの工数把握ができていないのが課題でした。また、作業工程における問題点を発見できず、効果的な業務改善ができていなかったため、工数管理ツールを導入したのです。
工数管理ツールを導入したことによって、業務に紐づいた工数の可視化ができ、作業工程の問題点の抽出が可能となりました。さらに、導入後1ヶ月で全社展開するなど、スピーディーな導入ができたのです。
[出典:CrowdLog「ヤマハ発動機ビズパートナー株式会社の事例」]
株式会社プリマジェストの事例
株式会社プリマジェストでは、パートナーの協力会社の工数がシステムに反映されず、リアルタイムで工数やコストを把握できないのが課題でした。そこで、新たな工数管理ツールを導入したのです。
工数管理システムの導入後は、パートナーの工数入力も可能となり、タイムリーに工数やコストを把握できるようになりました。また、社員の工数締め日が短縮され、パートナーの支払いデータ作成業務にかかる残業を大幅に減らせたのです。
[出典:CrowdLog「株式会社プリマジェスト」]
株式会社電通マネジメントサービスの事例
株式会社電通マネジメントサービスでは、詳細な業務工数の把握ができず、適正な価格設定ができなかったのが課題でした。また、業務プロセス改善・生産性の向上のために新たな方法を模索していたため、工数管理ツールを導入したのです。
工数管理ツールの導入後は、業務別に詳細な工数把握が可能となり、適正な価格設定が可能となりました。さらに、社員1人ひとりの業務時間への意識が高まり、生産性向上のための指標となったのです。
[出典:CrowdLog「株式会社電通マネジメントサービス」]
大陽日酸株式会社の事例
大陽日酸株式会社では、Excelで工数管理をおこなっていましたが、プロジェクトの追加ごとにマスタを変更したり、年度末にマスタを更新したりする作業が負担となっていたのです。くわえて、共有フォルダのシステム変更により、メンバーどうしの連携が上手くできなくなってしまいました。そこで、工数管理ツールを導入したのです。
工数管理ツールを導入することで、日々の工数入力作業の負担を大幅に軽減し、業務工程の可視化により、課題の特定も可能となりました。
[出典:CrowdLog「大陽日酸株式会社」]
▷ガントチャートとは何?意味やプロジェクト管理におけるメリット・デメリット
▷進捗管理表とは?エクセルでの作り方やプロジェクト管理のコツ
工数管理におすすめのツール
最後に、工数管理におすすめのツールを5つ紹介します。どの工数管理ツールを選んだらいいか分からない方は、ぜひそれぞれを見比べて検討してみてください。
Pace
Paceは、日報を入力するだけで営業利益を可視化できる工数管理・業務管理ツールです。日報で入力したデータを元に、コストオーバーしている作業を見つけたり、グラフでデータ化したりできます。
また、集計機能により、利益の出ているものと出ていないものの把握が可能であり、利益シミュレーション機能では、単価・販売数・原価・固定費の4つの数値を変化させることで利益率の変動を比べられることが特徴の一つです。
提供元 | 株式会社リーピー |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 月払い:550円(税込)/月/1メンバーあたり 年払い:6,050円(税込)/月/1メンバーあたり |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
Jooto
Jootoは、シンプルで使いやすいタスク・プロジェクト管理ツールです。直感的に使えるレイアウトで、タスク管理を効率化します。
同ツールは、ガントチャートを用いたプロジェクトの進捗管理が可能であり、予定と実績の数値管理機能によってタスクに紐づいた工数管理をおこなえることもポイントです。
提供元 | 株式会社PR TIMES |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 月間契約
年間契約
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導入実績 | 有料導入企業数1,900社以上(※2022年11月末時点) |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
CrowdLog
CrowdLogは、ドラッグ&ドロップで簡単に工数入力ができる工数管理ツールです。ガントチャートと連動しているため、計画と進捗の同時管理ができ、スケジュールに対する進捗状況をひと目で把握できます。
また、外部カレンダーツールや勤怠管理との連携も可能なうえ、日報の登録もおこなえるので、工数予実やガントチャートの進捗からは見えない異変を早めに察知できることもメリットです。
提供元 | 株式会社クラウドワークス |
初期費用 | ベーシックプラン:要問い合わせ プレミアムプラン:要問い合わせ |
料金プラン | ベーシックプラン:要問い合わせ プレミアムプラン:要問い合わせ |
導入実績 | 累計導入社数650社以上(※2023年2月現在) |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
Backlog
Backlogは、シンプルで直感的に使えるデザインが特徴のプロジェクト・タスク管理ツールです。ガントチャートを用いたプロジェクトの進捗管理ができます。
担当者・期限を明確にできるタスク管理機能によってタスク漏れを防止することが可能であり、メモ・議事録・作業マニュアル・仕様書などを共有できるWiki機能も搭載している点も特徴の一つです。
提供元 | 株式会社ヌーラボ |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 月払い
年払い
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機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
Redmine
Redmineは、オープンソースで使えるプロジェクト管理ソフトウェアで、業務に合わせて自由にカスタマイズできます。やるべきことを「チケット」として管理し、担当者・期日・ステータス・進捗状況を設定できたり、チケットに登録されたデータを元にガントチャートの作成したりすることも可能です。
また、Wikiやニュース機能を活用すれば、社内への情報共有もスムーズにおこなえます。
提供元 | ファーエンドテクノロジー株式会社 |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 無料 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
工数管理とはプロジェクトに必要な時間や人数を管理する事
工数管理とは、プロジェクトにかかる時間や必要な人数を管理し、進捗を把握するためにおこないます。工数管理の精度を高めるためには、日々の正確なデータ入力が必要です。
ツールを活用すると、効率的な工数管理ができるので、今回紹介した工数管理の手順やポイントを参考に、社内での導入を検討してみてください。
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